最近のトラックバック

« 元気溌剌なサンボーンが魅力的 | トップページ | 第1期ブレッカーBros.の最終盤 »

2013年8月 7日 (水曜日)

アキコ・グレースのピアノの個性

しばらく聴かなかったピアノ・トリオ。今の耳で聴き直してみる。Akiko Grace『From New York』(写真左)。バークリー音楽大学時代では、学生代表で幾度か演奏をした位のエリート。2002年、デビュー当時は、久々の大型新人の登場と騒がれた。今でもしっかりと自分の音を奏でつつ、着実な活動を続けている。

さて、冒頭の「Never Let Me Go」はソロの小品。本格的なピアノは、2曲目のオリジナル「Delancey Street Blues 」から。ピアノタッチとその音を聴いてすぐにその個性が判る、確かに、当時、久々の大型新人の登場である。

デビュー作がピアノ・トリオと言うことで、アキコ・グレースのピアノをダイレクトに愛でることが出来る。サポートするバックも、ベースは、大ベテランのロン・カーター、ドラムは、職人ビル・スチュワートと全く申し分無い。

選曲もスタンダード、オリジナルを交えている点も、スタンダード一辺倒の売上至上主義とは一線を画していてなかなかの構成。選曲されたスタンダードは、なるほどなあ、と納得できる素晴 らしい曲ばかりで、アキコ・グレースは、その素晴らしい曲の特徴をうまく引き出し、アキコの個性というスパイスで味付けて、我々に聴かせてくれる。

オリジナル曲はどれも良くできており、新主流派から新伝承派という、ジャズのメインストリーム、いわゆる王道を行く曲作り。バックが超一流なので、アキコはオリジナルの曲で遺憾なく、その実力を発揮している。

が、ふーむ、なんと評価したらよいのか、アキコ・グレース。素晴らしい才能であることは確かだ。ピアノのタッチ、着想、展開、どの演奏を聴いても、すぐに優れた才能の一端が、はっきりと見える。とにかく、当時の「久しぶりの大型新人」という触れ込みは伊達ではない。が、アルバム全部聴き終えた後、なんとなく、吹っ切れた気持ちになれないのは何故だろう。
 

Akiko_grace_from_ny

 
デビューから今までのアキコ・グレースのアルバムをほぼ全部、聴いた経験があるから、なんとなく感じるのだが、アキコ・グレースのピアノは、米国ジャズ・ピアノの音では無く、どちらかと言えば、欧州ジャズ・ピアノのテイストが強い、と感じる。彼女のピアノのタッチと響きに、なんとなく、ECM時代のスティーブ・キューンな響きを感じるのだ。

欧州ジャズ・ピアノのテイストでありながら、バックに、米国ジャズの代表格である、ベースのロンとドラムのスチュワートを従えて、メインストリームな米国ジャズをやるのだから、ちょっと違和感が漂うのは当たり前。

欧州ジャズ・ピアノに、そこはかとなくファンクネスを乗っけて、ブルージーにスイングさせるのだから、なんとなく作られた様な、なんとなく窮屈な感じがするのは当然と思われる。

加えて「なんとなく作られた感じ」については、このアルバムの演奏が、全て「出来すぎている」ところにある。トリオの演奏からして、この場面ではベースはこう出るとか、ドラムはこんな感じでやるとか、伝統的なジャズ・トリオの中で、ピアノはこう振る舞うべし、みたいな、所謂「お約束」ごとが、このアルバムでは出来すぎているように感じる。

アルバムの音も、ちょっと出来過ぎ気味な、優秀すぎるほどの録音。 ミュージシャンの個性より、プロデュースと録音が勝ってしまったような、そんな感じのするデビュー・アルバムである。一言で言うと「オーバー・プロデュース」、そして、アキコ・グレースのピアノの個性とアルバム・コンセプトの「ミスマッチ」。

それでも、ビンビンとその個性は伝わってくるのだから、アキコ・グレース侮り難し。2作目以降、アキコ・グレースは着実に「オーバー・プロデュース」を排除し、このアキコ・グレースのピアノの個性とアルバム・コンセプトの「ミスマッチ」を,力強く払拭していくのだ。

 
 

大震災から2年4ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 元気溌剌なサンボーンが魅力的 | トップページ | 第1期ブレッカーBros.の最終盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/52784892

この記事へのトラックバック一覧です: アキコ・グレースのピアノの個性:

« 元気溌剌なサンボーンが魅力的 | トップページ | 第1期ブレッカーBros.の最終盤 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ