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2013年11月20日 (水曜日)

チェロを弾きまくる珍しい企画盤

今日も、ジャズ・ベーシストのリーダー作をご紹介。今日は、レイ・ブラウン。ジャズ・ベースの巨匠。1926年生まれ。2002年7月没。享年76歳。亡くなって久しいが、ジャズ・ベースの最高峰として現在も絶大な人気を誇る。

確かに、レイ・ブラウンのベースは素晴らしい。ピッチがあっていて、音が太く大きく、しなやかで伸びやか。リズム&ビートの底をガッチリと支える力強さが魅力である。が、この魅力は、オスカー・ピーターソン・トリオの傘下でのものが多い。

リーダーの大ピアニスト、オスカー・ピーターソンには全く頭が上がらなかったらしく、ピーターソン配下でのレイ・ブラウンのプレイはやや控えめで、決して出しゃばらず、黙々とリズム&ビートを支える。そして、しっかりとガッチリとピーターソンのプレイを殊勝にも支えまくる。

恐らく、ピーターソン配下でのストレスがそうさせたのか、他のリーダー・セッションにおいては、共演者が格下とみるや、その格下の共演者を全く無視するかの様に、ハイテク・アコベをブンブン唸らせて前面にしゃしゃり出る傾向が強い。自らのリーダー作では、とにかく自分のベースを全面に押し出しまくる。昔のミュージシャンらしく、思い切り、目立ちたがり屋なのである。

そんな目立ちたがりのレイ・ブラウン、ビッグバンドをバックにブンブンやるのも大好き。そんなに目立つのが大好きなんだったら、いっそもう初めっから、大いに目立つようにしてしまえ、という企画盤がある。Ray Brown『Jazz Cello』(写真左)である。1960年8月31日、9月1日の録音とされる。
 

Jazz_cello

 
本格的ビッグバンドでは無いが、スモール・コンボのビッグバンド的なアレンジをバックに、レイ・ブラウンが、ベースとチェロを弾きまくるという企画盤。アレンジは名匠ラッセル・ガルシアが担当。

旋律を弾きまくるのであれば、低い音が中心のベースよりは、高い音が出るチェロの方が音がはっきりクッキリとするし、旋律が聴き取りやすい。そこで、この企画盤では、旋律を弾きまくる時は、チェロでどうぞ、という仕掛けである。

いやはや、冒頭の「Tangerine」から旋律楽器よろしく、チェロを使って旋律を弾きまくる。それでもチェロはチェロなので音は低い。この旋律を弾く弦楽器がチェロと知らなければ、ベースのえらく高音域を使って、ペラペラ旋律を弾きまくるベーシストやなあ、と呆れることになる。

とにかく、ベーシストが演奏のフロントに出て、ベースラインでは無く、楽曲の旋律を弾きまくるのである。チェロを使って、ホーン楽器の様にインプロビゼーションを弾きまくるのである。確かにジャズ演奏としてはバランスが悪い。しかも、あくまで、アコースティックな弦楽器、チェロを使っての旋律弾きの為、弾き回しのフレーズの速さなどには限界があって、エレベのように疾走感溢れ、歌うが如く、という風にはならない。

中途半端に目立つアコベという趣で、まだ、レイ・ブラウンというジャズ・ベースの巨匠が弾きまくるので、なんとか聴ける演奏とはなっているが、ベースが全面に出て旋律を弾きまくるのは、やはりバランスが悪く、あまり誉められたものでは無い。チェロを弾きまくるという珍しい企画盤なので、まあ、これはこれで聴くに値する盤ではある。

 
 

大震災から2年8ヶ月。決して忘れない。まだ2年8ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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