ファンク・フュージョンを見直す
1970年代前半は「クロスオーバー・ジャズ」の時代。メインは、ジャズとロックの融合。8ビート、そして、エレキ楽器の積極導入がメイン。聴き味をまろやかにするのは、イージーリスニング・ジャズ。ストリングスを効果的に導入して、耳当たりの良いジャズを現出した。
そして、1970年代後半のフュージョン・ジャズは、その「クロスオーバー・ジャズ」の延長で、あくまで、8ビート+エレキ楽器の活用を極め、煮詰めていく方向と、その時代の流行の音楽、1970年代後半はR&Bとディスコの時代に追従し、ファンクネス溢れるR&B風のアレンジと、ディスコ・ミュージックを踏襲したメリハリの効いたリズム&ビートを導入した、ファンク・フュージョンに向かう方向と2手に大きく分かれた。
日本では、なかなか、ファンク・フュージョンは流行らなかった様な気がする。ファンク・フュージョンで踊るなら、本家本元のディスコ・ミュージックで踊ったほうが手っ取り早い。日本では、ディスコ・ミュージックは流行りに流行ったが、その変形である、根がジャジーなファンク・フュージョンは、あまりウケなかった気がする。
例えば、このLenny White『Streamline』(写真左)などはその好例。1978年のリリース。リーダーのレニー・ホワイトは、チック・コリアとの第2期Return to Foreverのドラマーとして、ハードなクロスオーバー・ジャズを展開、第2期Return to Forever解散後は、ソロとして活躍。このアルバムは4枚目のリーダー作。
冒頭の「Struttin」を聴くだけで、このアルバムは、ファンク・フュージョンなアルバム内容で在ることが直ぐに判る。ファンクネス溢れる、太いノリのリズム・セクション。踊ることを前提に作られたディスコ・ビートの導入。
鋼の様な、粘りとしなやかさのあるエレベは、若き日のMarcus Miller(マーカス・ミラー)。リーダーのレニー・ホワイトのドラミングは、意外にファンキーなことにビックリする。スティーブ・ガッドよりも円やかでこくのあるファンキー・ドラム。
そこはかとなく、クロスオーバー・ジャズ時代の香り、ジャズ・ロック的な雰囲気は、ニック・モロックとジェイミー・グレイザーのエレギが醸し出している。このジャズ・ロックな雰囲気が、このアルバムの良いアクセントになっている。単に、あっけらかんとしたファンク・フュージョンなアルバムに終わっていないところが良い。
チャカ・カーンをフューチャーした、BEATLESのカバートラック「Lady Madonna」、どファンキーな「Time」も良い感じです。全編に渡って、なかなか良く作られた、味のあるファンク・フュージョンなアルバムに仕上がっています。
今の耳で聴き直すと、当時、なぜ日本で、ファンク・フュージョンがウケなかったのが不思議です。ファンクネスなリズム&ビートや、ファンキーなボーカルが、あまり馴染みがなかったことが原因でしょう。
何を隠そう、この僕も、このLenny White『Streamline』を初めて聴いた時は、ちょっとした違和感を覚えました(笑)。まあ、何度か繰り返し聴いていると、慣れもあって、違和感は無くなりましたが・・・。
ファンク・フュージョンの作品は、ボーカルが入っていたり、ポップな仕上がりとなっていたりで、ジャズとして聴くには、ちょっと抵抗のあるジャズ者の方々もいるかと思いますが、ここはジャズを離れて、米国ポップ・インストルメンタルとして、気軽に聴いてみると、なかなか味わいがあり、ジャズ・ロック的な雰囲気もあって、意外と聴き応えがあります。
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