大村憲司の初リーダー作です。
大村憲司。ロック〜フュージョン系のギタリスト。大村憲司のデビューは、1971年の赤い鳥での初録音。 その後、YMOのサポート・ギタリストで活躍するなど、日本のポピュラー音楽を陰で支えた名ギタリストである。1998年11月18日、49歳で惜しくも他界。彼のリーダー作はたった4枚。そのうちこれは1978年に発表したファースト作。
大村憲司『First Step』(写真左)。このファーストアルバムがリリースされた、1970年代後半といえば、リー・リトナー、エリック・ゲイル、ラリー・カールトン、アール・クルー、 といったジャズ系フュージョン・ギタリストの全盛期で、そうした時代の匂いが本作からも漂ってくる。
しかし、懐かしい雰囲気よりも、大村憲司の個性と演奏が生き生きとしていて、なかなかのアルバムである。ギターは1曲だけテレキャスターを使用しているが、ほかはES-335を使用。これが渋い。まるで、ラリー・カールトンではないか(笑)。1978年当時、日本のフュージョン・シーンの中で、セミアコを駆使しているところがニクい。
そして、 アレンジは深町純が担当。これがまた良い。そして、参加メンバーを見渡せば、村上秀一、林立夫、マーティン・ウィルウェバー、高水健司、小原礼、富倉安生、坂本龍一、深町 純、浜口茂外也、斉藤ノブ 等と、そうそうたるメンバーがズラリと並ぶ。
壮観である。 このメンバーを見ると、このアルバムについては、バリバリのテクニック、スリリングな掛け合いなど、馬鹿テク中心の大演奏合戦をイメージするが、このアルバムはひと味違う。
テクニックを前面に押し出すというより、ゆったりとした味のある雰囲気がアルバム全体を覆って、そのゆったりとした雰囲気の中で、しっかりとテクニックに裏打ちされた、実に「粋」な職人芸的演奏が繰り広げられる。これが実に心地良い。
僕のお薦めは、1曲目(6曲目は別バージョン)の「Boston Flliight」。ミドル・テンポで、飛翔感のある気持ちの良い演奏だ。3曲目「Better Make It Through Today」は、エリック・クラプトンの曲。この曲では、大村はヴォーカルも披露するが、これも渋い。7曲目の「Left-Handed Woman」だけは、馬鹿テク集団の面目躍如的な、弾きまくり叩きまくりな素晴らしい演奏。
大村憲司の個性と演奏の雰囲気が素晴らしい、隠れたフュージョン・ジャズの名盤。夏の爽やかな朝、遅くおきた朝、遅い朝食を取りながら耳を傾けてみたい、そんな清々しいアルバムです。
★大震災から2年2ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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