ロッド者にとっては堪らない
68歳にして、全英ヒットチャート1位に輝く。15年ぶりに作詞作曲を自ら手がけたオリジナル・アルバム。原点回帰と言うか、1970年代の彼の若かりし頃のトレンドに立ち返った様な曲作り、音世界。初めて聴いた時、感動した。1970年代の音世界を思い出した。
そのロック・アルバムとは、Rod Stewart『Time』(写真左)。邦題は『タイム 〜 時の旅人 〜 』。2013年5月のリリース。初めて聴いた時、ここまで、1970年代のテイストを再現してくるとは、思ってもみなかった。嬉しい不意打ちである。聴き進めるにつれ、目頭が熱くなる想いである。
このところのロッドは、ボーカリストとしての活動に徹していた。ジャズ・スタンダードや、ロック・スタンダード、ソウル・スタンダードのカバーアルバムを続けざまにリリース。しかも、これがなかなかの内容で、セールス的にも成功を収めている。
まあ、ロック・ファンの評価基準はオリジナル至上主義なので、このロッドのカバーアルバムについては、辛口の評価が多くを占める。音楽ビジネスに魂を売った男とも呼ばれた。う〜ん、ちょっと極端やなあ(苦笑)。もともと、ロッドの本質はボーカリストやからなあ。ボーカリストとしては、スタンダード曲のカバーをしたくなるのは必然と思えるのだが、世間の風は厳しいなあ。
さて、この『Time』というアルバム、完全に、ロッドの原点回帰なアルバムである。アルバム冒頭のシングル・カットもされた「She Makes Me Happy」なんて、こりゃあ反則でしょう(笑)。
前奏のギターからして、アイリッシュ、もしくはケルト風な音世界で、1970年代前半のフォーク・ロック調。そう言えば、米国に渡る前の、マーキュリー時代のロッドのソロ作は、どれもが要所要所で、アイリッシュ、もしくはケルト風な音世界で決めており、これが、実に心の吟線に響く。でも、ここまで原点回帰するとは思わんかった。冒頭の「She Makes Me Happy」だけで、もう涙涙である。
そして、なんとまあ、アルバム全編において、アイリッシュ、もしくはケルト風、加えて、スコットランド風な音世界が散りばめられており、フォーク・ロックから、ブリティッシュ・ロックンロール風の、いわば「フェイセズ」時代の音世界に近い、1970年代前半のロッドの音世界に非常に近い雰囲気。これには「参った」。
ちなみに、アイリッシュ、もしくはケルト風な音世界、若しくはスコットランド風な音世界は、僕は大のお気に入りの一つで、このブリティッシュな音世界は、聴いていて震えが来るくらいだ。そして、その大好きな音世界が、このRod Stewart『Time』というアルバムの中に満載なのだ。もう嬉しくて嬉しくて(笑)。
21世紀に入って、2013年。ここに来て、ロッド・スチュワートのアルバムの中で、長年のヘビロテになるであろう、お気に入りな内容のアルバムに出会えるとは。長生きはしてみるものである(笑)。
ロッドも68歳。年齢を重ねたことで、このアルバムでは、彼の歌唱も肩の力が良い感じで抜けており、どの曲においても、彼の歌唱は抜群の内容である。ケルト風、アイリッシュ風、スコットランド風など、ルーツ・ミュージック・テイストのロックあり、はたまた、ロッドお得意の思いっきり甘いバラード風の曲もあり、往年のロッドの集大成という雰囲気の内容が、ロッド者にとっては堪らない。
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