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2013年10月の記事

2013年10月31日 (木曜日)

むっちゃ硬派なチックである。

今週は「秋のチック祭り」。我が愛しのチック・コリアのアルバムを集中して聴いている。とにかく、僕はジャズを聴き始めた37年前からチックがお気に入り。初めて聴いたアルバムが、Chick Corea & Gary Burtonの『Crystal Silence』。

チックはジャズ評論家の皆さんから、結構厳しい評価をいただいてきた。チックの志向はコロコロ変わる。純ジャズをやっていたと思ったら、エレ・ジャズをやる。エレ・ジャズをやっていたと思ったらデュオをやる。チックの志向はカメレオンの様にコロコロ変わる。一貫性が無い。落ち着きが無い。とまあ、振り返って見れば、結構、散々である(笑)。

でも、僕達はそうは思わなかったなあ。純ジャズもエレ・ジャズもデュオも、いずれの志向での成果は全て標準以上。どの志向も一流として通用する内容を備えている。何が悪いのか、と思った。一貫性が無いなんて言うが、振り返ってみれば、一貫して「純ジャズ、エレ・ジャズ、デュオ」の3本柱がメイン。この3本柱は、チックのキャリアの中で、一切ぶれていない。

とまあ、チックについては、日本のジャズ評論で的を射た評価がなかなか見当たらないが、とにかく自分で聴いて感じることが、音楽に対しては一番大事なことなので、自分で聴いて感じたものを信じて、素晴らしいジャズ体験を積み上げていけば良いのでは、と思う今日この頃(笑)。

で、今日聴いたチックは、Chick Corea『Trio Music』(写真左)。1981年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Miroslav Vitous (b),  Roy Haynes (ds)。

1970年代後半、フュージョン基調のエレクトリック・ジャズと、ゲイリー・バートンとのデュオが中心に素晴らしい成果を挙げていたチックが、1980年に入るやいなや、いきなりアコースティックなメンストリーム・ジャズに立ち戻り、実に硬派な純ジャズ盤をリリースし始めた。
 

Chick_trio_music

 
その素晴らしい成果の一つがこの『Trio Music』。内容的には、思いっきり硬派な純ジャズ。コードからモード、そしてフリーとそれまでのジャズの演奏スタイル、要素を全て網羅した、1981年当時として、最先端を行くピアノ・トリオ。エンタテインメントな要素は殆ど無い。クラシックに匹敵するアーティスティックな要素がギッシリ。

チックのピアノは切れ味鋭く、コードからモード、そしてフリーとそれまでのジャズの演奏スタイル、要素を全て網羅。特に、モードからフリーなスタイルは、1970年始めの、伝説の「サークル」で培ったもの。チックが若き頃から探求しているセロニアス・モンクの素晴らしい研究成果も披露。現代音楽的なフレーズやアプローチも織り込んで、チックのピアノ・テクニックの全てを聴かせてくれる。いやはや、ほんま、このピアノって凄いよ。

ベースのミロスラフ・ビトウスも、チックに負けず劣らず凄い。チックの切れ味鋭く、コードからモード、そしてフリーとそれまでのジャズの演奏スタイル、要素を全て網羅したピアノに、寄り添うように追従。僕は、これだけアーティスティックなジャズ・ベースをあまり聴いたことが無い。硬派で豪腕でアーティスティックなアコベ。柔軟でメタリックなベース音。ほんま、このベースって凄いよ。

ドラムのロイ・ヘインズが、これまた凄い。チックの変幻自在、硬軟自在なピアノに、柔軟かつ迅速に対応。多彩なテクニックで、様々なリズム&ビートを繰り出し、色彩委豊かなドラミングには舌を巻く。ファンクネスを極力封印して、クールにダイナミックに、切れ味の良い、思いっきりジャジーなリズム&ビートをチックとビトウスに供給する。ほんま、このドラムって凄いよ。

今、このピアノ・トリオの音を振り返って見ると、当時、大いにウケていた、キースのスタンダーズが霞むほどの素晴らしさ。キースのスタンダーズって、硬派な純ジャズではありながら、コマーシャルでエンタテイメントなピアノ・トリオだったことに気が付く。逆に、チックの純ジャズ・トリオは、アーティスティックでストイックで、実に尖った内容のピアノ・トリオだったことに気が付く。

キースとチック。どちらも、マイルス・スクールの門下生であるが、目標とするものが全く正反対。キースとチック、どちらのピアノ・トリオも素晴らしい。でも、どちらか一方を取れ、と言われたら、迷わず僕は「チック」を選ぶ。それほど、チックのピアノ・トリオは僕の感性にピッタリとフィットする。

 
 

大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年10月30日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・10

2006年の初夏。iTMS(iTunes Music Store)をブラブラしていて見つけた。ジャズのコーナーの広告の画像を見て「可愛いな〜」。こんなに可愛い女の子がフュージョン・ジャズを、しかも、アルト・サックスやっているんや、と思いながら、彼女のアルバム一覧に行き着く。

でも、可愛いだけでは困る。彼女のアルトって、どれくらいのもんやろ、と思って、当時の最新アルバムの冒頭の曲を試聴してみる。当時の最新アルバムとは、小林香織『FIne』(写真左)。

試聴してみると、おおっ、意外とアルトをしっかり吹いているではないか。しっかりと吹ききっているので「アルト・サックスは管楽器の1種です」ということが良く判る。ブラスの輝きが、真鍮の輝きが、音を通じて判るのだ。これは管楽器を吹く者の基本中の基本。簡単そうに見えて、なかなか難しい。

そりゃ〜テクニックなど、細かいこと言うと色々あるんでしょうけど、ええんやないかな。アルトをしっかり吹ききって、しっかりとアルトの音、真鍮の響きを奏でているこのアルバムは、それだけで楽しいものだ。管楽器の音が良い音している、って大切なことだ。

ということで、即全曲ダウンロード。まずは冒頭の「キラキラ」という曲。この曲、とにかく爽やかで楽しい1曲だ。小林のアルトが奏でる出だしのフレーズが実にキャッチャーで印象的で楽しい。この出だしのフレーズ一発で、このアルバムの内容は保証されたようなもの。
 

Fine_kaori_kobayashi

 
ちょっとゆったりと、天気の良い昼下がりを散歩して歩いてるような、落ち着いた、それでいてワクワクするようなテンポで、爽やかにアルトのフレーズが駆け抜けていく。

バック・メンバーは、笹路正徳(kb)、村上"ポンタ"秀一(ds)、野村義男(g)、土方隆行(g)、日野賢二(b)、岡沢章(b)、カルロス菅野(perc)、さかいゆう(vo)。そして、スペシャル・ゲストとして、日野皓正(tp)。錚々たるメンバーが彼女をサポートする。いやはや、日本の腕に覚えのあるジャズメン大集合である(笑)。

なるほどね、ドラムスが、村上"ポンタ"秀一か。どうりで、ドラムのリズム&ビートが「只者では無い」筈である。タイトでガッチリとしていて、素晴らしいバランス感覚、加えて、実にハイテクニックなドラムには、思わず耳をそばだてる。このアルバムで、小林が気持ちよくアルトを吹ききっているのも、村上"ポンタ"秀一を始めとするリズム・セクションが優秀だからだと思われる。

晩秋の音楽喫茶『松和』の昼下がりに、晩秋の午後の陽射しを愛でながら、部屋の中で読書でもしつつ耳を傾ける。そんなシチュエーションにピッタリなアルバムかと思います。

とにかく、楽しくて爽やかで内容のある、上質のフュージョン・アルバムだと思います。難しいことは考えず、リラックスして聴いて欲しい、そんなアルバムです。

 
 

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2013年10月29日 (火曜日)

「サルサ&カリビアン」な雰囲気

そのフルートの正確なテクニックと音程を聴けば、クラシックの出身と直ぐ判る。日本人ジャズでは「ありそうでない」、サルサな雰囲気、カリビアンな雰囲気がとても楽しいラテンジャズ、ソウルジャズを基本とするフュージョン・ジャズを展開。日本ではあまりウケていないのが不思議と言えば不思議なのだが、逆にカリブ海沿岸を中心とした中北米での評価が高い。

ジャズ・フルート奏者「赤木りえ」である。1985年にアルバム・デビュー。日本においてはバブル期。ビジュアル+お洒落な女性ジャズ・フルート奏者のイメージでのデビューであったが、どうして、彼女は意外と硬派なジャズ・フルーティストであった。

ジャズ・ミュージシャンにとって大切なものの一つが「個性」。2000年に文化庁の文化特使として、プエルトリコに派遣されたことを切っ掛けに、プエルトリコで録音された3枚のアルバムが現地で大きな評判を呼び、カリブ海一帯でブレイク。ラテンジャズ、ソウルジャズのエキスパートとして、日本人のフルーティストとしての第一人者である。

でも、なぜかマイナーな存在なんだよな〜。日本人ジャズ・ミュージシャンの紹介コーナーでも、赤木りえの名前が挙がることは少ない。日本では、従来からのベテラン評論家の方々から、ラテンジャズ、ソウルジャズは「俗っぽい」存在として、ちょっと低く見られて来たからなあ。でも、ラテンジャズ、ソウルジャズって、聴いていて、明るくて、ノリが良くて、とても楽しいジャズなので、僕には違和感は無いんやけどなあ。

そんなこんなで、今日は、この赤木りえの『The Promised Land(Isla Del Encanto)』(写真左)をご紹介したい。赤木りえのaosisレーベルからの 2ndアルバム。2002年3月のリリース。カリブ海はプエルトリコでの録音。
 

Eri_akagi_promised_land

 
このアルバムの楽しさは、冒頭の「Birdland」を聴けば、たちどころに判る。ラテンでカリビアンな「Birdland」。「Birdland」とは、Weather Reportの『Heavy Weather』に収録の、フュージョン・ジャズの名曲中の名曲。今やフュージョン・ジャズのスタンダード曲化している。

オリジナルの「Birdland」は、エレクトリック・ジャズとしてかなり硬派でタイトな演奏なんだが、この赤木りえの『The Promised Land』の「Birdland」は、思いっきりカリビアンな雰囲気が満載のラテンジャズである。ゆったり、ちょっとノンビリ長閑な、そして、飛び切り陽気な「Birdland」。思わず聴いていて「わははは」と大笑いしてしまいそうな、底抜けに明るい演奏。良いです。

2曲目の「Soul Bossa Nova」も、ボサノバ・ジャズの名曲なんだが、雰囲気はカリビアン。さすが、カリブ海はプエルトリコでの録音である。底抜けに明るい、ゆったり余裕のある「Soul Bossa Nova」。これは「あり」である。とにかく楽しい。聴いていて、ニンマリしてしまう。

アルバム全体が、サルサな雰囲気、カリビアンな雰囲気がとても楽しいラテンジャズ、ソウルジャズ。しかも、テンポが中米っぽく、ゆったりとしていて、これがまた「良い」。シビアな純ジャズとは対極の「ゆったりとした余裕のある楽しいジャズ」。

こんなフュージョン・ジャズがあっても良い。とにかく明るくて楽しい。音楽って「音を楽しむ」って書く。楽しいジャズって、音楽の基本のひとつだと思うんですよね。ニコニコ笑いながら、思わず身体でリズムを取るようなジャズも「ジャズ」ですよね。赤木りえのフュージョン・ジャズって、これからちょっと注目しようと思っています。

 
 

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2013年10月28日 (月曜日)

チック・ガッド・マクブライド

やっぱり、チックは良いなあ、と改めて思う。チックとは、Chick Coreaのこと。ジャズ・ピアニストの大御所、ポスト・モダンの重鎮、もはや大ベテランのチック・コリアである。

今日、久し振りに、Chick Corea『Super Trio』(写真左)を聴いた。もともとは、2006年3月のリリース。日本でしか発売されなかった不思議なライブ盤である。

このピアノ・トリオが凄い。パーソネルが、Chick Corea (p), Steve Gadd (ds), Christian Mcbride (b)。超弩級の面子である。2005年4月3日、テキサス州オースティン、ワールドシアターにてライヴ録音になる。

このメンバーであれば悪かろう筈が無い。チックも2000年前後の不調期を抜けて、2006年辺りは、特にアコースティック・ピアノが好調だった時期だと記憶している。そんな好調のチックに、意外と相性抜群のコンテンポラリー・ジャズ系のドラマー、スティーブ・ガッド。そして、中堅ベーシストの筆頭、重量感溢れ、堅実なクリスチャン・マクブライド。これは凄い。聴く前から、もう素晴らしいパフォーマンスが聴こえてきそう。

で、冒頭の「Humpty Dumpty」のピアノで、チックの好調さを確認し、2曲目の「The One Step」で、ガッドの4ビート・ドラムの素晴らしさを再確認し、3曲目の「Windows」で、ブンブン重低音唸る、しなやかなマクブライドのベースにウキウキして、このライブ盤の内容は素晴らしいことを理解する。
 

Chick_corea_super_trio

 
特に、チックとガッドの相性の良さときたら、いや〜、ほんと良いですよ。両者ともそれを意識しているんでしょうね。今までの共演アルバムの中からの選曲が4曲もあります。『The Mad Hatter』から「Humpty Dumpty」、『Friends』から「The One Step」と「Sicily」、『Three Quartets』から「Quartet No. 2" - Part I (Dedicated to Duke Ellington)」を再演しています。特に『Friends』からの「The One Step」の再演を聴けば、本当にチックとガッドって相性が良いんやな〜と感心してしまいます。

チックとマクブライドとの相性も良いですね。もともと、マクブライドのベースは正統派。響きはコンテンポラリーなものがありますが、奏法、音、響き、どれをとってもオーソドックスな優等生的なアコベです。チックには、正統で優等生的であるが、コンテンポラリーな響きを持ったベーシストとの相性がバッチリです。例えば、ミロスラフ・ビトウスなどがそうですね。ここでは、マクブライドがとても良い。チックともっともっと共演して頂きたいですね。

『Now He Sings, Now He Sobs』からの再演の2曲「Windows」と「Matrix」も実に良い。フリーな演奏に走るところも実に興味深く、特に、マクブライドのベースがフリー・ジャズに追従し、現代音楽的なアプローチにバッチリ対応するところなんざあ、感心することしきり。

良いアルバムです。早速これは、久し振りに、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「ピアノ・トリオの代表的名盤」入りのライブ盤やなあと、ほくそ笑んでいたら、なんとラストの「Spain」がいけない。ノリがちょっと悪い上に、なんとフェードアウト。ああ、今時、フェードアウトするなんて。このラストの「Spain」のフェードアウトが全くの興ざめ。惜しいなあ。

逆に、このラストのフェードアウトの「Spain」を除けば、かなり素晴らしい内容のピアノ・トリオ盤です。日本のみの発売ということで、おまけに付けた「Spain」が仇になった格好です。でも、チック者にはマスト・アイテム。聴くべし、です。

 
 

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2013年10月27日 (日曜日)

「秋たけなわ」にハード・バップ

今朝は爽快。やっと晴れた。スカッと晴れた。久々の快晴である。遠く富士山、筑波山がクッキリ見える。台風一過。空気も澄んでいる。しかし、グッと冷え込んだ。今朝の最低気温は13度。この秋一番の冷え込みになった。

日中も良い天気。陽射しが豊かで、陽向はポカポカ。湿度も低く、歩いているとちょっと汗ばむが、少し休めば直ぐに汗が引く。今日の陽気こそが「秋たけなわ」の陽気。10月上旬から中旬にかけて。この様な陽気が続いて、気分もホクホクな季節なはずなんだが、今年は違った。暫く天気の悪い日が続いて、気分まで鬱ぎこみがちに。でも、やっと良い天気になった。

これだけ爽快で良い天気になると、どんなアルバムをかけても魅力的に響くってもんだ(笑)。秋たけなわの昼下がり、オーソドックスなハードバップなジャズでノンビリ過ごす。秋たけなわの陽気に、この「ノンビリ」が一番の贅沢やね。

選んだアルバムが、Kenny Dorham『Scandia Skies』(写真左)。1963年12月5日、デンマークはコペンハーゲンのジャズハウス・モンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds), Rolf Ericson (flh), Tete Montoliu (p), Kenny Dorham (tp)。SteepleChaseレーベルからのリリース。Kenny Dorhamが訪欧中に録音した盤である。

スティープル・チェイスは、このカフェ・モンマルトルでのライブ録音が多い。しかも、プライベート録音風にさりげなく「サクッと」録音した風情のものが多々ある。この『Scandia Skies』も、そんなライブ盤の一枚。

録音のバランスがプライベート録音っぽいんだが、音質としては中の上くらいかな。ピアノのアタック音とドラムの音が丸くこもり気味ではあるが、ベースの胴の響きやペットのブラスの響きはなかなか生々しく録れており、まずまずの音質なところで一安心。
 

Scandia_skies

 
ケニー・ドーハムのペットは、一種危なっかしいところがあって、テクニック的にも水準以上のものがありながら、一部「およよ」とスベっているところがあったり、気が付かない程度にミストーンが入っていたりするんだが、このライブ盤では、まずまず溌剌と演奏しており、バリバリ吹きまくるという感じでは無いが、丁寧にリラックスして、なかなか味のあるトランペットを聴かせてくれる。

何か特別に凄いところがある訳では無いドーハムのペットではあるが、堅実に吹ききっている。もともとハイテクニックの人じゃ無いし、バリバリ吹きまくる人でも無い。でも、中域の音程を中心にしつつ、ミッドテンポのインプロビゼーションを展開し、ペットの音が丸くて柔らかい。ちょっと「下手うま」なところもあって、一度聴くと、ドーハムのペットの音って判るほど、個性的な音をしている。

そんなドーハムの、1963年当時のライブハウスでのライブ・パフォーマンスの普段の演奏レベルや演奏の様子が、このライブ盤を通じて良く判る。これほどのレベルのライブがコンスタントに繰り広げられているとしたら、当時のモンマルトルのお客さんって幸せだよな〜。凄く素晴らしいライブ・パフォーマンスというほどでは無いが、聴いていて心地良い、なかなか内容のあるライブ・パフォーマンスである。

そして、リズム・セクションが良い。1963年当時のハードバップ・ジャズとしては、モダンな部類に入るのでは無いか。1950年代には無い、そして、米国には無い、独特の響きが「粋」だ。欧州ハードバップ・ジャズのレベルの高さを感じる。

『Scandia Skies』、邦訳すると「スカンジナビアの空」。スカッと晴れ渡った空に違いない。秋たけなわの陽気に「欧州ハードバップ・ジャズ」が良く似合う。今日のアルバム鑑賞の成果である。

 
 

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2013年10月26日 (土曜日)

ファンク・フュージョンを見直す

1970年代前半は「クロスオーバー・ジャズ」の時代。メインは、ジャズとロックの融合。8ビート、そして、エレキ楽器の積極導入がメイン。聴き味をまろやかにするのは、イージーリスニング・ジャズ。ストリングスを効果的に導入して、耳当たりの良いジャズを現出した。

そして、1970年代後半のフュージョン・ジャズは、その「クロスオーバー・ジャズ」の延長で、あくまで、8ビート+エレキ楽器の活用を極め、煮詰めていく方向と、その時代の流行の音楽、1970年代後半はR&Bとディスコの時代に追従し、ファンクネス溢れるR&B風のアレンジと、ディスコ・ミュージックを踏襲したメリハリの効いたリズム&ビートを導入した、ファンク・フュージョンに向かう方向と2手に大きく分かれた。

日本では、なかなか、ファンク・フュージョンは流行らなかった様な気がする。ファンク・フュージョンで踊るなら、本家本元のディスコ・ミュージックで踊ったほうが手っ取り早い。日本では、ディスコ・ミュージックは流行りに流行ったが、その変形である、根がジャジーなファンク・フュージョンは、あまりウケなかった気がする。

例えば、このLenny White『Streamline』(写真左)などはその好例。1978年のリリース。リーダーのレニー・ホワイトは、チック・コリアとの第2期Return to Foreverのドラマーとして、ハードなクロスオーバー・ジャズを展開、第2期Return to Forever解散後は、ソロとして活躍。このアルバムは4枚目のリーダー作。

冒頭の「Struttin」を聴くだけで、このアルバムは、ファンク・フュージョンなアルバム内容で在ることが直ぐに判る。ファンクネス溢れる、太いノリのリズム・セクション。踊ることを前提に作られたディスコ・ビートの導入。

鋼の様な、粘りとしなやかさのあるエレベは、若き日のMarcus Miller(マーカス・ミラー)。リーダーのレニー・ホワイトのドラミングは、意外にファンキーなことにビックリする。スティーブ・ガッドよりも円やかでこくのあるファンキー・ドラム。
 

Streamline

 
そこはかとなく、クロスオーバー・ジャズ時代の香り、ジャズ・ロック的な雰囲気は、ニック・モロックとジェイミー・グレイザーのエレギが醸し出している。このジャズ・ロックな雰囲気が、このアルバムの良いアクセントになっている。単に、あっけらかんとしたファンク・フュージョンなアルバムに終わっていないところが良い。

チャカ・カーンをフューチャーした、BEATLESのカバートラック「Lady Madonna」、どファンキーな「Time」も良い感じです。全編に渡って、なかなか良く作られた、味のあるファンク・フュージョンなアルバムに仕上がっています。

今の耳で聴き直すと、当時、なぜ日本で、ファンク・フュージョンがウケなかったのが不思議です。ファンクネスなリズム&ビートや、ファンキーなボーカルが、あまり馴染みがなかったことが原因でしょう。
 
何を隠そう、この僕も、このLenny White『Streamline』を初めて聴いた時は、ちょっとした違和感を覚えました(笑)。まあ、何度か繰り返し聴いていると、慣れもあって、違和感は無くなりましたが・・・。

ファンク・フュージョンの作品は、ボーカルが入っていたり、ポップな仕上がりとなっていたりで、ジャズとして聴くには、ちょっと抵抗のあるジャズ者の方々もいるかと思いますが、ここはジャズを離れて、米国ポップ・インストルメンタルとして、気軽に聴いてみると、なかなか味わいがあり、ジャズ・ロック的な雰囲気もあって、意外と聴き応えがあります。

 
 

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2013年10月25日 (金曜日)

ラテンからジャマイカな融合音楽

台風が接近しています。我が千葉県北西部地方では、朝は少し肌寒く、午後には、少し日が射したと思ったら、いきなり蒸し暑くなって、一日で体感気温がダイナミックに変化しています。

同じく、空の様子も、白っぽい雲が空を覆っていたと思ったら、鉛色の雲にとって代わって垂れ込めたりと、風雲急を告げるという感じの空模様です。

とにかく、この1週間ほど、スカッと晴れた日がありません。しかも、かなり肌寒い日が続いています。昨日など、最高気温が20度に届かず、北東の冷たい風が吹いて、11月中旬から下旬辺りの寒さで、思わず、冬服を引きずり出しての通勤でした。鬱陶しくて、なんか心が晴れない毎日です。

そんな時、せめて音楽だけでも明るくエネルギッシュなものを、と思いつつ、今日、選んだアルバムは、1970年代から80年代のフュージョン・ジャズからの選択。しかも、久々に日本のフュージョン・ジャズからの選択になります。本多俊之『シャングリラ』(写真左)。

1982年のリリース。もともと、本多俊之は「東洋がかった南方」な感覚がお好みとかで、このアルバムは、ワールド・ミュージックの要素を取り込んでの南方の海の明るさとアフリカン・ネイティブなエネルギッシュなリズム&ビートが素敵な、基本はラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズ色で一杯です。
 

Syangri_la

 
ラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズには、アルト・サックスの音色が良く似合う。ナベサダさんの様に、明るくエネルギッシュなラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズを踏襲しつつ、日本人独特のサラリとしたファンクネスを漂わせた、粘らないサラサラなリズム&ビートが特徴です。

どの曲も聴いて楽しい、聴いて明るい、聴いて踊り出したくなるような、自然と身体が動くような、ラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズ。聴いていて、心から明るくなり、聴き進めるについて、思わずニコニコしてしまいます。

決して難しいことはしていない。逆にシンプルさが際立つ内容ですが、これが良いんですよね。判り易く素敵なフレーズをテーマに、判り易く聴き易くインプロビゼーションを展開する。そういうジャズが聴いていて楽しいし、心地良い。この本多俊之の『シャングリラ』には、そんな雰囲気が溢れています。 

「ラクエン」や「チャイナママ」など、魅力的でキャッチーで良いですよね〜。とにかく、本多のアルトがポジティブで明るい。ジャケットも暖色系の、インド人のイラストっぽい感じの面白いジャケットで良い。タイトルのシャングリラとは「地上の楽園」といった感じの意味だけど、このジャケットとアルバムに入っている音、それぞれ、ズバリ「地上の楽園」って感じで良いです。

元気の欲しい時、明るさが欲しい時、このアルバムは、社会人1年生の頃から、都度、ターンテーブルに載ってきました。そうそう、このアルバム、CDのリイシューが僅少で、なかなかCDとして入手するのが難しいのですが、最近、ダウンロードサイトに音源がアップされる様になりました。かなり入手し易くなったことは喜ばしいことです。 

 
 

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2013年10月24日 (木曜日)

明るく心が温まるようなジャズ

今朝の気温は、まだ10月というのに晩秋終わりの様な薄ら寒さ。思わず、冬服を引きずり出して着ました。今の僕には冷えは大敵ですからねえ。

しかし、これだけ天気が悪いと心まで暗くなります。どんより鉛色の空。薄ら寒い風。スカッと晴れる日が少ない。「天高く馬肥ゆる秋」はどこへ行った、と嘆きたくなるような天気の悪さ。しかも寒い。せめて音楽だけでも、明るく心が温まるようなジャズを聴こう、ということで、今日はフュージョン系のジャズ・ボーカルを選んでみました。

Randy Crawford & Joe Sample with Steve Gadd & Nicklas Sample 『Live』(写真左)。Randy Crawford(ランディ・クロフォード)が、Joe Sample(ジョー・サンプル)のトリオを従えて、2008年10月から12月にかけて行った欧州ツアーのベスト・テイクを収めたライブ盤になります。

ちなみにパーソネルは、Randy Crawford (vo), Joe Sample (p), Steve Gadd (ds), Nicklas Sample (b)。ベースのニクルス・サンプルは、ジョー・サンプルの息子。ボーカルのランディ・クロフォードは、クルセイダーズの「Street Life」での熱唱がしっかりと記憶に残っています。

コンテンポラリーなフュージョン・ジャズをベースにしたジャズ・ボーカルで、ダイナミックな演奏をバックに熱気溢れるもの。エネルギッシュでポジティブな雰囲気は実に魅力的。聴き進むにつれて、聴いている方も心からノリノリになります。
 

Joe_sample_randy_crawford_live

 
クルセイダーズの「Street Life」の熱唱を振り返ると、クロフォードのボーカルは粘っこくファンキーなボーカルという印象が強かったのですが、このライブ盤でのクロフォードのボーカルは、確かに粘っこくファンキーなものですが、良い意味で枯れた味わいが出て、併せて深みが伴って、なかなかに聴き応えがあります。

クルセイダーズの「Street Life」のリリースが1979年、このライブ盤が2008年。クルセイダーズの「Street Life」からこのライブ盤まで29年、約30年の年月が流れたことになります。この年月が良い意味で、クロフォードのボーカルを熟成させていたのでしょうか。余裕のあるボーカルで良い味出しています。 

ジョー・サンプル、スティーブ・ガッド、ニクルス・サンプルのリズム・セクションも、なかなか味のあるバッキングを醸し出していて、実に粋なリズム・セクションだ。ジョー・サンプルのピアノはなんとなく歌伴をイメージ出来たんだが、スティーブ・ガッドがこんなに歌伴に相応しいドラミングをするとは思わなかった。

さすがは、スティーブ・ガッドである。純ジャズなトラディショナルなジャズ・ボーカルでは無い、ちょっとポップでコンテンポラリーなジャズ・ボーカルに仕立て上げているのは、ガッドのドラミングの成せる技。

内容的には再演曲が多めで聴いていて楽しい。ダイナミックな演奏をバックに熱気溢れるものですが、内容的には意外と渋くて落ち着いたものです。そもそもは秋のスカッと晴れた日にかけたくなるようなライブ盤です。

 
 

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2013年10月23日 (水曜日)

ハードバップで気分を明るく...

このところ、台風の影響なのか、どうも天候不順でいけない。秋たけなわの10月はどこへいったのだろう。スカッと晴れることが無い。秋とは言いながら、このところの天候不順を鑑みて、熱気溢れる典型的なハードバップなジャズで気分を明るくしたいな、と思いつつ選んだアルバムがこれ。

Kenny Dorham『The Arrival of Kenny Dorham』(写真左)。1960年1月の録音。Charlie Davis (bs), Edward Warren (b), Arnold Enlow (ds), Tommy Flanagan (p), Kenny Dorham (tp)。時期的には、ハードバップ期の後期の録音になる。

ハードバップ期の後期の録音とは言え、殆どの演奏が、典型的なハードバップなスタイルで踏襲されている。一部、実験的というか、先進的なアレンジと展開が垣間見える曲があるが、基本的には、典型的なハードバップな演奏が中心。

このアルバムでは、意外と溌剌なペットを吹きまくるケニー・ドーハムを聴くことが出来る。ケニーのペットは、ミッドレンジの音程を中心に吹き上げ、音はエッジが丸くホンワカしており、音は真っ直ぐでありながら幾ばくか短い。バリバリに吹きまくって目立つ風でも無く、地味でトランペットとしては寂しい、という線が細いというものでも無い。
 

The_arrival_of_kenny_dorham

 
良い意味で「ハードな演奏を旨とし、限りなく中庸ではあるが、聴き心地が良い」トランペットなのだ。ケニーのトランペットに一度馴染んでしまったら、とことんである。キッチリと癖になる(笑)。

ケニー・ドーハムのペットは、一種危なっかしいところがあって、テクニック的にも水準以上のものがありながら、一部「およよ」とスベっているところがあったり、気が付かない程度のミストーンがこっそり入っていたりするんだが、このアルバムでのドーハムは、危なっかしいところを吹き飛ばさんばかりにポジティブに溌剌と吹いており、勢いだけで一気に聴き通してしまう。

このアルバムの2ヶ月前の吹き込まれた、ケニーの代表作の一枚とされる『Quiet Kenny(静かなるケニー)』と同様、ピアノのトミー・フラナガンが効いている。フラナガンのピアノが出てくる毎に、「おおっ」と耳をそばだててしまうくらい、フラガナンのピアノは良い。メロディアスで、そこはかとなくファンキーで、そんなアドリブ・フレーズが印象的。

バリトン・サックスのチャールズ・デイヴィスの良いアクセントになっている。ややもすれば、ちょっと優しい感じのハードバップになりがちなドーハムのペットに、低音をブリブリいわせた豪快なブロウで、硬派な印象をミックスして、メリハリの効いたハードバップな演奏に仕立て上げている。

ハードに硬派に吹きまくるドーハムを体験するに相応しい、ハードバップな佳作である。ジャズ・トランペット者の中級者以上の方々にお勧め。決してケニーが「静かなる人」では無いことを、ケニーがハードバッパーであることを体験するに良いアルバムだと思います。

 
 

大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年10月22日 (火曜日)

明るく溌剌としたジャズが良い

このところ、台風の影響なのか、スカッと晴れることが無い。10月と言えば、晴天率が高く、秋たけなわの過ごしやすいシーズンのはず。しかし、今年は、その「秋たけなわ」を全く感じる事が無い。ドンヨリした鉛色の雲が漂い、もう初冬、冬に入ったかのような雰囲気である。

こんな時に、シンプルで感傷的なジャズ、例えば、ピアノ・ソロなどは、もってのほか(笑)。寂しくなって、気分まで暗くなってしまいます。やはり、明るく溌剌としたジャズが良いでしょう。秋とは言え、このところの天候不順を鑑みて、ハードバップなジャズで気分を明るくしたいな、と思います。

そこで、選んだアルバムが、Dizzy Gillespie『Sonny Side Up』(写真左)。ヴァーヴのオーナー&プロデューサーであるノーマン・グランツお得意の有名ジャズマン同士の共演ジャム・セッション。1957年12月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp, vo), Sonny Stitt (ts), Sonny Rollins (ts), Ray Bryant (p), Tommy Bryant (b), Charlie Persip (ds)。

ビ・バップのリーダーであるDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)と、当時テナーの筆頭スターであったSonny Rollins(ソニー・ロリンズ)、さらに、サックスの職人Sonny Stitt(ソニー・スティット)も、本職のアルトを置いて、テナーで参戦。3者共に、ミュージシャンとして好調な時期のジャム・セッションなので、内容としてもなかなかのものに仕上がっている。

典型的なハードバップな演奏展開である。とにかく、聴いていて楽しい。テーマを皆で吹き上げて、順番にインプロビゼーションに突入する。持ち前のテクニックと歌心を惜しみなく出し切って、朗々とダイナミックにインプロビゼーションを展開していく。
 

Sonny_side_up

 
有名ジャズマン同士の共演というのは企画としては安直ではあるが、このアルバム『Sonny Side Up』については、ジャム・セッションとして内容充実、アルバムとして成功を収めている。

やはり、当時の若手スターのロリンズと、ベテラン職人のスティットのテナー・バトルが聴いていて楽しい。熱気溢れるブロウを繰り広げていて、とにかく楽しい。そこに、リーダー格のガレスピーのトランペットが絡んで、これまた、ハイ・テクニックで熱気溢れるブロウを展開する。

冒頭の「On The Sunny Side of the Street」が良い。スタンダード曲として、曲の旋律も印象的で、ちょっとルーズな感じのゆったりとしたテンポで、フロント3人それぞれが、それぞれの個性でテナーをペットを吹き上げていく。

バックのリズム・セクションは堅実。地味ではあるが、出しゃばらず、引っ込まず、しっかりとリズム&ビートのキープに徹する。このバックのリズム・セクションの健闘も、このジャム・セッションを成功へと導いた一因だろう。

時には、こんなオールド・スタイルのハード・バップも良い。アレンジもなかなか優れていて、聴いていて飽きない。ガレスピーのペットを愛でるにも良い佳作である。

 
 

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2013年10月21日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・28

ジャズは懐深い音楽ジャンルで、他の大抵のジャンルの音楽と融合したり、そのエッセンスを吸収したり、他の音楽ジャンルに対して、かなり柔軟な音楽フォーマットである。

古くは、ラテン音楽のエッセンスを吸収して「ラテン・ジャズ」が流行ったり、ボサノバのエッセンスを吸収して「ボサノバ・ジャズ」が流行ったり、ロックの8ビートと誘導して「クロスオーバー・ジャズ」が流行ったり、クロスオーバー・ジャズにAORのソフト&メロウな要素を吸収して「フュージョン・ジャズ」が流行ったり、アフリカのネイティブな民族音楽と融合してみたり、ジャズは他のジャンルの音楽に対して、かなり柔軟である。

ジャズのミュージシャンと他のジャンルのミュージシャンと共演する、いわゆる「異種格闘技」的なセッションも厭わない。この「異種格闘技」的なセッションは、時に素晴らしい「化学反応」を起こし、単なる「共演」の音を通り越した、ジャズ+αの唯一無二な音世界が展開されたりする。

さて、その「異種格闘技」的なセッションとして、2011年4月ニューヨーク、リンカーン・センターで、エリック・クラプトンとウイントン・マルサリスの共演による、ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合によるスペシャル公演の模様を収録したライブ盤、Wynton Marsalis and Eric Clapton『Play The Blues - Live From Jazz At Lincoln Center』(写真左)がリリースされた。2011年9月の事である。

この「異種格闘技」的セッションの触れ込みは「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」。ウイントン・マルサリスが全ての曲をアレンジするほどの気合いの入れよう。また、クラプトン自身は、ジャズに対する畏敬の念を持っており、どこかでジャズとの「異種格闘技」を期待していたようである。
 

Play_the_blues

 
かっての「ジャズ界の貴公子」ウィントン・マルサリス、「ブルース・ギターの神様」エリック・クラプトン。さて、この2大ミュージシャンが「異種格闘技」をしたら、どんな化学反応が起こるのか。このライブ盤の興味はその一点に尽きる。

しかし、ちょっと肩すかしを食らう。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」が狙いであったのだが、どうも全編に渡って「融合」したという雰囲気は無い。当然、化学反応も起こっていない。演奏のレベルは高いものがあるだけに実に惜しい。

ニューオリンズ・ジャズの部分は、さすが腕利きミュージシャンを集めてのセッションなので、まずまず聴き応えがある。が、なんだかちょっと「きれい」なのが気がかり。ジャズならではの、良い意味でのラフさが無い。書かれた譜面を基に演奏しているような、綺麗なニューオリンズ・ジャズ。

ブルース・ギターの方は、ジャズを意識しすぎたのか、ブルース・ギターのブルージーさが、ジャズのブルージーさの取って代わって、なんだか良くわかならい雰囲気の演奏になってしまった。誤解してほしくはないのだが、クラプトンのプレイは水準以上で、なかなかのプレイを披露してくれている。しかし、いつもの、感性でバリバリ弾きまくるクラプトンでは無いのだ。

「なんだかなあ」という内容は実に残念。特に、あの名曲「レイラ」をジャズ・ボーカル風なバラード・チックなアレンジに仕立てあげた意味が良く判らない。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」の一例として、一度聴く価値はあるとは思うが、ヘビー・ローテーションにはならないだろう。それぞれの演奏は水準以上なのだが、何かが足らないのだ。

「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」としては、こんなアルバムあったんや、なんですが・・・。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」の化学反応を狙って、予定調和に陥ってしまったようなライブ盤。演奏のレベルは高いものがあるだけに実に惜しい。
 
  
 
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2013年10月20日 (日曜日)

『Rubycon』という傑作盤

ドイツ・プログレの雄、シンセ・ミュージックの老舗、タンジェリン・ドリーム。1974年、メジャーのVerginレーベルに移籍して以降、メロディアスなフレーズと、シーケンサーを活用したリズム&ビートを導入。グループ結成当初の現代音楽風な幽玄でフリーキーな音世界から、シンセサイザーを最大限に活用、拡がりのある幽玄なメロディーと展開を基本とした、プログレッシブ・ロック風の音世界を獲得した。

その最初の成果が、Verginレーベルに移籍第2作目、通算5枚目のアルバムである『Rubycon(ルビコン)』(写真左)。1975年のリリースになる。この『Rubycon』に収録された楽曲は、僕はFMでリアルタイムに聴いた経験がある。

当時は、このタンジェリン・ドリームの音世界は、プログレッシブ・ロックというよりも、単純にシンセサイザー・ミュージックとして捉えて聴いていた様に思う。

とにかく、ロック・バンドに必需品であるギター、ドラム、ベースが無い。シンセサイザーとシーケンサーをベースとした音楽である。1975年当時の、ロックを聴き始めて2年目の僕には、このタンジェリン・ドリームの音世界を的確に表現する知識を持ち合わせてはいなかった(笑)。
 

Rubycon

 
『Rubycon』の音世界は、じっくり聴き耳を立ててみると、最初は「歌のないピンク・フロイド」に感じる。確かに、フレーズのところどころに、ピンク・フロイドで聴いたことのある展開が顔を出す。思わずニンマリしてしまう。つまり、それだけ、タンジェリン・ドリームの音世界がメロディアスになって、聴き易くなったということである。

『Rubycon』は、1. Rubycon (Part One) と、2. Rubycon (Part Two) の2曲のみで構成される。LP時代は、A面に「Part One」を、B面に「Part Two」を配していた。この1曲17分程度の「長い曲」、そして、シンセサイザーを活用していること、観念的でスペーシーな拡がりと展開という特徴から、この音世界はプログレッシブ・ロックと評して良いと思う。

しかし、この長い曲を、タンジェリン・ドリームは、一気に退屈させずに聴かせてしまう。このアルバムの展開と構成、演奏テクニックは凄い。シンセサイザーのみの音世界は、無限の音とイメージの拡がりを感じさせ、幽玄な雰囲気を醸し出す。シーケンサーを活用したリズム&ビートは、ある種の心地良い緊張感を醸し出す。タンジェリン・ドリームのみが出すことの出来る、個性的な音世界。

タンジェリン・ドリームは、彼らのバンドの歴史の中で、幾度か、音世界のスタイルが変化していくんだが、僕達が真っ先にイメージする「タンジェリン・ドリームらしさ」が色濃いのはこの頃の作品でしょう。タンジェリン・ドリームの音世界の原点の一つを体感できる、素晴らしい作品だと思います。

 
 

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2013年10月19日 (土曜日)

タンジェリン・ドリームの傑作

タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)は、ドイツのロック・シンセサイザー音楽グループ。最近、タンジェリン・ドリームのアルバムの聴き直しをし始めた。

タンジェリン・ドリームと初めて出会ったのは高校時代。確か、1975年、NHKーFMでオンエアされたタンジェリン・ドリームを聴いたのが初めてだと記憶している。どのアルバムの曲を聴いたのかは定かでは無い。しかし、スピーカーから流れてくるシンセのみで構築された、幽玄かつ浮遊感のある、かつ、ハイテクニックで構成力のある演奏に耳を奪われた。

しかし、当時、近くのレコード屋に行っても、当時、まだまだマイナーで遠いドイツのプログレのアルバムなど、置いている筈も無い。タンジェリン・ドリームのアルバムを手にしたのは、大学に入ってから、1978年のことになる。

初めて手にしたアルバムは『Phaedra(フェードラ)』(写真左)。1974年、Pinkレーベルから、メジャーのVirginレーベルに移籍後初のオリジナル・アルバムである。ドラムやベース、ギターなど、ロック・バンドに必須な楽器は全く無し。ボーカルも無し。シンセなどのキーボードを中心に、当時、開発されたばかりのシーケンサーを活用した音作りが独特の個性。

Pinkレーベル時代の、ノイズまじりのシンセ音、幽玄で漂う様な音、イメージを音に投影するような作風から、このメジャーレーベルに移籍した4thアルバムは、音の旋律化、部分的にではあるがリズムの採用で、演奏内容として、アナログ・シンセによる広大なスケールと躍動感が加味され、音楽として聴き易い内容に仕上がっています。
 

Phaedra

 
現代音楽の影響を受けているタンジェリン・ドリームですから、Pinkレーベル時代の3作は、いずれも現代音楽的で難解、かつ晦渋な作品で(実はこれはこれで素晴らしい内容なんですが)、ジャズで例えれば「フリー・ジャズ」。ちょっと、とっつき難いところが難点でしたが、この『Phaedra(フェードラ)』は、現代音楽風の尖った印象を残しつつ、そのとっつき難さを上手く緩和しています。

但し、幽玄で漂う様な音が中心なので、LPレコード時代は、スクラッチ・ノイズは大敵でした。ジックリと音に聴き入っていると、そこに「ブチッ」とか「チリチリ」とかスクラッチ・ノイズが入る。せっかく、ジックリと音に聴き入っていたのに、気分は台無し(笑)。そういう難点は、CD化されてから解消しました。今では、心ゆくまでアンプのボリュームを上げることが出来ます。

リズム&ビートは必要最低限に絞って適用され、ビートの聴いたロックなアルバムとして聴くと、肩すかしを食らいます。印象派的な幽玄かつ濃淡豊かな音世界を愛でるのに相応しいアルバムです。

僕がロックの演奏において、シーケンサーというものの存在をハッキリと認識した、記念すべきアルバムでもあります。シンセ好きにはこたえられない、観念的な印象派的なプログレッシブ・ロックの佳作です。

 
 

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2013年10月18日 (金曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その7

ジャケットの「一目惚れ・ジャケ買い」なアルバムをテーマにシリーズでご紹介しています。最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを、そして、一昨日からは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」なアルバムをご紹介しています。

さて、今日の「脚線美の誘惑」なジャケットは、Johnny Smith(ジョニー・スミス)の『Walk, Don't Run!』(写真左)。1954年の録音。ジャケットの「脚線美」は、ちょっと地味だけど、これはこれでなかなかお洒落なジャケット写真である。また、この写真の雰囲気が、このアルバムの内容を代弁している。

ジョニー・スミスは、大ベテランのジャズ・ギタリスト。惜しくも、今年の6月、鬼籍に入ってしまいました。享年90歳。ジャズ・ギターの音としては、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターが特徴。

ジョニー・スミスのギターは、シンプルが故に繰り返し集中して聴いていると、ちょっと飽きが来ますが、ときおり引き出してきては聴き耳を立てると、そのシンプルさ故に、凄く判り易く、そのソフト&メロウな弾き回しは、実にしみじみとしていて、聴き応えがある。

しかし、このジョニー・スミス、何故か良く判りませんが、日本では不当過ぎるほど知られてはおらず、また評価もされていません。ジャズ・ギターの紹介本なんかでも、辛うじて、スタン・ゲッツ、ズート・シムズを迎えた名盤『バーモントの月』がたまに挙げられるくらいでしょうか。
 

Walk_dont_run

 
渋すぎるんでしょうね。米国では恐らく、日本よりももっと受けが悪いのではないかと推察しています。とにかく、ソフトでシンプル。大がかりな仕掛けなど無縁、シングルトーンをベースに、スタンダードの美しいメロディを紡ぎ上げ、小粋な節回しでインプロビゼーションを展開する。

とにかく良い意味で地味なんですね。そういう観点から見ると、日本人好みのギターと言えるのですが、あまりにレコード会社やジャズ評論家の扱いが低過ぎる。これでは評価されるはずがありません。

このJohnny Smith『Walk, Don't Run!』は、そんなジョニー・スミスのギターを愛でるのに、実に相応しいアルバムです。スタンダード曲ばかりを、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターで弾き上げています。あっさり味ではあるが心地よい余韻を残しつつのギターは実に味がある。

収録された各曲は、収録時間が2〜3分と短いものが多いのですが、この短さが潔い。変に多弁に冗長なアドリブを繰り広げるのでは無く、瞬間芸の様に、シンプルで印象的なフレーズをパパパッと弾き上げて、あっさりと仕上げる。シンプル・イズ・ベストを地で行くようなギター。実に潔い、実に粋なジャズ・ギターです。

「Walk, Don't Run」を和訳すると「急がば回れ」。なるほど「急がば回れ」の精神で、ゆったりとソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しをしない。まるで美味しいあっさり味の「お茶漬け」の様なジャズ・ギター。一旦はまると癖になります。

 
 

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2013年10月17日 (木曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その6

最近、ちょくちょくと、ジャズのアルバム・ジャケットの「一目惚れ・ジャケ買い」をテーマにシリーズで語っています。最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを4枚ほどご紹介しました。

そして、昨日からは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」をテーマに、「一目惚れ・ジャケ買い」な、アーティスティックで魅力的なアルバムについて、語っています。さて、今日の「脚線美の誘惑」なジャケットは、Ryan Kisor(ライアン・カイザー)の『Donna Lee』(写真左)。

このアルバム・ジャケット、どう見たって、いかついジャズのアルバム・ジャケットには見えないですよね。おそらくは、アルバム・タイトルの『ドナ・リー』から連想した、イメージ写真なのかしら、と想像しています。こちらのジャケット写真は、赤が基調で、赤のワンピースに赤のパンプス、表題の文字まで赤。まあ、デザイン的には「普通」かな。

加えて、CDの帯紙が金色で下の方がピンクには参った。女性をターゲットにした、ソフト路線を意識しすぎているのでは無いか。まあ、全体的に言って、ちょっと目の保養にはなるアルバム・デザインではあるが、まあ平均点レベルかな。

さて、アルバムの中身の演奏は、と言えば、これが「当たり」なのですね。「ジャケットの優れたアルバムに、ハズレは無い」という格言の逆をいく、嬉しい誤算的なアルバムなのですね、これが。ちなみに、パーソネルは、Ryan Kisor (tp), Sam Yahel (org), Peter Bernstein (g), Greg Hutchinson (ds)。2003年11月の録音になります。
 

Ryan_kisor_donna_lee

 
このライアン・カイザーという名前、もしかしたら馴染みの薄い名前かもしれないので、彼の経歴を簡単にご紹介しておきます。1973年4月、アイオワ州生まれのジャズ・トランペッター。

1990年「モンク・ジャズ・コンペティション」で優勝。1992年『One For Miles』でデビュー。ギル・エヴァンス・オーケストラやミンガス・ビッグ・バンドを経て、現在はマンハッタン・ジャズ・オーケストラにも参加。今や、中堅トランペッターの一人です。

さて、このアルバム、どこが「当たり」なのかっていうと、まずは、4曲目の表題曲「Donna Lee」が凄い。この曲、かのチャーリー・パーカーの名曲なのだが、これをトランペットとドラムスのデュオで演奏。圧倒的で、スリリングな演奏を聴かせており、まさに名演。緊張感あふれるトランペットが聴ける。

他の曲のどれも楽しく、聴きやすいものばかり。特に、冒頭のホレス・シルヴァー作の「Song For My Father」、7曲目、ナット・アダレイ作の「Work Song」、3曲目、ケニー・ドーハム作「Short Story」等のファンキー・チューンが楽しい。

「脚線美の誘惑」第2弾のRyan Kisor『Donna Lee』。どの曲でも、ライアン・カイザーの自由奔放で爽快感溢れるペットが堪能でき、印象的なフレーズが耳に優しい。ライアンのアルバムの中でのベストなアルバムと言っても、差し支えないほどの出来だ。

 
 

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2013年10月16日 (水曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その5

ジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、アーティスティックで、魅力的なアルバムを4枚ほどご紹介した。

今回からは、ちょっと目線を変えて「脚線美」をテーマに、「一目惚れ・ジャケ買い」な、アーティスティックで、魅力的なアルバムを何枚か、ご紹介したい。

ジャズのアルバム・ジャケットには、なぜか女性の美しい足を中心とした、優れたデザインのジャケットがある。僕は、70年代ロックのアルバム・コレクターでもあるのだが、ジャズの様に「女性の足」を中心としたジャケットってほとんど無い。ジャズならではのデザインなんだろう。そこで、今回のテーマが「脚線美の誘惑」(笑)。

ジャズのアルバム・ジャケットで「脚線美の誘惑」とくれば、ジャズ鑑賞のベテランの方々、皆、パッと浮かぶのが「これ」でしょう。ブルーノートの1588番、Sonny Clark『Cool Struttin'』(写真左)。

スリット入りのタイト・スカートを履いたキャリア・ウーマンらしき女性が、颯爽とマンハッタンを闊歩しているジャケット。く〜っ格好いい。しかも、白黒写真に白抜きの文字、そして、黄色の文字がさりげないアクセント。ジャズメンの写真を使わず、これだけインパクトのある、粋なセンスのジャケットはそうそう無いと思う。

クール・ストラッティン(Cool Struttin')とは、スラングで「いかした歩き方」てな意味になるそうな。やや短めのタイト・スカートから、太すぎず細すぎず、ほのかに色気漂う白い足と黒のスカート&パンプスの対比が実に素晴らしい。
 

Cool_struttin

 
この足の部分だけで美人を想像させるなんざぁ、いや〜小憎らしい演出である。CDサイズでもなかなかだが、LPジャケットサイズになると、迫力が増して、実に鑑賞に堪えうる、実に素晴らしいデザインとなるのだ。

さて、アルバムの中身の演奏と言えば「ジャケットの優れたアルバムに、ハズレは無い」。まず、ソニー・クラークのオリジナルが良い。ジャケット写真通りの「いかした歩き方」をジャズ演奏に置き換えたかの様な、覚えやすいメロディのタイトル曲がまず良い。ゆったりとしたテンポで、実にファンキーな演奏だ。

そして、マイナー調の2曲目「Blue Minor」でため息。このマイナー調のファンキーな演奏は、ハード・ バップ代表する名演だろう。ジャズの雰囲気バッチリです。あっという間にその世界に引き込まれてしまいます。

この冒頭2曲の演奏は実に強力。アート・ファーマーとジャッキー・マクリーンをフロントとする2管クインテットが素晴らしく、そのマクリーンの、ちょっとはずれたような泣きのアルトが情感たっぷりで大満足。

他の演奏もすこぶる好調で、ソニー・クラークのちょっと翳りのあるファンキーなピアノを愛でるに相応しい、優れた演奏ばかりです。しかし、どうしてこのアルバムが、アメリカのジャズ雑誌「ダウンビート」での初出時の評価が三つ星だったのか。日本では人気投票で常に上位に入る大名盤なのにね。

1958年録音の本作を聴くと、即座にハード・バップ全盛期にタイム・スリップ。とにかくこのアルバムには「これがハード・バップ、これがファンキー・ジャズ」といった当時の雰囲気が充満しているのだ。

 
 

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2013年10月15日 (火曜日)

『夜明けの口笛吹き』のモノ盤

2007年10月10日に発売された、Pink Floyd 『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』の 40周年記念デラックス版(写真左)を、まったく遅まきながら入手した。

確か、僕達が高校時代、1970年代中頃のこの『The Piper At The Gates Of Dawn』の国内盤の邦題は「サイケデリックの新鋭」だったような記憶があるのだが、今の「夜明けの口笛吹き」も、なかなか素敵な邦題だ。

ちなみに、この『夜明けの口笛吹き』は、1967年のリリース。ビートルズの『サージェント・ペパーズ』と同じ年にリリースされたピンク・フロイドのファースト・アルバムである。1967年のロック・しーんといえば、ずばり「サイケデリック」。LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ(またはペイズリー模様)によって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚(Wikiより引用)を音にしたものが最先端の流行だった。

僕は「サイケデリック」なロックを紹介する時、実は必ずこのピンク・フロイドの『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』を適正な音のサンプルとして選択している。このピンク・フロイドのデビュー盤に詰まっている音は「サイケデリック」の、実に判りやすいサンプルなのだ。

この40周年記念デラックス版を、まったく遅まきながら入手した理由は、Disc1の「モノラル盤」の存在。以前、一度モノラル盤のCD化がなされたが、その時は全く入手する気無しで全くのスルー。実は、ビートルズのモノラル・ボックスを入手し、モノラル盤の音の素晴らしさに触れて、モノラル盤が主流の時代のロック盤のモノラル・バージョンの存在意義を知った。
 

The_piper_at_the_gates_of_dawn

 
そして、『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』の 40周年記念デラックス版に、モノラル盤が同梱されていることを思いだし、Amazonを検索したら、まだ在庫があるじゃないですか。しかも、UK盤はリーズナブルなお値段。ということで、今回、購入に至った次第。

早速、モノラル盤を聴いてみましたが、これは素晴らしい。ステレオ盤が終始浮遊感のみを強調していた雰囲気濃厚だったのに対して、モノラル盤は、浮遊感に加えて音が塊となって迫ってくる。

ステレオ盤の浮遊感は、様に音を左右に振った、ちょっとスカスカな空間に漂う「軽い浮遊感」で、雰囲気的には「繊細でデリケートな、ちょっと神経質なサイケデリックな音」な印象です。少し散漫な印象が付きまといます。僕は、学生時代から、この「少し散漫な印象」がどうしても受け入れ難く、この『夜明けの口笛吹き』は、ピンク・フロイドのアルバムの中で、あまり聴かないアルバムでした。

しかし、モノラル盤の浮遊感は、密度があって音が奥に向って重なって、実に奥行き感豊かな「濃厚な浮遊感」とでも形容したら良いでしょうか。音圧が高く、音が太く、「ダイナミックで勇壮なサイケデリックな音」です。モノラルなので左右の拡がりは無いのですが、奥に向っての縦の拡がりと、それぞれの音の重なりが非常に明確。音のエッジも適度に丸く、聴いていて非常に心地の良い音です。

いや〜、モノラル盤の素晴らしさに感動しました。「これぞサイケデリック」な音ですね。このモノラル盤を聴いてしまうとステレオ盤が、ちょっとスカスカで、音が大人しく聴こえてしまう感じがします。面白いですね。ステレオが万能では無いし、モノラルであっても、音の重なり、密度、奥行きが豊かに表現されて、モノラル録音も捨てたもんじゃない。決めつけは良く無いですね。聴いて見て判断する。これが大切だと再認識しました。

暫くは、この『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』のモノラル・バージョンは愛聴盤になりそうです。

 
 

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2013年10月14日 (月曜日)

ジャズ演奏家の持つ「歌心」

ジャズの世界で、1960〜70年代のロック・ポップス・チューンの中で、一番カバーされたのは、やっぱり「ビートルズ」関連の楽曲だろう。ビートルズ・ナンバーのカバーだけで相当数のアルバムが作られたりするし、1〜2曲をちょっと織り交ぜたりするのも含めると、ジャズ・フュージョンの世界でもビートルズは大人気である。

まあ、ビートルズ・ナンバーのカバー・アルバムが一番沢山製作されたのは、ビートルズが実際に活動していた時代なので、ビートルズ人気に乗っかろうとする思惑が見え隠れはする。それでも、ジャズの世界では優秀なビートルズのカバーが相当数、存在する。

今、アルバム・タイトルが、ずばり、ビートルズ関連の題名のアルバムを思い浮かべただけでも、ウェス・モンゴメリーの『A Day iin The Liife』、ケイコ・リーの『Imagine』、 ジョージ・ベンソンの『The Other Siide of Abbey Road』、グラント・グリーンの『I Want to Hold Your Hand』、セントラル・パーク・キッズの『Play The Beatlles』、ヨーロピアン・ジャズ・トリオの『Norwegian Wood』、カウント・ベイシーの『Basie's Beatle Bag』等々、スラスラと軽く7〜8枚は出てくる。

いずれも、聴き応えのある優秀なカバー・アルバムばかりであるが、特に、私、松和のマスターお勧めのアルバムは、Wes Montgomery『A Day in The Life』(写真左)。1967年6月の録音。クロスオーバー・ジャズの筆頭レーベル、CTIレーベルからのリリース。このアルバムは、ウェスの優れたフュージョン・ジャズの先駆け盤です。

音楽家としてのウェスは、独特なオクターブ奏法と、アルバム全体に流れる、溢れるような「歌心」に最大の魅力があると思います。曲毎に曲の楽想にぴたりと合う素晴らしい直感的なフレーズを次々と繰り出してきます。このアルバムは標題曲はビートルズ・チューンですし、その他も印象的なメロディーが主体のポピュラーな曲が多く、ウェスの「歌心」を純粋に楽しめます。
 

Wes_a_day_in

 
聴いていて楽しいし、聴いていて、グッと惹き付けられます。演奏のテーマに選んだ楽曲の美しいメロディーを最大限に活かすよう、良く考えられたアレンジが素晴らしいですし、その優れたアレンジに乗っかって展開されるインプロビゼーションの印象的なフレーズが実に魅力的。いかにウェスが、優れた「歌心」を備えたギタリストだったかを強烈に再認識させられます。

ウェス・モンゴメリーの「A Day in The Life」を聴いていて思うのは、60年代〜70年代のロック ・ポップスを素材にした「ジャズ・スタンダード化」については、まず、演奏するミュージシャンのその演奏スタイルの中に「歌心」が感じられるかどうかがポイントとなるみたいですね。

その優れた「歌心」で、60年代〜70年代のロック・ポップスの印象的なメロディーをジャズに置き換えていく。そういえば、ハード・バップ期までのジャズ・ミュージシャンって「歌心」のあるミュージシャンが多かったような気がします。

「印象的なメロディー」を持つ楽曲という観点から、新しいジャズ・スタンダードについて考えると、ビートルズやローリング・ストーンズ、カーペンターズ、アバ、ビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、ボブ・ディランなど、60〜70年代、メロディー・メーカーとして活躍したグループやミュージシャンの曲が、新しいジャズ・スタンダードに一番近いところにいるのかもしれない。

ジャズ・ミュージシャンの持つ「歌心」と、1960年代〜70年代のロック・ポップス・チューンの「印象的なメロディー」の二つが、60〜70年代のロック・ポップスの名曲をカバーして、ジャズ・スタンダード化する重要な要素だといえる。

う〜ん、ジャズ・ミュージシャンの「歌心」という点が、現在のジャズ・ミュージシャンの最大のウィーク・ポイントかもしれないなあ。

 
 

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2013年10月12日 (土曜日)

硬派なフォーク・ロック路線へ

この9月から10月にかけて、書庫のCD棚の棚卸しとCDのデータベースの再構築を実施しました。2年半前の大震災の時、書庫のCD棚は完全崩壊したのですが、ジャズCDだけは再構築しました。しかし、70年代ロックとJポップのCDについては、とりあえず、CD棚に仮置きしたままでした。

さすがにあれから2年半。70年代ロックとJポップのCDについて、所有しているもの、所有していないものの判別がつきにくくなってきたこと、所有しているCDがどこにあるのか良く判らなくなってきたこと、この2点がかなり負担になってきたので、思い切って、書庫のCD棚の棚卸しとCDのデータベースの再構築を同時に実施することにしました。

そんな作業の中で、70年代ロックとJポップのCDについて、その全貌を再認識できたことは幸いでした。こんなアルバム持っていたんや、とか、そうそうこれは、生きているうちに聴き直さなきゃ、とか、聴き直したいCDがぞくぞくと再発見されました。

そんな中で、チューリップのアルバムの聴き直しを再開しました。そして、この『無限軌道』(写真左)というアルバムに、改めて感じ入りました。1975年3月のリリースのこのアルバム、僕は、この盤からチューリップのオリジナル・アルバムをリアルタイムで体験することになります。高校1年の3学期のことです。駅前のレコード屋に予約をいれて、発売日当日にゲットしました。

このアルバムは、ビートルズ・フレーバーがメインの音作りをベースとしたアイドル・バンド路線から自ら決別し、チューリップのオリジナリティーとサウンドを求めて、今から試行錯誤の旅に出る決意表明みたいなアルバムです。
 

Tulip_mugenkidou

 
1曲目の『心を開いて』がその決意表明にあたるのではないでしょうか。オリジナリティーの追求という点では、2曲目の『私は小鳥』と4曲目の『たえちゃん』。しかし、『私は小鳥』は、ポップな曲調を追求するあまり、当時の歌謡曲そのものになってしまいました。その当時、人気歌手だった『あべしずえ』が歌った曲です(あんまりヒットしなかったような思い出があるが)。

『たえちゃん』は、あまりにオリジナリティーに気を使うあまり、曲としては、まとまりが無く、冗長になっていますが、個々の音づくりには、評価できるものがあります。僕にとっては、1975年3月に初めて聴いて以来、この曲は常に隅におけない曲です。

8曲目は、18年後、リバイバルヒットとなった『サボテンの花』。このアルバムでの『サボテンの花』がオリジナル。アレンジがきめ細やかで地味なんですが、僕はこのアルバムのバージョンが一番好きです。可愛らしい曲といえば、10曲目の『ある昼下がり』。姫野さんがアコースティックギターをバックに、可愛く愛らしく歌う佳作だと僕は思っています。

試行錯誤の旅を今後もずっと続けて、二度とビートルズ・フレーバーがメインの音作りをベースとしたアイドル・バンド路線には戻ってこないぞ、という決意を感じるのが最後の『人生ゲーム』。歌詞の中に、サイモンとガーファンクルの『コンドルは飛んでいく』の日本語訳と良く似た部分があるのはご愛敬。当時、チューリップは、結構悩んでいたんだな、と密かに感じてしまう。

この『無限軌道』は、チューリップが硬派なフォーク・ロック路線を走り始めた、記念すべきターニング・ポイントとなったアルバムです。内容的には、前作の『ぼくがつくった愛のうた』とは似ても似つかぬ硬派な内容に、当時のファンや評論家は面食らったようですが、僕は、この『無限軌道』の内容はウエルカム。改めて、チューリップのファンになり直しました。

 
 

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2013年10月11日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・9

9月3日のブログ「音楽喫茶『松和』の昼下がり・2」(左をクリック)で、ギタリスト・岡安芳明の『Beautiful Friendship』をご紹介しました。岡安芳明と言えば、と記憶を辿れば、そうそう「東京銘曲堂(TMD)」のギタリストでした。

東京銘曲堂(TMD)と言えば、1999年に、川嶋哲郎 (sax)、岡安芳明 (g)、上村信 (b) という、ピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」という、珍しい組合せのトリオ。TMDの十八番は「ジャズ・スタンダード曲」。TMDは、「ジャズ・スタンダード曲」を中心に演奏するユニットとして結成されました。

メンバーそれぞれがリーダー・グループを率いており、恒常的な活動をしているユニットではありませんが、不定期に活動を継続、アルバムもなかなか魅力的なものをリリースしており、「知る人ぞ知る」存在として、ジャズ者ベテランの方々中心に一目置かれている存在です。

僕はこのTMDの演奏が好きで、まず、ピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオが醸し出す音が、実にシンプルで深みがあって美しいことが最大の特徴。

ピアノレス・ドラムレスなので、強烈なアタック音が無く、ダイナミックで音圧の高い演奏は期待できませんが、逆に、音の重ね方、音の取り回し方によって、演奏の陰影、抑揚がセンシティブに変化して、とにかく滋味溢れる、実に小粋でシンプルで判り易い演奏が実に魅力的。日本人の感性にピッタリ合う感じで、日本人向けのトリオ編成と言って良いかもしれません。

このピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオ編成が、「ジャズ・スタンダード曲」を題材にした演奏にピッタリなのですね。「ジャズ・スタンダード曲」の曲の良さ、コード展開の良さを愛でるに相応しいトリオ編成だと言えます。
 

Tmd_in_concert

 
そんなTMDのアルバムの中で、僕が愛して止まないアルバムが『In Concert - Live At Tokyo opera City』(写真左)です。2009年10月23日、東京オペラシティ・リサイタルホールでのライブ録音。

このピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオは、ライブでこそ、その個性が最大限に発揮される。
 
つまりは、ライブの一期一会のインタープレイにて、その個性が最大限に発揮されるのだ。特に、ミュージシャンとしては、持ち前のテクニックの高さが大前提となる。そして、その高いテクニックをベースに、お互いの音をしっかりと確認しながらの、高度なインタープレイを展開する。

音の重ね方、音の取り回し方によって、演奏の陰影、抑揚がセンシティブに変化するところが、ライブ演奏を聴くと、本当に良く判る。演奏のテーマに「ジャズ・スタンダード曲」をメインにするのは大正解。ピアノレス・ドラムレスなので、強烈なリズム&ビートが希薄で、音の間、リズムの間がとても効果的に響いて、演奏の芯の部分がクッキリと浮かび上がる。

穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」には、その雰囲気を壊さない、それなりのジャズ盤を流したい。決して、穏やかな時間の雰囲気を壊すこと無く、穏やかな時間を慈しむように流れていくジャズ。この東京銘曲堂(TMD)の『In Concert』というライブ盤は、そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」にピッタリの演奏内容です。

我がバーチャル音楽喫茶『松和』で、穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」の一時を慈しんでいるジャズ者の方々は、絶対にこう言いながら、この盤のジャケットを見に来ますね。「マスター、この盤、なんていうアルバム?」。

 
 

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2013年10月10日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・27

ジャズ盤とは不思議なところがあって、どうしてか理由は良く判らないのだが、ずっと昔にお蔵入りした録音が、ある日突然、陽の目を見ることがある。

例えば、トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)とジャッキー・バイアード(Jaki Byard)のピアノの名手2人が録音した『The Magic Of 2』(写真左)などがその好例である。

このピアノ・デュオ盤、録音は1982年2月の録音。1970〜80年代初頭、アメリカ西海岸のジャズ・ライヴの拠点であったキーストン・コーナーでの貴重な未発表音源。そんな魅力的な未発表音源が、突如、今年の2013年3月になってリリースされた。まさに「こんなアルバムあったんや」である(笑)。

トミー・フラナガンは、ハード・バップ時代から活躍したピアニスト。メロディアスでバップなピアノが個性。数々の名盤にピアニストとして名を連ね、「名盤請負人」なる異名を持つ。また、歌伴プレイが絶品で、あのエラ・フィッツジェラルドのバックを長年務めた。

ジャッキー・バイアードは、マルチ・リード奏者としての顔も持ち、チャールス・ミンガスの下で頭角を現したピアニスト。伝統的なアプローチをベースに、今までのジャズ・ピアノの様々なスタイルを織り交ぜ、自由自在な展開が個性。

フラガナンとバイアード、伝統的なアプローチをベースとしたところは同じだが、フラガナンは「メロディアスで端正」、バイアードは「様々なスタイルを持った自由自在な展開」と、やや正反対の個性を持つ、正統派ピアニストである。
 

The_magic_of_2

 
この2人が丁々発止とピアノ・デュオでやりあうのだ。面白く、楽しいに決まってる。確かに、このデュオ・ライヴ盤『The Magic Of 2』を聴くと、本当に楽しい雰囲気がビンビンに伝わって来る。キーストンコーナーでリアルに聴いている聴衆も、歓声を上げたり温かい拍手を送ったりと、とても楽しそう。

各々の個性を尊重しお互いを立てつつ、それぞれのテクニック溢れる個性的な展開が、実に美しい対比を生んでいて、聴いていてとても楽しいライヴ盤に仕上がっています。

二人とも、ハードバップな伝統的なアプローチをベースにしており、二人が連弾すると、リズム&ビートが増幅されて、ダイナミックなドライブ感が生まれているところが見事。

フラナガン、バイアード共にそれぞれ3曲ずつソロ・ピアノも披露していますが、これまた、これが絶品。特に、バイアードのソロ・ピアノは、僕はこの盤が初めての体験で、なかなか興味深いソロ・ピアノを堪能しました。フラガナンのソロ・ピアノは当然「絶品」です。

フラガナンとバイアード、息の合ったプレイで、聴き応え十分です。正式なライヴ録音では無かったらしく、音は「中の下」で、クリアな雰囲気に欠けるところがありますが、フラガナンとバイアードのデュオ演奏の楽しさが、その「音の悪さ」をカバーしてくれています。ジャズ・ピアノ好きのジャズ者中級者以上の方々にまずはお勧めかな。

 
 

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2013年10月 9日 (水曜日)

ハバードの変わり種アルバム

昨日に続いて、今日も「ハバード」ネタ。とにかく、ハイテクニックで器用なフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)。1970年代のクロスオーバー・ジャズのブームにも何の問題も無く、しっかりと「乗っかった」。

所属したレーベルが、クロスオーバー〜フュージョンの仕掛人の一人、クリード・テイラー率いるCTIレーベル。電気楽器、ストリングス、そして、8ビートを駆使して、大衆性溢れる、聴き心地の良いジャズを生み出していった。

そんなジャズのトレンドの流れの中で、ハバードはしっかりと泳ぎ切っていく。当時、最先端の一つだったフリー・ジャズの代表作である、コルトレーンの『Ascension』、オーネット・コールマン『Free Jazz』、エリック・ドルフィー『Out to Lunch』等にも参加した実績のあるハバードからして、忸怩たるものはあったのだろうが、そこは、ハイテクニックで器用なハバードである。全く自然に全く違和感無く、クロスオーバー・サウンドにキッチリと乗っかっている。

実は、1970年代、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズにおけるハバードのアルバムに駄作、凡作が無い。どのアルバムも、ハバードは好調だし、アルバムの出来も水準以上のものばかり。とりわけ、ハバードのトランペットの音色が素晴らしい。 

例えば、このFreddie Hubbard『Sky Dive』(写真左)もそんな佳作盤の一枚。1972年10月の録音になる。ちなみにパーソネルは、主だったところで挙げると、Freddie Hubbard (tp), Hubert Laws (fl), Keith Jarrett (p,el-p), George Benson (g), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Ray Barretto, Airto Moreira (perc), Don Sebesky (arr,cond)。

いやいや、今振り返ってみると、凄い面子ですね。皆、今や大ベテラン、ジャズ界の重鎮ミュージシャンばかり。そんな中、キース・ジャレットがエレクトリック・ピアノで参加しているところが珍しい。マイルスの下を辞して以来、ほとんどエレピは弾かないキースである。実に珍しい。

キースがエレピで参加しているクロスオーバー盤である。ミーハーな僕としては、即入手しても不思議では無いのだが、昨年まで、この盤を手にすることは無かった。なんでやろ、と思って収録曲を見渡してみると、なるほど、3曲目に「ゴッド・ファーザーのテーマ」が鎮座している。あの古典的名画「ゴッド・ファーザー」のニーノ・ロータ作曲のテーマ曲をクロスオーバー・ジャズとしてアレンジしたもの。
 

Sky_dive

 
「こんな俗っぽい曲なんて聴けるかい」と若気の至りで思ったんでしょうね。1990年代まで、この盤の存在は無視していました。気になりだしたのは、21世紀に入ってから。さすが、人間、40歳を過ぎると、物に対する許容量が増えるらしく、この3曲目の「ゴッド・ファーザーのテーマ」の存在についての「こだわり」も薄れた。しかし、逆に、今度は、この『Sky Dive』という盤自体が廃盤状態で入手困難となっていて困った困った。やっと昨年、中古盤にて、リーズナブルなお値段で入手しました。

さて、この盤でのエレピのキースについては、あまり特筆すべきプレイは見当たらない。確かにキースの手癖は感じるんだが、完全にサイドメンに徹していて、とにかくあまり目立たない。よって、エレピのキースを目当てにこの盤を入手する意義はあまり無いなあ、と僕は感じました。

しかし、この盤でのクロスオーバー・ジャズとしての演奏レベルは高い。まず、主役のハバードのペットが絶好調です。アレンジこそ、少し時代を感じさせるものがありますが、気になるほどではありません。そんなアレンジのちょっとした古さを吹き飛ばしてしまうほどのハバードの吹きまくり。ハイテクニックと相まって、目眩く展開に耳を奪われます。

ベースのロンも好調。フルートのロウズも好調。ギターのベンソンも弾きまくり絶好調。ドラムのコブハムも良い意味で叩きまくり。アレンジのちょっとした古さが良い方向に作用して、このアルバムは、1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの佳作の一枚に挙げられる内容となっています。

曰く付きの「ゴッド・ファーザーのテーマ」については、まあ、甘ったるいイージーリスニング・ジャズ的なアレンジが施されていて、ちょっと腰を引き気味になりますが、ハバードのバラード・プレイが絶品で、まずまず楽しめます。歳はとってみるものですね。音に対する許容量が増えて、経験が深まります(笑)。

キースがエレピで参加している、ハバードの変わり種アルバム『Sky Dive』。1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの佳作として、まずはクロスオーバー・ジャズ者の方々にはお勧め。中古盤でも入手し難い盤ではありますが、リーズナブルな価格で出ている中古盤を粘り強く探してみて下さい。たまには、こうやって中古盤を探し歩くのも、アルバム・コレクターの楽しみのひとつではあります。

 
 

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2013年10月 8日 (火曜日)

評価するに厄介なトランペッター

しかし、この人ほど、テクニックが素晴らしく、器用なトランペッターはいないと思う。そのトランペッターの名は「フレディー・ハバード(Freddie Hubbard)。

ハバードは、共演者との相性、共演者との組合せ、セッションの内容、プロデューサーの意向、録音地の環境等に対して、様々なスタイル、様々な音色で対応する。七変化である。トランペットの吹き方・音色に関する「あらゆる要請」に十二分に応える。そんな凄いテクニックと才能を持ったトランペッターである。

ここに、Freddie Hubbard『Outpost』(写真左)というアルバムがある。1981年3月の録音。ドイツはミュンヘンのEnjaレーベルでの吹き込みになる。プロデューサーは、Enjaレーベルの総帥ホルスト・ウェーバー。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Kenny Barron (p), Buster Williams (b), Al Foster (ds)。

パーソネルだけみると、アメリカンな純ジャズをガッツリやるメンバーの様な雰囲気なんだが、ドイツはミュンヘンのEnjaレーベルでの吹き込みということなのかどうかは知らないが、この『Outpost』全体を覆う演奏の雰囲気は明らかに「ヨーロピアン」。欧州ジャズの雰囲気満載の優秀盤である。

この盤でのハバードは、完璧なまでに「欧州ジャズ」的なトランペットを披露する。汗が飛び散る様な熱気溢れるハードバップなブロウは封印し、クールで端正で知的な「ヨーロピアン」なトランペットの音色が、このアルバムの最大の特徴。つまり「欧州ジャズ」的なハバードが聴ける、ちょっと面白い内容の盤である。
 

Outpost

 
しかし、本当に器用なものだ。1981年と言えば、ハードバップの再来として、テクニックと熱気溢れるブロウを引っさげ、米国でV.S.O.P. クインテットの一員として大成功を収めた直後。この盤でも、テクニックと熱気溢れるブロウを引っさげ「ガンガン」吹くかと思いきや、クールで端正で知的な「ヨーロピアン」なトランペットで冷静に吹きまくる。それまでの米国でのパフォーマンスからすると全くの別人である。

1981年と言えば、ジャズとしては「フュージョン・ジャズ」ブームの末期。メインストリーム・ジャズ復古のムーブメントまでには、もう少し時間を待たねばならない時代。フュージョン・ジャズでも無い。と言って、アメリカンな純ジャズをやっても、まだ「ウケる」時代では無い。そこにEnjaレーベルでの録音のオファー。思わず、従来のスタイルを変えて、完璧なまでに「欧州ジャズ」的なトランペットを披露する。

この器用さがハバードの才能でもあり、逆に物足りない面でもある。七変化のハバードを聴いていると、ハバードの個性って、どのスタイルの吹き方なんだろうと、思わず考え込んでしまう。どのスタイルも、最高のテクニックで最高の歌心で吹き切ってしまうのだ。しかも、どのスタイルも及第点どころか、かなりの高得点を獲得してしまうまでの素晴らしさ。

この盤『Outpost』では、ヨーロピアンなハバードを聴くことが出来る。なかなか珍しい欧州的なブロウ。それはそれで、十分に鑑賞するに値する素晴らしい内容ではある。クールで端正で知的な「ヨーロピアン」なトランペットが、秋の夜長に心地良い。

フレディ・ハバードとは、評価するに実に厄介な(笑)トランペッターである。

 
 

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2013年10月 7日 (月曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その4

ジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、アーティスティックで、男性にとっては実に魅力的なアルバムが多々ある。

さて今日はジーン・ディノヴィ(Gene Dinovi)の快作である。非常に口当たりの良い音を聴かせてくれるマシュマロ・レーベルの看板ピアニストであるジーン・ディノヴィが、70歳半ばにもなる年齢(録音当時)にも拘わらず、優しくも品のある、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる、なかなかのアルバムなのだ。

そのアルバムとは、Gene Dinovi『So in Love』(写真左)。2001年3月、カナダでの録音。ちなみにパーソネルは、Gene DiNovi (p), Neil Swainson (b), Terry Clarke (ds)。

さて、ジーン・ディノヴィというジャズ・ピアニストの名前、あんまり馴染みの無い方もおられるでしょうから、ここでちょっとご紹介しておきましょう。

ジーン・ディノヴィは、1928年5月26日ニューヨーク生まれ。1945年、ニューヨーク52番街でジャズ・ピアニストとしての音楽生活を始める。16歳の時ディジィー・ガレスビーのバンドに参加。ペギー・リーやリナ・ホーン、ダイナ・ショアの伴奏も務め、サヴォイ・デッカ等に録音を残す。

ニューヨークの活動の後、1960年代にはハリウッドに渡り、映画やテレビの音楽を担当。1970年代にはカナダのトロントに移りカナダのラジオ・テレビに出演。コンサート・クラブやレコーディング等の音楽活動を経て、1990 年来日時にマシュマロレコードと契約し、初のリーダーアルバム「Preciious Moment」をリリース。

その後、マシュマロレコードから計5枚のリーダーアルバムを出す。という経歴からすると、ジャズ・シーンでは、あんまり目立った活躍をすることなく、1990年代になって、なぜがブレイクしたという変わり種ピアニストです。
 

So_in_love

 
「非常に口当たりの良い音」と聞いて、ビル・エバンスを思いっきり甘ったるくした、ムード音楽のような耽美的なピアノを思い浮かべて「そりゃ勘弁」と思われる方も多いでしょう。その印象を持って、1曲目の「So in Love」の冒頭の演奏を聴くと「そら見たことか」となるのですが、この曲の途中の展開部から様相が変わります。

結構、ダイナミックな演奏が繰り広げられ、スイング感も抜群。このダイナミックな展開を演奏するピアニストが、本当に70歳半ばなのか、と耳を疑いたくなる。とにかく、しっかりとした、ダイナミックな、正統派な素晴らしいジャズ・ピアノです。是非とも、ご一聴を。

このアルバム、魅力的な女性の写真もさることながら、ジャケット全体の作りが非常に良い。CD時代になって、はや四半世紀が過ぎようとしている。その長い歴史の割には、ジャケットがお粗末のままだと思いませんか?

未だに、新譜などは味気ないプラスティック・ケース仕様が主流を占め、あまりCDならではのジャケット・デザインも見あたらない。紙ジャケットも良いが、CD時代ならではの、CDサイズ前提のアルバム・ジャケットはないものか、と思っていた矢先にこのアルバムに出逢った。

デジ・パック仕様でありながら安っぽさは全く無く、ジャケットは厚いコーティングを施した上質なもの。インナーはジャケットにしっかりと綴じ付けされており、本のようにページをめくりながら読めるのも楽しい。サイズも一回り大きく、迫力もあって、魅力的な女性のジャケット写真がグッと迫る感じ。

ジャケットは内容を表すというが、このジャケットを見て、ジーン・ディノヴィが「口当たりが良く、優しく品のある、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる」ことを至極納得した次第です。

 
 

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2013年10月 6日 (日曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その3

ジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、アーティスティックで、男性にとっては実に魅力的なアルバムが多々ある。

今日は、Art Farmer『To Sweden With Love』(写真左)をご紹介。邦題『スウェーデンより愛をこめて』。1964年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Steve Swallow (b), Pete LaRoca (ds)。ハードバップ全盛時代を超えて、モーダル・ジャズやフリー・ジャズ、ファンキー・ジャズなど、ジャズの多様化が進んだ時代。

ふっくらとした暖かいの音色が実に心地良い。アート・ファーマーのフリューゲル・ホーンに、スウェーデン民謡の旋律がよく似合う。

このアルバムは、ジャズのアルバムとしては珍しいのだが、全曲スウェーデン民謡で構成されている。録音場所もスウェーデンのストックホルム。ファーマーのカルテットがツアー中に、スウェーデンに立ち寄った際のご当地での吹き込み。

ジャズ化されたスウェーデン民謡と言えば、ジャズでは、スタン・ゲッツやマイルス・デイビスが演奏して有名となった「Dear Old Stockholm」があげられるが、この「Dear Old Stockholm」って、ノスタルジックな哀愁感が素敵な曲なんだが、題名の調子から、僕は最初、ゲッツかマイルスのオリジナルだと思っていた。いやいや、これがスウェーデン民謡と知ってビックリ。
 

To_sweden_with_love

 
この『スウェーデンより愛をこめて』に収録されている曲はどれもが、ノスタルジックな哀愁感が素敵な曲ばかりで、「Dear Old Stockholm」を通じてスウェーデン民謡の魅力を知った僕たちの期待を裏切らない。

このアルバムでのファーマーは、収録したそれぞれのスウェーデンの民謡のメロディを変にいじることなく、丁寧に唄いあげることで大正解な内容となった。哀愁感が素敵な旋律が、ファーマーのフリューゲル・ホーンのふっくらとした暖かい音色にベスト・マッチしているのだ。

また、ジム・ホールのツボを押さえた誠実なギターが、ファーマーのフリューゲル・ホーンの音色に彩りを添える。ピート・ラロカの適度に抑制の効いた理知的なドラミングも、今回のアルバム・トーンにベスト・マッチしていて立派。 ベースのスティーヴ・スワロウは内省的なベースで堅実にカルテットの底を支え、スウェーデン民謡が主題のそれぞれの曲で、感情過多になるのを戒めている。

ジャケットの金髪女性はスウェーデン女性なのかなあ。昔々、大学の頃、この女性のジャケット写真を眺めながら、遠く訪れたことの無いスカンジナビア諸国のことを思い浮かべ、なぜか「北欧」という文字の響きにノスタルジックな哀愁感を感じたものだ。

アルバムのジャケットには、様々な思い出が詰まっていて、飽きることがない。
 

 
 

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2013年10月 5日 (土曜日)

ホーズのトリオ盤を愛でる・2

ハンプトン・ホーズ(Hampton Hawes)のピアノ・トリオの3作目は「ワニのイラスト・ジャケット」で有名な俗名「ワニのアルバム」。Hampton Hawes『everybody likes Hampton Hawes vol.3 : the trio』(写真左)。

表ジャケットに書いてあるメッセージ。「皆が好きなハンプトン・ホーズ」。ワニもノリノリ、「ワニも気に入るハンプトン・ホーズ」。1956年1月25日のセッション。ちなみにパーソネルは、Hampton Hawes (p)、Red Mitchel (b)、Chuck Thompson (ds)。

このアルバムは、前2作に比べると、彼のピアノ・タッチの特徴である「オフビート感覚で、もったりとした粘りがあって、跳ねるような弾くようなピアノ」が醸し出す「ちょっと尖った雰囲気」が和らいで、その彼のタッチの特徴を残しつつ、柔らかで聴きやすいスタンダート中心のアルバムになっている。

とにかく、聴きやすいアルバムである。柔らかで和らいでいるが、ハンプトン・ホーズの特徴的なピアノ・タッチはしっかりと残っているので、ハンプトン・ホーズの入門盤としては、この「Vol.3」が良いのかもしれませんね。
 

Hampton_vol3

 
「Vol.2」は3つのセッションの寄せ集めだったが、この「Vol.3」は、全て、1956年1月25日のセッションで統一されており、演奏のノリ、雰囲気に統一感があって、少人数のパブでのライブを聴いているようだ。

「Polka Dots and Moonbeams」のドライなロマンチシズム溢れるバラード演奏を聴くと、なぜか「バラード演奏に問題有り」と良く評される、彼の特徴的なタッチからくる「バラード演奏の特徴」が、意外となかなかのものであることが良く判る。

湿気のある感情的にウェットなバラードでは無い、カラッとして感情的にドライなバラード演奏は小粋で良い。なにも、ベトベト、ジメジメしたバラード演奏だけが全てでは無い。

ハンプトン・ホーズの代表的なトリオ作品のシリーズとして、Vol.1、Vol.2、Vol.3、と3作ありますが、ジャケットはこのVol.3がダントツ、選曲の良さではVol.2、トータル・バランスでVol.1、だと私は思っています。とにかく、この3枚は甲乙付けがたい内容ですので、手に入るものでしたら、どれでもいいので、是非聴いてみて下さい。

 
 

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2013年10月 4日 (金曜日)

「追悼・マクパートランド」です

去る8月20日、ジャズ・ピアニストのマリアン・マクパートランド(Marian McPartland)が亡くなった。享年95歳。大往生である。

マリアン・マクパートランドは女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。オスカー・ピーターソン女性版と評されたこともある、スイング期からビ・バップ期を始めとして今日まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した、本格派のジャズ・ピアニストでした。

また、彼女は、1978年から、マクパートランドとゲスト・ミュージシャンとの会話と演奏がベースの、ジャズ版 「徹子の部屋」みたいな感じのラジオ番組「The Mariian McPartlland Piiano Jazz radiio shows」の司会を務めていました。

これが米国での彼女の知名度を上げた。ちなみに、第一回のゲストはビル・エヴァンスだったとか。 その他、Oscar Peterson、Dave Brubeck,Chick Koreaなんかも出演して、その内容はCDになっています。

マリアン・マクパートランドのリーダー作で、僕がよく聴く盤が、Marian McPartland & Friends『85 Candles : Live in New York』(写真左)。CD2枚組のライブ盤。

このアルバムは、2003年3月21日、マリアン・マクパートランドの85歳の誕生日を祝って、ニューヨークの有名ジャズ・スポット「バードランド」で行われたライブの録音。彼女が司会を務めていた番組のゲストや友人達とのセッションが中心なのですが、その豪華な共演者の顔ぶれにビックリ。
 
Mcpartland_85candles_2

 
冒頭の演奏から、その演奏メンバーを挙げると、Dave Douglas (tp), Phil Woods (as), Ravi Coltrane (ts), Bill Charllap (p), Gary Mazzaroppi (b), Glen Davis (ds) と新旧取り混ぜた名手ばかり。

2曲目に至っては、ボーカルが今をときめく Norah Jonesですぜ。そして、ノーラのバックを、マリアンのピノ・トリオが渋く務める。Jim Hall (g) もいる、Billy Taylor (p) もいる、James Wiliams (p) もいる。

等々、以下、CD2枚目のラストに至るまで、豪華なメンバーで、真摯なジャズが演奏されるのだ。演奏される曲も、スイングから新伝承派までバラエティに富んでいて楽しい。

「なんなんだ、このアルバムは」と嬉しくなって、思わず叫びそうになる内容。こんなライブアルバム、なかなかお目にかかれることは無い。いやはや、米国ジャズ界は奥が深い。

このアルバムの演奏内容は、それはもうジャズそのもの。ジャズの良心のような演奏ばかり。現在のジャズ界の最先端を行くような、トンガッた演奏では無いが、聴いていて、ほのぼのとするような、じっと耳を傾けたくなるような、素晴らしく真摯な演奏ばかりなのだ。しかも、どのセッションもフレンドリーな雰囲気で、マリアンのジャズメンとの交流の深さが伺えて素晴らしい。

マリアン・マクパートランド(Marian McPartland)、享年95歳。ご冥福をお祈りしたい。

 
 

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2013年10月 3日 (木曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その2

ジャズのアルバム・ジャケットはアート的に優れたものが多く、バリエーション豊か。その理由は良く判らないのですが、とにかく、ジャズのアルバム・ジャケットには、アート的な鑑賞に堪えうる、見て飾って楽しいジャケットが多くあります。

そんなジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、男性にとっては実に魅力的なアルバムが多々ある。

特に、女性ボーカルのアルバムに、その女性ボーカリストの秀逸な写真をあしらったアルバムが多いが、これは、まあ当たり前と言えば当たり前。なんせ、 そのボーカリストの写真をズバリ載せるのは常套手段ではある。

よって、ここでは、女性ボーカリスト以外がリーダーのジャズ・アルバムの中で、なぜか外国人女性の写真をあしらい、それがそのアルバムの内容にフィットしていて、また、そのアルバム自体も評価できる内容のあるものをピックアップしてご紹介したい。

今回は、Dave Brubeck(デイブ・ブルーベック)の『Angel Eyes』(写真左)。 1962年6月と1965年2月の2種類のセッションのカップリング。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Eugene Wright (b), Joe Morello (ds), Dave Brubeck (p)。ディブ・ブルーベック率いる黄金時代のカルテット・メンバーである。

いや〜、ジャズ盤における、外国人女性のアップ写真をあしらったモノとしては代表的なデザイン、代表的なイメージである。う〜ん、外国人女性の写真をあしらったジャズ・アルバムは、こうでなければいけない(笑)。
 

Angel_eyes

 
今では、CDサイズの小ぶりなジャケットになってしまったので、ちょっと可愛い、こぢんまりしたポートレート的なイメージになってしまったが、これが昔のLPサイズでは、 かなり迫力のある、かなり訴求力のあるイメージになる。これは、やはり、このジャケットを愛でるには、LPサイズでの鑑賞が最適。

さて、そのアルバムの内容と言えば、60年代にデイブ・ブルーベックがシリーズで出した「ソングブックもの」の一枚。この盤では、マット・デニスの作品集となっている。

マット・デニスは、本職はソングライター。その作品数は相当数に上る。マットの作風は軽妙で小粋でセンスの良い曲作りが特徴なので、デイブ・ブルーベックのハンマー奏法によるパキパキ・ピアノは合わないのではないか、と危惧してしまうのだが、これがなんとピッタリ合うんですねえ。

「大衆受けし過ぎ、軽過ぎ、判り易過ぎ」と、とかく軽んじられがちなブルーベックなのだが、その「大衆受けする、軽快で、判り易い」ピアノとアレンジという、彼の最大の特徴が遺憾なく発揮されている。
 
「大衆受けする、軽快で、判り易い」ブルーベックって良いじゃないか。 特に、マット・デニスの曲にフィットしていて軽やか。加えて、ポール・デスモントの優しいアルトが花を添える。

元祖イージーリスニング・ジャズ。「エンジェル・アイズ」「コートにすみれを」の2曲が特に心地良い。

 
 

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2013年10月 1日 (火曜日)

ホーズのトリオ盤を愛でる・1

ハンプトン・ホーズ(Hampton Hawes)は、「オフビート感覚で、もったりとした粘りがあって、跳ねるような、弾くようなピアノ」が特徴。

聴きなれれば、一聴して、ハンプトン・ホーズと判るほど、個性的なタッチです。僕にとっては、この個性的なタッチが「たまらない」。その疾走感溢れる演奏は、ビ・バップを彷彿させるもので、スピード感、ドライブ感たっぷり。

このHampton Hawes『This Is Hampton Hawes : Vol. 2, The Trio』(写真左)は、オリジナルの3曲目「Blues for Jacque」以外、ジャズ・スタンダードの有名どころがズラリと並ぶ、いわゆる「スタンダード集」。親しみやすいアルバム。

「スタンダード」というのは、様々なミュージシャンによって演奏されているので(だからスタンダード)、ピアノタッチなどの比較がしやすいし、ピアノ・タッチなどの特徴が明確に判る。
 

This_is_hampton_hawes

 
冒頭の「You and the Night and the Music(邦題:貴方と夜と音楽と)」などは、リズミックな曲調が特徴の曲で、ハンプトン・ホーズの特徴的なタッチにピッタリ合う。名演である。4曲目の「Yesterdays」も良い感じだ。中間テンポの曲に、ホーズの「オフビート感覚で、もったりとした粘り」が露わになる。実に個性的な響きに耳を奪われる。

6曲目の「'Round Midnight」を聴くと、ハンプトン・ホーズが普通の凡百なピアニストでないことが判る。作曲者のセロニアス・モンクのエキセントリックな面を強調しているような演奏で、この名曲を単に綺麗に演奏するのではない、ミステリアスさ漂う演奏が、ホーズがただ者でないことを証明する。

スタンダートがてんこ盛りのアルバムだからと言って、カクテル・ピアノっぽい、聴き易いアルバムだと思ったら大間違い。その大間違いが「ジャズを感じさせる名盤」としての勲章だったりするのだから、ジャズは面白い。

エリントンやパーカーの曲、自作のブルーズやロマンチックなスタンダードをどんどん弾きこなしていくハンプトン・ホーズは頼もしい。

 
 

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