「サルサ&カリビアン」な雰囲気
そのフルートの正確なテクニックと音程を聴けば、クラシックの出身と直ぐ判る。日本人ジャズでは「ありそうでない」、サルサな雰囲気、カリビアンな雰囲気がとても楽しいラテンジャズ、ソウルジャズを基本とするフュージョン・ジャズを展開。日本ではあまりウケていないのが不思議と言えば不思議なのだが、逆にカリブ海沿岸を中心とした中北米での評価が高い。
ジャズ・フルート奏者「赤木りえ」である。1985年にアルバム・デビュー。日本においてはバブル期。ビジュアル+お洒落な女性ジャズ・フルート奏者のイメージでのデビューであったが、どうして、彼女は意外と硬派なジャズ・フルーティストであった。
ジャズ・ミュージシャンにとって大切なものの一つが「個性」。2000年に文化庁の文化特使として、プエルトリコに派遣されたことを切っ掛けに、プエルトリコで録音された3枚のアルバムが現地で大きな評判を呼び、カリブ海一帯でブレイク。ラテンジャズ、ソウルジャズのエキスパートとして、日本人のフルーティストとしての第一人者である。
でも、なぜかマイナーな存在なんだよな〜。日本人ジャズ・ミュージシャンの紹介コーナーでも、赤木りえの名前が挙がることは少ない。日本では、従来からのベテラン評論家の方々から、ラテンジャズ、ソウルジャズは「俗っぽい」存在として、ちょっと低く見られて来たからなあ。でも、ラテンジャズ、ソウルジャズって、聴いていて、明るくて、ノリが良くて、とても楽しいジャズなので、僕には違和感は無いんやけどなあ。
そんなこんなで、今日は、この赤木りえの『The Promised Land(Isla Del Encanto)』(写真左)をご紹介したい。赤木りえのaosisレーベルからの 2ndアルバム。2002年3月のリリース。カリブ海はプエルトリコでの録音。
このアルバムの楽しさは、冒頭の「Birdland」を聴けば、たちどころに判る。ラテンでカリビアンな「Birdland」。「Birdland」とは、Weather Reportの『Heavy Weather』に収録の、フュージョン・ジャズの名曲中の名曲。今やフュージョン・ジャズのスタンダード曲化している。
オリジナルの「Birdland」は、エレクトリック・ジャズとしてかなり硬派でタイトな演奏なんだが、この赤木りえの『The Promised Land』の「Birdland」は、思いっきりカリビアンな雰囲気が満載のラテンジャズである。ゆったり、ちょっとノンビリ長閑な、そして、飛び切り陽気な「Birdland」。思わず聴いていて「わははは」と大笑いしてしまいそうな、底抜けに明るい演奏。良いです。
2曲目の「Soul Bossa Nova」も、ボサノバ・ジャズの名曲なんだが、雰囲気はカリビアン。さすが、カリブ海はプエルトリコでの録音である。底抜けに明るい、ゆったり余裕のある「Soul Bossa Nova」。これは「あり」である。とにかく楽しい。聴いていて、ニンマリしてしまう。
アルバム全体が、サルサな雰囲気、カリビアンな雰囲気がとても楽しいラテンジャズ、ソウルジャズ。しかも、テンポが中米っぽく、ゆったりとしていて、これがまた「良い」。シビアな純ジャズとは対極の「ゆったりとした余裕のある楽しいジャズ」。
こんなフュージョン・ジャズがあっても良い。とにかく明るくて楽しい。音楽って「音を楽しむ」って書く。楽しいジャズって、音楽の基本のひとつだと思うんですよね。ニコニコ笑いながら、思わず身体でリズムを取るようなジャズも「ジャズ」ですよね。赤木りえのフュージョン・ジャズって、これからちょっと注目しようと思っています。
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