夏はボサノバ・ジャズ・その15 『We and the Sea』
さあ、夏たけなわ。今年は早々に梅雨も明けて、猛暑猛暑の毎日が続いています。それでも夜になると、少しだけ気温も下がり、少しの時間、エアコンを止めて、自然の風を部屋に入れて、夏の夜の雰囲気を楽しんでいます。
そんな夏にピッタリのジャズは、やっぱり「ボサノバ・ジャズ」。今年も、ボサノバ・ジャズの特集を続けて行きます。「夏はボサノバ・ジャズ」のシリーズ、今回は第15回目。今日は「Tamba 4(クアトロ)」。
クラシック畑から飛び出したピアニスト、ルイス・エサ。1960年に前身となる「タンバ3」を結成。そして1967年、ドリオ・フェレイラが加入し「タンバ4(クアトロ)」を結成。ちなみに、タンバ4のパーソネルは、Bebeto(fl,b,vo), Luiz Eca(p,org,vo), Dorio Ferreira(b,g,per,vo), Rubens Ohana(ds,jawbone,cga,vo)。タンバ3でベースを弾いていたベベート・カスティーリョが、タンバ4では主にフルートを担当している。
この「タンバ4」の特徴は「フルート・カルテット」。フルートとピアノの絡みが実に印象的なカルテットで、そのフルートとピアノの絶妙な絡みは、ボサノバやサンバなど、ブラジリアン・ミュージックにピッタリ。
そしてもう一つの特徴が「ダイナミックなアンサンブル」。オーケストラの様なダイナミックなアンサンブルは、「タンバ4」の特徴です。ルイス・エサはクラシック・ピアノ出身であり、その辺がきっと影響しているのだと思います。
その「タンバ4」の最初のアルバムが、Tamba 4『We and the Sea』(写真左)、邦題は『二人と海』。収録曲を見渡すと、6曲目の「Dolphin」がルイス・エサの作曲である以外は全て、ボサノバ名曲のカバーである。アントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウエル、ロベルト・メネスカルといったボサノバのアーティストの作品がズラリ。
ということで、このアルバムはボサノバ集なのか、と思いつつ、心地良い耳当たりの優しい演奏が来るのかと思いきや、冒頭の「O Morro (The Hill)」を聴くと、まずそのダイナミックでハードな演奏にビックリする。実にハードボイルドな演奏である。ボサノバの柔らかで癒しの音の面影は全くない。
ここまでハードなボサノバ・ジャズだと逆に爽快感を感じる。「スカッと爽やか、タンバ4(クアトロ)」。演奏の水準は高い。2曲目以降も、基本的にはエッジの立ったハードタッチのボサノバ・ジャズが続くが、1曲目のダイナミズムはちょっと後ろへ下がって、グッと叙情的に。ベベトのフルートとルイス・エサのピアノの絡みは非常に美しく、それはもう惚れ惚れするような音世界である。
特に、2曲目の「Moa Flor (Flower Girl)」、4曲目「Nos e O Mar (We and the Sea)」は聴きものです。夏はボサノバ・ジャズ。ちょっと硬派な「タンバ4(クアトロ)」。日本では余り馴染みの無いグループなんですが、お勧めです。
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