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2013年6月24日 (月曜日)

オーネットのセカンド盤です。

オーネット・コールマンのリーダー作の第2作目である。そのタイトルは『Tomorrow Is The Question!』(写真左)。ふふっ、仰々しいタイトルやなあ。邦題は『明日が問題だ』。

ちなみにパーソネルは、Don Cherry (cor), Ornette Coleman (as), Percy Heath (b), Shelly Manne (ds)。1959年3月の録音です。パーソネルを眺めると、米国西海岸ハードバップ・ジャズの名うてのリズム・セクション、ベースのパーシー・ヒースとドラムのシェリー・マンが控えているのが面白い。

オーネットは、初リーダー作にも増して、如何に既成のコード進行とリズム&ビートを外すか、を徹底的に追求しているように聴こえる。おもいっきり外れて、不思議なコード進行に乗って、オーネットが一人勝手に吹きまくる。もうオーネットを止める者はいない(笑)。

初リーダー作と同様、トランペットのドン・チェリーがしっかりとフロントに座っている。さすがにオーネットとのスタジオ録音の付き合いも2作目。初リーダー作に見え隠れした、どうしても理屈で追従しようとして、かえってハードバップ風に展開してしまったりして、苦闘しているドン・チェリーが、このアルバムでは、相当に自由に吹きまくっている。自由度の自然さはリーダーのオーネットをも凌ぐ内容。凄いぞ、ドン・チェリー。

演奏の前に、簡単な「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」をしてからの演奏なんだろうが、演奏曲のコード進行とリズム・パターンが奇天烈で、この奇天烈なコード進行とリズム・パターンに追従するだけで体力を消耗し、オーネットの奇天烈なフレーズに追従出来ないでいる、米国西海岸ハードバップ・ジャズの名うての二人、ヒースとマンが微笑ましい。
 

Tomorrow_is_the_question

 
オーネットがオーネットの感覚で、勝手に考え、勝手に決める「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」、不思議なコード進行とリズム・パターンである。

当たり前のことなんだが、オーネット以外にそれに追従できる者はいない。逆に、ドン・チェリーが異端なのだ。オーネットよりもオーネットらしく、おもいっきり外れて、不思議なコード進行に乗って、一人勝手に吹きまくっている。

演奏全体の雰囲気はハードバップに留まってはいるが、フロントの二人、オーネットとチェリーは、従来のジャズのパターンから完全に外れて、好き勝手に、今までに無い不思議なコード進行とリズム・パターンに乗って吹きまくっている。

う〜ん、フリー・ジャズでは無いよな。従来のジャズのパターンから完全に外れて、好き勝手に、今までに無い不思議なコード進行とリズム・パターンに乗って吹きまくっている、というところが、この時代のオーネットの「ミソ」。伝統の範囲内で限りなく自由な演奏を追求する、というところは、同時代のマイルスと同じ。

でも、マイルスはモードという音楽理論をベースに自由度を追求したので、フォロワーが多数出現して、ジャズの代表的演奏スタイルのひとつとなったが、オーネットは「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」をベースとしたので、基本的にはオーネットとその仲間達しか、この自由度の高い演奏を再現することは叶わなかった。でも、どちらも伝統の範囲内で限りなく自由な演奏を追求する、というところは同じ。

オーネットのコピーにならずに、オーネットの演奏思想のフォロワーになるのは並大抵のことでは無い。

 
 

大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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