ビッグバンド・ジャズは楽し・23
有名なジャズ・ベーシストって、何故かビッグバンドを主宰したり、ビッグバンドのリーダーになったりすることが多い。恐らく、リズム・セクションのベースラインをキープする「縁の下の力持ち」的な役割が、リーダーとして最適なのかもしれない。
伝説のジャズ・ジャイアント、チャールズ・ミンガス然り。目立ちたがりのレイ・ブラウンなんて、ビッグバンドをバックにブンブンやるのが大好き。ロン・カーターだって、最近、念願のビッグバンドのアルバムをリリースして溜飲を下げた。
エレクトリック・ベースの神様、ジャコ・パストリアスも、自身のビッグバンド「ワード・オブ・マウス」を主宰し成果を上げたし、若きファースト・コール・ベーシスト、クリスティアン・マクブライドだって、ビッグバンドを主宰した。マイルスが晩年愛したベーシスト、マーカス・ミラーだってそうだ。
なるほど、ベーシストっていうのは、バンドのバックに控えていて、バンドの音の根幹である低音部分とリズム&ビートを司り、バンドの音全体を聴きながら曲の進行を調整し、自らがスポットライトを浴びることは無いが、バンドが奏でる音という音を、完全に支配しているのだ。そういうところが、ビッグバンドのリーダーに最適なところなんだろう。
例えば、昨日、ご紹介した「モダン・ベースの父」と言われる、オスカー・ペティフォードも、リーダーとして、優れたビッグバンド盤を残している。その盤のタイトルは『The Complete Oscar Pettiford Orchestra in Hi-Fi』(写真左)。1956年6月にNYで録音された3セッションを収録したアルバム『Oscar Pettiford Orchestra In Hi-Fi』と、1957年8月〜9月に同じくNYで録音された3セッションを収録したアルバム『Oscar Pettiford Orchestra In Hi-Fi Vol.2』を完全収録。
オスカーがABCパラマウントに残した最高傑作とも称される名盤をカップリングしたお徳用盤です。このビッグバンドの演奏は、実に聴き応えがあります。ペティフォードはチェロも操っているようですね。ジャズ・ベーシストがリーダーのアルバムらしく、ビッグバンドの演奏をバックに、ベース・ソロがふんだんに楽しめます。
そんなオスカー・ペティフォードのベース演奏がしっかりと楽しめることに加え、ビッグバンドの演奏として、小粋なアレンジがとても素晴らしい。ハープを含む多彩なアンサンブルが楽しめる。とにかく、ビッグバンドの演奏が聴いていて、とても気持ちが良く、明るくて品が良い。ビッグバンドとして演奏のキレも良く、スケールも大きい。ビッグバンドの見本の様な演奏は、ゆったりとリラックスして楽しめる。
ジャケットのポーズを決めたオスカー・ペティフォードの写真も「粋」で、ユニークな編成ながら活動期間は短命に終わってしまったビッグバンドの貴重な記録です。とにかく、ビッグバンドをゆったりとリラックスして楽しむのにピッタリのアルバムです。このアルバムを聴き終えた後、いつも「あ〜、やっぱビッグバンドはええなあ」と溜息をついてしまいます(笑)。
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