フェンダー・ローズを愛でる・6
フェンダー・ローズ。エレクトリック・キーボードのひとつ。独特の暖かい丸みを持つ音は独特なもの。特に初期型の、メロウで温かみのある音、モノラル仕様のビブラート・ノブによる独特のゆらぎ。無茶苦茶に心地良い透明感あふれるサウンドが特徴の、個性的なエレピです。
このフェンダー・ローズの音を楽しめるアルバムは、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズ時代に多く存在します。生ピアノとは似て非なるものなので、弾き方も全く異なるものなので、生ピアノの名手がフェンダー・ローズの名手かと言えば、そうでもありません。ただ、逆に、不思議とフェンダー・ローズの名手は、皆、生ピアノの名手だということは言えます。
例えば、ディブ・グルーシン。フュージョン・ジャズを代表するアレンジャー&プロデューサー、そして、ピアニスト。このディブ・グルーシンは、フェンダー・ローズの名手中の名手です。彼の1970年代のリーダー作やサイドメンとして参加したアルバムは、このフェンダー・ローズを楽しめるアルバムばかりです。
とりわけ、僕はこのアルバムがお気に入り。Dave Grusin『One of A Kind』(写真左)。1977年の作品。時代はフュージョン・ジャズの全盛期。参加ミュージシャンも面々も豪華絢爛。これぞ「フュージョン・ジャズ」って感じのアルバムで、フュージョン・ジャズとは何か、と問われた時に、よくかける盤でもあります。
冒頭の「Modaji」から、デイブ・グルーシンのフェンダー・ローズが実に雰囲気よく展開されます。本当に趣味の良いフェンダー・ローズの弾き回しに惚れ惚れする。
フェンダー・ローズは独特のゆらぎと音の伸びを個性として持っているので、生ピアノの様に弾いていると、音が詰まった感じになってしまうので、センス良く、間を活かした弾き回しが必要になるのだが、この独特の弾き回しが、デイブ・グルーシンはとても上手い。
3曲目の「Catavento」などは、そのデイブ・グルーシンの、フェンダー・ローズならではの独特の弾き回しを、心ゆくまで堪能できる曲だ。少し早いテンポの曲でのフェンダー・ローズの弾き回しにこそ、そのキーボーディストのセンスが問われる。この「Catavento」では、そのデイブ・グルーシンの素晴らしい「弾き回しセンス」に惚れ惚れとする。
デイブ・グルーシンのリーダー作としては、大傑作の『Mountain Dance』がありますが(2011年5月30日のブログ参照・左をクリック)、この『Mountain Dance』に比肩する、もう一つの代表作が、この『One of A Kind』。
さすが、デイブ・グルーシン。フュージョン・ジャズ時代のリーリトナーや渡辺貞夫などサウンドを支えた、エレピの名手のテクニックとセンスを心ゆくまで楽しめます。
大震災から2年8ヶ月。決して忘れない。まだ2年8ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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