「癒し系」の女性ボーカル
梅雨もたけなわ、ハッキリしない天気が続きます。湿度も気温も高くなってきて、身体が慣れなくて、ちょっとしんどい思いをしている方々も多いのでは無いでしょうか。この季節は体調管理に気を遣います。
そんな時、ボーカルのジャンル言葉としてしっかりと定着した、いわゆる「癒し系」の女性ボーカルで、心を休めるというのもひとつの手ではあります。例えば、近年、女性ジャズ・ボーカリストとして人気を定着させた英国の女性歌手、ステイシー・ケントのバラード集などが、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で、この季節にはよくかかります。
Stacey Kent『Dreamsville』(写真左)などがお気に入りの一枚でしょうか。ステイシー・ケントが2000年に録音した、自身のリーダー作の第4作目です。
「癒し系」の女性ボーカルとは、簡単に言うと、ビリー・ホリディやカーメン・マクレエのように、低めの声で唸るような、こぶし豊かな、日本で言う「演歌系」のような本格派ボーカルではない、ナチュラルな歌い方で、ちょっとコケティッシュで、ちょっと可愛くて、それでいて仄かに色気漂う女性ボーカル。
こう書くと、なんだか「おやじ趣味」な感じがしないでもないが、変な「イヤらしさ」が全く無いので、すんなりと聴き通せてしまうところが、このステイシー・ケントのボーカルの役得なところ。
ステイシー・ケントは、もともとは、ニューヨーク出身の本格派ジャズ・ヴォーカリスト。このアルバムは彼女のキャリアの中でも意欲的な企画盤で、心休まるバラード集となっている。少々ハスキーでコケティッシュで甘酸っぱい彼女の歌声で、安らぎ系のバラードをたっぷりと堪能できるところが「癒し系」ボーカリストの称号を与えられた所以。
収録された曲を眺めて見ても、いやいや、なかなかスタンダードで魅力的なバラード曲がズラリと並んでいて、これはこれで壮観ですらある。決して受けの良い有名曲ばかりを選んでいる訳では無い。知る人ぞ知る、ちょっとマニアックなスタンダード曲も選曲されているところがこのアルバムの優れたところ。
バック・バンドも実に趣味の良いサポートで好感が持てる。特に、ステイシー・ケントの夫君である、ジム・トムリンソンのテナー・サックスが、力強くもジェントルなブロウで、ステイシーのボーカルを盛り立てているところが実に爽やか。
とにかく、柔らかで優しくて、ちょっと色気があって、なかなかに「癒される」のがこのアルバムのポイント。40歳を過ぎて公私ともに責任ある立場にたって「毎日がストレス」なんて人にお勧めの「癒し系」の女性ボーカルものです。若いジャズ者の方々には、ちょっと、物足りないかも。それでも、やっぱり「癒し系」の女性ボーカルが、この梅雨の季節、心休めるのにピッタリなんですよね。
大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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