思わずホッとするアルバムです。
こういうアルバムを耳にすると、思わずホッとする。音は古い。1950年代の録音というのが直ぐ判る。でも、その音の古さは心地良い音の古さ。我がバーチャル音楽喫茶『松和』のまずまずのステレオセットで、そこそこのボリュームで聴き進めると、なんだか心がホッとする。
演奏の展開は、暫く聴けば直ぐ判る。バリバリのハードバップ。アレンジの具合を聴けば、このハードバップは、米国西海岸のハードバップということが良く判る。録音のまずまずの古さとハードバップのアレンジの具合を聴いて、このアルバムの録音時期は1950年代半ばということを感じる。
そのアルバムとは、Bethlehemレーベルからリリースされた『Red Mitchell (Bethlehem)』(写真左)。1955年の録音になる。このアルバムは2つのセッションから構成されています。
ひとつが、Red Mitchell (b), Hampton Hawes (p), Chuck Thompson (ds),Joe Maini (as,ts), Conte Candoli (tp) のクインテット編成(A面B面の奇数曲)。もうひとつが、Red Mitchell (b), Hampton Hawes (p), Chuck Thompson (ds) のトリオ編成(A面B面の偶数曲)。
2つのセッションから成るアルバムではあるが、演奏内容は、全て、徹頭徹尾、ハードバップ。それも、米国西海岸ジャズのハードバップ。アレンジがお洒落で、爽快感が素敵な米国西海岸ハードバップ。良い雰囲気で、聴き進める度に「惚れ惚れ」します。
レッド・ミッチェルは、米国西海岸ジャズで活躍したベーシストです。レッド・ミッチェルの「Red」は、彼の赤毛が由来。堅実でテクニック溢れる伸びやかなウォーキング・ベースが最大の特徴。ピッチもバッチリ合っているし、テクニックも確か。僕は、レッド/ミッチェルのベースが大好きだ。収録された楽曲は以下の通り。
A
1.Jam For Your Bread
2.Where or When
3.Section Blues
4.Duff
5.Ornithology
B
1.Will You Still be Mine
2.I'll Never be the Same
3.East Coast Outpost
4.You Go to My Head
クインテットの演奏とトリオの演奏が交互に来る様に配置された、なかなか気の利いたプロデュース。このアルバムはさすが、ベーシストのリーダー作だけあって、各曲にベースのソロがあり、どの曲もベースの音がちょっと大きく聴こえる。レッド・ミッチェルの端正なベースラインが見事。
アメリカン・ドリームの裏側にある、構造的格差社会の米国に失望したミッチェルは、第二の人生の舞台に、平等社会スエーデンを躊躇なく選んだレッド・ミッチェル。このアルバムには、そんな誠実な彼のウォーキング・ベースが担当できる。ハードバップのベースとは「かくあるべし」な、レッド・ミッチェルの佳作です。お勧め。
大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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