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2013年12月29日 (日曜日)

ボーカルによるハービー曲集

先月リリースされた、ハービー・ハンコックの米コロムビア期を網羅した34枚組ボックス『The Complete Columbia Album Collection』(写真右)は、実にお買い得なボックス盤だった。米国製の紙ジャケ仕様のボックス盤だったが、米国製にしては、まあまあの紙ジャケで、なかなかのリマスタリングで音も良い。

米コロムビア期のハービーのアルバムの全てを網羅しているので、これまで日本のみ発売されたアルバムも全て入っていて、僕にとっては、これがなかなか価値がある。

というのも、日本で発売されたアルバムで、長らく廃盤になっていて入手困難なアルバムがあって、これが全て、このボックス盤に入っている。しかも音が良い。しかもリーズナブルな価格(一枚当たりにして500円程度)。これは買いでしょう。

そんな長らく廃盤になっていて入手困難なアルバムの中での一枚が、Kimiko Kasai with Herbie Hancock『Butterfly』(写真左)。最近、やっと単品でも再発されたみたいだが、僕はこの34枚ボックス盤で、他に未入手のアルバムと共に入手した。1979年10月録音の盤だから、34年ぶりにやっと入手したことになる。

この盤は、女性ボーカルの笠井紀美子とハービーのコラボレーション。内容的にはハービーのリーダー作に挙げられるべき素晴らしい内容です。また、この盤は「ハービー自身が伴奏した、ボーカルによるハービー曲集」としては唯一のもの。こんな素晴らしい企画盤が、日本で制作され日本のみで発売されていたとは、ちょっとビックリです。

ちなみにパーソネルは、Kimiko Kasai (vo), Herbie Hancock (key), Paul Jackson (b), Bill Summers (per), Bennie Maupin (sax, bcl), Alphonse Mouzon (ds), Webstar Lewis (key), Ray Obiedo (g)。当時のエレ・ハンコック楽団をバックに、笠井きみ子が唄いまくる、という編成。
 

Kimiko_kasai_butterfly

 
アルバムに全編に渡って、とても品の良いグルーブ感が漂います。時は1979年、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズと米国ポップス界で大流行したAORの曲調を引用し、エレ・ハンコック独特のグルーブ感とファンクネスを織り交ぜた、実に内容のある、レベルの高い演奏です。

そんな素晴らしい演奏をバックに堂々と唄いまくる、ボーカルの笠井きみ子も素晴らしい。当時の日本人のジャズ・ボーカルとしては秀逸な出来だ。発音も良く、素直な唄いっぷりも堂に入っている。 日本人独特の乾いたファンクネスを漂わせた歌唱は特筆もの。

アルバムに収録された楽曲については、いずれも内容が良く、高いレベルの演奏とボーカルであるが、そんな中でも、まずは、冒頭の「I Thought It Was You」が良い。ハービーが『Sunlight』でボコーダーを交えて演奏した曲だが、ここでは笠井きみ子が生ボーカルでシンプルに唄い上げていく。この笠井の生ボーカルの歌唱を聴くと、やはりボコーダーでの歌唱はあまり意味が無いように思える。やはり生ボーカルに勝るもの無し、である。

2曲目の「Tell Me A Bedtime Story」も優れた内容で、思わず聴き込んでしまう。ハービーならではの、実に良く練られた、ちょっと風変わりだが、それでいて実にクールなコード進行を持つ楽曲で、さすがはハービー、惚れ惚れする。そして、このちょっと複雑な曲も、笠井は素直にクールに歌い上げている。

ラストには、スティーヴィー・ワンダー作の「As」が収録されていて、僕はこの曲が大好きで、笠井の歌唱も変に癖をつけることなく、シンプルに唄う。バックのハービーのエレピも好調。素晴らしい歌伴である。

さすがは「歌伴のハービー」。歌伴をやらせたら、本当に素晴らしい、優れた歌伴プレイを聴かせてくれるハービーだが、この 『Butterfly』でのハービーの歌伴プレイは屈指の出来。フュージョン・ジャズのボーカル盤としても優れた内容で、数少ないフュージョン畑のボーカル盤として、お勧めの佳作です。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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