フュージョン者に必須のライブ盤 『Blue Montreux』
フュージョン・ジャズのアルバムには、意外とオールスターものの名盤が多い。オールスターものと言えば、純ジャズのジャム・セッションに近い雰囲気なので、日頃、なかなか一緒にセッションすることが無い、ポジションを確保した名うてのメンバー達が一堂に集ってセッションを繰り広げるので、日頃の演奏には無い、一種の「化学反応」が起こるんだろうな、と想像している。
このArista Allstarsの『Blue Montreux』(写真左)と『Blue Montreux II』(写真右)の2枚のライブ盤も、そんなオールスターものの優秀盤である。「ブルー・モントルー」というタイトル通り、1978年のモントリオール・ジャズ祭でのコンサートを収録したライブ盤である。
当時のアリスタ・レーベルに所属していた名うてのミュージシャン達が一同に集っている訳だが、ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Michael Brecker (ss,ts), Mike Mainieri (vib), Randy Brecker(tp), Steve Jordan(ds), Steve Khan (g), Tony Levin (b), Warren Bernhardt (p,key,syn) 等々。うへ〜、凄いメンバーやなあ。
冒頭のタイトル曲「ブルー・モントルー」を聴けば、このライブ盤の素晴らしさが良く判る。フュージョン・ジャズとは如何なるものか、に対する「ひとつの回答」の様な演奏。ポップでキャッチャーでありながら、ジャズ的な適度に複雑な展開を併せ持った、聴き易くも演奏自体のテクニックやミュージシャンの個性を感じることができる、そんなフュージョン・ジャズの良いところを抽出した様な演奏である。
他に収録された演奏曲も、オールスター・メンバーのそれぞれの代表曲ばかりで、演奏内容もかなりの高レベルで、素晴らしい内容となっている。『Blue Montreux』と『Blue Montreux II』の2枚は分けて聴かずに一気に聴かれるべきだろう。
トニーレビン&スティーブ・ジョーダンのリズム・セクションが独特です。アナログ・チックな横揺れなリズム&ビートが実に心地良い。乾いた横揺れなグルーブ感が、このオールスターのフュージョン・ジャズの演奏の雰囲気を決定付けています。
マイケルとランディのブレッカー兄弟のサックス&トランペットも、素晴らしいパフォーマンスを披露しています。兄弟共々、ベスト・プレイに近いブロウを展開しています。時に「鬼気迫る」フレーズを連発しており、単なるフュージョン・ジャズのお祭り的なセッションとは一線を画しています。
そして、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションの一番のパフォーマンスは、マイク・マイニエリのヴァイブでしょう。マイニエリのベスト・プレイと言いきって良いほど、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションにおけるマイニエリの演奏は光っています。
ブログのそこかしこの書かれていますが、マイニエリの代表曲である「I'm Sorry」は、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションがベストテイクだと思います。とにかく上手い。とにかく歌心満載。いや〜、フュージョン界の「ちゃら男」マイニエリ、やれば出来るやないか、凄いやん、と思わず、彼の肩を叩いてみたくなります(笑)。
このアルバム『Blue Montreux』がリリースされたのが、1979年である。フュージョン・ジャズがピークを越えて、下り坂に差し掛かった時代の、フュージョン・ジャズの最高峰の演奏がこのライブ盤2枚に詰まっている。フュージョン者の方々には必須の名盤。聴くべし、です。
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