マイケル屈指の名盤 『Nearness of You : The Ballad Book』
マイケル・ブレッカーのテナーは「デジタル的で、精巧で、緻密で、テクニカルで、ストレートな」サックスの音色が特徴だ。これって、やっぱり白人的なテナーの雰囲気ですよね。
やっぱり、黒人のテナーは「粘りがあって、馬力があって、ファンキーな」サックスなんですよね。そういう意味では、マイケル・ブレッカーは、ファンキーな香りのする楽曲は選ぶべきではない。
それではどうするか、思っていたら、2001年、突然バラード集『Nearness of You : The Ballad Book』(写真左)が出た。発売された時、「なるほどね」と感心したのを覚えている。
ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Herbie Hancock (p), Charlie Haden (b), Jack DeJohnette (ds), James Taylor (vo) という超豪華メンバーでの演奏。しかし、超豪華メンバーか見た華美な所は微塵もなく、全編、瀟洒(しょうしゃ)な演奏が「ニクイ」。抑えたフレーズが気持ちいい。バラード集とは言いながら、じわりと「熱い」演奏も気持ちいい。
このバラード集でも、パットのギターが良い按配で彩りを添えている。パットの「泣きのシンセギター」が、寂寞感、静謐感を引き出して、なんだか気持ちよく、しみじみとしてしまう。マイケルのバラード演奏に、パットのギターは実に良く似合う。
コルトレーンの「バラード」と比べられることがあるが、比べること自体が大変「野暮」なこと。コンセプト、音の作りや個性を考えると、まったく次元の違うもの。コルトレーンの「バラード」は当然素晴らしいアルバムだし、マイケルの「ニアネス・オブ・ユー」は、これはこれで素晴らしい。
収録曲は以下のとおり。テナーが映えるバラードの名曲の数々。
1. Chan's Song
2. Don't Let Me Be Lonely Tonight
3. Nascente
4. Midnight Mood
5. The Nearness Of You
6. Incandescence
7. Sometimes I See
8. My Ship
9. Always
10. Seven Days
11. I Can See Your Dreams
12. Say it
マイケルのバラード演奏に久し振りに耳を傾けてみて、改めて、マイケルのサックスは凄いなあ、上手いなあ、と思いました。これだけのサックス演奏が出来るミュージシャンって、よくよく考えてみると、数少ないですよね。マイケル・ブレッカーの生涯の中でも屈指の名盤です。
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