最近のトラックバック

« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・4 | トップページ | 音楽のジャンルには意味が無い »

2013年9月11日 (水曜日)

『Africa/Brass』の正統な後継

ジョン・コルトレーンのアルバムに『Africa/Brass』というアルバムがある。タイトル曲「Africa」では、冒頭、野性的な咆吼や呪術的な響きを管楽器中心に表現していて、ちょっと「引く」。当時の米国黒人が意識していた遠い故郷「アフリカ」を安易にイメージさせるに十分な、ちょっと「ベタ」なアレンジがユニーク(2009年9月28日のブログ参照・左をクリック)。

このコルトレーンのアフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開については、アレンジを煮詰めていけば十分に成立するレベルの高いものであった。特に、後の「ワールド・ミュージック」のエッセンスを先取りしたような内容は、今から振り返れば、さすがはコルトレーンと言うべきものであった。

しかし、この『Africa/Brass』のセッションでは、コルトレーンのリーダー・アルバムでありながら、エリック・ドルフィー指揮のオーケストラを愛でることになるという、「軒下を貸して母屋を乗っ取られた」ような状態になってしまったので、コルトレーンは、アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開を追求することは無く、フリー・ジャズにひた走ってしまった。

コルトレーンの伝説のカルテットのピアニストに、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)がいる。実は、このタイナーが、アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開を、コルトレーンの代わりに追求することとなる。1968年のセッションから暫く、このアフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開を追求することになるのだ。

その一連のアルバムの中で、一番、その雰囲気濃厚なアルバムが、McCoy Tyner『Asante』(写真左)。1970年9月の録音になる。ちなみにパーソネルは以下のとおり。

McCoy Tyner (p, wooden-fl), Andrew White (as, oboe), Ted Dunbar (g), Buster Williams (b), Billy Hart (ds, African-perc), Mtume (cong, perc), "Songai" Sandra Smith (vo), Herbie Lewis (b), Freddie Waits (ds, timpani, chimes), Hubert Laws (fl), Gary Bartz (as, ss)。
 

Asante

 
ウッド・フルートやオーボエを交え、アフリカン・パーカッションを活用しつつ、アフリカン・ネイティブなボーカルを織り交ぜ、コルトレーンが追求することが無かった、アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的な演奏が展開されている。 

特に、冒頭のタイトル曲「Asante」がその雰囲気満載。アフリカン・アメリカンの心の音世界、アフリカン・ネイティブな音世界を上手く取り入れ、非常に上手くアレンジしている。タイナーのパーカッシブなピアノも、アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開の中では実に効果的に響き、ヒューバート・ロウズのフルートも実に官能的だ。

アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開のタイナーのアルバムとしては、1970年代より『Sahara』を推されることが多いが、どうしてどうして、僕は、この1968年から1970年までの、ブルーノートのセッションの方が優れていると思う。

残念なことは、このブルーノート・レーベルに残された、タイナーのアフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開のアルバムである「Expansions」「Cosmos」「Extensions」「Asante」が、日本においてなかなか入手が難しいこと。特に、「Expansions」「Cosmos」は廃盤になって久しい(というか「Cosmos」はCD化されたことが無いのでは)。

後の「ワールド・ミュージック」のエッセンスを先取りしたような、アフリカン・ネイティブな音世界をミックスした「ビッグバンド・ジャズ」的展開は、今の耳にも十分に耐え、新しい響きのように感じる。絶対に再評価すべき、タイナーのブルーノートの諸作である。

 
 

大震災から2年半。決して忘れない。まだ2年半。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・4 | トップページ | 音楽のジャンルには意味が無い »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/53226429

この記事へのトラックバック一覧です: 『Africa/Brass』の正統な後継:

« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・4 | トップページ | 音楽のジャンルには意味が無い »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ