夏はボサノバ・ジャズ・その17 『Rain Forest』
ワルター・ワンダレイという人、もともとはジャズを弾くピアニストとして出発した人で、ボサノバがブームになるや、オルガンに転向した異色のジャズ・ミュージシャンの一人である。
そのワンダレイが、1966年にアメリカでレコーディングしたアルバムがこのアルバム、Walter Wanderley『Rain Forest』(写真左)。邦題は「サマー・サンバ」。邦題をみても判るように、サンバやボサノバを中心としたラテン・ジャズが中心のオルガン・ジャズの佳作である。
例えて言うなら、ジョビンの演奏するボサノバは、海辺のリゾート地によく似合う雰囲気があって、ワンダレイの演奏するボサノバには、ちょっと洗練された都市生活のリズムがその底辺にある、という感じかな。言い換えれば、下町の縁日的感覚とも共通するそのエンタテインメント性は、聴く人の気分を浮き立たせる様な軽やかさがある。
冒頭の名曲「サマー・サンバ」を聴けばそれが納得できるだろう。この曲、音楽好きの人であれば、どこかで一度は耳にしたことがあるであろう名曲で、オシャレな雰囲気と、ちょっと刺激的なオルガンの響きがミックスして、不思議な雰囲気のオルガン・サンバとなっていて実に楽しい。
他の収録曲もどれもポップで、一つ間違えば、オルガン・ポップスみたいな、ありきたりの演奏になってしまうのだが、ワンダレイの演奏の中心にあるのは「ジャズとしての即興演奏」であり、そのジャズ的なインプロビゼーションが、このアルバムをオルガン・ジャズとして成立させている。
それが判るのが、ボザノバの名曲中の名曲である、5曲目の「イパネマの娘」。あの耳慣れた テーマを演奏するワンダレイのオルガンは実に攻撃的で、粘りがあって、適度な黒さも持ち合わせた、純正な「ジャズ」の音である。 続く「ビラウド・メランコリー」のオルガンもあまり倍音を含まない、単音でのクリアな音色は、やはり純正な「ジャズ」の雰囲気。
ちょっと聴きかじっただけの印象では、なんとなくポップス調で、硬派なジャズファンからは敬遠されがちなワルター・ワンダレイの諸作ではあるが、少なくとも、この盤『Rain Forest』に限って言えば、どうして、しっかりとジャズしていて、聴いていてとても楽しく、リラックスできる好盤だ。
そして、オルガンは、ボサノバやサンバに「合う」ということをこのアルバムは教えてくれる。
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