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2013年10月19日 (土曜日)

タンジェリン・ドリームの傑作

タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)は、ドイツのロック・シンセサイザー音楽グループ。最近、タンジェリン・ドリームのアルバムの聴き直しをし始めた。

タンジェリン・ドリームと初めて出会ったのは高校時代。確か、1975年、NHKーFMでオンエアされたタンジェリン・ドリームを聴いたのが初めてだと記憶している。どのアルバムの曲を聴いたのかは定かでは無い。しかし、スピーカーから流れてくるシンセのみで構築された、幽玄かつ浮遊感のある、かつ、ハイテクニックで構成力のある演奏に耳を奪われた。

しかし、当時、近くのレコード屋に行っても、当時、まだまだマイナーで遠いドイツのプログレのアルバムなど、置いている筈も無い。タンジェリン・ドリームのアルバムを手にしたのは、大学に入ってから、1978年のことになる。

初めて手にしたアルバムは『Phaedra(フェードラ)』(写真左)。1974年、Pinkレーベルから、メジャーのVirginレーベルに移籍後初のオリジナル・アルバムである。ドラムやベース、ギターなど、ロック・バンドに必須な楽器は全く無し。ボーカルも無し。シンセなどのキーボードを中心に、当時、開発されたばかりのシーケンサーを活用した音作りが独特の個性。

Pinkレーベル時代の、ノイズまじりのシンセ音、幽玄で漂う様な音、イメージを音に投影するような作風から、このメジャーレーベルに移籍した4thアルバムは、音の旋律化、部分的にではあるがリズムの採用で、演奏内容として、アナログ・シンセによる広大なスケールと躍動感が加味され、音楽として聴き易い内容に仕上がっています。
 

Phaedra

 
現代音楽の影響を受けているタンジェリン・ドリームですから、Pinkレーベル時代の3作は、いずれも現代音楽的で難解、かつ晦渋な作品で(実はこれはこれで素晴らしい内容なんですが)、ジャズで例えれば「フリー・ジャズ」。ちょっと、とっつき難いところが難点でしたが、この『Phaedra(フェードラ)』は、現代音楽風の尖った印象を残しつつ、そのとっつき難さを上手く緩和しています。

但し、幽玄で漂う様な音が中心なので、LPレコード時代は、スクラッチ・ノイズは大敵でした。ジックリと音に聴き入っていると、そこに「ブチッ」とか「チリチリ」とかスクラッチ・ノイズが入る。せっかく、ジックリと音に聴き入っていたのに、気分は台無し(笑)。そういう難点は、CD化されてから解消しました。今では、心ゆくまでアンプのボリュームを上げることが出来ます。

リズム&ビートは必要最低限に絞って適用され、ビートの聴いたロックなアルバムとして聴くと、肩すかしを食らいます。印象派的な幽玄かつ濃淡豊かな音世界を愛でるのに相応しいアルバムです。

僕がロックの演奏において、シーケンサーというものの存在をハッキリと認識した、記念すべきアルバムでもあります。シンセ好きにはこたえられない、観念的な印象派的なプログレッシブ・ロックの佳作です。

 
 

大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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