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2013年12月の記事

2013年12月31日 (火曜日)

今年もありがとうございました

大晦日になりました。やっと、この大変だった2013年も終わります。来年は、もうちょっと楽しい一年でありたいですね。

今年は、ジャズのアルバムのリイシューについては、僕にとっては、触手が伸びるものがありませんでした。珍しい年でしたね。特に、ボックス盤などの大型企画が無かった一年でした。

そんな中で、サムシン・エルス&新生ブルーノートの初期の名盤復刻は心が躍りました。この1980年代から90年代のサムシン・エルス&新生ブルーノートの初期のアルバムは、ちょうど、本業が爆発的に忙しく、財力的にもまだまだ弱い時期だったので、買いそびれたアルバムがほとんどでした。今回は、リイシューされたアルバムの半分程度を「大人買い」しました。単純に嬉しかったなあ(笑)。

あとは、ハービー・ハンコックが、米Columbia/日本CBS/Sonyで発表した31作品を24bit/96kHzリマスターでコンパイルした34枚組ボックス・セット『The Complete Columbia Album Collection』は、意外と内容が良く、お得感満載でした。

1970年代ロックの世界のお宝盤リイシューは、なかなか充実した年で、ポール・マッカートニー&ウィングス『Wings Over The America Super Deluxe Edition』や、エリック・クラプトン『Give Me Strength : The 1974/1975 Recordings』、ザ・バンドの『Live at the Academy of Music 1971』、そして、ボブ・ディランの『Bob Dylan: Complete Columbia Albums Collection Vol.1』は、その内容とボリュームは圧巻でした。

廉価盤のボックスセットが多く出回ったのも朗報でした。そのお陰で、America、Laura Nyro、Bruce Springsteen、Poco、Joni Mitchell、Rickie Lee Jones など、今まで、なかなか手が出なかったミュージシャンの有名盤を一気にコレクション出来ました。

アルバム一枚あたり、300〜500円程度とコストパフォーマンス抜群です。でも、これだと今まで一枚一枚、少しづつコレクションを増やして来た努力と費用はなんだったんだろう、なんて不満に思ったりもしますね(笑)。
 

Photo_2

 
バーチャル音楽喫茶『松和』のこのブログ、「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」も、2006年4月以来のブログ運営を経て、今年、累計100万ヒット越えを達成しました。最近は、一日平均1,000ヒットを越えていて、ブログ運営サイドとしては、心強い限りです。

音楽が好きで、聴くのが好きで(演奏するのも好きですが、今は時間が無い)、アルバムをコレクションするのが好きで、その楽しい気持ち、感じた気持ちを皆さんと共有したくて、ブログの運営を始めました。しかし、当初はこれだけの方々が、我がブログにアクセスして、読んで貰えるとは思っていませんでした。本当に嬉しい限りです。ありがとうございます。

個人的には、この2013年は酷い年でした。生涯で最悪な年と言って良い位の酷い年でした。昨年の12月に大病を患い、大手術を経て一命を取り留めました。そして、この2013年は自体療養〜リハビリの生活からのスタートでした。

しかし、大手術後のリハビリ〜回復という初めての経験ゆえの不安もあり、今年の前半はなかなか思ったほど順調に回復せず、一部周辺の無理解ゆえのストレスも手伝って、再び、やむなく休職に追い込まれる辛さも経験しました。

手術より1年。やっと身体の調子、身体の様子が落ち着いて来た感じがします。医者からは、まずまずの状態に戻るまでには1〜2年はかかるよ、と言われてはいるので、振り返れば、まずまず順調な回復かとも思います。

とにかく、来年は明るくストレス無く、更なる回復に努めたい、ある程度で良いから、普段通りの生活を取り戻したい、それだけが切なる願いです。健康第一、健康ほど大切なものはありません。皆さんも健康にだけは十分に留意していただきたいと思います。

本当に今年は大変な年だった。2014年はもう今年の様な思いは勘弁して欲しいなあ。来年こそは良い年でありますように・・・。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年12月30日 (月曜日)

しみじみとスイング・ジャズ

昔から、年末の夜は、しみじみとジャズを聴きながら、一年を振り返る。しみじみと一年を振り返る時は、落ち着いた、しみじみとしたジャズが良い。そんな時には、こんなスウィング・ジャズを聴いたりする。

スウィング・ジャズとは、1930年代から1940年代初めにかけて大流行した、白人が主体となって作られた大人数編成によるジャズの形態の一つ。ジャズの歴史の中では初期のものにあたる。

スウィング・ジャズは、軽快なダンス・ミュージックであり、1940年代後半、ビ・バップ以降のジャズの特徴である即興演奏(アドリブ)や個人演奏(ソロ)よりも、念入りな打ち合わせに基づくビッグ・バンド全体での演奏(アンサンブル)に重点が置かれた。

と、理屈を並べても判りにくい。例を挙げると、ベニー・グッドマン、グレン・ミラーが代表格。今のジャズでは目立たなくなった、クラリネットが結構活躍したりする(恐らくベニー・グッドマン楽団の影響と思われる)。

日本でも「ジャズ」と言えば「スウィング・ジャズ」という図式が、テレビの世界を中心に未だに踏襲されているので、皆さんもどこかで一度は聴いているジャズ・スタイルだと思います。おお〜っ、そうそう良い例があった。「スウィング・ガールズ」である。「スウィング・ガールズ」の演奏するジャズ・スタイルが「スウィング・ジャズ」である。

このダンス音楽的で親しみやすく、リズムも判りやすく、ほのぼのとした暖かいの「スウィング・ジャズ」の雰囲気は、この年末の夜にピッタリだと僕は思うんですが。ということで、現代のモダン・ジャズの中で、「スウィング・ジャズ」系の隠れ名盤の一枚をご紹介します。
 

Eiji_kitamura_meets_teddy_wilson

 
『Eiji Kitamura Meets Teddy Wilson』(写真左)。邦題『君去りし後』。スウィングの巨人テディ・ウィルソンと日本を代表するクラリネット奏者・北村英治の美しいコラボレーション。Teddy Wilson (p)、北村英治 (cl)、Baffalo Bill Robinson (ds)、原田政長 (b)、増田一郎 (vib)がパーソネル。

1970年10月5日の録音である。このアルバムは、テディ・ウィルソンが来日した折に日本で録音された。クラリネットの北村英治とのコラボが目玉だが、脇にベースの原田、ヴィブラフォンの増田が良い味を出している。

どの曲もスウィング・ジャズをベースとしながら、ビ・バップ以降のモダン・ジャズに十分通ずる演奏内容が立派だ。しかも、北村英治のクラリネットが良い雰囲気を出している。明るく柔らかな、それでいて、どこかユーモラスなクラリネットの音色。このクリスマス・シーズンにピッタリの音だと思うのですが、どうでしょうか。

出だしの「On The Sunny Side Of The Street」のテディ・ウィルソンのオシャレなピアノと北村英治のクラリネットの優しい音色で、グッと惹きつけられて、それ以降は一気に聴き通してしまう。選曲も良く、全員がリラックスした演奏が何とも楽しいです。

このリラックスした雰囲気と楽しい演奏が、この年末の夜にピッタリです。ちょっと手に入れにくいアルバムかもしれませんが、この季節にあった雰囲気の隠れ名盤として、お勧めです。

 
 

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2013年12月29日 (日曜日)

ボーカルによるハービー曲集

先月リリースされた、ハービー・ハンコックの米コロムビア期を網羅した34枚組ボックス『The Complete Columbia Album Collection』(写真右)は、実にお買い得なボックス盤だった。米国製の紙ジャケ仕様のボックス盤だったが、米国製にしては、まあまあの紙ジャケで、なかなかのリマスタリングで音も良い。

米コロムビア期のハービーのアルバムの全てを網羅しているので、これまで日本のみ発売されたアルバムも全て入っていて、僕にとっては、これがなかなか価値がある。

というのも、日本で発売されたアルバムで、長らく廃盤になっていて入手困難なアルバムがあって、これが全て、このボックス盤に入っている。しかも音が良い。しかもリーズナブルな価格(一枚当たりにして500円程度)。これは買いでしょう。

そんな長らく廃盤になっていて入手困難なアルバムの中での一枚が、Kimiko Kasai with Herbie Hancock『Butterfly』(写真左)。最近、やっと単品でも再発されたみたいだが、僕はこの34枚ボックス盤で、他に未入手のアルバムと共に入手した。1979年10月録音の盤だから、34年ぶりにやっと入手したことになる。

この盤は、女性ボーカルの笠井紀美子とハービーのコラボレーション。内容的にはハービーのリーダー作に挙げられるべき素晴らしい内容です。また、この盤は「ハービー自身が伴奏した、ボーカルによるハービー曲集」としては唯一のもの。こんな素晴らしい企画盤が、日本で制作され日本のみで発売されていたとは、ちょっとビックリです。

ちなみにパーソネルは、Kimiko Kasai (vo), Herbie Hancock (key), Paul Jackson (b), Bill Summers (per), Bennie Maupin (sax, bcl), Alphonse Mouzon (ds), Webstar Lewis (key), Ray Obiedo (g)。当時のエレ・ハンコック楽団をバックに、笠井きみ子が唄いまくる、という編成。
 

Kimiko_kasai_butterfly

 
アルバムに全編に渡って、とても品の良いグルーブ感が漂います。時は1979年、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズと米国ポップス界で大流行したAORの曲調を引用し、エレ・ハンコック独特のグルーブ感とファンクネスを織り交ぜた、実に内容のある、レベルの高い演奏です。

そんな素晴らしい演奏をバックに堂々と唄いまくる、ボーカルの笠井きみ子も素晴らしい。当時の日本人のジャズ・ボーカルとしては秀逸な出来だ。発音も良く、素直な唄いっぷりも堂に入っている。 日本人独特の乾いたファンクネスを漂わせた歌唱は特筆もの。

アルバムに収録された楽曲については、いずれも内容が良く、高いレベルの演奏とボーカルであるが、そんな中でも、まずは、冒頭の「I Thought It Was You」が良い。ハービーが『Sunlight』でボコーダーを交えて演奏した曲だが、ここでは笠井きみ子が生ボーカルでシンプルに唄い上げていく。この笠井の生ボーカルの歌唱を聴くと、やはりボコーダーでの歌唱はあまり意味が無いように思える。やはり生ボーカルに勝るもの無し、である。

2曲目の「Tell Me A Bedtime Story」も優れた内容で、思わず聴き込んでしまう。ハービーならではの、実に良く練られた、ちょっと風変わりだが、それでいて実にクールなコード進行を持つ楽曲で、さすがはハービー、惚れ惚れする。そして、このちょっと複雑な曲も、笠井は素直にクールに歌い上げている。

ラストには、スティーヴィー・ワンダー作の「As」が収録されていて、僕はこの曲が大好きで、笠井の歌唱も変に癖をつけることなく、シンプルに唄う。バックのハービーのエレピも好調。素晴らしい歌伴である。

さすがは「歌伴のハービー」。歌伴をやらせたら、本当に素晴らしい、優れた歌伴プレイを聴かせてくれるハービーだが、この 『Butterfly』でのハービーの歌伴プレイは屈指の出来。フュージョン・ジャズのボーカル盤としても優れた内容で、数少ないフュージョン畑のボーカル盤として、お勧めの佳作です。

 
 

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2013年12月28日 (土曜日)

マイルス・デイヴィス復活の狼煙

マイルス・デイヴィスのアルバムの聴き直しの再開。いよいよ、1981年の引退状態からの復活以降、マイルス最終章のアルバムの聴き直しである。

1975年に音楽活動を休止。引退状態に入ってしまったマイルス・デイヴィス。アルバムとしては、あの1975年2月の大阪公演を捉えたライブ名盤『アガパン』以来、新しいアルバムはリリースされなくなった。

ちょうど僕がジャズを聴き始めた1978年は、マイルス引退状態の真っ只中。ジャズ雑誌などでのマイルスの情報は芳しくないものばかりで、ほとんど完全引退状態だった。まあ、その頃は、マイルスの過去のアルバムを追っかけるのが大変で、実は引退状態は「ウエルカム」だった(笑)。

しかし、1980年に入って、少しずつ、マイルスに関して、復活するんでは、という明るい情報が入り始める。期待した。『アガパン』でマイルスに出会い、アコースティック・マイルスについても、プレスティッジのマラソン・セッション4部作を筆頭に、基本的なものは聴取済み。マイルスのアルバムを集めて聴き込むにつけ、その頃は、僕はもう既に「マイルス者」になっていた。

そして、1981年である。ジャズ雑誌を読みこなすのも手慣れて来た、ジャズ者初心者4年目。そのジャズ雑誌に「マイルス復活」と大きく報じられた。1981年6月、ボストンのジャズクラブ「キックス」で復帰後初のライブを行い、1975年以来の沈黙から復活。さあ、後は新アルバムだけである。そして、その時は遂に来た。1981年7月のこと。

Miles Davis『The Man with the Horn』(写真左)が、そのマイルス復活の狼煙である。嬉しかった。早速購入、そして、LPをいそいそとターン・テーブルに載せて針を落とす。そして、出てくる「ちょっと妖しげな雰囲気」のベース音の良く効いたタイトな前奏。来るぞ来るぞ。
 

The_man_with_the_horn

 
そして、そしてである。マイルスのミュート・トランペットの「あの音」が、「ブップップッ」と静かに印象的に入ってくる。キタ〜、やはりマイルスって格好良いですね。1曲目の「Fat Time」の衝撃である(笑)。

そして、2曲目の「Back Seat Betty」。これが凄く格好良い。マイク・スターンのエレクトリック・ギターが前奏で爆発し、ぐわ〜んと盛り上がった後、渋くマイルスが「フルフルフル」とミュートで押さえて、そのコントラストがスリル満点の展開で、最後バシッと決めて終わる「その格好良さ」。痺れる。

3曲目の「Shout」のポップさも堪らない魅力。これって、マイルス流のフュージョン・ジャズやん。今の耳で聴いても古さを感じない、ポップなジャズ。5曲目のボーカル入りのタイトル曲「The Man with the Horn」もポップで良いなあ。ソフト&メロウを、マイルス流に表現する。思わず「参りました」と思ってしまう(笑)。

4曲目「Aida」、6曲目「Ursula」については、もう「降参」である。今の耳で聴いても、全く古さを感じさせない、今のジャズ・シーンの中においても、コンテンポラリー・ジャズの最先端に匹敵する、素晴らしいエレクトリック・マイルスの音世界である。この音世界は追従を許さない、孤高のエレ・マイルスの音世界がここにある。

マイルスの意図は明確で、エレクトリック・サウンドをアレンジ、サウンドの一部として使いこなしつつ、ダンス・ミュージック、ブラック・ミュージックのエッセンスをオープンに取り入れつつ、ジャズのベースとなるビートはしっかりと押さえて「コンテンポラリー・ジャズの最先端」のプロトタイプを明快に提示している。

素晴らしいアルバムである。この盤の凄さは「聴けば判る」。今でも、不思議と古さを感じない、コンテンポラリー・ジャズの最先端を垣間見させてくれる、マイルスの最終章のオープニングを飾る名盤である。

 
 

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2013年12月27日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・48

今年、32年ぶりに出会ったピアノ・トリオのアルバムがある。懐かしの Ronnie Mathews(ロニー・マシューズ)である。アルバム名は『Trip To The Orient』(写真左)。

ロニー・マシューズは、1935年12月、ニューヨーク州ブルックリン生まれのジャズ・ピアニスト。1968年、アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズにも参加している。調べてみるとかなりのキャリアを誇るピアニストながら、意外とその名前は知られていない。マイナーな存在と言って良い。

『Trip To The Orient』は、1975年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Mathews (p), 鈴木 良雄 (b), Louis Hayes (ds)。日本のジャズ・レーベル、イースト・ウインドからのリリースで、日本でも入手し易くて、ジャズ者初心者の頃、大学時代、ジャズ喫茶で良く聴いた。

ロニー・マシューズのピアノは、ハードバップを基調とした正統なコード奏法と、1960年代、新主流派から派生したモーダルな奏法の両方に優れ、マッコイ・タイナーの様に、ピアノにおける「シーツ・オブ・サウンド」の如く、指がとても良く回り、バリバリに弾きまくる。

加えて、これは何故なのかは良く判らないのだが、コード奏法、モード奏法、シーツ・オブ・サウンドを駆使して、バリバリに弾きまくる割には、そのフレーズは耳に優しい。非常に聴き易いのだ。弾きまくる割に喧しくなく、耳に付かない。ジャズ・ピアノ入門に最適なピアノである。
 

Trip_to_the_orient

 
このアルバムには外れ曲が無い。このアルバムではマシューズは、アコピとエレピの両方を弾きこなしているが、アコピの名演としては「Summertime」が、華やかでグルーブ感豊かで、ジャジーなアコピが爽やか。エレピでは、やはりこれでしょう。ジャズ・ボッサな雰囲気満載の「Manha do carnaval」、邦題「カーニバルの朝」。エレピの音色が心地良い。

そして、冒頭のマシューズの十八番「Ichi-ban(一番)」。アップテンポの気持ちの良い演奏です。モーダルな演奏全開。ベース、ドラムも丁々発止と渡り合い、モーダルでシーツ・オブ・サウンドな、バリバリに弾きまくるピアノは、1970年代後半の雰囲気を思い出させてくれる。

1970年代後半に流行ったピアノ・トリオの雰囲気満載のアルバムですが、今の耳で聴いても古さは感じません。アドリブ・ラインが個性的で、意外と新しい響きなんだと思います。ピアノ、ドラム、ベース、渾然一体なった演奏は、今の耳にも実に馴染みます。

iTunes Store で見つけた時は嬉しかったなあ。32年前、ダビングしたカセットを紛失して以来の再会。ジャケットの雰囲気も良く、ピアノ・トリオの入門盤としてもお勧めの佳作です。

ジャズ喫茶で、こんな盤がスピーカーから流れてきたら、絶対にジャケット確かめに走りますね(笑)。

 
 

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2013年12月26日 (木曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・10

今年の5月から「フェンダー・ローズを愛でる」と題して、幾枚かフェンダー・ローズの音色芳しいフュージョン盤をご紹介してきましたが、今日は、その「ファースト・シリーズ」の最終回です。ちょうど10回目の「フェンダー・ローズを愛でる」で、一旦、締めます。

さて、フェンダー・ローズだけで演奏するジャズ盤はあるのか、とふと思って、調べてみたら、これが「あるんですね〜」。フェンダー・ローズ弾きまくりのジャズ盤の一枚がこれ。Rob Franken『Fender Rhodes』(写真左)。アルバム・タイトルに「フェンダー・ローズ」をどかっと挙げる、凄いアルバムだ(笑)。

このどやって感じのタイトル『Fender Rhodes(フェンダー・ローズ)』である。これはもう、徹頭徹尾、何から何まで、フェンダー・ローズを弾きまくり、フェンダー・ローズの音色鳴りまくりの盤でしょう。はい、期待に違わぬ、フェンダー・ローズ一色なライブ盤です。

Rob Franken(ロブ・フランケン)とは、1941年、オランダ生まれ。ドイツのシーンなどでその腕を買われ、1960年代から1970年代にかけて活躍したキーボーディスト。惜しくも1983年、42歳の若さで逝去している。

そんなロブ・フランケンが、フェンダー・ローズを弾きまくった未発表音源を集めたアルバムがこの『Fender Rhodes』だそうです。基本的にはライブ演奏です。そうか、未発表音源集なのか。でも、アルバムを聴き通すと、演奏の全てに統一感があって、フェンダー・ローズの音色に焦点を当てた企画盤の面持ちである。
 

Rob_fender

 
良いですよ〜。フェンダー・ローズのファンであれば、これは絶対に「買い」です。キーボード演奏のほとんどがフェンダー・ローズ。時にシンセサイザーが入るが、まあ、殆どがフェンダー・ローズの演奏と言って良いだろう。フェンダー・ローズの音色って、どんなんやろ〜、なんて向きにもピッタリ。フェンダー・ローズの音色を嫌と言うほど体験できます(笑)。

「フェンダー・ローズに愛された男」と形容されるだけあって、フェンダー・ローズの使いこなしが素晴らしい。弾きっぷりも実に良い。こんなに素晴らしいフェンダー・ローズの弾き手が、1983年に42歳の若さで亡くなっていたなんて、本当に残念でならない。

フェンダー・ローズは、弾き方にちょっと癖のあるキーボードなんだが、そんなことを全く感じさせない、フェンダー・ローズをピアノの様に容易く弾きこなす様は圧巻ですらある。

 フェンダー・ローズの音色に合う、太くてブンブン唸るウッド・ベース。アナログチックに人間っぽくリズムを刻むドラム。フェンダー・ローズの旋律に彩りを添える柔らかなトランペット。グループ・サウンズとしてもレベルの高い、良い雰囲気の演奏がギッシリとアルバムに詰まっている。

Rob Franken『Fender Rhodes』は、究極のフェンダー・ローズ盤。究極の「フェンダー・ローズを愛でる」。これ以上のものが存在するか、という感じの史上最強のフェンダー・ローズ盤。「フェンダー・ローズを愛でる」シリーズの最後を飾る、フェンダー・ローズ満載の優れものです。

 
 

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2013年12月25日 (水曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・9

今年は、1980年代初頭から1980年代全般にかけて活躍した「日本のフュージョン・ジャズ」を幾つかフォローした。ソフト&メロウなフュージョン・ジャズから入って、デジタル録音に切り替わった音質的にチープな時代。そして、1980年代の日本は「バブルの時代」。

そんな時代のフュージョン・ジャズである。コマーシャルでお洒落で耳当たりの良いエレクトリックなフュージョン・ジャズが隆盛を極め、どうしても、そんなペラッペラなトレンディーな音楽には触手が伸びなかった。完全に無視である。しかし、いろいろと調べてみると、そうでは無い、充実した内容の、意外と硬派なフュージョン・ジャズが幾つかあることが判った。

例えば、この今田勝『Blue Marine』(写真左)。1982年のリリース。邦題は『誘われてシーサイド』。この邦題がいけない(笑)。完全に「バブリー」な邦題。1982年当時、この邦題からは、お洒落で耳当たりの良いペラッペラなトレンディーな音楽しか、聴こえてこなかった(笑)。そして、このジャケットデザインである。当時は完全に「引いた」。

しかし、今年の5月から「フェンダー・ローズを愛でる」と題して、幾枚かフェンダー・ローズの音色芳しいフュージョン盤をご紹介してきたんだが、そんな中で、意外とこのキーボーティストのフェンダー・ローズもなかなかのもんやで、と教えて貰ったのが「今田勝」。しかも、そんな今田勝のフェンダー・ローズの音色芳しい盤のひとつに『誘われてシーサイド』があるではないか(笑)。

ということで、この『Blue Marine』を入手。レコード屋で見て、邦題見て引いて、完全無視して以来、31年目に、ついにこの『誘われてシーサイド』を手に入れた。そして、一気に聴き通して、これはビックリ驚いた。なんと内容のあるフュージョン・ジャズであることか。これが、1982年という時代に、日本人がリーダーで作ったアルバムなのか。実に良い内容にビックリ。

改めて、今田勝はアコピとフェンダー・ローズの使い手である。アコピの響きが美しく、フェンダー・ローズの小粋な弾き方も渋い。冒頭のタイトル曲「Blue Marine」とラストの「Smile For You」でのフェンダー・ローズが実に渋い。
 

Blue_marine

 
ここでのフェンダー・ローズは、音的に「硬質」である。フェンダー・ローズの音色は、1970年前半の初期には太くてソフトでマイルドな音が特徴で、1970年代後半は金属的なアタックを強調した透明感のある音が特徴となるんだが、この『誘われてシーサイド』でのフェンダー・ローズは、1970年代後半の金属的なアタックを強調した透明感のある「硬質な音」である。

そして、このパーソネルを確認して欲しい。今田勝 (p,key・写真右の真ん中), Steve Khan (g), Anthony Jackson (b), Steve Jordan (ds), Manolo Badren (per), Grover Wsshington Jr. (sax・写真右の右),  Tom Browne (tp写真右の左)。ソフト&メロウなフュージョン・ジャズを代表するミュージシャンが大集合である。

ラテン・チックなアレンジや、サンバなアレンジがあって、このアルバムのアレンジは、トロピカルで爽やかな夏の海の雰囲気なんだが、グローヴァー・ワシントン・ジュニアのアルトとソプラノが入ってくると、雰囲気は一気にソフト&メロウでジャジーな雰囲気に包まれる。ムーディーで黄昏チックな秋から冬の雰囲気にガラッと変わる。グローヴァー・ワシントン・ジュニア恐るべし、である(笑)。

スティーブ・カーンのギターも良い。弾きまくる寸前で自重して、グループ・サウンドのグルーブに貢献するところなんざあ、大人のフュージョン・ギターですよね。紡ぎ出すフレーズも格好良く、実に鯔背なフュージョン・エレギです。アンソニー・ジャクソンのベースも良い、スティーヴ・ジョーダンのドラミングも小粋。リズム・セクションが絶好調。

今田勝のアコピとフェンダー・ローズのプレイと音色を愛でつつ、バックのメンバーの演奏を十分に堪能する。1980年代らしからぬ、良質なフュージョン・ジャズが、この趣味の悪い邦題のアルバムに詰まっている。しかし、やっぱりこの邦題は無いよな(笑)。やっぱ、絶対に「引く」。せめて『ブルー・マリーン』にして欲しかった。

 
 

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2013年12月24日 (火曜日)

一期一会な「融合の音楽」

どっぷり浸かるほどのファンではないのだが、部分部分でディープな好みのアルバムがある女性シンガー・ソングライターがいる。その名は「ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)」。

ジョニ・ミッチェルとは、米国を代表する女性シンガー・ソングライターの一人。カナダ・アルバータ州生まれ。母はスコットランド及びアイルランド系で、父はノルウェー系。1943年生まれだから、今年で70歳になる。1969年のセカンド盤『青春の光と影』の成功により、メジャーな人気を獲得するようになった。

独特な響きを宿した複雑なコードをベースに、エキゾチックでルーツ・ミュージック的な旋律を宿した、彼女独特の歌曲が素晴らしく個性的だ。

どの曲もどこかアーティスティックな雰囲気を宿し、どこかロマンティシズム漂うところが、これまた個性的で、アーシーでフォーキーな雰囲気も芳しく、ジョニの曲は一聴するだけで、それと判るものが多い。

そんなジョニが、ジャズ・ミュージシャンとの邂逅を果たし、一期一会なフュージョン・ミュージックを創造した、そんな一期一会な成果の記録がここにある。Joni Mitchell『Shadows and Light』(写真左)。1979年9月のライブ録音。初出は1980年、LP2枚組でリリースされた。

ちなみにパーソネルは、Joni Mitchell (el-g, vo), Pat Metheny (g), Jaco Pastorius (b), Don Alias (ds), Lyle Mays (key), Michael Brecker (ts, ss)。うむむむ、凄いメンバー構成じゃ。なんというメンバー構成じゃ。このパーソネルの組合せだけで「一期一会」である。このボーカルのジョニのバックを務めるクインテットって、いや〜凄い。
 

Shadows_and_light

 
パット・メセニー・グループの双頭リーダーの二人に、後のジャコ・パストリアス率いるワード・オブ・マウス・ビッグバンドのリズム・セクションの二人に、ブレッカー・ブラザースの兄弟2管の弟のテナー&ソプラノのクインテット。こんな組合せ、この時以外にあり得ない。

コンテンポラリー・ジャズ畑からのジャズメンをバックに侍らせて、ジョニは、ジャジーにフォーキーに、そして、R&Bにゴスペルチックに、そしてロックっぽく「融合の音楽」を創造し,唄い上げていく。

一言で言うと「アメリカン・ルーツ・ミュージック」をベースとした「フュージョン(融合)な音楽」である。コンテンポラリー・ジャズ畑からのジャズメン達のクインテットな音が、素晴らしく柔軟性と応用性の高いフュージョン・ミュージックを表現していく。その様が、このライブ盤では見事に捉えられている。

異種格闘技という言葉があるが、このジョニのライブ盤は、異種格闘技というよりは、異種コラボレーションと表現したらよいだろうか。お互いの個性とテクニックを尊重しつつ、良い意味でのコラボレーションが、奇跡的に成立している。コンテンポラリー・ジャズ畑の強者達が、「ジョニの為に」の一言の下に結集している。

このライブ盤の音世界は筆舌に尽くしがたい。コンテンポラリー・ジャズ者、及び、フュージョン・ジャズ者の方々はもとより、米国西海岸のシンガー・ソングライターの音世界のファンの方々に聴いていただきたい、奇跡の様な「フュージョン(融合)な音楽」の記録である。

どこか敬虔な響きを宿していて、僕にとっては、このライブ盤は冬の季節によく聴くアルバムの代表格ですね。ライブのエコー感も程良く心地良く、こんなライブ盤が録音されたこと自体が「一期一会」な出来事と言えるでしょう。

 
 

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2013年12月23日 (月曜日)

フュージョンなXmas企画盤

さあ、いよいよ明日はクリスマス・イヴ。今年のクリスマス・シーズンは、今まで書き溜めた「クリスマス・ジャズ」のお話しを、大々的に蔵出ししてきましたが、今日がラストです。

昔から、フュージョンの世界には、優れたクリスマス特集のアルバムは少ないなあ、と思っていたのですが、その気になって探してみればあるもので、このアルバムなどは、なかなかの内容で、今でも愛聴しています。そのアルバムとは、Fourplay『Snowbound』(写真左)。1999年のリリースになる。

Fourplay(フォープレイ)とは、Bob James (key), Lee Ritenour (g), Nathan East (b), Harvey Mason (ds)の錚々たるメンバーで1990年に結成された、大人で小粋な「フュージョン職人のおじさまバンド」。

1997年にmLee Ritenour (g) が、Larry Carlton (g) に代わり、この『Snowbound』に参加している。メンバーの顔ぶれを見れば、従来からのフュージョン・ファンの方々は、これは凄いメンバー構成だと感じ入るでしょうね。

しかしながら、フュージョン畑では大ベテランの部類に入る4人ゆえ、この顔ぶれが紡ぎ出すサウンドはテクニックよろしく、手慣れたフレーズの連発、上手いけれども緊張感と迫力に欠ける、所謂、ぬるま湯的な演奏を想像しがちです。手練感満載とでも言うのでしょうか(笑)。
 

Snowbound

 
それがどうして、この大人で小粋な「フュージョン職人のおじさまバンド」では、良い意味で、そんな悪い期待を裏切られます。この、4人の演奏、とにかく素晴らしい。これぞ、本当のフュージョンと言って良い、実にハイレベルな演奏です。そんなハイレベルな演奏を維持する「フォープレイ」が、1999年出したクリスマス企画アルバムが『Snowbound』。

1曲目の「あらののはてに(Angels We Have Heard On High)」の出だしからグッとくる。適度に抑制された、品格のある小粋な演奏。決して派手でなく、かと言ってメロウなだけでもない。しっかり、芯の入った大人の演奏が繰り広げられる。

このアルバム、全曲、クリスマスソングをカバーしたアルバムだが、その中でも、アルバムのタイトルにもなっている「Snowbound」は異色。スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンの曲で、1993年発表された『カマキリアド(KAMAKIRIAD)』に収録されていたものを実に上手くカバーしている。

フュージョン・ジャズのベテラン達が演奏するクリスマス・ジャズなんて、手練感満載でしょ、などと侮ってはいけません。このアルバムは内容充実、優れたジャズのクリスマス企画アルバムとして、大推薦の一枚です。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年12月22日 (日曜日)

純ジャズなXmasジャズ盤です。

今日は冬至。いよいよ暮れも押し詰まってきました。明後日はクリスマス・イヴ。さて、今年のクリスマス・シーズンは、今まで書き溜めた「クリスマス・ジャズ」のお話しを、大々的に蔵出ししています。

さて、これは、ゴージャズで正統派、純ジャズなクリスマス・ジャズ盤です。Ray Brown 『Christmas Songs With the Ray Brown Trio』(写真左)。基本となるレイ・ブラウン・トリオのパーソネルは、Ray Brown (b), Gregory Hutchinson (ds), Geoff Keezer (p)。1999年のリリースになる。

ベテランの女性ボーカリスト、ディー・ディー・ブリッジウォーターをはじめとして、今をときめく、人気ナンバーワンの、ダイアナ・クラール、中堅どころの、ナンシー・キングやマリーナ・ショウなど、ジャズボーカル界の実力者たちが、レイ・ブラウン・トリオの演奏に乗って、クリスマス・ソングを歌い継いでいく。

これだけの実力者ぞろいなので、このアルバムの内容については、悪かろうはずがない。素晴らしく良い。今まで、クリスマス企画というのは、なんだか取って付けたように、クリスマス・ソングをジャズで無理矢理アレンジして、演奏する方も適当に演って、正月を過ぎて聞き返してみると、なんだか興ざめするようなものに出くわした経験もあって、あんまり期待しないのだが、これは違う。
 

Ray_brown_christmas_songs

 
まず、レイ・ブラウン・トリオ自体が「只者では無い」のだ。このトリオのみの演奏も何曲か入っているが、どれもが素晴らしい出来だ。

レイ・ブラウンのベースは折り紙付きで、そのベースワークが素晴らしいのは当たり前として、このアルバムでは、とりわけ僕は、ピアノのジェフ・キーザーが素晴らしいと思う。歌伴に回れば、ボーカルを引き立たせる、やさしく確実なサポート。トリオになれば、 伸縮自在のダイナミックな展開。

実は、1999年、この盤を入手して、ジェフ・キーザーを初めて知ったのだが、いやいや一目惚れであった。そうそう、ドラムのグレゴリー・ハッチンソンも確実で柔軟でとても良いドラムだ。加えて、ボーカル陣は前に述べたような人達が、歌を競うわけだから、このアルバムの内容については、悪かろうはずがない。

但し,ラストのドラムのグレゴリー・ハッチンソンが演る「The Christmas Rap」だけは蛇足の様な気がするけど(笑)。

まあ一度、聴いてみて下さい。今まで、クリスマス・ソングといえば、なんとなくクラシックが中心でしたが、ジャズのクリスマス・ソング集も、アルバムを選べば、素晴らしい演奏に出くわすこと請け合いです。

 
 

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2013年12月21日 (土曜日)

ベーゼンドルファーの敬虔な響き

今年のクリスマス・シーズンは、今まで書き溜めた「クリスマス・ジャズ」のお話しを、大々的に蔵出しです。

クリスマス・ジャズというと、カクテル・ピアノの演奏を中心とした、軽音楽的なジャズを連想しがちですが、ジャズとしても鑑賞に堪え、しかも、ジャズ初心者の方も十分に楽しめるアルバムも多々あります。

従来のクリスマス・ソングと言えば、クラシックの演奏が中心になりがちですが、純ジャズな「クリスマス・ソング」も、なかなか乙なものです。

例えば、日本の中堅女性ジャズ・ピアニストの木住野佳子のクリスマス・ソング集。木住野佳子『My Little Christmas』(写真左)。1999年のリリース。ちなみにパーソネルは、木住野佳子 (p), 古野光昭 (b), 市原康 (ds)。純日本メンバーでのピアノ・トリオ編成。

このアルバムにおいて、木住野の弾くピアノは、共鳴を目的として低音域の鍵盤を増やしたことでも知られる、ウィーンの名器「ベーゼンドルファー・インペリアルモデル」を使用しているとかで、すごく響きが豊か。この豊かすぎるほどの響きが、クリスマス・ソングの旋律を引き立たせる。

木住野もガンガン弾きまくるのではなく、やさしく、慈しむように、鍵盤を押さえていく。木住野にとって、この弾き方のほうが良いのではないか、とでも確信出来るような「美しきベーゼンドルファーの響きの陰影」が、クリスマス・ソングをクッキリと浮き立たせていく。
 

My_little_christmas

 
1曲目の、邦題「Silent Night(きよしこの夜)」から、なかなかの演奏が繰り広げられる。もともと、この「きよしこの夜」は、4ビートに乗りにくい、とかねがね思っているが、ここでの木住野は健闘する。崩しようが無いテーマ部分はともかくとして、展開部はなかなかのもの。純ジャズばりばりのインプロビゼーションが頼もしい。

2曲目の「White Christmas」はご愛敬。3曲目の「Have Yourself A Merry Little Christmas」まできて、やはり、ありきたりのクリスマス企画っぽくなってきて、まあ、この季節に免じて、なんて思ったりする。

が、4曲目の「Green Sleeves」で大満足。この曲に関しては、素晴らしい、の一言。「ベーゼンドルファー・インペリアルモデル」の特質を最大限に生かし切って、豊かな響きのなかで、素晴らしいアドリブ展開が繰り広げられる。

この「Green Sleeves」を境に、上質のクリスマス・ジャズが次々に展開する。6曲目の「The Christmas Song」のやさしさ、7曲目の「O Come All Ye Faithful(神の御子は今宵しも)」の聞き慣れたテーマに甘んじることのないダイナミックな展開。フェードアウトが惜しい。なんでフェードアウトするんやろう(怒)。

このアルバム、クリスマス企画でありながら、ジャズとしても十分、鑑賞に堪えうる佳作だと思います。最後に、このアルバム、全演奏時間が30分弱しかないのが実に残念です。もう少し、ベーゼンドルファーの敬虔な響きによる、クリスマス・ソングを聴きたかったなあ。

 
 

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2013年12月20日 (金曜日)

オルガンの神様のクリスマスです

今年もクリスマスがやってきました。どこもかしこもクリスマス一色です。クリスマスツリーやサンタクロースのディスプレイが華やかです。

まあ、クリスマスというのはキリスト教関連のイベントなので、日本人全員に関係あるものでは無いんですが、近頃は、この12月の風物詩として定着しました。まあ、季節のイベントとして楽しむ分には、なんのわだかまりもなく、楽しめるのではないでしょうか。

さて、ジャズのクリスマス・アルバムを聴いていると「やっぱり、クリスマスはオルガンだよね」と思います。クリスマスは、やっぱり「オルガン」だねえ、と言えば、やはりジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミス様にご登場いただくのが、理想的な展開ではないでしょうか。

しかし、そのジャズ・オルガンのバーチュオーソ、ジミー・スミスに、クリスマス・アルバムはあるのかしら、と思案投げ首していたところ、これがあるんですね。そのアルバムとは、Jimmy Smith『Christmas Cookin'』(写真左)。1964年の録音になります。

う〜ん、ジミーの名盤「ザ・キャット」の雰囲気の(それもそのはずで、このアルバムの1週間後に、その名盤『The Cat』を録音している)、ジャズ・オーケストラをバックにつけたゴージャズな演奏で幕を開ける。
 

Christmas_cookin_2

 

さすがに、ジミー・スミスのオルガンは、ジャズ・オルガンの神様と呼ばれるだけあって、ビッグ・バンドの音圧に負けない豪快な響きで、朗々と定番のクリスマス・ソングを歌い上げていく。

クリスマスは、厳粛に静かな雰囲気も良いなあ、と思うと、2曲目は、最小構成のオルガン・トリオで、かの有名な「ジングルベル」が、ジャジーな雰囲気で厳かに演奏され。

このように、ジャズ・オーケストラをバックにつけたゴージャズな演奏と最小構成単位のトリオでの演奏と、ほぼ半々で「1粒で2度美味しい」てな感じの、なんだか得したようなアルバムです。

また、CD化に際して、CDの録音可能時間の長さに合わせてか、アルバム『ダイナミック・デュオ』から「外は寒いよ」、アルバム『オルガン・グラインダー・スゥイング』から「グリーンスリーブス」という、クリスマスにゆかりのある曲を追加収録していて、これも、なかなかお得な感じで良いですね。「1粒で3度美味しい」感じでホクホクです(笑)。

クリスマス・ソングを、ジャズ・オルガンの神様であるジミー・スミスの演奏で聴けることを加えると、「1粒で4度美味しい」感じの実に良くできたクリスマス・アルバムです。

 
 

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2013年12月19日 (木曜日)

Xmasの音といえば「オルガン」

う〜んやっぱり、クリスマスは「オルガン」だねえ。若手テナーの雄、ハリー・アレンのクリスマス・アルバムは秀逸な出来だ。そのアルバムとは、Harry Allen『Christmas in Swingtime』(写真左)。

テナーのハリー・アレンが奏でるクリスマス・ソング・ブック。ちなみにパーソネルは、Harry Allen (ts), Jake Hanna (ds), John Pizzarelli (vo), Larry Goldings (org), Peter Bernstein (g)。録音時期は、なんと2000年8月(笑)。真夏にクリスマス・ソング・ブックを録音するって、どんな感じなんだろう。

もともと、クリスマスはキリスト教のもので、協会を中心にクリスマス・キャロルや礼拝が執り行われるわけだが、その中心になるのが聖歌。その聖歌隊のバックで、伴奏をとりもつものが「オルガン」。

しかし、このアルバムの様に、ジャズのクリスマス・アルバムに、ピタッとオルガンをはめられると、やっぱり、なんだかグッとくるものがある。やっぱり、クリスマス音楽と言えば「オルガン」だねえ。

Larry Goldings(ラリー・ゴールディングス)の、ややくぐもったような、丸いオルガンの音色をバックに、ハリーが、テナーで暖かく、優しく、長年、耳に馴染んだクリスマス・ソングの旋律を紡いでいく。
 

Christmas_in_swingtime

 
もともと、ハリーは、スタン・ゲッツやズート・シムスの流れを汲む、柔らかな、暖かみのあるテナーではあるが、聴いてみると判るのだが、どの音にもしっかりと芯があるのだ。

優しさの中に、がっちりとした強さがほのかに見え隠れする、僕の理想とする「本当の男」の音なのだ。なにも力の限り、馬のいななきのようにテナーを吹ききっていくだけが、ジャズのテナーではない。

さて、アルバムの話にもどると、どの曲も定番中の定番の曲ばかり、安心してきける曲ばかりである。ピアノが無い分、ハリーのテナーが映える。テナーが映えるということは、クリスマス・ソングの旋律が映えるということ。

どの曲も、このオルガンを入れたバンドの組み合わせが功を奏して「聴かせる演奏」ばかりだ。しかも、クリスマスにはやはり、歌ものが欲しい、という声に応えて、7曲目にプレスリーの歌唱で有名な「ブルー・クリスマス」が、ジョン・ピザレリのボーカル客演で入っているのが、これまた「にくい」。

クリスマスの企画モノだろ、なんて思っていると大間違いな、実にジャジーな優れものなアルバムです。企画モノといえば企画モノなアルバムですが、その演奏内容は素晴らしいものがあります。

 
 

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2013年12月18日 (水曜日)

なんか一味足らない「V.S.O.P.」

1970年代後半、このワンタイム・バンドの出現で、純ジャズ復古の機運がグッと高まった。1970年代後半と言えば、フュージョン・ジャズのブーム真っ只中。電気楽器中心のエレクトリック・ジャズの爆発的な流行の反動で、アコースティック楽器中心の純ジャズへの回帰が始まっていた。

そこへ出現したのが、この「V.S.O.P.」。V.S.O.P.とは、Very Special Onetime Performance の頭文字を並べたもの。大変特別な一度きりの演奏、として、1976年のニューポート・ジャズ・フェスで、ハービー・ハンコックを中心に結成されたバンド。

ちなみにパーソネルは、 Herbie Hancock (p), Wayne Shorter (ts,ss), Ron Carter (b), Tony Williams (ds), Freddie Hubbard (tp,flh)。そう、1960年代のマイルスの「黄金のクインテット」のリーダー&トランペットのマイルスを、フレディー・ハバードに替えただけの、擬似「黄金のクインテット」である。

「大変特別な一度きりの演奏」のつもりが、このニューポート・ジャズ・フェスでの演奏が大変な評判を呼び、ついに「V.S.O.P.」というバンド名で、全米ツアーに出るまでになった。この「純ジャズ復古なV.S.O.P.」の評判は、太平洋を渡り、ついには日本を直撃。日本でも大人気なバンドとなった。

もちろん、ちょうどジャズ者初心者の頃の僕も、この「V.S.O.P.」には一時期、大変に傾倒した。そして、1979年7月。この「V.S.O.P.」は、日本の田園コロシアムで開かれたジャズ・フェス「Live Under The Sky」に出演するべく来日した。その時の演奏のライブ盤が、この『Live Under The Sky』(写真左)。

2日に渡る、この田園コロシアムのライブ演奏を、それぞれ1日毎に1枚のCDに割り当てており、初日と二日目、重複する曲目で、両日の演奏の違いを聴き比べると、ジャズの特徴である「即興性」の一端が良く判る。当時の純ジャズの最先端の演奏スタイルであった「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」のお手本の様な演奏がズラリと並ぶ。

「V.S.O.P.」としての活動の終焉の頃のライブ演奏である。演奏する曲々に、かなりの「手慣れた感」が漂い、インプロビゼーションの展開にも、予定調和な展開がそこかしこに見え隠れし、ジャズの構成である「インプロビゼーションのスリリングさ」については、ちょっと乏しい感じは否めない。
 

Live_under_the_sky

 
が、それぞれの演奏は、まずまずに内容の充実したものばかりで、1970年代の純ジャズの最先端がどの辺りにあったのか、ということが、このライブ盤の演奏を聴けば、実に良く判る。

しかし、このメンバーをして、1960年代後半にマイルスを中心に創造した「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」を凌駕する「新しい何か」が生まれ出でなかったことを遺憾に思う。やはり、マイルスの様な、強烈な牽引力と創造力を持ったリーダーがいないということが、この「V.S.O.P.」の弱点と言えば、弱点だったと思う。 

さて、このライブ盤、何故か、いつもは冷静沈着なショーターがバリバリにテナーとソプラノを吹きまくっている。逆に、いつもは全面に出たがるトランペットのハバードが、何故か、このライブでは大人しい。大人しいというか地味ですらある。
 
フュージョン・ジャズでずっこけたけれど、純ジャズで大受けなので嬉しくて仕方の無いトニーがドラムをドカドカ叩きまくり、目立つ目立つ。トニーが嬉しくて嬉しくて、ドラムを叩きまくるので、つられて、ロンがアタッチメントで増幅されたブヨンブヨンな音のアコベをブンブンブンと、ちょっと「はしたなく」弾きまくる。この二人はやり過ぎでしょう(笑)。
 
そして、意外と冷静で、意外と一人まとまっているのが、リーダー格のハービー。このライブ盤でのハービーはこぢんまりしていて、あまり目立たない。

バンドの一体感と統一感という面では、やはりこの「V.S.O.P.」は、確固たるリーダー不在のオールスター・バンドだった。それでも、彼らの演奏する「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」は、それはそれで格好良く、このライブ盤が出た時には、早速、手に入れて、純ジャズ復古のムーブメントをビビットに感じ取って、期待感に胸を膨らませていた。

良い内容のライブ盤なんですけどね〜。このライブ盤を手に入れた頃、そう昔からずっと感じてるんですが、なんか一味足らないんですよね。やっぱり、確固たるリーダー不在の影響は否めない。それと、バンドが成熟し過ぎての「予定調和な感じ」が、どうもいけない。それでも、たまに引き出しては聴く位の、良い内容のライブ盤ではあります。

 
 

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2013年12月17日 (火曜日)

冬はジャズ・ボーカルの季節

バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターこと、私にとって、冬はジャズ・ボーカルの季節である。男女を問わず、ジャズ・ボーカルは寒い季節の空気に映える。寒い冬には、ジャズ・ボーカルの肉声は「暖かさ」を感じる。

逆に、夏はジャズ・ボーカルがちょっと辛い季節。ジャズ・ボーカル独特の「こぶし」や「フェイク」が暑苦しく感じたりして、ジンワリ汗が滲み出たりして、音楽鑑賞どころでは無くなる。これは辛い。

冬が来ると、ジャズ・ボーカルを時々かける。特にこの12月の夜、しんしんと冷え込む夜のとばりを感じつつ、暖かな部屋の中で、ゆったりと寛ぎながら聴くボーカルは絶品である。とりわけ女性ボーカルは良い(笑)。

そんな女性ボーカルの中で、お気に入りの一人が「ケイコ・リー」。個性的でハスキーな声と圧倒的な歌唱力は「楽器と堂々渡り合える歌声」と評価される。元々ピアニストであったらしく、ピアノの弾き語りもなかなか良い。日本の女性ジャズ・ボーカリストの代表格である。

今まで20枚以上のオリジナル盤をリリースしていて、それぞれのアルバムはそれぞれの素晴らしいものばかりで、ケイコ・リーを体験するには、まずは優れたオリジナル盤を数枚、体験して欲しいんだが、長年聴き続けて来た「ケイコ者」としては、たまには、それぞれの時代の名曲を、ケイコ・リーの代表的名唱で一気に聴きたくなる。

そんな時、手っ取り早いのがベスト盤。僕はあまりベスト盤をお勧めすることはしない主義なんだが、今回の場合には、ベスト盤を愛でるのが一番手っ取り早い。そんなベスト盤の中でも、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で良く聴くベスト盤が、Keiko Lee『Voices - The Best of Keiko Lee』(写真左)。
 
 
Keiko_lee_voices
 
 
2001年に、TV-CMのBGMとして使われた「We Will Rock You」が好評だったこともあるが、ジャズアルバムでは異例の20万枚以上をセールスした、モンスターの様なベスト盤である。これが、それぞれの時代の名曲を、ケイコ・リーの代表的名唱で一気に聴くには、一番のベスト盤なのだ。収録された曲を並べると以下の通り。

1. Imagine
2. Love Dance
3. My Romance
4. I Saw The Light
5. Don't Explain
6. Human Nature
7. What A Wonderful World
8. My Love
9. New York State Of Mind
10. Fly Me To The Moon
11. If It's Love
12. Greatest Love Of All
13. Distance
14. We Will Rock You

いいなあ。ポール・マッカートニーの甘ったるいラブ・バラード「My Love」が、ややビターに唄い上げられていて良い感じ。ビリー・ジョエルの「New York State Of Mind」は、ケイコ・リーの名唱が素晴らしい。「My Romance」「Don't Explain」「Fly Me To The Moon」などのジャズ・スタンダード曲を唄い上げるケイコ・リーが渋い。

そして、冒頭のジョン・レノンの名曲「Imagine」と、クイーンのこれまた名曲「We Will Rock You」がやはり絶唱。個性的でハスキーな声と圧倒的な歌唱力で唄い上げるこの2曲は素晴らしい。渋い。そして「粋」である。

冬はジャズ・ボーカルの季節。女性ボーカルの中の「大のお気に入り」の一人、ケイコ・リーの『Voices - The Best of Keiko Lee』を聴きながら、気持ちもゆったりと寛いで、明日への英気を養うのだ。
 
 
 
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2013年12月16日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・30

パット・メセニーのギターが好きで、聴き続けて早36年になる。パットのアコギもエレギもギターシンセも42弦ピカソギターも大好きで、よくよく振り返って見ると、ジャズ・ギタリストの中で、一番好きなギタリストなんだということが判る。そう言えば、パットのリーダー作はほとんど持っている。

そんなパット名義のアルバムの中で、3年ほど前まで、このアルバムの存在は知らなかった。Pat Metheny & Anna Maria Jopek『Upojenie』(写真左)。アルバムタイトルは「ウポイエニェ」と読む。パットと並んで双頭名義の女性の名前は「アナ・マリア・ヨペック」と読む。

ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックがパット・メセニーの楽曲にポーランド語の歌詞を乗せて歌ったアルバムで、2002年のリリースになる。参加ミュージシャンの名前を見渡すと、パット以外は地元ポーランドのミュージシャンで固めているようだ。

このアルバム、まずは、ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックの歌声に魅了される。透明感溢れ、素直で伸びのある、フォーキーな歌声。加えて、ポーランド語の歌詞の聴き慣れない語感が実にエキゾチック。どう聴いてもジャズのボーカルの雰囲気では無い。東欧の少しくすんで、ほんのり明るい、石畳や土の匂いがするボーカル。この女性ボーカルが凄く魅力的。
 

Upojenie

 
この東欧の雰囲気満載のヨベックのボーカルに、ピッタリとフィットするのが、パット・メセニーのギター。透明感のある、リリカルで、幻想的なパットのギターは、エレギにしろ、アコギにしろ、ギターシンセにしろ、42弦ピカソギターにしろ、彼女のボーカルにピッタリとフィットする。これが、ヨーロピアンで実に良い。決して、米国には無い、リリカルで耽美的な響き。

収録されているポーランドのトラディショナル曲を聴いていると、面白いことに、なんだか東アジアの音の響きや旋律を感じる。確かに、東欧の民族音楽を聴いてみると、音の響きや旋律の節回しに、東アジアを、とりわけ「日本」を感じることがよくある。このアルバムに詰まった音の響きは渋く、美しく、叙情的。我々日本人の感性にもピッタリとフィットする。 

これがジャズか、ジャズ・ボーカルのアルバムか、と問われれば、僕は「イエス」と答えますが、本来ならば分類不能。パットの音世界が色濃い、限りなくコンテンポラリーなジャズ・ボーカルとしておきましょう。でも、このアルバム、この冬の季節にピッタリなんですよね。ヨベックのボーカルとパットのギターの、そこはかとなく敬虔な響きもする透明感のある抒情的な響き。良いですね〜。

東欧の少しくすんで、ほんのり明るい、石畳や土の匂いがするボーカル。そして、思いっきりパット・メセニーなエレギ、アコギ、ギターシンセ、そして、42弦ピカソギター。そのボーカルとギターがピッタリとフィットする「一期一会な邂逅」。いやはや、こんなアルバム、あったんや〜、って感じです。

 
 

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2013年12月15日 (日曜日)

ポールの「あるべきデビュー」盤

ビートルズの呪縛から逃れるために、もう一つは、天才ジョン・レノンという呪縛から逃れるため。ポールは過剰なまでに、この2つの呪縛を強く意識し過ぎて、自らの才能を封じ込めてしまった1970年代前半のポール。『Wild Life』までの音楽的成果は「ちょっとこれはなあ」という課題だらけのものだった。

しかし、ポールはこのままで終わらなかった。なんだか、開き直りの精神が芽生えたのか、ゴツゴツしたロックの精神を捨て、ポップで楽しいあっけらかんとした、メロディ・メーカーとしての道を歩み始めてから、ポールの世界は一変した。

前のアルバムの『Wild Life』で完全にこけたポールは、さすが、マズイと思ったのか、かなり、気合いを入れてアルバムを作り始めた。とにかく、『Wild Life』が、受けなかったので、なりふりかまわず、Paul McCartney & Wingsの個性を追求し始めた。

その最初の成果が「Live and Let Die(007死ぬのは奴らだ)」のテーマだろうし、シングル・ヒットした「Hi,Hi,Hi」だったろう。この2曲は、今までの『ビートルズの幻影とジョンの幻影を過剰なまでに感じている』ポールではなく、純粋に『希有なメロディー・メーカー』のポールのみが、そこにいる感じなのだ。とにかく、この2曲は今までの雑念が見え隠れしないのだ。
 

Red_rose_speedway

 
そして、満を持して世に出したアルバムが、この『Red Rose Speedway』(写真左)。しょっぱなから、なかなか練られた曲調で幕を開ける。2曲目の「My Love」は、甘すぎるバラードであまり感心しないが、3曲目以降は、今までのポールのソロの世界と全く異なった、「メロディー・メーカーのポール」の面目躍如とも言える佳曲が次々と続く。

特に、最後のメドレーは、それぞれが独立していても遜色ない佳曲が畳みかけるように耳に飛び込んでくる。このメドレーこそが、ビートルズの幻影とジョンの幻影を振り切って、本来のポールの個性が輝き始めた証ではないだろうか。確かに、このアルバムでポールは、ポール独自の個性と特性を正確に掴み、表現できるようになったといえる。

ただ、このアルバム、先に挙げた「Live and Let Die(007死ぬのは奴らだ)」や「Hi,Hi,Hi」という、出来の良かったシングル・ヒット曲は含まれておらず、少々地味なバラードタイプの曲が多く選曲されている為、ややメリハリに欠け、名盤と呼ばれるだけの風格に欠ける。これが実に惜しい。

しかしながら、次作を期待できるだけの「Something(何か)」が十分すぎるほど輝いている。そういう意味で、ポールはこのアルバムで、ようやくポールの個性に相応しい「あるべきデビュー」を飾ったと言える。 

 
 

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2013年12月14日 (土曜日)

ポールのライブ盤の最高傑作

今年の11月、ポール・マッカートニーが来日した。「PAUL McCARTNEY OUT THERE JAPAN TOUR」と銘打たれた今回の来日公演は、ポールがソロになって4回目の来日公演であった。

6月18日に71歳の誕生日を迎えたポールではあるが、各地でなかなか精力的なライブ公演を展開したようで、まだまだ意気盛ん、とりあえず、暫くは一安心なポールであったようだ。テレビやネットの動画を通じて、日本公演の一端に触れた印象では、さすがに声の調子は若い時のようにはいかないようだが、随所に渡るプロフェッショナルな演奏はさすがである。

ポールは今までにライブ盤を何種類か出している。どれもが大変出来の良いもので、収録したその時代、その時代のポールが楽しめる。廃盤になって手に入らない盤もあるみたいだが、これらは常に入手出来る様にしておいて欲しいものだ。

さて、ポールのライブ盤で、今までで一番印象に残っている盤と言えば、やはり、Paul McCartney & Wings『Wings Over America』(写真左)だろう。このライブ盤は、1976年12月にリリースされた、リリース当時、LP3枚組の途方も無いボリュームのライブ盤であった。

このライブ盤は、タイトルからも判る通り、1976年5月より『Wings Over America』と題された、大規模なアメリカ・ツアーを行った際のライブ演奏を収録したもの。このツアーは大成功を収めた歴史的なツアーで、26都市で31公演を行い、ツアー全体では約60万人を動員した。

このライブ盤は、このアメリカ公演のライブ音源の中から、ベスト・テイクをチョイス〜編集したもので、ビートルズ・ナンバー5曲を含めた全28曲が、LP3枚組のヴォリュームで収録された。レギュラーCDでは2枚組になったので、どうもしっくりこない(笑)。

日本でのみ限定発売された「紙ジャケCD」ではLP時代の3枚組が再現され、僕は、この紙ジャケCDをPCにリッピングして聴いていた。やはり、このライブ盤を聴くには、LP時代の3枚組構成の曲順、曲割りを踏襲したいのだ。
 

Wings_over_america

 
が、今年の5月に、このライブ盤がリマスター&リイシューされた。2枚組構成なのは残念だが、リマスターされた音は良好で、一般の方々にとっては買いだろう。このライブ盤を聴いたことが無い方々は、今回のこのリマスター&リイシュー盤を聴いて欲しい。

同時に、限定のボックス盤(写真右)も登場し、こちらは、LP時代の3枚組が再現されており、ボートラとして、サンフランシスコのCow Palaceでレコーディングされた8曲を収録。同梱のDVD『Wings Over The World』が実に良い、というか、面白い。当時のポールの勢いやノリが良く判る。

さらに、リンダが撮影した写真によるフォト・ジャーナルや小冊子など、マニア垂涎の「おまけグッズ」がてんこ盛り。加えて、ハイレゾ音源(24bit/96kHz)の無料ダウンロード券がついており、ちょっと高価ではあるが、マニアの方はとっては、このボックス盤は買いである。

このボックス盤を手に入れて、ハイレゾ音源をダウンロードして以来、この『Wings Over America』は、ハイレゾ音源でのPCオーディオ環境でのアルバム鑑賞に変わった。これがまあ、24bit/96kHzの素晴らしい音なのだ。

ポールのベースの音がクッキリ、そのラインまで良く聴きとることが出来て、1970年代のライブ音源でありながら、楽器毎の分離が良く、音の拡がりが良く出て、その会場でのライブ感を感じることが出来る。これはCDの環境では体感できにくかったことだ。ハイレゾ音源、恐るべしである(笑)。

この『Wings Over America』でのポールの声の若々しいこと。このライブ盤でのポールのボーカルは絶好調で、張りがあって、コクがあって、とにかく若い。これがポールのボーカルの凄さであり、素晴らしいところである。

ちなみに、この『Wings Over America』は、1976年リリース当時から、この2013年にリマスター&リイシュー盤が出るまで、邦題は『ウイングス U.S.A. ライヴ !!』であったが(僕達はこちらの方が親近感があるが)、今回、邦題も『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』に変更、統一された。

 
 

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2013年12月13日 (金曜日)

まるで「喧嘩」の様な即興演奏

今を去ること40年ほど前になる。高校一年生の時、映研の先輩に触発されて、ロックのアルバムを聴き始め、どっぷりと浸かっていくわけだが、その頃、エリック・クラプトンは、麻薬禍からカムバックして、『461 Ocean Boulevard』というアルバムをヒットさせていた。

エリック・クラプトンと言えば、日本でいう「ロック三大ギタリスト」の一人。1960年代から、英国ロックシーンの中で「ギターの神」と呼ばれ、伝説のバンド、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク・アンド・ドミノスを結成しては解散する。

その伝説のバンド「クリーム」であるが、ベーシスト兼ボーカリストのJack Bruceとギタリスト兼ボーカリストのEric Clapton、ドラマーのGinger Bakerの三人がメンバー。この三人の即興演奏が目玉のバンドで、バンドの最後の時期、三人の仲が最悪になった頃の演奏は、お互いの音に全く耳を傾けず、自分の出したい音をガンガン叩き付けて、まるで「喧嘩」の様なセッションだったという。

しかし、クラプトンが好きになって、クラプトンからクリームのアルバムへと入っていったが、クリームのスタジオ録音のアルバムは、思ったほど過激な演奏でなく、結構ポップなブルース・ロックという感じで、なんか肩すかしを食らった感じでガッカリしたことを覚えている。

『Wheels of Fire』、邦題『クリームの素晴らしき世界』のライブ録音部分は、その即興演奏の凄さの一端を垣間見ることが出来るが、過激というほどのものでは無い。ただ、ロックというフォーマットでの即興演奏という面では、さすがに素晴らしいテクニックとフレーズに裏打ちされた、当時としては最高峰に位置する演奏だと思う。

そんなこんなで、クラプトンのクリームは、ロック雑誌などで書かれているような「過激な即興演奏」は無いな、ということで、それ以来、注目すること無く、その存在をほどんど思い出すことは無かった。

が、この10年ほど前から、iTunes Music Storeを始めとするダウンロード・サイトがスタートして、このダウンロード・サイトでは、アルバムに収録された曲の一部を試聴することが出来る。これが実に助かる。そのアルバムに収録されている音の一端が判るので、そのアルバムの内容を吟味・判断するのに随分役に立った。
 

Live_cream_vol2

 
そんな試聴で「これは」と思って、聴き直そうと思ったクリームのライブ盤がこれだ。1972年にリリースされた、Cream『Live Cream Volume 2』(写真左)。 クリームの解散後にリリースされた未発表音源集である。

1972年のリリースなので、僕が高校生の時には、レコード屋に確かにあった。でも、この「クリームの解散後にリリースされた未発表音源集」だということで、なんだか残り物の様な感じがして胡散臭かったこと、そして、このチープなジャケット・デザインがあまりに安っぽすぎて、当時の小遣いからすると大枚だった「二千三百円」を叩いて購入する気にはならなかった。

しかし、この『Live Cream Volume 2』に収録されている音は凄い。高校時代、読みあさったロック雑誌にあった、「お互いの音に全く耳を傾けず、自分の出したい音をガンガン叩き付けて、まるで「喧嘩」の様なセッション」な音が、このライブ盤に詰まっている。

このライブ盤に収録された演奏は、1968年2月から6月にかけて行われた3回目の全米ツアーと同年10月のグループ最後の全米ツアーより6曲を収録とあり、ちょうど、クリームのバンドの最後の時期、三人の仲が最悪になった頃のライブ演奏になる。なるほど「まるで「喧嘩」の様なセッション」である。これが伝説の「即興演奏の凄さ」なんですね。

選曲も、今の目で振り返ると、ほとんどクリームのベスト盤の様な、クリームの代表曲をズラリと並べているではないか。テーマの部分は、キャッチャーでポップな展開が心地良いが、インプロビゼーションに入ると、お互いの音に全く耳を傾けず、自分の出したい音をガンガン叩き付ける「喧嘩」セッションが延々と展開。凄いテンションとテクニックである。

このライブ盤を初めて聴いたのが5年前。高校時代に初めてクリームを聴いて以来、30年を経過して、やっとクリームの、お互いの音に全く耳を傾けず、自分の出したい音をガンガン叩き付ける「喧嘩」セッション、を体感したことになる。長年、ロックを聴いていると、1970年代には感じることが出来無かった、新しい音の発見があったりして、全く飽きることが無い。

 
 

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2013年12月12日 (木曜日)

男前な新伝承派モーダル・ピアノ

ジェリ・アレン(Geri Allen)は、1980年代半ば頃から頭角を現してきた女性ピアニスト。米国はミシガン州の出身。デビュー当時から、コンテンポラリーなジャズを中心に活躍する、多彩かつ個性的な女性ピアニスト。昨日ご紹介した、Geri Allen『Segments』は、このジェリの「多彩かつ個性的な」部分が、十分に引き出された「優れ盤」であった。

このジェリの「多彩かつ個性的な」部分が最大限に引き出されるのは、思いっきり柔軟性の高い、硬軟自在なリズム&ビートを供給するベースのヘイデンとドラムのモチアンがあってのこと。この素晴らしくフレキシブルなリズム・セクションがあってこそ、ジェリの「多彩かつ個性的な」部分が最大限に引き出される。

それを逆説的に証明するようなアルバムがこれ。Geri Allen『Twenty One』(写真左)。1994年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Geri Allen (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。マイルスの1960年代黄金のクインテットのリズム・セクションの一端を担った二人の参加が「ミソ」。

ベースのロン、ドラムのトニー、両者共に「新主流派」に属する。限りなく自由度の高い、モーダルなハードバップが身上。フリーから、コッテコテのハードバップまで、柔軟に対応するが、その対応度合いはそんなに高くない。ピアニストに合わすというよりは、ピアニストに合わせさせるタイプのリズム・セクションである。

しかし、限りなく自由度の高い、モーダルなハードバップのバッキングをやらせたら、この二人の右に出る者はいない。さすが、マイルスが見出し、マイルスが愛したリズム・セクションである。しかし、ベースのヘイデンとドラムのモチアンに比べれば、その自由度は高くない。
 

Twenty_one

 
そんなベースのロン、ドラムのトニーと組んだジェリ・アレン。どんなパフォーマンスを聴かせてくれるんだろう、と思って、この『Twenty One』を聴けば、あらまあ、やっぱり、徹頭徹尾、コンテンポラリーなビ・バップ・ピアノな展開に終始する。「多彩かつ個性的な」部分を封印し、「新伝承派」としての、コンテンポラリーなモード・ジャズ・ピアノを全面に繰り出す。

このピアノ・トリオ盤は、ジェリ・アレンのピアノの個性は「新伝承派」のコンテンポラリーなモード・ジャズに端を発していることが良く判る。何の揺るぎも無い、確信を持ったインプロビゼーション。自信が漲る「男前」なフレーズ。共演するバックのリズム・セクションを活かし、惹き立たせる様なジェリのピアノのフレーズは実にテクニックが豊かで、実に懐が深い。

ベースのロン、ドラムのトニーとの相性という面では、やはりハービー・ハンコックのピアノが最高だろう。そういう感覚を頭の片隅に起きつつ、この『Twenty One』での共演を聴いていて面白いのは、ジェリのピアノは、ハンコックのピアノよりも、ビ・バップな度合いが強いということ。いわゆる「男前」でコンテンポラリーな「ビ・バップ・ピアノ」である。

この『Twenty One』でのジェリ・アレンは、正統な「新伝承派モード・ピアニスト」である。そして、そのテンション溢れる、確信を持ったピアノは、実に「男前」である。

 
 

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2013年12月11日 (水曜日)

多彩かつ個性的な女性ピアニスト

やはり、僕にとっての一番のジャズは「ピアノ・トリオ」である。幼稚園から中学一年まで、約8年間、クラシック・ピアノを習って、今でもちょっとばかりピアノが弾ける。よって、聴くばかりでなく、弾く立場に立って、様々なピアノ・トリオのパフォーマンスを聴くことができるところが有り難い。

この十年ほど、1980年代から90年代に第一線にデビューしてきたピアニストに興味がある。いわゆる純ジャズ復古の勢いと共に第一線にデビューしてきた「新伝承派」とか「M-BASE派」と呼ばれる一派に属するピアニストに惹かれる。

最近、計画的に、ジェリ・アレン(Geri Allen)を聴いている。1980年代半ば頃から頭角を現してきた女性ピアニスト。米国はミシガン州の出身。デビュー当時から、コンテンポラリーなジャズを中心に活躍する、多彩かつ個性的な女性ピアニストです。

この「多彩かつ個性的」な部分を十分に感じることの出来るアルバムがこれ。Geri Allen『Segments』(写真左)。1989年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Geri Allen (p), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds) 。「多彩かつ個性的」なピアノをやるには、ベースのヘイデンとドラムのモチアンは格好のパートナー。

冒頭の「Law Years」から聴き出すと、まずは、新伝承派のお得意の「コンテンポラリーなビ・バップ」なジャズ・ピアノから始まる。続いて、独特のタイム感覚を持った、端正で協調和音なセロニアス・モンク風な展開が面白い。展開はモンク風なんだけど、タッチは、ちょっと弱っちいタッチの、しかし歯切れの良いマッコイ・タイナーって感じ。
 

Segments

 
4曲目「Cabala / Drum Music」になると、アブストラクトでフリーなピアノの展開になる。そのフリーキーなタッチは、セシル・テイラーの影響がバッチリと感じられる。アブストラクトではありながら、フレーズは意外と端正で協調和音風なところが、ジェリの面白いところ。

5曲目の「Home」になると、ちょっとリリカルな展開になるが、歯切れの良いタッチと少しクラシカルな響きなところは、ビル・エバンス風とかハービー・ハンコック風というよりは、チック・コリア風と言うべきだろう。今の耳で聴き直すと、これって、やっぱりチックだよな。

そんな「多彩かつ個性的」なジェリ・アレンであること、すなわち、バックでリズム&ビートを供給するベースのヘイデンとドラムのモチアンがあってのこと。このアルバムでのベースのヘイデンとドラムのモチアンのリズム・セクションは、思いっきり柔軟性の高い、硬軟自在なもの。素晴らしくフレキシブルなリズム・セクションである。

バックの優れたリズム・セクションのお陰で、純ジャズな「新伝承派」のジェリがジェリらしく振る舞った、なかなか滋味溢れるアルバムです。1980年代から90年代の「新伝承派」な響きが、懐かしくもあり、頼もしくもあり、です。

 
 

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2013年12月10日 (火曜日)

ノラのポップな女性ボーカル盤

昨日は「SHANTI」の話題だったので、今日も女性ボーカルの話題をもう一つ。Norah Jones(ノラ・ジョーンズ)について語りたい。

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、2012年10月25日のブログ(左をクリック)で、Norah Jones『Come Away With Me』を、2012年11月15日のブログ(左をクリック)で、Norah Jones『Feels Like Home』を、晩秋〜初冬にあう女性ボーカルとしてご紹介している。

確かに、ノラ・ジョーンズは、僕にとっては、この季節にピッタリ合った女性ボーカリストで、春から夏にかけては、あまり聴きたいとは思わないのだが、この晩秋を過ぎたあたりから冬にかけて、ノラ・ジョーンズのボーカルを無性に聴きたくなる。僕は、ノラ・ジョーンズが大好きだ。マスター、大衆迎合的で「ベタ」だぜ、なんて笑わないでくれ。好きなものは仕方が無い(笑)。

ハスキーではあるが、しっかりと芯の入ったボーカル。円やかで伸びの良いボーカル。ブルージーなフィーリングがそこはかとなく漂い、アメリカの大地を感じさせるアーシーな香りと、都会的なアーバンな香りが上手くブレンドされた、独特なボーカル。「癒やしのボーカル」と表現されることが多いですが、確かに「癒し」の要素がタップリ入っています。

そんなノラ・ジョーンズの4枚目のオリジナル・アルバムが『The Fall』(写真左)。2009年11月のリリース。アルバムを重ねる毎に、コンテンポラリーなジャズをベースにしつつ、米国ルーツ・ミュージックの要素を大胆に取り入れながら、ポップ色を強めていったノラ・ジョーンズ。
 

Norah_jones_the_fall

 
このアルバムでは、米国ルーツ・ミュージックを、秀逸なアレンジをもってオブラートの様にくるんで、ポップな音世界を全面に押し出した秀作である。

実に上手く、カントリーやブルース、ソウル・ミュージックなどの米国ルーツ・ミュージックを、それとは判らぬように、今風の楽器を駆使しつつ、秀逸なアレンジで取り込んでいる。ポップ色が全面に押し出されているので、なかなか気が付かないが、リズム&ビートの底には、しっかりとジャズのエッセンスが忍ばされており、このアルバムは、凄くコンテンポラリーなジャズ・ボーカル盤として解釈することが出来る。

楽器的には、ピアノからギターへのシフトが行われており、ピアノの弾き語りという雰囲気から、ギターの弾き語りという雰囲気へ大きく転身した。その分、米国ルーツ・ミュージックの要素が強く押し出てくるようになっていて、ますます、ポップになっています。

音的には、デビュー当時のジャズ指向から大きく転身しましたが、米国ルーツ・ミュージックをベースとした、ノラ・ジョーンズならではの「ポップ・ミュージック」をグイグイと推し進めているようで、実に頼もしい限りです。

リズム&ビートの底には、しっかりとジャズのエッセンスが漂っているので、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ギリ「女性ジャズ・ボーカル」として、このクリスマスにかけての、冬の季節にピッタリな女性ボーカル盤として、よくかかります。良い女性ボーカル盤です。

 
 

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2013年12月 9日 (月曜日)

お気に入りな女性ボーカル盤

クリスマス近づく、この12月は、なぜかジャズ・ボーカルを聴く機会が多くなる。恐らく、クリスマスの雰囲気、年末の雰囲気に合うんでしょうね。僕は、特に女性ボーカルのアルバムをよくかけます。

実は、僕は、ジャズ・ボーカルが苦手。というか、ジャズを聴き初めてから、自分の好きな楽器から順番に攻めていって、やっと最近、ジャズを聴き初めて35年にして、ジャズ・ボーカルのアルバムをコレクションし始めた。

時代は21世紀である。バリバリ正統派のオールド・スタイルなジャズ・ボーカルも良いんですが、正統派過ぎて敷居が高い。しかも、ジャズ・ボーカリストが好きなジャズ者の方々は、もう既に、この正統派なジャズ・ボーカリストを深く掘り下げているんだろうから、今から、正統派なジャズ・ボーカルを追いかけ始めるのもなあ、とも思う。

よって、この2年ほど前から、ジャズ・ボーカルのアルバムを集め始めたが、どちらかと言えば、コンテンポラリーなジャズ・ボーカルのアルバムが好みである。アレンジも今風、ポップで聴き易いジャズ・ボーカル。それも女性ボーカルが良い。

そんな選定基準の中で、最近、とてもお気に入りなアルバムの一枚が、SHANTI『Jazz en Rose』(写真左)。今年3月のリリース。これが良い。SHANTIとは、本名、Shanti Snyder(シャンティ・スナイダー)、ゴダイゴのドラマー、トミー・スナイダーの娘。

このアルバム、選曲が良い。僕の「大好きな曲たち」のオンパレード。ぐだぐだ言う前に、その選曲を以下に並べてみる。カッコ内は、オリジナル曲のボーカリストもしくは作曲者。

1. Every Breath You Take (THE POLICE)
2. Dat Dere (Rickie Lee Jones)
3. No One But Myself to Blame (Joe Sample)
4. Watch What Happens (Michel Legrand)
5. 木綿のハンカチーフ (太田裕美)
6. Waltz for Debby (Bill Evans)
7. Poetry Man (Phoebe Snow)
8. I can't Tell You Why (EAGLES)
9. Smile (Charles Spencer Chaplin)
10. Twisted (Annie Ross)
11. Haven't Met You Yet (Michael Buble)
12. TIME TO GO (木原良輔&SHANTI)*オリジナル曲
13. Your Song (Elton John)
 

Jazz_en_rose

 
いやいやいやいや〜、たまらんですな〜(笑)。なにがたまらんって、まずは「木綿のハンカチーフ」。太田裕美ですよね。僕、ファンです。この「木綿」が、オフビートで、ハイテンポでポップなボーカル曲に変身。聴いてみたらグループが終わってた、イーグルスの『ロング・ラン』の悲しみの名バラード「I can't Tell You Why」。

この選曲、むっちゃ渋いな〜、って感心したのは、フィービー・スノウの「Poetry Man」、リッキー・リー・ジョーンズの「Dat Dere」、ミシェル・ルグランの「Watch What Happens」、アニー・ロスの「Twisted」、渋いなあ。

そして、極めつけは、チャーリー・チャップリンの大名曲「Smile」と、エルトン・ジョンの「Your Song」。この2曲はオリジナル曲からして、涙が出るくらいに大好きな曲で、この2曲が入っているだけで、もう僕は幸せである(笑)。

SHANTIのボーカルは正統派。ポップで今風な雰囲気ではあるが、基本は正統なボーカル。これだけバラエティー溢れる曲たちをしっかりと唄い上げていく。バラエティーに富んでいるけど、ボーカルの底、基本はしっかりと一本通っている。統一感のある聴き応えのあるボーカル。

バックで演奏するのは、クリヤ・マコト (p,key) を中心とした、鳥越啓介 (b), FUYU (ds), 木原良輔 (g), Tommy (ds)。クリヤ・マコトのピアノ、フェンダー・ローズを中心としたコンボの演奏は、それはそれは、コンテンポラリーで堅実で洒落たもの。SHANTIのボーカルをしっかりと盛り立て、サポートする。

アレンジの主流は「コンテンポラリーなジャズ」。ポップで聴き易いボーカルですが、底に流れるジャジーさは「正統なもの」。決して、イージーリスニングに流れない、コンテンポラリーなジャズ・ボーカル。とりわけ、今の季節にお勧めです。

 
 

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2013年12月 8日 (日曜日)

12月8日、33回目のジョンの命日

今年もジョン・レノンの命日がやって来た。昨年は、手術後5日目。術後、初めて重湯を食した日なので良く覚えている。病室で「そう言えば、今日はジョンの命日やったなあ」とぼんやり思い出しながら、重湯をすすっていた。当然、昨年の今日はブログで語るどころでは無かったなあ。

さて、「今日はジョンの命日」とはいっても、正確には、NY時間の12月8日の23時過ぎに亡くなっているので、日本時間に換算すると、12月9日の9時過ぎ(現在の日本とニューヨークとの時差は14時間)になるが、そこはまあ、細かいことは言いっこ無し、ということで、ご容赦願いたい。

ジョンが、自宅のあったダコタ・ハウスの前で撃たれたのは、1980年12月8日、22時50分。あれから、今年で33年が経ったことになる。当時、僕は大学3回生。日本時間の12月9日、大学生協のFM放送の正午のニュース(だったかと思う)で、「ジョンが撃たれた」という報に接し、何が起きたのか、上手く理解出来なかった。

そして、その3時間後だったか、NHKのテレビのニュースで、ジョンの逝去を知ったと思う。「ジョンが撃たれた」という報に接し、「ジョンのことだから、きっと大丈夫。大事には至っていない」と不思議な確信があったので、逝去したという報には愕然とした。あの時の激しい喪失感と虚無感は今でも忘れない。

あれから33年、生きていれば、ジョンは73歳の翁である。今年はポールが来日したが、ポールは今年71歳。ポールの雰囲気からすると、ジョンもその気があれば、まだまだバリバリの現役ミュージシャンとして、君臨していただろう。まあ、その気があれば、だけど(笑)。生きていたら、ジョンって、73歳の今でも歌っていたのかなあ。
 

John_lennon_collection_1

 
僕は、毎年、ジョンの命日が近づくと、このアルバムを聴く。『John Lennon Collection』(写真左)。LPで発売された当時から、何故かジョンの愛聴盤の一枚。選曲が良いのと曲順と曲の流れが気に入っているのが大きな理由かな。そうそう、ジャケット写真が、死の数時間前に撮影されたもの、という特別なところも大きい。まあ、ソロ・アルバムの一枚一枚を聴き直すのは、ちょっと「重い」という感覚もある。

僕は、生前はいろいろとあった様だが、そのジョンの生き様や音楽的成果を丸ごと受け入れている。振り返ってみて、彼が、歴史上、偉大なミュージシャンの一人だったことは疑う余地は無く、その生き様はとても「人として誠実」だったと感じている。

そして、今年のポールの来日公演のセットリストを見渡して、「All My Loving」が選曲されていることに気付く。感慨深い想いが駆け抜ける。

この1980年12月8日、ジョンの最期の日。伝えられるところによれば、レノンの死亡時に病院のタンノイ・スピーカーから流れていた曲はビートルズの「All My Loving」だったという。そして、ジョンをして「ポールは完璧な作曲の能力がある」と言わしめた、ポールが敬愛するジョンに、初めて、その作曲能力を誉められた曲である。 

今でも、リアルタイムで体験したジョンの命日を思い出す。あの時のやるせない気持ちは今も忘れない。決して忘れることは無い。今までもこれからも。そして、あと2週間もすれば、クリスマスがやってくる。

So this is Christmas
And what have you done
Another year over
a new one just begun
And so this is Christmas
I hope you have fun
The near and the dear ones
The old and the young

A Very Merry Christmas
And a Happy New Year
Let's hope it's a good one
Without any fear

「Happy Xmas (War Is Over)」
Christmas song by John Lennon, Yoko Ono.

 
 

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2013年12月 7日 (土曜日)

季節限定のエバンスのXmas盤

いわゆるジャズ・ジャイアントと呼ばれる偉大なジャズ・ミュージシャン達は、あまり、クリスマス特集的なアルバムを出していない。

まあ、マイルス・デイヴィスの「サンタが街にやってくる」なんて、なんだかとても変だし、ソニー・ロリンズの「赤鼻のトナカイ」なんて、イメージするのにも苦労する。まして、かのセロニアス・モンクの「ホワイト・クリスマス」なんて、どう考えたって想像が出来無い(笑)。

まあ、それだけ、クリスマスソングというのは、ジャズの世界では「その演奏するキャラクターを選ぶ」ってことが判るわけだが、それでは面白くない。「なんか無いかしら」と思って探してみたら、結構、身近なところにあったあった。

確か、ビル・エバンスが、「サンタが街にやってくる」を演っていたような気がして、数年前に、そのことについて、このブログで語ったような、と記憶をたどると、今回、ご紹介するBill Evans『Trio 64』(写真左)に行き着いた。

この『Trio 64』、パーソネルは、Bill Evans (p), Gary Peacock (b), Paul Motian (ds)。ベースの哲人(と僕が勝手に呼んでいる)、ゲイリー・ピーコックが唯一エバンスと組んだ、由緒あるトリオ・アルバムである。録音日を見れば、1963年12月18日。クリスマス・シーズン真っ只中での録音である。

このパーソネルを見ても判るとおり、実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤だと思うのだが、1曲だけ、これは、と思わせる選曲をしている。

4曲目に「Santa Claus Is Coming To Town」の選曲。邦題は「サンタが街にやって来る」。録音日が1963年12月18日なので、クリスマスも近く、セッションの合間に遊び程度にやるのは判るが、アルバム自体、クリスマス特集のアルバムでもないのに、この曲を正式にアルバムに収録している。しかし、この「サンタが街にやって来る」の選曲は、エバンス自身のよるものらしく、収録を望んだのもエバンスだったとのこと。
 

Bill_ebans_trio64_2

 
この「Santa Claus Is Coming To Town」の存在が、この実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤を「ピアノ・トリオの名盤」とするには、ちょっと微妙な位置づけにしている。逆に、この「Santa Claus Is Coming To Town」の存在で、このクリスマスのシーズンに限ってではあるが、このトリオ盤をクリスマス特集のアルバムとして、楽しむことが出来る(笑)。

さて、この実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤を、「クリスマス特集のアルバム」として、鑑賞してみるとどうだろうか。

1曲目の「Little Lulu」は、当時、TV漫画の人気キャラクターをテーマにしたもの。実にクリスマスのシーズンにピッタリの、実に愛らしく可愛い曲で、愛でるようなリズミカルなタッチでエバンスが絶妙のアドリブを見せる。

そして、問題の4曲目の「Santa Claus Is Coming To Town」は、この曲をジャズでやるとこうなるのね的な、なかなかに素晴らしいアレンジで聴かせてくれる。

しかも、ピーコックのベース、モチアンのドラムをバックに付けて、である。なんと、ゴージャズで硬派な「サンタが街にやって来る」であろうか(笑)。聴き応えは満点。つまりは、ビル・エバンスのようなジャズ・ジャイアントの類の人って、なにをやらせても一流の仕事をする、ということ。

このアルバム、「Little Lulu」と「Santa Claus Is Coming To Town」の存在ばかりで無く、この愛らしい2曲以外の曲も、このクリスマスのシーズンに実にフィットする、ジャズ・スタンダードばかり。
 
歴代のビル・エバンス・トリオのアルバムの中で、クリスマスのシーズンにピッタリの盤として、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この季節によく愛聴される1枚ではあります。意外と雰囲気があって良いですよ。

 
 

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2013年12月 6日 (金曜日)

エディ・ヒギンスのXmas曲集

ジャズ・ピアノのクリスマス・ソング集って、なかなかに難しいなあ、と最近、思うようになった。クリスマス・ソングっていうのは、フレーズにとても親しみがあって、無駄な音が無い、実にシンプルな構成の曲が多い。これって、演奏する側からすると、結構、ややこしい。

テクニックが不足していると、曲自体がシンプルが故に、テクニック不足がモロに露呈してしまう。逆にテクニックがあればあったで、そのテクニックにモノをいわせてバリバリやると、やっぱり、曲自体がシンプルが故に、テクニック過剰なウルサさが鼻についてクリスマス・ソングの持つ敬虔さなんか吹っ飛んでしまう。

アドリブだって、あんまり複雑にすると、クリスマス・ソング自体のシンプルさが損なわれて、何がなんだか判らなくなってしまうし、あんまり単純すぎると、軽音楽的な、カクテル・ピアノと変わらなくなってしまう。

つまり、ジャズ・スタンダードの中でも、クリスマス・ソングのスタンダードって、ジャズ・ピアノの素材としては、結構、難度が高いんじゃないか、って思う今日この頃。そういえば、ジャズ・ピアノのクリスマス・ソング集って、あまり聴いたことが無い。

ということで、今回、ピアノ・トリオのクリスマス・ソング集としては屈指の、優れものアルバムをご紹介しましょう。ジャズ・ピアノの翁、Eddie Higginsの『Christmas Songs』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Eddie Higgins (p), Jay Leonhart (b), Joe Ascione (ds)。意外と2004年7月の録音です(笑)。
 

Eddie_higgins_christmas

 
さて、もともと、エディ・ヒギンスってジャズ・ピアニストは、そのタッチは「端正かつシンプルでいて、しっかりスイング」って感じで、ピアノ・トリオのクリスマス・ソング集にはもってこいの人である。饒舌でもなく舌っ足らずでもない。

しっかりしたタッチでカッチリとスイングし、カッチリとまとめる。そう書くと「面白みに欠けるのでは」という懸念が浮かぶが、それは杞憂。しっかりスイングしているので、ジャズ的にしっかり楽しめ、しっかりと「のれる」のだ。

バックでサポートする、ベースのレオンハート、ドラムスのアシオーネは、ヒギンスのピアノにピッタリ、「端正でシンプル」なサポートをしていて立派だ。

このアルバムのどの曲でも、ヒギンスとバックのドラム&ベースは、まさに「手と手袋の関係」のようにピッタリくる。出過ぎず足らなさ過ぎず、まさに「適量な」バッキングとはこのことだ。

1曲目の「Let It Snow」を聴いて欲しい。僕のそんな気持ちを判ってくれるはずだ。奇をてらうこと無く過不足無く、クリスマスなスタンダード曲を朗々と歌い上げていく。とにかく聴いていて、なんだかホッとするのだ。
 
そして、クリスマス・ソングならではの「敬虔な気持ち」が心の中に盛り上がる。いや〜、これぞクリスマス・ソング集だ、って気にさせられる。

耳慣れた大スタンダードから、ちょっと隠れた名曲まで、全12曲、どれを聴いても楽しめる、憎い選曲も、まったくもって申し分ない。今年のクリスマスは、この1枚で「決まり」だ。

 
 

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2013年12月 5日 (木曜日)

「松和」特製のクリスマス企画盤

12月に入って、世間はクリスマスの雰囲気満載。夜、帰宅の道すがら、庭木にクリスマスのイルミネーションをあしらってピカピカ光らせたり、可愛らしいサンタクロースの飾り物が光り輝いたりで、えらく賑やかである。

しかし、クリスマスって、日本の季節にしっかりと定着したなあ。クリスマスというのは、本来、キリスト教のもので、仏教徒が中心の日本には関係無いイベントや、というのが若い頃の持論やったが、それももう、この世間の雰囲気では「多勢に無勢」(笑)。

しかし、若かりし頃、僕にとっては、クリスマスはあまり身近なものでは無かったなあ。大学時代は、ミッション系の大学やったから、この12月はクリスマスに関するイベントが目白押しで、それはそれで楽しめたのだが、個人的には何の関わりも無い。

地方の大学に行ってしまった彼女は、冬休み入るギリギリまで大学に通っていて、大学が休みに入るのが25日から。イブの24日はまだ地方にいて、クリスマス当日は、大阪までの移動日。時代はまだ昭和50年代前半。大阪に帰りついたら、先ずは家族とゆっくりして、次に僕、という順番やったから、大阪で彼女と会うのは、早くて27日頃になる。つまり、全くクリスマスは関係が無かった。

会社に入ってからは、仕事が腐るほどあって、忙しいことこの上なし。特に年末は仕事が溜まる。20世紀の時代は、クリスマス・イブ、クリスマス当日と意識したことが全く無い。とにかく毎日22時、23時まで残業が当たり前だったので、クリスマスだから、と何かイベントがあったかと言えば、そんなことは全く無い。バブルの頃も年末と言えば、夜遅くまで働いていた記憶しか無い。

クリスマスを日本の季節の中で意識するようになり、クリスマスの雰囲気もまあええか、と思えるようになったのは、21世紀に入ってからである。40歳を過ぎて、今まで許せなかったことにも歩み寄る「許容量」が増えたということもある。そして、クリスマスの雰囲気もまあええか、と思った瞬間から、ジャズ・ボーカルのクリスマス・ソングなんかも聴ける様になった。

このクリスマスのシーズンに、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でよくかける「隠し球」の様な女性ボーカル盤がこれ。『Coco d'Or 3』(写真左)。2011年3月のリリース。SPEEDのメイン・ボーカルの一人、hiroちゃん(島袋寛子)のジャズ・プロジェクトの3枚目のボーカル盤である。
 

Coco_dor3

 
このhiroちゃんのジャズ・ボーカルが実に良い雰囲気なのだ。もともと歌は上手い。その優れた歌唱力をベースに、本格的なジャズ・ボーカルを聴かせてくれるのだ。少し低めの落ち着いた可愛らしい声で、キュートな中にちょっとコケティッシュな雰囲気を漂わせ、健康的なお色気をそこはかとなく忍ばせながら歌い上げていく、ジャズ・スタンダードは、なかなか聴き応えがある。

「Unforgettable」や「Candy」「Satin Doll」「All of Me」「Over the Rainbow」など、「ど・スタンダード」な曲が良い感じだ。hiroちゃんは、ジャズ・ボーカルの雰囲気をしっかりと漂わせながら、それでいて、ちょっとポップな雰囲気に歌い上げる。そのポップな雰囲気付けが、このボーカル盤の良いところ。

正統派ジャズ・ボーカルを聴く時の様に、しっかりと聴き耳立てた、精神的な正座状態にならずに、ゆったりとリラックスして、ニコニコ微笑みながら、hiroちゃんのボーカルを楽しむことが出来る。

そして、ラストのボートラ「The Christmas Song」が実に雰囲気のある歌唱で、クリスマスを愛でるに相応しいボーカル・ナンバーに仕上がっている。これが実に良い雰囲気なんですよね。キュートな中にちょっとコケティッシュな雰囲気を漂わせ、健康的なお色気をそこはかとなく忍ばせながら歌い上げていくクリスマス・ソングってええよな(笑)。

このクリスマス・シーズンには、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この『Coco d'Or 3』を、ラストの「The Christmas Song」を先頭に持ってきて、続いて冒頭の「Unforgettable」に戻って、後は収録順にhiroちゃんのボーカルを楽しむ様にプログラムして楽しむことにしています。

水森亜土のイラストによるジャケットも可愛らしく、雰囲気のある「The Christmas Song」を先頭に持ってくることによって、この『Coco d'Or 3』がクリスマス用の企画盤の雰囲気に早変わり。なかなか「おつなもの」です。お試しあれ。 
 
そうそう、姉妹盤の『Coco d'Or』(2013年8月27日のブログ・左をクリック)や『Coco d'Or 2』(2013年8月28日のブログ・左をクリック)もお勧めでっせ。
 
 
 
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2013年12月 4日 (水曜日)

先入観無しに聴いて欲しいなあ

これだけ冬らしくなると、もう絶好の純ジャズの鑑賞の季節である。今日は、久し振りにこんなデュオを聴いた。

ピアノだけを聴くと、スイング感は希薄で、それでいて流麗な、流れる様なピアノのフレーズ。しかし、タッチは硬質でクラシックのタッチでは決して無い。あくまで、ジャズ畑のピアニストのタッチ。でも、オフ・ビートの粘りが希薄で、恐らく、白人のジャズ・ピアニストということまでは類推できる。

そこで、デュオの相方のホーンが出てくる。音を聴けば直ぐにアルト・サックスと判る。そして、その円やかな優しい、流れる様な唄う様なフレーズは独特の唯一無二の個性。これは直ぐに判る。ポール・デスモンドである。

でも、このポール・デスモンドのアルト・サックスと、先に出てきたピアノをデュオとして合わせると、その流麗な美しい響きのピアノの主が判る。そのピアノの主とは、デイブ・ブルーベックである。そうと判って聴き直せば、確かに、デイブ・ブルーベックではある。

でも、デイブ・ブルーベックにしては、流れる様な、美しいフレーズが意外と言えば意外。デイブ・ブルーベックのピアノと言えば、スイングしない、ゴツゴツ、バキバキした、スクエアなビート感で、ジャズ・ピアニストとしては、あまり評判が宜しくない。あのマイルス・デイヴィスをして「あんなスイングしないピアニストはいない」と、けちょんけちょんである。

ブルーベックは、特に、バックにベースとドラムを侍らせて、リズム&ビートを明確にした瞬間から、スイングしない、ゴツゴツ、バキバキした、スクエアなビート感のピアノになる。
 

1975_duets

 
それでも、そのスイングしない、ゴツゴツ、バキバキした、スクエアなビート感のピアノが、円やかな優しい、流れる様な唄う様なフレーズのポール・デスモンドのアルトにピッタリと合うのだから、ジャズとは不思議なものである(笑)。

ブルーベックのピアノはソロになると、流麗な美しい響きのピアノに早変わりする。タッチは硬質ではあるが適度なもので、心地良い硬さ。ビート感、スイング感が希薄なので、クラシック系のピアノ・ソロの様な、リリカルな雰囲気が強調される。

そこにポール・デスモンドのアルトである。このデュオ盤、良いに決まっている。そのデュオ盤とは、Dave Brubeck and Paul Desmond『1975: The Duets』(写真左)。1975年の3カ所での録音からのチョイス。

冒頭の「Alice in Wonderland」から、ブルーベックのピアノはロマンチックで、デスモンドのアルトは、囁きかけるかのように円やかで優しい。やっぱり、この二人、相性抜群なんですね。感心することしきり、です。

以降、リリカルで美しいデュオは聴き応え十分。しかし、あの変則拍子のスクエアなスイング感満載の「テイク・ファイブ」で一世を風靡したブルーベックとデスモンドのデュオとは、にわかには思えない、ロマンティックで流麗なデュオが続きます。

ブルーベックとデスモンドって、日本ではあまり人気が無いんで、意外と日本では知られていないブルーベックとデスモンドのデュオですが、これは聴きものです。

スイングしないピアニストのブルーベックとか、甘すぎる砂糖菓子の様なアルトのデスモンドとか、そんな喧伝に惑わされずに、先入観無しに聴いて欲しい、デュオ盤の佳作です。

 
 

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2013年12月 3日 (火曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・8

僕はジャズ・ミュージシャンに対して、ほとんど好き嫌いが無いのだが、たった一枚のアルバム以外はほとんど聴かない、というジャズメンが何人かいる。

その何人かの中に「菊地雅章」がいる。雑誌やラジオのインタビューで、同業者ジャズメンを思いっきりこき下ろしたり、批判する様を読んだり聞いたりするにつけ、どうしても彼の音楽を受け付け無くなってしまった。

今でも、彼の数あるアルバムの中で、このアルバム以外は全く聴かない。そのアルバムとは、菊地雅章『SUSTO(ススト)』(写真左)。1980年、ニューヨークでの録音。

音的には「エレクトリック・マイルス」のコピー。『On The Corner』の頃の「エレクトリック・マイルス」をそのまま踏襲し、判り易く、聴き易く、平易に解釈し焼き直したフュージョン・ジャズ。リズム&ビートは、「エレクトリック・マイルス」のような粘りのあるファンクネスとは全く異なる、ライトで粘りの無い乾いたファンクネス。

どう聴いたって「エレクトリック・マイルス」のコピーで、ファンクネスもビートも明らかに足らない、ちょっと中途半端な内容なんだが、僕はこのアルバムが好きだ。なぜなら、意外とフェンダー・ローズが良い音を出しているのだ。菊地雅章はフェンダー・ローズの使い手なのだ。

1曲目の「Circle/Line」では、フェンダー・ローズはバッキングにチョロっと出てくる程度。この曲、何だか、マイルスの「アガパン」を模しているようなんだが、ジャズ的要素に欠ける。明るすぎるというか、スッキリしているというか、ジャズ独特のブルージーでほんのり暗い、ドロッとしたところが無い。リズム&ビートも粘りが無いし、どうしても「エレクトリック・マイルス」の忠実なコピーって感じで、どうしても入り込めない。
 

Susto2

 
しかし、2曲目の「City Snow」から、フェンダー・ローズが活躍するにつけ、やっと「エレクトリック・マイルス」を模してはいるが、そこはかとなく菊地の個性が漂い始める。要所要所でフェンダー・ローズの音色が鳴り響き、ライトで粘りの無い乾いたファンクネスが良い方向に作用する。

そして、3曲目の「Gumbo」。この曲はもう、イントロのフェンダー・ローズの音が全てだ。これぞフェンダー・ローズ、という音の揺らぎと響き。はは〜っと、ひれ伏してしまいそうなほど、明らかにフェンダー・ローズの音が格好良い。リズム&ビートは「レゲエ」。ツイン・ドラムス、ツイン・ギターでレゲエのビートを紡ぎ、シンセサイザーによる印象的なテーマ演奏が実に心地良い。

僕はこの「Gumbo」が、泣きそうになるくらい好きだ。1981年にこのアルバムをLPで入手して以来、この「Gumbo」は何度聴いたか知れない。とにかく、この「Gumbo」のフェンダー・ローズの音が絶品なのだ。シンセのインプロビゼーションも良いし、エレピのフュージョン・ジャズって「これでしょう」というくらいに、僕はこの「Gumbo」が大好きだ。

ラストの「New Native」は、これまた「エレクトリック・マイルス」の忠実なコピーって感じに戻って、あれれ、って感じ。ヒノテルのトランペットもマイルスそっくり。うむむ、これはなあ(笑)。

このアルバム、フェンダー・ローズが活躍する、2曲目「City Snow」と3曲目「Gumbo」が聴きもの。特に「Gumbo」は良い。この冬の季節に聴くにピッタリのフェンダー・ローズの響き。ダイナミックで幽玄な展開も含め、この1曲だけでも、このアルバム『SUSTO(ススト)』は「買い」だ。

 
 

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2013年12月 2日 (月曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・7

ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)も、フェンダー・ローズの使い手である。ラムゼイ・ルイスは、生ピアノのファンキー・ジャズも良かったが、実は生ピアノよりエレピの使い手、ブラック・ファンク系のクロスオーバーなアレンジが優れていて、クロスオーバー・ジャズの世界で大ブレイクした。

そんなラムゼイ・ルイスのクロスオーバー時代のアルバムは、どれも優れたものばかり。優れた、といっても、純ジャズとしてよりかは、ブラック・ファンク系のクロスオーバー・ジャズとして優れたアルバム、ということ。

特に、ラムゼイ・ルイスのフェンダー・ローズを楽しめるアルバムはと言えば、まずはこれだろう、Ramsey Lewis『Sun Goddess』(写真左)。1973年から74年の録音とされる。リリースは1974年。なるほど、時代はクロスオーバー・ジャズ真っ只中。このアルバム全体の雰囲気は、徹頭徹尾「クロスオーバー・ジャズ」。

このアルバムでのフェンダー・ローズの音は、アタック強めの、幾分、歪んだ音も特徴で、ちょっとハードな音色。心地良さに加えて、ちょっと硬派な切れ味のフレーズが特徴。これがまた良いんですよね。

冒頭のタイトル曲「Sun Goddess」では、まだフェンダー・ローズは、後方でバッキングに見え隠れする程度。それでも、フェンダー・ローズ独特の雰囲気が漂ってくる。

そして、この曲のコーラスの雰囲気、洒落たブラック・ファンクな雰囲気は、どこかで聴いた様な、どこかで感じたような、と思いつつパーソネルを見てみると、あらビックリ。あのアース・ウィンド&ファイアー(EW&F)のリーダー、モーリス・ホワイトが参加しているんですよね。
 

Sun_goddess

 
この「Sun Goddess」は、EW&Fのモーリス・ホワイトがプロデュースし、フィリップ・ベイリー、ヴァーディン・ホワイトらEW&F勢が参加したブラック・ファンクなクロスオーバー・ジャズの優れもの。EW&Fの傑作ライヴ盤『灼熱の狂宴』でも取り上げられている。

そして、2曲目のスティーヴィー・ワンダーのカバー「Living For The City」から、フェンダー・ローズが全面に出てきて、心地良いブラック・ファンクなクロスオーバー・ジャズ全開の展開になる。

続く「Love Song」もフェンダー・ローズが印象的で、この2曲を聴けば、なるほど、ラムゼイ・ルイスって、確かにフェンダー・ローズの優れた使い手であることが良く判る。

ラストの2曲「Tambura」「Gemini Rising」のラムゼイ・ルイスのフェンダー・ローズも素晴らしい。フェンダー・ローズの様々な弾き方を駆使して、色々な音色のフェンダー・ローズを聴かせてくれる。このラストの2曲は、フェンダー・ローズの弾き方の「展覧会」的な雰囲気。何度聴いても惚れ惚れする。

このアルバムって「良いアルバムですよ」と強く推薦されないとなかなか手に入れようとは思わないですよね。えっ、何故って。何故って、このジャケットですよ。何の情報も無い状態で、このジャケットのアルバムを買おうとは思わないのでは(笑)。

でも、ご安心を。このアルバム、良いアルバムです。クロスオーバー・ジャズの佳作の一枚でしょう。

 
 

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2013年12月 1日 (日曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・6

フェンダー・ローズ。エレクトリック・キーボードのひとつ。独特の暖かい丸みを持つ音は独特なもの。特に初期型の、メロウで温かみのある音、モノラル仕様のビブラート・ノブによる独特のゆらぎ。無茶苦茶に心地良い透明感あふれるサウンドが特徴の、個性的なエレピです。

このフェンダー・ローズの音を楽しめるアルバムは、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズ時代に多く存在します。生ピアノとは似て非なるものなので、弾き方も全く異なるものなので、生ピアノの名手がフェンダー・ローズの名手かと言えば、そうでもありません。ただ、逆に、不思議とフェンダー・ローズの名手は、皆、生ピアノの名手だということは言えます。

例えば、ディブ・グルーシン。フュージョン・ジャズを代表するアレンジャー&プロデューサー、そして、ピアニスト。このディブ・グルーシンは、フェンダー・ローズの名手中の名手です。彼の1970年代のリーダー作やサイドメンとして参加したアルバムは、このフェンダー・ローズを楽しめるアルバムばかりです。

とりわけ、僕はこのアルバムがお気に入り。Dave Grusin『One of A Kind』(写真左)。1977年の作品。時代はフュージョン・ジャズの全盛期。参加ミュージシャンも面々も豪華絢爛。これぞ「フュージョン・ジャズ」って感じのアルバムで、フュージョン・ジャズとは何か、と問われた時に、よくかける盤でもあります。
 

One_of_a_kind

 
冒頭の「Modaji」から、デイブ・グルーシンのフェンダー・ローズが実に雰囲気よく展開されます。本当に趣味の良いフェンダー・ローズの弾き回しに惚れ惚れする。

フェンダー・ローズは独特のゆらぎと音の伸びを個性として持っているので、生ピアノの様に弾いていると、音が詰まった感じになってしまうので、センス良く、間を活かした弾き回しが必要になるのだが、この独特の弾き回しが、デイブ・グルーシンはとても上手い。

3曲目の「Catavento」などは、そのデイブ・グルーシンの、フェンダー・ローズならではの独特の弾き回しを、心ゆくまで堪能できる曲だ。少し早いテンポの曲でのフェンダー・ローズの弾き回しにこそ、そのキーボーディストのセンスが問われる。この「Catavento」では、そのデイブ・グルーシンの素晴らしい「弾き回しセンス」に惚れ惚れとする。

デイブ・グルーシンのリーダー作としては、大傑作の『Mountain Dance』がありますが2011年5月30日のブログ参照・左をクリック)、この『Mountain Dance』に比肩する、もう一つの代表作が、この『One of A Kind』。

さすが、デイブ・グルーシン。フュージョン・ジャズ時代のリーリトナーや渡辺貞夫などサウンドを支えた、エレピの名手のテクニックとセンスを心ゆくまで楽しめます。

 
 

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