特に夏に聴く楽器って何?
特に夏に聴く楽器って何?、と訊かれると、昔から決まって「フルート」と答える。あの、切れ味良く、吹き抜けていく風の様な、爽やかな音色は、蒸し暑い夏に聴くと涼しさを感じる格好の楽器だと思っている。
では、ジャズでテナーやアルトなど、サックスを吹くミュージシャンの中では、第2の楽器としてフルートを吹く人が多いが、フルートを専門とするミュージシャンはというと、ハービー・マン、ヒューバート・ ロウズ、ジェレミー・スタイグ等、数えるほどしかいない。
ここでは、そのフルートを専門とする数少ないミュージシャンの中から、ヒューバート・ロウズの変わり種のフュージョン系アルバムをご紹介したい。
Hubert Laws『The Rite of Spring』(写真左)。1971年6月の録音。時代はクロスオーバー・ジャズが出現して、人気が出始めた頃。このアルバムはクロスオーバー・ジャズの専門レーベル、CTIからのリリース。
邦題は「春の祭典」。かのクラシックの名曲ストラビンスキーの「春の祭典」である。フュージョン全盛の時代、CTIIレーベルを代表する大ヒット・アルバムのひとつだ。
ヒューバートは、ジャズとクラシックの両分野で活躍する正統派ミュージシャンなので、恐らく、本アルバムの企画が持ち上がったのだろうと想像できる。
こういったクラシックの名曲をジャズやフュージョンのフォーマットで演奏する場合、そのアレンジが重要な鍵を握るのだが、このアルバムでは、ドン・セベスキーのアレンジも抜群に冴えている。
まあ、この表題曲の「春の祭典」の演奏もなかなかに良いのだが、春の雰囲気にあった楽曲といえば、冒頭の1曲目「パバーヌ」、3曲目「パンの笛」なんか、フルートの多重録音が効果的で、なんだか春の微風の中にとけ込んでいってしまいそうな、そんな心地良く、儚い感じが気持ち良い。
4曲目からラストは、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番からのアレンジものだが、これはバッハのジャズ化の中でも、成功例に挙げられる名演だろう。フルートの音が効果的に旋律を奏で、その秀逸なアレンジと共に、なかなかに優れた演奏となっているのが立派だ。
夏の昼下がり、このアルバムを聴きながら、本を片手に昼寝するって、ちょっと良い感じじゃありません?
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