Coco d'Or in SUMMER
楽しいアルバムである。第1作の『Coco d'Or』も楽しいアルバムだったが、 セカンド盤『Coco d'Or 2』(写真)は「Coco d'Or in SUMMER」って雰囲気で、ボサノバ、ラテン、レゲエ、サンバ などをCoco d'Or風に取り入れた、実に夏らしいアルバムに仕上がっている。2006年7月のリリース。
全体的な雰囲気は「清々しい、爽やか、明るい、楽しい、そして、ちょっと大人っぽくて、ジャジー」な雰囲気で、ヒロちゃんの声の雰囲気がピッタリと合った感じが心地良い。確かに夏らしいアルバムだが、 ヒロちゃんのボーカルがスッキリしたノビのある、キュートなボーカルなので(ベタ褒め過ぎですかね・笑)、これは季節を問わない感じ。
元気が欲しい時、特に朝の仕事始めのオープニングになんか良いねえ。バーチャル音楽喫茶『松和』が実在するなら、このアルバムを暫くオープニングに使ってるだろうなあ。えっ、ヒロちゃんって誰よ、って。そうそう、ヒロちゃんって、あのSPEEDのボーカルのHiroのこと。
それぞれの曲のアレンジは、前作同様、生バンド・テイストとクラブ・テイストのアレンジを絶妙に織り交ぜた内容に仕上がっており、幅広い世代に対応している。
ジャズ・スタンダードな「What a wonderful world」、R&Bの名曲「Killing Me Softlly With His Song」からレッチリの「By the way」まで、色とりどりの楽曲を鈴木明男バンド、フライドプライド、COLDFEET、福富幸宏、FPM、Soul Bossa Trioなど最高に豪華なアーティストとのコラボレーションによって、スタイリッシュでテンポのいいサウンドにアレンジ。
特に冒頭1曲目のアップテンポの「What a wonderful world(この素晴らしき世界)」、この曲、サッチモ(ルイ・アームストロングのニックネーム)の十八番なんだが、この曲をヒロちゃんがどういう風に唄いこなすのか、聴く前は少し心配だったのだが、嬉しくも杞憂に終わった。これ、アレンジの勝利やね。このアレンジは、確かにヒロちゃんのボーカルが、しっかりと活きるアレンジ。スピード感もあり、コンテンポラリーな雰囲気がたまらない。良い曲というのは、どんなアレンジにも映えるというが、この曲が良い例。
2曲目「La-La Means I Love You(ララは愛の言葉)」を、こんなオーソドックスなアレンジで、ヒロちゃんのボーカルで唄われたら、もう頬は緩みっぱなし。この曲を選んだのは誰だろう。いや~、粋な曲を選んだものだ。広がりのある、明るい雰囲気のアレンジは、夏真っ只中より、この晩夏の季節にピッタリかも。
3曲目は、スチールパンの音も楽しい、もう雰囲気はジャマイカ。この「Ay! Cosita Linda」はアレンジが秀逸で、従来のジャマイカの雰囲気コテコテではない、スカっと爽やかな、ちょっとオシャレな感じがとても良い。これもアレンジの勝利やね。これだけ手垢のついたジャマイカ風の音楽をこれだけオシャレに聴かせてくれるなんて、思わず感心することしきり。
そして、絶品は5曲目の「Time After Time」。このスローバラードを、ヒロちゃんは、実にシットリと、大人っぽく唄ってみせる。ちょっとキュートで、ちょっとコケティッシュなボーカルは、このアルバム中でも秀逸なものでしょう。アレンジも、バイオリンと生ギターで、実にジャジーな雰囲気溢れるアレンジなっており、素晴らしいの一言。
7曲目のカーペンターズの歌唱で有名な「(They Long To Be) Close To You(遙かなる影)」や、10曲目のロバータ・フラックの歌唱で有名な「Killing Me Softly With His Song(やさしく歌って)」は、若かりし頃、ラジオの深夜放送などで、リアルタイムに聴いた僕にとっては懐かしいの一言なんだが、これがどうして、なかなか新しい感覚のコンテンポラリー・ジャズ的なアレンジが施されていて、原曲の単なるカバーに陥らず、オリジナリティーのある演奏になっているのは立派。
SPEEDを経て、ソロとしても活躍中のヒロちゃん。そんな彼女が15歳のときに初めて触れて、心を弾ませてしまった音楽、それがジャズだったらしいのだが、全編に渡って、そんな彼女の「ジャズ大好き」な感じのボーカルは、前作にも増して良い雰囲気を出している。確実に、前作より上手くなっている。
第1作の『Coco d'Or』が出た後、何かと忙しい彼女に2作目を出せる余裕があるだろうか、と不安だったのだが、こうやって、ヒロちゃんは2作目を出した。立派である。2作とも「Coco d'Or」的な個性をしっかりと持ったアルバムに仕上がっているのだから、いやはや、大したもんである。
大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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