最近のトラックバック

« 冬はジャズ・ボーカルの季節 | トップページ | Xmasの音といえば「オルガン」 »

2013年12月18日 (水曜日)

なんか一味足らない「V.S.O.P.」

1970年代後半、このワンタイム・バンドの出現で、純ジャズ復古の機運がグッと高まった。1970年代後半と言えば、フュージョン・ジャズのブーム真っ只中。電気楽器中心のエレクトリック・ジャズの爆発的な流行の反動で、アコースティック楽器中心の純ジャズへの回帰が始まっていた。

そこへ出現したのが、この「V.S.O.P.」。V.S.O.P.とは、Very Special Onetime Performance の頭文字を並べたもの。大変特別な一度きりの演奏、として、1976年のニューポート・ジャズ・フェスで、ハービー・ハンコックを中心に結成されたバンド。

ちなみにパーソネルは、 Herbie Hancock (p), Wayne Shorter (ts,ss), Ron Carter (b), Tony Williams (ds), Freddie Hubbard (tp,flh)。そう、1960年代のマイルスの「黄金のクインテット」のリーダー&トランペットのマイルスを、フレディー・ハバードに替えただけの、擬似「黄金のクインテット」である。

「大変特別な一度きりの演奏」のつもりが、このニューポート・ジャズ・フェスでの演奏が大変な評判を呼び、ついに「V.S.O.P.」というバンド名で、全米ツアーに出るまでになった。この「純ジャズ復古なV.S.O.P.」の評判は、太平洋を渡り、ついには日本を直撃。日本でも大人気なバンドとなった。

もちろん、ちょうどジャズ者初心者の頃の僕も、この「V.S.O.P.」には一時期、大変に傾倒した。そして、1979年7月。この「V.S.O.P.」は、日本の田園コロシアムで開かれたジャズ・フェス「Live Under The Sky」に出演するべく来日した。その時の演奏のライブ盤が、この『Live Under The Sky』(写真左)。

2日に渡る、この田園コロシアムのライブ演奏を、それぞれ1日毎に1枚のCDに割り当てており、初日と二日目、重複する曲目で、両日の演奏の違いを聴き比べると、ジャズの特徴である「即興性」の一端が良く判る。当時の純ジャズの最先端の演奏スタイルであった「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」のお手本の様な演奏がズラリと並ぶ。

「V.S.O.P.」としての活動の終焉の頃のライブ演奏である。演奏する曲々に、かなりの「手慣れた感」が漂い、インプロビゼーションの展開にも、予定調和な展開がそこかしこに見え隠れし、ジャズの構成である「インプロビゼーションのスリリングさ」については、ちょっと乏しい感じは否めない。
 

Live_under_the_sky

 
が、それぞれの演奏は、まずまずに内容の充実したものばかりで、1970年代の純ジャズの最先端がどの辺りにあったのか、ということが、このライブ盤の演奏を聴けば、実に良く判る。

しかし、このメンバーをして、1960年代後半にマイルスを中心に創造した「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」を凌駕する「新しい何か」が生まれ出でなかったことを遺憾に思う。やはり、マイルスの様な、強烈な牽引力と創造力を持ったリーダーがいないということが、この「V.S.O.P.」の弱点と言えば、弱点だったと思う。 

さて、このライブ盤、何故か、いつもは冷静沈着なショーターがバリバリにテナーとソプラノを吹きまくっている。逆に、いつもは全面に出たがるトランペットのハバードが、何故か、このライブでは大人しい。大人しいというか地味ですらある。
 
フュージョン・ジャズでずっこけたけれど、純ジャズで大受けなので嬉しくて仕方の無いトニーがドラムをドカドカ叩きまくり、目立つ目立つ。トニーが嬉しくて嬉しくて、ドラムを叩きまくるので、つられて、ロンがアタッチメントで増幅されたブヨンブヨンな音のアコベをブンブンブンと、ちょっと「はしたなく」弾きまくる。この二人はやり過ぎでしょう(笑)。
 
そして、意外と冷静で、意外と一人まとまっているのが、リーダー格のハービー。このライブ盤でのハービーはこぢんまりしていて、あまり目立たない。

バンドの一体感と統一感という面では、やはりこの「V.S.O.P.」は、確固たるリーダー不在のオールスター・バンドだった。それでも、彼らの演奏する「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」は、それはそれで格好良く、このライブ盤が出た時には、早速、手に入れて、純ジャズ復古のムーブメントをビビットに感じ取って、期待感に胸を膨らませていた。

良い内容のライブ盤なんですけどね〜。このライブ盤を手に入れた頃、そう昔からずっと感じてるんですが、なんか一味足らないんですよね。やっぱり、確固たるリーダー不在の影響は否めない。それと、バンドが成熟し過ぎての「予定調和な感じ」が、どうもいけない。それでも、たまに引き出しては聴く位の、良い内容のライブ盤ではあります。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 冬はジャズ・ボーカルの季節 | トップページ | Xmasの音といえば「オルガン」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/54303675

この記事へのトラックバック一覧です: なんか一味足らない「V.S.O.P.」:

« 冬はジャズ・ボーカルの季節 | トップページ | Xmasの音といえば「オルガン」 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ