アーティスティックな「和ジャズ」
1970年代の日本のジャズは、現代音楽風のフリー・ジャズや限りなく自由度の高いモーダルなジャズが多く、一般の音楽ファンには、かなり敷居の高いアルバムが多かった。僕たち、ジャズ者初心者にとっても重荷だった。どうしても聴き易い、取っ付き易いフュージョン・ジャズや、1950年代のハードバップの名盤に走った。
そういう環境もあって、1970年代の日本ジャズは、実にマイナーな存在だった。ジャズ専門雑誌では、凄いぞ、立派だぞ、と書き立てられるので、なけなしの小遣いを叩いて購入して聴いて見ると、その内容は、現代音楽風のフリー・ジャズや限りなく自由度の高いモーダルなジャズで、聴いていても全く面白く無くて、何が何だか良く判らない。そうするうちに、日本ジャズからは遠ざかっていった。
僕だって、日本のジャズ、今で言う「和ジャズ」を聴き直し始めたのは、この5年ほど前からである。つまり、「和ジャズ」のブームに乗っかって、聴き直しを始めた訳。ミーハーな動機ではあるが、隠れ名盤、レア盤がガンガンにリイシューされるんだから、聴き直しには都合が良い。
例えば、このアルバムの存在も、今回、初めて知った。加古 隆『TOK - Live』(写真左)。「TOK」とは、加古 隆 (p), Kent Carter (b), Oliver Johnson (ds) のトリオのこと。1978年東京・東邦生命ホールでのライヴを収録したライブ盤。
当時、ヨーロッパで脚光を浴び、高い評価を得た、と言うが、確かに、このトリオの演奏は、当時の欧州ジャズの主要なテイスト、いわゆる現代音楽風のフリー・ジャズや限りなく自由度の高いモーダルなジャズで、その演奏レベルは相当に高い。このピアノ・トリオの演奏内容についても、当時の欧州ジャズの他のアルバムと聴き比べても遜色の無い素晴らしいものである。
このライブ盤の演奏内容については、確かに、一般の音楽ファンには、かなり敷居の高く、ジャズ者初心者にとっても重荷です。しかし、ジャズを聴き進めて、ジャズ者中級者や上級者、はたまたベテランの域に達した時、もう一度、このアルバムの様な、現代音楽風のフリー・ジャズや限りなく自由度の高いモーダルなジャズにチャレンジして欲しいですね。
きっと新しい何かを感じ、この演奏が、如何に素晴らしいものかを実感出来ると思います。実に優れたアーティスティックな演奏です。こんな優れた内容のジャズが、1970年代の「和ジャズ」にあったなんて、ちょっとビックリしました。
大震災から2年8ヶ月。決して忘れない。まだ2年8ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 「只者ではない」和ジャズです | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・47 »
コメント