こんなアルバムあったんや・26
昨日に引き続き「こんなアルバムあったんや」シリーズの26回目。「ちょっと変わり種のジャズ」、弦楽四重奏を中心としたジャズのアルバムをご紹介の第二弾。
今日は、Turtle Island String Quartet『The Sidewinder』(写真左)。今日の主役、タートル・アイランド・ストリングス・カルテット(以降「TISQ」と略)は、アメリカの弦楽四重奏をベースにしたグループ。
「タートル・アイランド」という地名はちょっと珍しい響きなんだが、これは1974年、アメリカの詩人ゲイリー・スナイダーが、ピューリッツアー賞を受賞した散文集「タートル・アイランド」に由来する。この「タートル・アイランド」=「亀の島」とは、アメリカの原住民が北アメリカ大陸の形が亀ににていることから「亀の島」と呼んだことからきている。
とまあ、マニアックな蘊蓄はともかく、このTISQは、ポップ・クラシック的な演奏する傍ら、デビューから3枚目のアルバムの中で、ジャズ・スタンダードやフュージョンの名曲を多数吹き込んでいる。その3枚のアルバムから、ジャズ系の曲をピックアップした、いわば、TISQによるジャズの弦楽四重奏的演奏のコンピ・アルバムとも言えるものがこのアルバム。
収録された曲を見ると「おっとこれは大丈夫なのか」と懸念を感じる選曲もあるにはあるが、このTISQ、それぞれのメンバーの演奏テクニックが秀逸で、どの曲も上手く弦楽四重奏で料理している。とにかくアレンジ能力が高い。
もともと、弦楽器系でジャズを演奏するとき、旋律を伸びやかに長々と弾き続けると間延びするので、いきおい、まずはリズミカルな曲が良いということになる。
そういう意味では、1曲目「Sidewinder」や2曲目「A Night In Tunisia(チュニジアの夜)」、7曲目の「Señor Mouse」などは、その成功例。弦のはじく感じとボウイングの伸びやかな感じがうまくブレンドされて、聴いていてとても楽しい。
また、あまりアレンジに気を遣わなくても、ジャズの楽曲の持つ旋律がその雰囲気において、おのずと弦楽器向けという曲がある。 例えば、5曲目の「Stolen Moments」などがその好例。この曲はジャズ・バイオリニストの寺井尚子さんも彼女のセカンド・アルバムで、この「Stolen Moments 」を演奏していますね。
6曲目の「Jaco」もそう。パット・メセニーの作曲だが、リズミカル、かつ、米国のカントリー・フォークを思い出させるような旋律は、弦楽四重奏にぴったり。
この盤は、選曲が良くて、演奏テクニックがしっかりしておれば、弦楽四重奏でも立派にジャズになる好例です。しかし、この盤、かの1980年代に聴きやすさを追求した「思いっきりイージーリスニング・ジャズ」の総本山として一世風靡した「ウィンダムヒル・レーベル」と知ったときには、ちょっとビックリした。
大震災から2年半。決して忘れない。まだ2年半。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« こんなアルバムあったんや・25 | トップページ | ジャケ買い「海外女性編」その1 »
コメント