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2013年12月16日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・30 『Upojenie』

パット・メセニーのギターが好きで、聴き続けて早36年になる。パットのアコギもエレギもギターシンセも42弦ピカソギターも大好きで、よくよく振り返って見ると、ジャズ・ギタリストの中で、一番好きなギタリストなんだということが判る。そう言えば、パットのリーダー作はほとんど持っている。

そんなパット名義のアルバムの中で、3年ほど前まで、このアルバムの存在は知らなかった。Pat Metheny & Anna Maria Jopek『Upojenie』(写真左)。アルバムタイトルは「ウポイエニェ」と読む。パットと並んで双頭名義の女性の名前は「アナ・マリア・ヨペック」と読む。

ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックがパット・メセニーの楽曲にポーランド語の歌詞を乗せて歌ったアルバムで、2002年のリリースになる。参加ミュージシャンの名前を見渡すと、パット以外は地元ポーランドのミュージシャンで固めているようだ。

このアルバム、まずは、ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックの歌声に魅了される。透明感溢れ、素直で伸びのある、フォーキーな歌声。加えて、ポーランド語の歌詞の聴き慣れない語感が実にエキゾチック。どう聴いてもジャズのボーカルの雰囲気では無い。東欧の少しくすんで、ほんのり明るい、石畳や土の匂いがするボーカル。この女性ボーカルが凄く魅力的。
 

Upojenie

 
この東欧の雰囲気満載のヨベックのボーカルに、ピッタリとフィットするのが、パット・メセニーのギター。透明感のある、リリカルで、幻想的なパットのギターは、エレギにしろ、アコギにしろ、ギターシンセにしろ、42弦ピカソギターにしろ、彼女のボーカルにピッタリとフィットする。これが、ヨーロピアンで実に良い。決して、米国には無い、リリカルで耽美的な響き。

収録されているポーランドのトラディショナル曲を聴いていると、面白いことに、なんだか東アジアの音の響きや旋律を感じる。確かに、東欧の民族音楽を聴いてみると、音の響きや旋律の節回しに、東アジアを、とりわけ「日本」を感じることがよくある。このアルバムに詰まった音の響きは渋く、美しく、叙情的。我々日本人の感性にもピッタリとフィットする。 

これがジャズか、ジャズ・ボーカルのアルバムか、と問われれば、僕は「イエス」と答えますが、本来ならば分類不能。パットの音世界が色濃い、限りなくコンテンポラリーなジャズ・ボーカルとしておきましょう。でも、このアルバム、この冬の季節にピッタリなんですよね。ヨベックのボーカルとパットのギターの、そこはかとなく敬虔な響きもする透明感のある抒情的な響き。良いですね〜。

東欧の少しくすんで、ほんのり明るい、石畳や土の匂いがするボーカル。そして、思いっきりパット・メセニーなエレギ、アコギ、ギターシンセ、そして、42弦ピカソギター。そのボーカルとギターがピッタリとフィットする「一期一会な邂逅」。いやはや、こんなアルバム、あったんや〜、って感じです。
 
 
 
★大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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