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2013年11月28日 (木曜日)

聴き易いフリーキーなトレーン

コルトレーンのこのアルバムの存在を僕は21世紀になって知った。それもそのはずで、このアルバムは、録音した当時はお蔵入りして、1998年の3月にリリースされた、いわゆる「未発表音源」である。

そのアルバムの名は、John Coltrane『Living Space』(写真左)。もともとの録音は、1965年6月。コルトレーンは、1967年の7月に亡くなっているので、逝去の2年1ヶ月前の録音になる。パーソナルは、もちろん、黄金のカルテットと呼ばれる、John Coltrane (ts, ss), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。

時期的に見ると、黄金のカルテットの『Kulu Se Mama』と『Ascension』の間のセッション集になる。黄金のカルテットとして、まだまだ充実した演奏を繰り広げている頃の演奏で、なぜ没になったのかが全く判らない「未発表音源集」である。 

このアルバムは、一言で言うと「聴き易いフリーキーなコルトレーン」である。冒頭のタイトル曲「Living Space」の出だしのコルトレーンのテナーは、スーッと真っ直ぐ伸びて、凄くストレートな、素晴らしく伸びのあるテナー。テーマを吹き挙げるコルトレーンは、本当に堂々としていて、伸びがあって素敵である。

が、インプロビゼーション部に入ると、あ〜あ、やっぱりフリーなブロウに移行する。しかし、このアルバムでの、コルトレーンのフリーなブロウは、あまりアブストラクトに傾かない。まあ、こちらの耳に、フリーキーなブログに対する耐性が培われた、ということもあるが、それを差し引いても、このアルバムでのコルトレーンは無茶苦茶には吹かない。
 

Living_space

 
節度ある「限りなくフリーに近いモーダルなブロウ」と言ったら良いだろうか。ただ、コルトレーンのフリーなブロウは、ちょっと一本調子なところがあり、この頃のインプロビゼーションは、ちょっとマンネリしている。フリーであるべき展開が、彼の手癖も含めて、定型化されつつあって、なんだか先が読めてしまうのだ。これでは「フリーな演奏」とは言えない。

もっと自由にもっと斬新な展開で、心からのブロウを吹き上げたいとトライはするのだが、どうしても、どこかで聴いた展開と節回しという感じになってしまう。それでも、コルトレーンはコルトレーンなので、ジャズ者の我々にとっては、コルトレーンがコルトレーンらしく吹いてくれているので問題は無いのだが、音楽を創造する側からすると、ゆゆしき問題である。

バックのリズム・セクションを張る、McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)のトリオの出来が素晴らしい。ちょっとマンネリ気味のコルトレーンはさておき、このバックのピアノ・トリオが最高である。恐らく、この頃がこのトリオのピークであり、最後の輝きなのではないか、と思う。自由度の高い、柔軟性のある、素晴らしいインプロビゼーションを展開している。

この『Living Space』のコルトレーンは聴き易い。フリーな演奏ではあるが「限りなくフリーに近いモーダルなブロウ」という感じで、ストレートな、素晴らしく伸びのあるテナーと相まって、意外と、このアルバムは楽しめる。バックのトリオもご機嫌なバッキングを展開しているしね。

このアルバムに収録されているセッションの後、あの問題作『Ascension』を録音し、黄金のカルテットは崩壊する。この『Living Space』は、黄金のカルテットの「最後の輝きの記録」でもある。

 
 

大震災から2年8ヶ月。決して忘れない。まだ2年8ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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