アメリカン・フィーリングが秀逸
我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、このお盆休みの時期の特集として、夏の季節にピッタリな「70年代Jポップ」のアルバムをご紹介しています。さて、今日は1979年に遡ります。
1979年と言えば、日本の音楽シーンは、ニューミュージック・ブームの真っ只中。ニューミュージックとは、都会的な情景を織り交ぜたポップ調のサウンドを基調とするシンガーソングライターによる作品群である。
1970年代半ばより、明らかにニューミュージック時代生まれのグループや楽曲が出てきた。フォークや歌謡曲の洗礼を受けていない、ニューミュージックをやることを目標に出てきた連中。ヤマハ主催のポピュラーソング・コンテスト(ポプコン)で頭角を現わすことが多かったですね。
サーカスというコーラス・グループがある。デビュー当時は3人姉弟と従姉で結成され、その明らかにニューミュージックしたコーラスとバックの演奏は、一躍、スターダムにのし上がる。デビューシングルは『Mr.サマータイム』。懐かしいですね。大人の雰囲気を漂わせた、洒落て垢抜けたコーラスワークとジャジーな演奏が魅力的でした。
そして、1979年5月にセカンド・アルバム『ニュー・ホライズン』(写真左)をリリースする。僕は、このセカンド盤が一番気に入っている。1979年の夏は、このセカンド盤『ニュー・ホライズン』がヘビー・ローテーション。
垢抜けたコーラス・ワークが素敵である。とにかく上手い。日本のコーラス・グループでありながら、ライトでポップな感覚が素晴らしく、決してウェットにならず、チープに陥らない。カラッと乾いた米国西海岸の様な爽快感が特徴。日本語で歌っていても、リズム感が良く、ベタにならない。実に爽やかなコーラス・グループである。
バックバンドのメンバーも凄い。ドラムに村上秀一・高橋幸宏、ベースに小原礼、ギターに鈴木茂、キーボードに坂本龍一、パーカッションに斉藤ノブなどなど、錚々たるメンバーがバックを務める。これだけのメンバーがバックを演るのである。サラッとしているけど、よくよく聴くと、なかなか中身の濃い演奏を繰り広げている。そりゃあそうやろな、これだけのメンバーやもんな。
坂本龍一のアレンジが爽やかな、ライトで明るいディスコ・チューンの「MOVING」、これぞ和モノ・ソフトロックな「思い出のサーフ・シティー」、ライトなファンクネスが心地良い「愛のキャンパス」、ソフト&メロウなグルーヴがたまらない「六月の花嫁」、レゲエなリズムが明るく楽しい「夏の恋人」。夏にピッタリの爽快感あふれるコーラス曲が目白押し。
しかし、やっぱり一番はこの曲でしょうね。「アメリカン・フィーリング」。この曲は大好きです。歩くテンポのシンプルな出だしから、コーラスが少しずつ重なりながら旋律を奏で、そして、中間の短いリフを経て「サビ」のコーラスの展開。「今〜私は、コバルトの風〜、フィーリン・イン・アメリカ、イン・アメリカ〜」。
歌詞良し、曲良し、アレンジ良し。とにかく爽やかなコーラスに、とにかくポジティンブでメジャーな旋律。翳りなど全く無い、米国西海岸の陽光降り注ぐ様な、煌びやかな展開。この曲は、これぞニューミュージックと感じる、ニューミュージックの特徴・個性をギッシリと詰め込んだ、ニューニュージックというジャンルを代表する楽曲でしょう。
JAL「COME TO AMERICA '79」のキャンペーン・ソングでしたねえ。このCMのバックに流れる「アメリカン・フィーリング」を聴く度に「米国に行きて〜なあ」と強く思ってました。そして、この曲、あの坂本龍一が編曲を手掛けていて、1979年第21回日本レコード大賞編曲賞を受賞しました。これには、当時、ビックリしたなあ。
サーカスのセカンド盤『ニュー・ホライズン』、良いアルバムです。そして、この盤のカラッと乾いた米国西海岸の様な爽快感は、夏にピッタリのアルバムです。
大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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