ワンホーンのマクリーンが良い
ジャキー・マクリーン(Jackie Mclean)と言えば、唄ごころ満点のアルト奏者というイメージが強い。特に1950年代後半のハードバップの時代の彼のリーダー作は、いずれも「唄ごころ満点」のアルトを十分に楽しめるものばかりだ。
例えば、この『4,5&6』(写真左)。1956年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Donald Byrd (tp), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。マクリーン、モブレイ、バードの充実の3管、アルト、テナー、ペットの重厚なフロント。
タイトルの「4,5&6」とは、カルテット(4人編成)、クインテット(5人編成)、セクステット(6人編成)のこと。アルトのジャキー・マクリーンをリーダーに、3種類の編成で様々な楽曲を楽しめる。
このアルバムについては、出だしの「Sentimental Journey」にとどめを刺す。この有名なスタンダードのコード進行に乗って、マクリーンのリラックスした、唄うようなインプロビゼーションが冴えわたる。
バックのリズムセクションも、リラックスして最高なバッキングを決めてくれる。 う〜ん、この適度にリラックスした、それでいてテンションの高い演奏、なんとも言えず心地良い。
2曲目の「Why Was I Born?」は、ちょっとハイテンポの典型的なハードバップ的演奏。ちょっと、チューニングが外れた様な、それでいてエモーショナルで、力強いマクリーンのアルトが響き渡る。
クラシックでは許せないであろうマクリーンの特色ある音色が、ジャズのフォーマットの中ではなんと心地よいことか。爽やかな疾走感が、このころのマクリーンの音色の特色でもある。
編成的には、やはり、1ホーンのマクリーンの音色のみで、じっくり楽しめるカルテットの編成が一番良いと思う。が、クインテットの編成では、ドナルド・バードの端正で、優しい音色のトランペットがなかなか素晴らしい。セクステットの編成では、テナー・サックスのハンク・モブレイがなかなか好調なテナーを聴かせる。
全編を通じて言えるのは、リズム・セクションの素晴らしさ。マル・ウォルドロンのピアノ、ダグ・ワトキンスのベース、アート・テイラーのドラム。この3人による、堅実でノリの良いリズム・セクションが、マクリーンのアルトを、バードのペットを、モブレイのテナーを支えている。
ハードバップの典型的名演として、いつでもどこでも、気軽に聴ける愛聴盤の1枚です。全てのジャズ者の皆さんにお勧め。
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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