大フュージョン・ボーカル大会
日本で人気のジャズ・ボーカリスト、ケイコ・リーの通算8枚目のアルバム『愛の奇蹟(Wonder of Love)』(写真左)。ジャケットが格好良い。ヒップ・ハングのジーンズをまとったリーが、とにかく、セクシーでエネルギッシュ。これ、LPサイズだったら迫力あったろうなあ(笑)。
ジャケットはアルバムの内容を語るというが、まさにこのアルバムは、ジャズ・ボーカリストの範疇だけでは留まらない、ジャズはもとより、R&Bあり、バンプあり、ロックンロールありの、敢えて言えば、大フュージョン・ボーカル大会の傑作。
まず、冒頭、アカペラで歌うタイトル曲が格好良い。この調子、アカペラ中心でムード良く進むのかと思いきや、2曲目の「ピンク・キャデラック」でガツンとかませてくれます。ナタリー・コールの1988年のヒット曲のカバーでギンギンのロック調。これがまあ、凄い。普通のジャズ・ボーカリストでは無い。聴かせてくれる。
ここまでで、既に梅雨の蒸し蒸し解消、ストレス解消。とにかく、この2曲目はリーのボーカルも、バックのドキドキ・モンスターズの演奏もスゲー格好良い。そう、このドキドキ・モンスターズが凄い。ちなみにパーソネルは、吉田次郎 (g), 野力奏一 (p,key), 坂井紅介 (b), 渡嘉敷祐一 (ds)。名うての曲者揃い。実は、このアルバム『愛の奇蹟』全編に渡って、この「おっちゃん」達の演奏が実に「濃い」。
3曲目は、 ジョージ・ベンソンの懐かしいヒット曲「ダーン・ユア・ラヴ・アラウンド」は、ベンソン譲りのソフト&メロウなムード。続くランディ・クロフォードの「アルマズ」はしっとりと歌い上げる珠玉のバラード。ノリノリのロックあり、落ち着いた大人のムード漂う上質なフュージョンあり、実に楽しいボーカル盤である。
あともう一つ、隠れたお勧めは、TLCをカバーした12曲目の『ウォーターフォールズ』。ケイコ・リーのディープ・ボイスが映える。そして、ラストの「グッド・ナイト」がしみじみして良い。夜、床に入る前のひとときにピッタリのラスト曲。
ほかにも、コモドアーズ、スティーヴィー・ワンダー、イヴァン・リンス、ホイットニー・ヒューストンらのヒット曲を実に格好良く歌っている。1970年代以降のポップス曲が中心なのだが、すべて学生時代に、ケイコ・リーが良く聴いたものなのだとか。この人はこういう曲を聴いて育ったのか、と思わず親近感。同じ世代ですね。
本格的ジャズ・シンガーと評されることの多いケイコ・リーだが、そういう既成概念をぶち壊す、様々な魅力が散りばめられて立派だ。逆に、昔ながらのジャズ・ボーカルからすると、掟破りのボーカル盤である。掟破りではあるが、僕はこのフュージョン・ボーカルが大好きだ。長年の愛聴盤です。
★大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 「癒し系」の女性ボーカル | トップページ | アーサー王と円卓の騎士たち »
コメント