メルドーを感じるに最適な盤
今日、ジャズCDのデータベースを最新にした。このところ、精神的に余裕が無かったので、データベースの更新が滞ってしまった。今日は約5時間を使って、やっとのことで、ジャズCDのデータベースが最新になった。満足満足。
ジャズのデータベースを更新していて、つくづく思ったのだが、ジャズのスタイル、トレンドの変遷って面白い。それぞれの時代時代によって、ジャズの演奏のスタイルには流行り廃りが確実にある。
ここ5年来のジャズ・ピアノのトレンドは、確実に、この人のスタイルが中心になっているように思える。この人とは「Brad Mehldau」。1970年8月生まれ。今年で43歳。ジャズ界での中核をなすピアニストの一人である。この人のピアノは、確実に今のジャズ・ピアノのトレンドを担っていると思う。
この人のピアノは、意外と評論家には受けが悪い。ブラッド・メルドーのピアノの個性は、それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性のショーケース的なところ。この「ショーケース的なところ」が「あかん」のやろなあ。でも、ジャズが出現して、最早100年が経とうとしているこの時代、たった一つの個性で勝負できるほど、ジャズの世界は甘くないし、個性のネタは尽きている。
まあ、評論家っていうのは、自分でピアノを弾く訳では無いので、結構、勝手で適当なことを言うのは仕方が無い。少しでもピアノが弾ければ、個性を発揮する為のテクニックがどれだけ必要なのかが良く判って、ジャズ・ピアニストは、確実にリスペクトの対象になる。そういう意味で、ジャズを評論するには、やはり少しでも楽器が弾けた方が良いし、少なくとも、ミュージシャンに対して、リスペクトの念は欠かさないことが大切なんだろう。
しかし、そんな評論家受けのちょっと悪いことなど、お構い無しに、現在の若手〜中堅どころのジャズ・ピアノは、彼のスタイルに追従し、彼のスタイルに端を発したバリエーションの展開が主流だと感じている。ブラッド・メルドーは、言わば、ミュージシャンズ・ミュージシャンなんだ、と僕は感じている。
ブラッド・メルドーの非凡なところは、その「それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性」が単なる物真似になっていないところ。そして、個性のごった煮的雰囲気なんだが、演奏のトーンがバラバラにならずに「一貫性」を保っている。「それまでのジャズ・ピアノのスタイリスト達の個性」を自らのものにして、自らの個性を反映し、一貫性を保った、独特の弾き回しになっている。
そんなメルドーの現時点での最近作の一枚が『Ode』(写真左)。このリーダー作は、メルドーの個性を感じるのに最適なアルバムだと思っている。トリオの最近作とは言っても、収録された全11曲中8曲は2008年、3曲は2011年と録音時期に幅があり、この7年間におけるトリオ活動の集大成の様な内容になっている。
ちなみにパーソネルは、Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Jeff Ballard (ds)。鉄壁のピアノ・トリオである。非常に柔軟度の高い、それでいて、リズム&ビートは、メインストリーム・ジャズのど真ん中を行く、明らかに正統なもの。奇をてらったところは全く無い。この正攻法なインプロビゼーションが、このトリオの素晴らしいところ。
今までも、これからも、ブラッド・メルドーのピアノからは目が離せない、というか、耳が離せない。確実に現代ジャズ・ピアノのトレンドを形成し、錬成していく様を確認することは、ジャズ者にとって、新しいアルバムがリリースされる毎の楽しみである。
大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
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