夏と言えば「スチール・ドラム」
夏と言えば、爽やかで、それでいて情熱的な音色、スチール・ドラムの音が恋しくなります。
スチール・ドラムとは、カリブ海に浮かぶ島国トリニダード・トバゴ発祥の打楽器。もともとは石油などを運ぶドラム缶から作られたもので、20世紀最後のアコースティック楽器といわれています。ドラム缶の底を丹念にたたいてへこませ、そこにカメの甲羅のような面をつくっていろいろな音を出すのですが、音域によってテナーパンやチェロパン、ベースパンなどいくつかの種類があります。
専用のスティックで叩いて演奏するのですが、とてもドラム缶生まれとは思えない美しい音色を奏でます。音域の高いパンは1台あたり2オクターブを超える音階が出ます。このカリブ生まれの打楽器であるスチール・ドラムは、生まれも近いジャマイカの音楽、レゲエの演奏では、よく活用されるのですが、ジャズでフィーチャーしたアルバムはあるんだろうか、と思い立って、調べてみたら、僕のコレクションの中でも5〜6枚ありました。あるもんですねえ。
今日は、爽やかで情熱的な音色が特徴のスチール・ドラムをフィーチャーした、夏に聴くのにピッタリなアルバムを、フュージョン系から1枚、ご紹介しましょう。
さて、Ralph MacDonald(ラルフ・マクドナルド)は、フュージョン界で著名なパーカッション奏者である。そもそも、パーカッションというのは張った皮を素手で叩きまくるといった、実にプリミティブな楽器なのだが、そんなプリミティブな雰囲気が十分に味わえる、最近のフュージョン系のアルバムとしては珍しい、 そんな味のあるアルバムが、このRalph MacDonald『Trippin'』(写真左)。
冒頭の「マンゴ・アイランド」の前奏を聴くと、いきなりストリングスが朗々と響き渡るので、「あらら」っと、ちょっとズッコケるが、 すぐにその背後から、ラルフのパーカッションの響きと、Robert Greenidge(ロバート・グリニッジ)の叩くスチール・ドラムの涼しく、かつ情熱的な響きが聞こえてきて、 もう雰囲気は「夏一色」。
この「マンゴ・アイランド」って、かのクラシック歌劇の「蝶々夫人」の有名なフレーズをモチーフにしたような、スケールの大きいフレーズを、スチール・ドラムが、爽やかにきめていくところなんざあ、夏の雰囲気満載ですなあ。
3曲目の「グット・トゥ・ゴー」は、サンバのリズムが涼しい小曲だが、実に爽やかな「ノリ」が印象的。 4曲目もサンバのリズムをベースに、効果的なボーカルとスチール・ドラムのユニゾンが、グイグイと夏の雰囲気に引き込んでいく。
5曲目の「シー・サンド・アンド・サンシャイン」なんぞ、曲名からして「夏」。前奏のちょっと気怠く、爽やかな雰囲気も「夏」、そして、それに続くデニス・コリンズのボーカルも「夏」。 そして、間奏のピアノとスチール・ドラムの掛け合いも「夏」。とにかく、スチール・ドラムの伴奏が実に印象的。こんなに夏という季節にフィットした曲も珍しい。
全曲に渡って、サンバのリズム満載、スチール・ドラムが大活躍、ラルフはパーカションを叩きまくり(これが、どの曲でも味があって、実に多彩で凄いグルーブ感を叩き出しているのだ)、スティーヴ・ ガッドのドラムとラボリエルのベースは、これまた凄いグルーブ感を醸しだし、ボーカルはそのグルーブ感に拍車をかける。
このアルバム『Trippin'』って、「踊るサンバ」「爽やかスチール・ドラム」「グルーブ感満点 のパーカッション」の三拍子揃って、「夏にピッタリの爽やかフュージョン・アルバム」です。絶対、良いですよ。 太鼓判、押します。
大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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