こんなアルバムあったんや・29
ファンキーなジャズが大好きである。ファンキーという表現の源「ファンク」とは、「土俗的」などの意を含むスラング。ファンキー・ジャズとは、ブルース、ソウル、ゴスペルなどのアフリカン・アメリカンのルーツ・ミュージックの音楽要素をふんだんに盛り込んだジャズである。
オフビート(裏打ち)の16ビートと反復フレーズを多用した曲構成が主で有り、フレーズの表現方法として、ゴスペルチックな「コール&レスポンス」が良く用いられる。ユニゾン&ハーモニーは基本的にぶ厚く、マイナー調でブルージー。と、言葉を並べ立てても、適当な表現にはならない。実際の音を聴いて頂く方が手っ取り早い。
但し、ファンキー・ジャズは、料理に例えると「こってりとした料理」。味が濃く、その味をガッツリと感じることが出来るが、食べ過ぎると「もたれる」。ずっと聴き続けると辛くなるが、適度な量、適度なスパンで聴くと、それはそれは絶品な音世界。逆に、しばらく聴かないと、時に無性に聴きたくなる。
ファンキー・ジャズを聴きたくなると、選ぶアルバムと言えば、例えば、Art Blakey Jazz Messengersの『Moanin'』や『Mosaic』。John Coleraneの『Blue Train』も外せない。Horace Silverの『Blowin' the Blues Away』や『Song for My Father』もマストアイテム。それから、Sonny Clark『Cool Struttin'』、Donald Byrd『Fuego』も絶対。
なんやこうやって、思いつくままアルバムを並べてみると、ブルーノート・レーベルの名盤ばかりではないか。つまり、ブルーノート・レーベルは、ファンキー・ジャズの宝庫ということが言える。なるほどなあ。
逆に、隠し球的な、知る人ぞ知る的なファンキー・ジャズな優れもの盤も色々ある。例えば、今日、久し振りに選んだ、Slide Hampton『Sister Salvation』(写真左)などは、そんな隠し球的な、知る人ぞ知る的なファンキー・ジャズの佳作である。
ちなみにパーソネルは、Ernie Royal (tp), Bill Barber (tuba), Richard Williams, Slide Hampton (tb), Bernard McKinney (euphonium), Bob Zotolla, Pete LaRoca (ds), Jay Cameron (bs), Nabil Totah (b)。演奏としては「オクテット」の構成。1960年2月15日の録音になる。
このアルバムがまあ、コッテコテの「ファンキー・ジャズ」なのだ。冒頭のタイトル曲「Sister Salvation」だけでも、それはそれは、コッテコテの「ファンキー・ジャズ」。
オフビート(裏打ち)の16ビートと反復フレーズ、ゴスペルチックな「コール&レスポンス」、ぶ厚いユニゾン&ハーモニー、マイナー調でブルージー。絵に描いた様な「ファンキー・ジャズ」。これぞ「ファンキー・ジャズ」。
この冒頭の「Sister Salvation」以降、このアルバム全編に渡って、コッテコテのファンキー・ジャズ・チューンが「てんこ盛り」のアルバムである。う〜ん、ファンキー・ジャズ者には堪えられないアルバムである。
1960年代のアトランティック・レーベルのジャズには、この隠し球的な、知る人ぞ知る的なファンキー・ジャズな優れもの盤が、結構あって、一枚一枚、丹念に調べつつ、聴き込んでいくと、それはそれは、こってこてファンキーなジャズ盤に遭遇したりして、思わず「こんなアルバムあったんや」と喝采をあげる。
これがまあ、不思議となんだか幸せな気分になったりするのだ。ジャズ盤コレクションの楽しみの一つである。
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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