フェンダー・ローズを愛でる・7 『Sun Goddess』
ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)も、フェンダー・ローズの使い手である。ラムゼイ・ルイスは、生ピアノのファンキー・ジャズも良かったが、実は生ピアノよりエレピの使い手、ブラック・ファンク系のクロスオーバーなアレンジが優れていて、クロスオーバー・ジャズの世界で大ブレイクした。
そんなラムゼイ・ルイスのクロスオーバー時代のアルバムは、どれも優れたものばかり。優れた、といっても、純ジャズとしてよりかは、ブラック・ファンク系のクロスオーバー・ジャズとして優れたアルバム、ということ。
特に、ラムゼイ・ルイスのフェンダー・ローズを楽しめるアルバムはと言えば、まずはこれだろう、Ramsey Lewis『Sun Goddess』(写真左)。1973年から74年の録音とされる。リリースは1974年。なるほど、時代はクロスオーバー・ジャズ真っ只中。このアルバム全体の雰囲気は、徹頭徹尾「クロスオーバー・ジャズ」。
このアルバムでのフェンダー・ローズの音は、アタック強めの、幾分、歪んだ音も特徴で、ちょっとハードな音色。心地良さに加えて、ちょっと硬派な切れ味のフレーズが特徴。これがまた良いんですよね。
冒頭のタイトル曲「Sun Goddess」では、まだフェンダー・ローズは、後方でバッキングに見え隠れする程度。それでも、フェンダー・ローズ独特の雰囲気が漂ってくる。
そして、この曲のコーラスの雰囲気、洒落たブラック・ファンクな雰囲気は、どこかで聴いた様な、どこかで感じたような、と思いつつパーソネルを見てみると、あらビックリ。あのアース・ウィンド&ファイアー(EW&F)のリーダー、モーリス・ホワイトが参加しているんですよ。
この「Sun Goddess」は、EW&Fのモーリス・ホワイトがプロデュースし、フィリップ・ベイリー、ヴァーディン・ホワイトらEW&F勢が参加したブラック・ファンクなクロスオーバー・ジャズの優れもの。EW&Fの傑作ライヴ盤『灼熱の狂宴』でも取り上げられている。
そして、2曲目のスティーヴィー・ワンダーのカバー「Living For The City」から、フェンダー・ローズが全面に出てきて、心地良いブラック・ファンクなクロスオーバー・ジャズ全開の展開になる。
続く「Love Song」もフェンダー・ローズが印象的で、この2曲を聴けば、なるほど、ラムゼイ・ルイスって、確かにフェンダー・ローズの優れた使い手であることが良く判る。
ラストの2曲「Tambura」「Gemini Rising」のラムゼイ・ルイスのフェンダー・ローズも素晴らしい。フェンダー・ローズの様々な弾き方を駆使して、色々な音色のフェンダー・ローズを聴かせてくれる。このラストの2曲は、フェンダー・ローズの弾き方の「展覧会」的な雰囲気。何度聴いても惚れ惚れする。
このアルバムって「良いアルバムですよ」と強く推薦されないとなかなか手に入れようとは思わないですよね。えっ、何故って。何故って、このジャケットですよ。何の情報も無い状態で、このジャケットのアルバムを買おうとは思わないのでは(笑)。
でも、ご安心を。このアルバム、良いアルバムです。クロスオーバー・ジャズの佳作の一枚でしょう。
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