シンプルでプログレなギターです
シングル・トーンで味のあるフレーズ。地味なようで、ツボを押さえたアドリブ。アドリブ・フレーズは、意外とプログレッシブで展開に思わず聴き耳を立ててしまう。そんな、玄人の玄人による玄人の為のギター、それが、ジム・ホールのギターだ。
初めて聴いたときは、なんだか地味でパッとしない、音もかなり穏やかなギターで「なんだ、このギターは、たいしたことないな」なんて思ってしまうんだが、これが大間違い。
聴けば聴くほど、深みがあるというか「こく」が出てくる。そして、ふっと濃いファンキーな芳しき香りが漂う、そんなギターを奏でるのがジム・ホール。
彼のキャリアを振り返ると、 ミュージシャンとしては、結構、不遇な時代が長く、リーダー作が少ないのが残念だが、その思いを払拭して余りあるのが、この『It's Nice To Be With You - Jim Hall iin Berlin』(写真左)だ。
なんと、このアルバムは、彼の2枚目のリーダー作である。1969年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Jimmy Woode (b), Daniel Humair (ds)。
冒頭の「Up,Up and Away」。一聴すると地味めなギターなのだが、少しボリュームを上げて聴くと、実に熱い熱いギターがスピーカーから流れてくる。そう、ジム・ホールのギターを愛でるには、ある程度のクオリティのある、しっかりとしたオーディオ・セットが欲しい。そして、ちょっとボリュームを上げて聴きたい。
ベースのジミー・ウッドもドラムスのダニエル・ヒューマイヤーも、どっちかと言えば、ジャズ界では無名に近い、ベルリン界隈のローカル・ミュージシャンだが、これがまた素晴らしい演奏を繰り広げてくれるのだから、ジャズって裾野が広い。図太いベースライン、繊細でかつダイナミックで多彩なドラミング。バックが、更にホールのギターアドリブを盛り上げる。
3曲目の「Young One,For Debra」と6曲目の「IIn A Sentiimentall Mood」は、ジム・ホールのソロによる多重録音。ホールのシングル・トーンが冴える、ため息をつきたくなるような、耽美的な静謐感溢れるソロ。最近流行の「ヒーリング感」が溢れるような、人の心に優しい演奏だ。
今をときめくジャズ・ギタリストのキーマンの一人、パット・メセニーが、お気に入りの一番に挙げるジャズ・ギタリスト、それがジム・ホールなのだ。なんだかパットの気持ちが良く判るなあ。そんな気にさせてくれるナイスなアルバムです。
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このギタリストはアルバムの差が大きいのでしょうか…
私の持って居たアルバム2枚は今、BOOKOFFの棚の中に有ります。
投稿: musselwhite | 2013年7月16日 (火曜日) 15時14分