トランペットの隠れ名盤・1
「冬もたけなわ」となれば、暖かい部屋の中で、本腰をいれてジャズを聴く気分になります。本腰を入れてジャズを聴く、となれば、やっぱり、テナー・サックスとかトランペットが主役のアルバムを選びたい。テナー・サックスやトランペットは「ジャズの花形」。
花形な楽器であれば、トランペット奏者の数も多い。メジャーな存在では無くても、小粋で鯔背で格好良い、とても素敵なトランペッターも沢山いる。つまり、トランペットの隠れ名盤も沢山あるということ。
例えば、このRichard Williams『New Horn In Town』(写真左)。1960年9月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Richard Williams (tp), Leo Wright (as,fl), Richard Wyands (p), Reginald Workman (b), Bobby Thomas (ds)。マイナー・レーベルである「キャンディド」からのリリース。
正直言えば、このリーダーのトランペッター、リチャード・ウィリアムスは、ジャズ・トランペッターとしては、メジャーな存在では無い。バックのリズム・セクションのメンバーも、ベースのレジー・ワークマンは名前は知っているが、その他のメンバーは、実はあまり良く知らない。
それでも、このアルバムは派手な内容では無いけれど、実に滋味溢れるアルバムである。ジャズの本音が聞こえてきそうな、トランペットの「なごみ」の名盤。このアルバムに出会って、初めて聴いた時に「ああ、こんなアルバムもあるんやなあ」としみじみと感心したのを覚えている。
とにかく、トランペットが、朗々と「鳴る」のだ。「トランペットって、金管楽器だったのね」ということを、はっきりと思い出させてくれるように、朗々と「鳴る」。真鍮がブルブルと響くように、リチャード・ウィリアムスのペットは、素敵に「鳴る」。
それがとても良く判るのが、2曲目の「I Remember Clifford」。もともと、この曲、自動車事故で、23才にして急逝したジャズ・トランペットの天才、クリフォード・ブラウンを偲んで書かれた、ベニー・ゴルソンの名曲。
それ故に、ジャズ・トランペットの音が実に良く似合う。この曲を、朗々と歌い上げることのできるトランペッターこそが、一流のトランペッターと言えるってもんだ。この1曲だけでも、このアルバムは「買い」だ。真鍮がブルブルと響くように素敵に鳴る、ウィリアムスのトランペットは「鯔背」だ。
曲によっては、特に早いテンポの曲ではリズムセクションに問題が残るが(ドラムが遅いというか、ベースが「かかる」というか、とにかくバラバラな部分が所々に・・・)、そんなことは全く気にする様子は無く、他の曲でもウィリアムスのペットは朗々と鳴る。つまりは、このアルバム、ウィリアムスのトランペットを愛でることが全てなのだ。
派手では無いけれど、初心者からベテランまで、一度聴けば、きっと、お気に入りの一枚になる、そんなジャズ鑑賞の初心に返ることが出来る素敵なアルバムだ。特に、トランペット好きには堪らない盤ですぞ。トランペット好きには「イチ押し」です。
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松和のマスター様
こんばんは
「何か見覚えがあるな」
実はうちには譲り受けられたジャズのレコードがけっこうな数ありまして、
これも居ました。
正直言って今まで一度も聴いたことなかったのですが、
聴いてみると確かにトランペットが朗々と歌っていました。
ピアノにフルートも入っていて、凄く安らぎました。
紹介してもらわなければ埋もれさせておくところでした。
ありがとうございました。
投稿: GAOHEWGII | 2014年1月15日 (水曜日) 21時06分