ジャケ買い「海外女性編」その7
ジャケットの「一目惚れ・ジャケ買い」なアルバムをテーマにシリーズでご紹介しています。最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを、そして、一昨日からは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」なアルバムをご紹介しています。
さて、今日の「脚線美の誘惑」なジャケットは、Johnny Smith(ジョニー・スミス)の『Walk, Don't Run!』(写真左)。1954年の録音。ジャケットの「脚線美」は、ちょっと地味だけど、これはこれでなかなかお洒落なジャケット写真である。また、この写真の雰囲気が、このアルバムの内容を代弁している。
ジョニー・スミスは、大ベテランのジャズ・ギタリスト。惜しくも、今年の6月、鬼籍に入ってしまいました。享年90歳。ジャズ・ギターの音としては、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターが特徴。
ジョニー・スミスのギターは、シンプルが故に繰り返し集中して聴いていると、ちょっと飽きが来ますが、ときおり引き出してきては聴き耳を立てると、そのシンプルさ故に、凄く判り易く、そのソフト&メロウな弾き回しは、実にしみじみとしていて、聴き応えがある。
しかし、このジョニー・スミス、何故か良く判りませんが、日本では不当過ぎるほど知られてはおらず、また評価もされていません。ジャズ・ギターの紹介本なんかでも、辛うじて、スタン・ゲッツ、ズート・シムズを迎えた名盤『バーモントの月』がたまに挙げられるくらいでしょうか。
渋すぎるんでしょうね。米国では恐らく、日本よりももっと受けが悪いのではないかと推察しています。とにかく、ソフトでシンプル。大がかりな仕掛けなど無縁、シングルトーンをベースに、スタンダードの美しいメロディを紡ぎ上げ、小粋な節回しでインプロビゼーションを展開する。
とにかく良い意味で地味なんですね。そういう観点から見ると、日本人好みのギターと言えるのですが、あまりにレコード会社やジャズ評論家の扱いが低過ぎる。これでは評価されるはずがありません。
このJohnny Smith『Walk, Don't Run!』は、そんなジョニー・スミスのギターを愛でるのに、実に相応しいアルバムです。スタンダード曲ばかりを、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターで弾き上げています。あっさり味ではあるが心地よい余韻を残しつつのギターは実に味がある。
収録された各曲は、収録時間が2〜3分と短いものが多いのですが、この短さが潔い。変に多弁に冗長なアドリブを繰り広げるのでは無く、瞬間芸の様に、シンプルで印象的なフレーズをパパパッと弾き上げて、あっさりと仕上げる。シンプル・イズ・ベストを地で行くようなギター。実に潔い、実に粋なジャズ・ギターです。
「Walk, Don't Run」を和訳すると「急がば回れ」。なるほど「急がば回れ」の精神で、ゆったりとソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しをしない。まるで美味しいあっさり味の「お茶漬け」の様なジャズ・ギター。一旦はまると癖になります。
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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