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2013年6月の記事

2013年6月30日 (日曜日)

夏と言えば「スチール・ドラム」

夏と言えば、爽やかで、それでいて情熱的な音色、スチール・ドラムの音が恋しくなります。

スチール・ドラムとは、カリブ海に浮かぶ島国トリニダード・トバゴ発祥の打楽器。もともとは石油などを運ぶドラム缶から作られたもので、20世紀最後のアコースティック楽器といわれています。ドラム缶の底を丹念にたたいてへこませ、そこにカメの甲羅のような面をつくっていろいろな音を出すのですが、音域によってテナーパンやチェロパン、ベースパンなどいくつかの種類があります。

専用のスティックで叩いて演奏するのですが、とてもドラム缶生まれとは思えない美しい音色を奏でます。音域の高いパンは1台あたり2オクターブを超える音階が出ます。このカリブ生まれの打楽器であるスチール・ドラムは、生まれも近いジャマイカの音楽、レゲエの演奏では、よく活用されるのですが、ジャズでフィーチャーしたアルバムはあるんだろうか、と思い立って、調べてみたら、僕のコレクションの中でも5〜6枚ありました。あるもんですねえ。

今日は、爽やかで情熱的な音色が特徴のスチール・ドラムをフィーチャーした、夏に聴くのにピッタリなアルバムを、フュージョン系から1枚、ご紹介しましょう。

さて、Ralph MacDonald(ラルフ・マクドナルド)は、フュージョン界で著名なパーカッション奏者である。そもそも、パーカッションというのは張った皮を素手で叩きまくるといった、実にプリミティブな楽器なのだが、そんなプリミティブな雰囲気が十分に味わえる、最近のフュージョン系のアルバムとしては珍しい、 そんな味のあるアルバムが、このRalph MacDonald『Trippin'』(写真左)。
 

Ralph_mac_trippin_3

 
冒頭の「マンゴ・アイランド」の前奏を聴くと、いきなりストリングスが朗々と響き渡るので、「あらら」っと、ちょっとズッコケるが、 すぐにその背後から、ラルフのパーカッションの響きと、Robert Greenidge(ロバート・グリニッジ)の叩くスチール・ドラムの涼しく、かつ情熱的な響きが聞こえてきて、 もう雰囲気は「夏一色」。
 
この「マンゴ・アイランド」って、かのクラシック歌劇の「蝶々夫人」の有名なフレーズをモチーフにしたような、スケールの大きいフレーズを、スチール・ドラムが、爽やかにきめていくところなんざあ、夏の雰囲気満載ですなあ。

3曲目の「グット・トゥ・ゴー」は、サンバのリズムが涼しい小曲だが、実に爽やかな「ノリ」が印象的。 4曲目もサンバのリズムをベースに、効果的なボーカルとスチール・ドラムのユニゾンが、グイグイと夏の雰囲気に引き込んでいく。

5曲目の「シー・サンド・アンド・サンシャイン」なんぞ、曲名からして「夏」。前奏のちょっと気怠く、爽やかな雰囲気も「夏」、そして、それに続くデニス・コリンズのボーカルも「夏」。 そして、間奏のピアノとスチール・ドラムの掛け合いも「夏」。とにかく、スチール・ドラムの伴奏が実に印象的。こんなに夏という季節にフィットした曲も珍しい。

全曲に渡って、サンバのリズム満載、スチール・ドラムが大活躍、ラルフはパーカションを叩きまくり(これが、どの曲でも味があって、実に多彩で凄いグルーブ感を叩き出しているのだ)、スティーヴ・ ガッドのドラムとラボリエルのベースは、これまた凄いグルーブ感を醸しだし、ボーカルはそのグルーブ感に拍車をかける。

このアルバム『Trippin'』って、「踊るサンバ」「爽やかスチール・ドラム」「グルーブ感満点 のパーカッション」の三拍子揃って、「夏にピッタリの爽やかフュージョン・アルバム」です。絶対、良いですよ。 太鼓判、押します。

 
 

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2013年6月29日 (土曜日)

フュージョン者に必須のライブ盤

フュージョン・ジャズのアルバムには、意外とオールスターものの名盤が多い。オールスターものと言えば、純ジャズのジャム・セッションに近い雰囲気なので、日頃、なかなか一緒にセッションすることが無い、ポジションを確保した名うてのメンバー達が一堂に集ってセッションを繰り広げるので、日頃の演奏には無い、一種の「化学反応」が起こるんだろうな、と想像している。

このArista Allstarsの『Blue Montreux』(写真左)と『Blue Montreux II』(写真右)の2枚のライブ盤も、そんなオールスターものの優秀盤である。「ブルー・モントルー」というタイトル通り、1978年のモントリオール・ジャズ祭でのコンサートを収録したライブ盤である。

当時のアリスタ・レーベルに所属していた名うてのミュージシャン達が一同に集っている訳だが、ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Michael Brecker (ss,ts), Mike Mainieri (vib), Randy Brecker(tp), Steve Jordan(ds), Steve Khan (g), Tony Levin (b), Warren Bernhardt (p,key,syn) 等々。うへ〜、凄いメンバーやなあ。

冒頭のタイトル曲「ブルー・モントルー」を聴けば、このライブ盤の素晴らしさが良く判る。フュージョン・ジャズとは如何なるものか、に対する「ひとつの回答」の様な演奏。

ポップでキャッチャーでありながら、ジャズ的な適度に複雑な展開を併せ持った、聴き易くも演奏自体のテクニックやミュージシャンの個性を感じることができる、そんなフュージョン・ジャズの良いところを抽出した様な演奏である。
 

Blue_montreux

 
他に収録された演奏曲も、オールスター・メンバーのそれぞれの代表曲ばかりで、演奏内容もかなりの高レベルで、素晴らしい内容となっている。『Blue Montreux』と『Blue Montreux II』の2枚は分けて聴かずに一気に聴かれるべきだろう。

トニーレビン&スティーブ・ジョーダンのリズム・セクションが独特です。アナログ・チックな横揺れなリズム&ビートが実に心地良い。乾いた横揺れなグルーブ感が、このオールスターのフュージョン・ジャズの演奏の雰囲気を決定付けています。

マイケルとランディのブレッカー兄弟のサックス&トランペットも、素晴らしいパフォーマンスを披露しています。兄弟共々、ベスト・プレイに近いブロウを展開しています。時に「鬼気迫る」フレーズを連発しており、単なるフュージョン・ジャズのお祭り的なセッションとは一線を画しています。

そして、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションの一番のパフォーマンスは、マイク・マイニエリのヴァイブでしょう。マイニエリのベスト・プレイと言いきって良いほど、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションにおけるマイニエリの演奏は光っています。

ブログのそこかしこの書かれていますが、マイニエリの代表曲である「I'm Sorry」は、この「ブルー・モントルー」のライブ・セッションがベストテイクだと思います。とにかく上手い。とにかく歌心満載。いや〜、フュージョン界の「ちゃら男」マイニエリ、やれば出来るやないか、凄いやん、と思わず、彼の肩を叩いてみたくなります(笑)。

このアルバム『Blue Montreux』がリリースされたのが、1979年である。フュージョン・ジャズがピークを越えて、下り坂に差し掛かった時代の、フュージョン・ジャズの最高峰の演奏がこのライブ盤2枚に詰まっている。フュージョン者の方々には必須の名盤。聴くべし、です。

 
 

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2013年6月26日 (水曜日)

本田竹曠の初リーダー作を聴く

日本のジャズ・ピアニストは奥が深い。というか、調べれば調べるほど、知っている名前、知らない名前がどんどん出てくる。今までの日本ジャズの歴史の中で、ジャズ・ピアニストは累計何人いるんだろう。と思ってしまうほど、日本のジャズ・ピアニストは裾野が広い。

本田竹曠(ほんだたけひろ)というピアニストがいた。いた、というのも、2006年1月、享年満60歳で鬼籍に入っている。僕が、この本田竹曠というピアニストに出会ったのは、フュージョンの時代、ネイティブ・サンという、日本のフュージョン・グループを通じてである。彼はネイティブ・サンのキーボード奏者だった。確かなテクニックとファンキーなフレーズは、当時、ジャズ初心者だった僕の耳にもしっかりと届いた。

フュージョン時代が去り、僕は社会人になり、本田竹曠の名前をすっかり忘れていた。思い出したのは、彼が鬼籍に入ったという訃報にふれた時だ。実に面目ない。なんと薄情な人間なんだろう、俺は。ということで、罪滅ぼしの意味もあって、本田竹曠のリーダーアルバムを集め始めた。

本田竹曠の初リーダー作、本田竹曠&渡辺貞夫カルテット『本田竹曠の魅力(Minton Blues)』(写真左)。トリオ・レコード時代に制作された初リーダー作。1969年12月に渡辺貞夫カルテットと銀座ヤマハホールにてライヴ収録されたもの。ちなみにパーソネルは、本田竹曠 (p), 渡辺貞夫 (as), 増尾好秋 (g), 鈴木良雄 (b), 渡辺文男 (ds)。今の感覚でパーソネルを眺めると、いや〜、錚々たるメンバーですね。
 

Takehiro_honnda_minton_blues

 
組合せ的には、渡辺貞夫 (as), 増尾好秋 (g), 鈴木良雄 (b), 渡辺文男 (ds)の、ピアノレス渡辺カルテットに、本田竹曠のピアノが参加したという感じ。でもリーダーが本田竹曠だけに、渡辺カルテットも全力で本田をバックアップ。素晴らしいカルテットをバックに、本田竹曠は、のびのびとピアノを弾きまくっている。

初めて聴いた時、こんなにファンキーでブルージーなピアノを日本人が弾いているなんて、と驚いた。ゴスペルチックな和音の重ね方、フレーズの展開。日本人が弾いているが故、あっさりとしたファンクネスが、実に品の良い響きとして記録されている。小気味の良い右手のタッチも特筆もの。日本人の弾く、硬質なスピリチュアルなフレーズにはハッとさせられる。

このアルバムの録音が1969年なんて信じられんなあ。素晴らしい演奏。アレンジも良好で、こんな高度な内容のジャズ・ピアノが、1969年の日本で展開されていたなんてビックリ。純日本のメンバーで、クインテットな演奏も、内容・テクニックとも高度で、同じ日本人として、昔、ピアノを弾いていたものとして、溜飲の下がる思いで一杯である。さすが、ジャズ先進国・日本である。

アルバム・ジャケットのデザインも洒落ていて、なかなか良好。さすが、ジャズを大切に扱っていたトリオ・レコード。他の大手の日本のレコード会社とは一味も二味もジャズに対する扱い方が違います。当然、アルバムに詰まっている音の内容に至っては、当然、外れ無し。

 
 

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2013年6月25日 (火曜日)

遠い昔、懐かしの『地底探検』

ゲイリー・ピッグフォード-ホプキンスが6月22日に癌にて逝去。リック・ウェイクマン(Rick Wakeman)のソロ作『地底探検』や『アーサー王と円卓の騎士たち』のボーカルを担当。『地底探検』はリック・ウェイクマン来日時に生で聴いた記憶がある。ホプキンスのボーカルは上手くは無いが記憶に残るボーカルだった。

このゲイリー・ピッグフォード-ホプキンス逝去の報を聞いて、『地底探検』と『アーサー王と円卓の騎士たち』のアルバムの存在を突然思い出した。高校時代、プログレ小僧だった僕はキーボード奏者が大のお気に入り。当時、プログレのキーボード奏者と言えば、EL&Pのキース・エマーソンとYESのリック・ウェイクマンが人気を二分していた。

僕はリック・ウェイクマン派だった。イエスの『こわれもの』と『危機』のウェイクマンのキーボードに驚き、惚れた。そして、リック・ウェイクマンのソロを聴きたくなった。そして手に入れたのが、リック・ウェイクマンのソロアルバムの2枚目『地底探検(Journey to the Centre of the Earth)』(写真左)である。

このアルバムの宣伝の触れ込みは「リック・ウェイクマンがロンドン・シンフォニー・オーケストラ等と創り上げた荘厳かつ重厚な音の絵巻」。そう、このアルバムは、1974年1月18日、ロンドン・ロイヤル・フェスティヴァル・ホールで行われたロンドン・シンフォニー・オーケストラとの競演コンサートのライブ録音盤。当時の表現を借りると「ロックとクラシックの融合」。当時、音楽的にも評価が高く、全英アルバムチャート1位を記録している。

ジュール・ヴェルヌの「地底探検」をテーマにした作品である。壮麗なオーケストラとコーラス隊をバックに従え、荘厳なクラシックな音をバックに、リック・ウェイクマンのシンセサイザーが鳴り響く。「ロックバンド・混声合唱のための協奏交響組曲」とネットで言い得て妙な表現があった。まさにその通り。この音世界の基本はクラシック。クラシックでいう「交響組曲」。
 

Journey_to_the_centre_of_the_earth

 
しかし、クラシックとコーラスのパートについて、シャープで洗練された様な印象は無い。どちらかというと、中庸な昔ながらのクラシック音楽とコーラスという雰囲気。懐かしさは感じるが音的には古い。このオーケストラとコーラスの「どんくささ」が何とも言えず、癖になる。聴き易いと言えば聴き易い。中庸と言えば中庸。

しかし、このライブ盤の購入当時、高校生だった僕は、この『地底探検』のクラシックとコーラスのパートについては全く評価していない。ちょっと「どんくさい」んですよね〜。演奏の合間合間にナレーションが入っていたりで、ロックやクラシックの演奏とは少し趣が異なる。ロックとクラシックを程良く融合させた、映画のサウンドトラックを聴いているようでもある。

ゲイリー・ピッグフォード-ホプキンスをはじめとするロックバンドとしてのボーカルのパートは、キャッチャーでシンプルな旋律が印象的。このボーカルの部分が「上手くは無いが記憶に残るボーカル」なのである。メロディがキャッチャーで歌い方がシンプルなところが、「上手くは無いが記憶に残るボーカル」に貢献している。

当時のLPに同梱されていた日本語ライナー・ノートのよると、もともとこの『地底探検』、ロンドン交響楽団とのオリジナル公演は1時間40分だったので当初はレコード2枚組み、リック・ウェイクマンによる220ページのブックレットに数枚のスライド同梱、円型ジャケットという計画だったようですが、当時のオイルショックなどの影響で収録時間45分、LPレコード1枚、見開きジャケットに数ページの写真集という体裁になったようです。 

聴き通してみると、アルバム全体の流れについて、確かに切って張った様な「ぎこちなさ」が残る。なるほど、LP2枚組の音源をLP1枚分の縮小したんや。アルバムを聴き通して、なんだか物足りなさが残るのは、このような背景があるからなんやね。なるほどなあ。

このライブ盤は紛れもなく「ロックとクラシックの融合」の成果ではあるが、基本的に、リック・ウェイクマンのキーボードがとことん映えるというところが最大の聴きどころ。交響楽団、混声合唱団をバックに、リック・ウェイクマンのシンセが浮かび上がる。このライブ盤は、リック・ウェイクマンのキーボード、特にシンセサイザーをとことん愛でることが出来るライブ盤である。

1975年1月には来日公演も実現している。実は、僕はこの来日公演を大阪の厚生年金会館で観ている。懐かしい。ちなみに、この1975年の来日時のインタビューにおける質問と回答は、当時からリック・ウェイクマンのファンの間では有名ですよね。質問「オーケストラをバックに弾くというのは気持ちが良いでしょうね?」、ウェイクマンが答える「請求書が来るまではね」(笑)。 

 
 

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2013年6月24日 (月曜日)

オーネットのセカンド盤です。

オーネット・コールマンのリーダー作の第2作目である。そのタイトルは『Tomorrow Is The Question!』(写真左)。ふふっ、仰々しいタイトルやなあ。邦題は『明日が問題だ』。

ちなみにパーソネルは、Don Cherry (cor), Ornette Coleman (as), Percy Heath (b), Shelly Manne (ds)。1959年3月の録音です。パーソネルを眺めると、米国西海岸ハードバップ・ジャズの名うてのリズム・セクション、ベースのパーシー・ヒースとドラムのシェリー・マンが控えているのが面白い。

オーネットは、初リーダー作にも増して、如何に既成のコード進行とリズム&ビートを外すか、を徹底的に追求しているように聴こえる。おもいっきり外れて、不思議なコード進行に乗って、オーネットが一人勝手に吹きまくる。もうオーネットを止める者はいない(笑)。

初リーダー作と同様、トランペットのドン・チェリーがしっかりとフロントに座っている。さすがにオーネットとのスタジオ録音の付き合いも2作目。初リーダー作に見え隠れした、どうしても理屈で追従しようとして、かえってハードバップ風に展開してしまったりして、苦闘しているドン・チェリーが、このアルバムでは、相当に自由に吹きまくっている。自由度の自然さはリーダーのオーネットをも凌ぐ内容。凄いぞ、ドン・チェリー。

演奏の前に、簡単な「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」をしてからの演奏なんだろうが、演奏曲のコード進行とリズム・パターンが奇天烈で、この奇天烈なコード進行とリズム・パターンに追従するだけで体力を消耗し、オーネットの奇天烈なフレーズに追従出来ないでいる、米国西海岸ハードバップ・ジャズの名うての二人、ヒースとマンが微笑ましい。
 

Tomorrow_is_the_question

 
オーネットがオーネットの感覚で、勝手に考え、勝手に決める「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」、不思議なコード進行とリズム・パターンである。

当たり前のことなんだが、オーネット以外にそれに追従できる者はいない。逆に、ドン・チェリーが異端なのだ。オーネットよりもオーネットらしく、おもいっきり外れて、不思議なコード進行に乗って、一人勝手に吹きまくっている。

演奏全体の雰囲気はハードバップに留まってはいるが、フロントの二人、オーネットとチェリーは、従来のジャズのパターンから完全に外れて、好き勝手に、今までに無い不思議なコード進行とリズム・パターンに乗って吹きまくっている。

う〜ん、フリー・ジャズでは無いよな。従来のジャズのパターンから完全に外れて、好き勝手に、今までに無い不思議なコード進行とリズム・パターンに乗って吹きまくっている、というところが、この時代のオーネットの「ミソ」。伝統の範囲内で限りなく自由な演奏を追求する、というところは、同時代のマイルスと同じ。

でも、マイルスはモードという音楽理論をベースに自由度を追求したので、フォロワーが多数出現して、ジャズの代表的演奏スタイルのひとつとなったが、オーネットは「なんらかの取り決め、なんらかの決めごと」をベースとしたので、基本的にはオーネットとその仲間達しか、この自由度の高い演奏を再現することは叶わなかった。でも、どちらも伝統の範囲内で限りなく自由な演奏を追求する、というところは同じ。

オーネットのコピーにならずに、オーネットの演奏思想のフォロワーになるのは並大抵のことでは無い。

 
 

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2013年6月23日 (日曜日)

チューリップ初期の傑作盤

とても久し振りに、チューリップのアルバム聴き直しシリーズの第5弾。チューリップを語る上で、このアルバムは絶対に外せない。今回は、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」からのレビューに修正加筆して、ここに再掲したい。

さて、1970年代、日本のミュージックシーンには、ニューミュージックというジャンルも、Jポップというジャンルも無かった時代に遡る。その頃、日本のミュージックで、気の利いた優等生的な若者が聴く音楽がフォーク、ちょっと不良っぽく振る舞っていた若者が聴く音楽がロック、と大別されていた。

しかし、当時、高校生だった僕は、アコギ中心で何となく大人しい日本のフォークや、エレギで大音量でギンギン引きまくり、ボーカルが叫びまくる日本のロックはあんまり好きでは無かった。実は我が映研全体の風潮もそうだった。よって、部室では、海外のロック、プログレやハードロックばかりが流れていた。

そんな状況の中、ある日突然、プログレ鳴り響く、我が映研の部室に『TULIP(チューリップ)』という名の日本のロック・バンドのLPが持ち込まれた。当時、アイドル系として売れていた日本のロック・バンドである。当時、我が映研においては、あり得ない暴挙である。「先輩、どないしたんですか」、僕達はひっくり返った。

そもそも、我が映画研究部にチューリップのLPが持ち込まれたのは、先輩のつきあい始めた彼女がチューリップのファンで、その先輩が行きがかり上、チューリップのアルバムを聴かなけれねばならない羽目に陥ったからである(笑)。その時、持ち込まれたチューリップのアルバムが、この『TAKE OFF』(写真左)。

つまり、僕は先輩の恋の事情に巻き込まれて、チューリップを耳にした訳である(笑)。その当時、チューリップは『夏色の想い出』や『銀の指輪』でスマッシュヒットを飛ばしており、なんだか、ビートルズの物まねの様な、チャラチャラしたバンド的な印象が強かった。そこに、この『TAKE OFF』である。あまりよろしく無い先入観を持って、それでも、まあ聴いてみるか、という緩いノリで、LPに針を落とした(当時はレコードプレーヤーさ)。
 

Tulip_takeoff

 
出だし、である。「ダッ、ダッ、ダッ、・・・」とドラムの音、ギュワーンとギターの唸り、英語の歌詞。なんと格好良いではないか。耳に新鮮な音が飛び込んできた。そして同時に「どこかで聴いた音だ、どこかで聴いた音だ」と思った。そう、この格好良いリズム&ビートは、ビートルズそのものだった。

短くて格好良い1曲目「TAKE OFF」を経て、2曲目「明日の風」。ビートルズ風のあか抜けたアレンジに乗って、当時、アイドルだった姫野さんが、甘いボイスで唄う。3曲目は「そんな時」。当時、珍しかった12弦ギターの音が清々しい。どの曲もビートルズのフレイバーを様々にアレンジして、唯一無二のチューリップ・サウンドがてんこ盛り。

10曲目には、チューリップの名曲として名高い「青春の影」(写真右・シングルのジャケット)。シングルカットされたバージョンと違って、ストリングス控えめのシンプルなアレンジ。こちらの方が僕は好きです。そして、個人的にとても好きなメドレー「悲しみはいつも〜ぼくは陽気なのんきもの〜笑顔をみせて」。

今でもこれらの曲を聴くと、あの頃の風が頭の中を吹き抜けて、セピア色の懐かしさに包まれる。しかしながら、誤解する事なかれ。懐かしさだけで、このアルバムを聴いているわけではない。今でも、古さを感じさせない曲の構成、ビートルズのフォロワーらしいアレンジに関して、チューリップは1974年に、既に自分のものとしていたことに驚きを感じる。当時、日本のロック雑誌の権威、ミュージック・ライフ誌の「ベストアルバム・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのも頷ける。

確かに音は少し古びているかもしれない。アレンジも稚拙な部分があるかもしれない。それでも、ここにはそれらを補って余りある、今でも通用するアルバムコンセプトと音作りがある。チューリップの代表的名盤として、Jポップの古典的名盤として、お奨めできる内容である。

このあと、チューリップは、ビートルズ・フォロワーとしての総決算アルバムとして『僕が作った愛のうた』をリリース、レコード会社に押し付けられていたロック・アイドル路線とも訣別し、チューリップ自身のオリジナリティーとサウンドを求めて、長い長いチャレンジの旅に出ることになる。

 
 

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2013年6月22日 (土曜日)

3作目にて絶対的個性を確立した

2枚目のリーダー盤を聴いた時、「山中千尋は実に個性的になったなあ」と思ったのだが、今回、発売された3枚目のリーダー・アルバム『Madrigal』では、その個性的な面が、更に確信的に更に揺らぎ無くなって、しっかりとした「山中千尋の個性」に定着しつつあるのを感じて驚いた。

改めて、山中千尋のサード盤『Madrigal』(写真左)。ちなみにパーソネルは、山中千尋 (p), Larry Grenadier (b), Rodney Green (ds), Jeff Ballard (ds)。2004年2月の録音。

1曲目の自作曲「Antonio's Joke」の冒頭のピアノを聴いて、もう直ぐと「山中千尋」と判る音になっていて、ニヤリとさせられる。しっかりと鍵盤を押し込んだ左手の低音がグワングワンと演奏の土台の上で、 テクニカルな右手が、地に足が付いた様な、しっかりしたタッチで「踊る」。

○○派や××派などという「お決まりのスタイルの表現」では単純に括れない、今までの歴代ジャズピアニスとの名手の「良いとこ取り」というか、そのテクニックをしっかり自分のモノにしつつ、今まで聴いたことのない「地に足ついた音の調子」と「重心の低いドッシリ感」という個性を築き上げている。

この個性が、2曲目のジョージ・ラッセル作「Living Time Event V」で、より露わになる(選曲も渋いわなあ)。「キュートで華奢な女の子」という感じのジャケット写真からは想像出来ない、重心低くしっかりと押し込んだ、どっしりとした演奏。

テクニックも申し分なく、この演奏を先入観無く、音だけ聴いたら、女性ジャズ・ピアニストの演奏とは思わないのでは、と思わせるほどにワイルドな演奏だ。
 

Chihiro_madrigal_2

 
3曲目の「Madrigal」やボサノバ調の6曲目の「Salve Salgrigio」は、ファースト・アルバムで耳に馴染んだ「山中千尋」のキュートな面を全面に押し出した女性らしい佳曲。癒しの名演である。

5曲目の「School Days」は実にユニークな演奏になっている。「School Days」と書かれると判らないが、これを日本名になおすと「学生時代」。そう、昔、ペギー葉山が歌った名曲である(今の若い人は知らないかなあ)。

ベースとドラムのスピード感のあるリズムから入って、最初は何の曲だか判らない。ピアノが入ってきて、ベースのラインと共に、普通のジャズ・スタンダードのコード進行とは違うことに気付くのだが、聴いたこともないのに不思議と親近感のあるコード進行に戸惑う。

そして、半音を微妙に上げ下げした、実に「ねじれた」かの名曲「学生時代」 の旋律がでてくると(これって結構な発想とテクニックだと思う)「ああっ、あの曲か」と判る寸法。 この曲、聴きこんで耳慣れてくると「また聴きたい」という気持ちになって、病みつきになる(笑)。

「ねじれている」という面では、7曲目の「Caravan」も負けてはいない。かのデューク・エリントンの定番中の定番なのだが、最初聴いていると、何の曲だかちょっと判らない。が、良く聴いていると、かのジャズ・スタンダードの定番中の定番である「Caravan」と判る。とにかく、ユニークな「Caravan」。こんな「Caravan」って聴いたことが無い。創造力の勝利である。

このアルバムで、山中千尋は「個性的」なジャズ・ピアニストから、「独自の個性」を備えたジャズ・ピアニストになった。しかし、この華奢な体で、どうやったら、こんな力強い演奏が出来るんだろう。

 
 

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2013年6月21日 (金曜日)

80年代MJQサウンドの完成形

マンハッタン・ジャズ・クインテット(以降、MJQと略す)のアルバムには、駄作がありません。どれもが水準以上の出来を保っているので、どのアルバムを選んで聴くかは、皆さん各々の選択基準で選んで差し支えないと思います。ですが、先ずは、デビュー盤から3作目までの、MJQのコンセプトが形となって定着するまでの初々しい盤を聴くのが良いでしょう。

今日は、その第3作目『My Funny Valentine』(写真左)です。この3作目からは、オリジナル・メンバーだった、ベースのチャーネット・モフェットが退団し、代わりにエディ・ゴメス(写真右)がベースに加わっています。

ゴメスはスティーヴ・ガッドと共演も多いので間柄で相性も良く、丁々発止と変幻自在なベテランの技を見せつけてくれます。やはり、ガッドのドラムには、ゴメスのベースの方が相性が良いですね。このリズム・セクションの技に耳を傾けているだけでも楽しい第3作です。

このゴメスとガッドのいわゆる「デジタルチックなリズム・セクション」が、このMJQの特徴である「デジタル録音時代の新しいフォービート・ジャズの形」を更に発展させています。選曲も、この「デジタル・リズム・セクション」の特徴を活かせる曲を優先して選曲されているのが「ニクイ」。
 

Mjq_my_funny

 
この第3作目でも、相変わらず、マシューズのアレンジは冴え渡っています。どの曲も素晴らしい演奏ばかりですが、個人的には、ビリー・ジョエルの「New York State Of Miind(ニューヨークの想い)」が大のお気に入りです。

僕にとって、この曲、ビリーのオリジナルについても大好きな曲でして、MJQが、どうしてこの曲を選んで、ジャズ化したのかは判りませんが、素晴らしい選曲だと思います。 今から思えば、ニュー・スタンダードの走りですね。今ではしっかりと、ジャズ・スタンダードの1曲になっています。

MJQはこの3作目で、グループとしてのサウンドがひとつの完成形に達した感があります。結成当初のコンセプトであった「日本人好みの当時最先端のメインストリーム・ジャズ」から「日本人好み」の部分が取れて「当時最先端のメインストリーム・ジャズ」のひとつの形を提示したものと僕は思っています。

難しくなく、聴き易く、それでいて、結構、マニアックな事もやっている。ジャズ者初心者からベテランまで、様々な角度から楽しめる、非常に優れたグループ・サウンズだと思います。

 
 

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2013年6月20日 (木曜日)

そんなマイニエリの初リーダー作

マイク・マイニエリ。ジャズ・フュージョンで活躍するヴィブラフォン奏者。不思議なミュージシャンである。12歳よりヴィブラフォンを学び、14歳でプロ・デビュー。1961年度のダウンビート誌の批評家投票でヴィブラフォン部門の新人賞に選ばれている。その後、病に伏した時期を経て、1962年、初リーダー作『Blues On the Other Side』をリリースしている。

しかし、その後、1970年代初頭には、ブレッカー兄弟やスティーヴ・ガッドらと共に、クロスオーバー&フュージョンの先駆けとなる演奏集団「ホワイト・エレファント」を主宰したり、NYの豪華なフュージョン系のセッション・プレーヤーを集めたソロ・アルバムをリリースしたり、1979年には、マイケル・ブレッカー、ドン・グロルニック、エディ・ゴメス、スティーヴ・ガッドと「ステップス」を結成したりで、1970年代を席巻したフュージョン・ムーブメントの陰の立役者と言われる。

しかし、マイニエリには、リーダー作が少ない。フュージョン全盛期の1970年代でも、『Love Play』が唯一のリーダー作というのだから、寡作も寡作。それでいて、サイドメンとしては、結構、色々なアルバムに顔を出して、コロコロコロとヴァイブを叩いているんだから、何て言ったら良いのか(笑)。僕は、マイニエリのことを「ちゃら男」と呼んでいる(笑)。

そんなマイニエリの初リーダー作、Mike Mainieri『Blues On the Other Side』(写真左)を聴くと、マイニエリのヴァイブが如何なるものかが良く判る。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib), Bruce Martin (p), Julie Ruggiero (b), Joseph Porcero (ds)。マイニエリ以外、誰が誰なのか、さっぱり判りません(笑)。
 

Blues_on_the_otherside_2

 
この初リーダー作、内容的には、バリバリのハードバップ。1962年という録音年にしては、オーソドックスというか、ちょっと古い、手垢の付いたハードバップ的な演奏で、当時の演奏として先取性は感じられない。いわゆる、ちょっと平凡なハードバップな演奏。バックのミュージシャンも冴えたところはあまり無い。

唯一、マイニエリのヴァイブの音がユニークと言えばユニーク。1962年、バリバリのハードバップな演奏の中、マイニエリのヴァイブには、全く持ってファンクネスを感じることが無い。健康的に明るくフラットなヴァイブで、これだけファンクネスを感じさせないジャズ・ヴァイブも珍しい。とにかく、健康的に明るい響きで、翳りが全く無い。つまり、ジャズとして、ちょっと面白味に欠けるヴァイブの音、とも言える。

故に、マイニエリのヴァイブをフィーチャーしたリーダー作は、単調になる可能性が高い。恐らく、マイニエリはそれを知っていたのだろう。しかし、お洒落でアーバンなフュージョン・ジャズには、ピッタリなところもあって、サイドメンとして、ところどころでインプロビゼーションを披露すると、時に「おおっ」と聴き耳を立ててしまう様な、優れたプレイに出くわすこともある。マイニエリのヴァイブはサイドメンとして輝く傾向が強い。

しかし、21世紀に入って、鍛練を積んだのか、遅まきながらモーダルな展開を身につけ、純ジャズ的響きをベースとしたコンテンポラリー・ジャズなアルバムをリリースしており、それぞれ、なかなかの内容で、僕はマイニエリを見直している。このブログでもご紹介した『Northern Lights』(左をクリック)など、僕のお気に入りな一枚である。

 
 

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2013年6月19日 (水曜日)

新しい響きがグングン迫る

人間臭さが全く感じられないとか、人工的とか商業的とか、とかく、なにかと批判されがちな Manhattan Jazz Quintet(マンハッタン・ジャズ・クインテット)ですが、僕はそうは思いません。

メンバーはそれぞれ、職人気質のミュージシャンばかりですし、フュージョンでならしたデヴィッド・マシューズのアコースティック・ピアノと、スティーブ・ガッドのフォービート・ドラムは十分に個性的。

そのマシューズの優れたアレンジと相まって、フォービート・ジャズの新しいサウンドと志向で、他に与えた影響は大きいと思います。デジタル時代の新しいフォービート・ジャズの形のひとつと言っても差し支えないと思います。

マシューズのピアノ、スティーヴ・ガッドのドラムでフォービート・ジャズをやるという斬新な企画。このサウンドが斬新に響き、ファースト・アルバムは売りに売れました。

確かに、ガッドのメリハリの効いたドラムとマシューズの秀逸なアレンジの影響で、全体のサウンドがガッチリと「まとまった印象」。このアルバムの音作りは、その後のジャズの音作りにいろいろと好影響を与えています。
 

Mjq_autumn_leaves

 
Manhattan Jazz Quintet『Autumn Leaves』(写真左)。この新しい勢いの中で制作されたセカンド・アルバムです。

2作目も有名なスタンダード・ナンバーのオンパレードですが、マシューズの優れたアレンジが冴えまくって、旧来の手垢のついたスタンダード・ナンバーが、なかなか小粋な印象に変身。従来からのスタンダードに親しんできた耳にも、新しく新鮮に聴こえます。この部分がこのセカンド・アルバムの「ミソ」です。

2作目になってグループの方向性が固まり、演奏も長めになって、全体的に余裕が出て来たような感じが実に心地良い。1作目よりもリラックスして聴けます。適度なテンションが心地良いですね。

ガッドのドラムがバシバシとリズムをキメているのが気持ち良い。逆に、自由度の高い、自由を求めるモフェットのベースとのコンビネーションにはちょっと違和感を感じますが、アルバムを鑑賞する上では、これは大きな問題ではありません。

とにかく洗練された渋いサウンドが心地良い。手垢のついたスタンダード曲もこれだけ上手くアレンジされて、しかも、これだけの「職人集団」で演奏されたら、新しい響きがグングン迫ってきて、なかなかの迫力です。
 
 
 
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2013年6月18日 (火曜日)

この盤でのMJQは初々しい

マンハッタン・ジャズ・クインテット(以降、MJQと略す)は、1970年代を席捲したフュージョン・ ブームが完全に行き詰まってしまい、ジャズ界全体が閉塞感に包まれ出した頃、フュージョンのアレンジャー&キーボード奏者として活躍していたデビッド・マシューズがリーダーとなり、1980年代の新しいメイン・ストリーム・ジャズを担うグループとして、1984年、日本人の企画により誕生しました。

「日本人の企画により」という部分が「ミソ」で、50年代〜60年代のハード・バップ、ファンキー・ジャズをベースとしながらも、1980年代の最新のジャズの要素も取り入れた、つまり「日本人好みの、当時最先端のメインストリーム・ジャズ」がコンセプトです。

「です」というのも、2013年になった今でも、このMJQはバリバリの現役バンドとして活躍しています。いやいや、まさか、30年近くもバンドが継続されるとは、デビュー当時は思いもしませんでした。

ファースト・アルバムのタイトルはあっさりと『Manhattan Jazz Quintet』(写真左)。1984年7月の録音。結成当時の5人のメンバーはというと、Lew Solloff (tp), George Young (ts), Daviid Matthews (p), Charnett Moffett (b), Steve Gadd (ds) の5人。当時、新人のベーシスト、チャーネット・モフェット以外、いずれも1970年代のフュージョン・ジャズの時代の荒波を泳ぎ切った、名うての「個性派のジャズメン達」である。

この「個性派のジャズメン達」という部分が曲者で、ここを上手く捉えないと、MJQを表面上だけで聴いてしまって、「人工的」だとか「商業主義」だとか「人間臭さが無い」とか評したりするのだ。
 

Manhattan_jazz_quintet

 
確かに1950年代のハード・バップの演奏に比べると、テクニックよろしく整然としていて隙が無いし、感情の起伏が上手くコントロールされていて、ミスが無い。しかし、なぜそれが「良く無い」となるのか。ジャズは日々進歩しているんだから、これだけの高度な技術を持ち合わせたバンドが出現しても不思議では無い。

まあ「作られた様な」という部分は判らないでもないですけどね(笑)。これは、ひとえにデビッド・マシューズの優れたアレンジが原因で、そういう印象を持ったりするんだろうと思う。

それほど、このMJQでのマシューズのアレンジは冴え渡っている。アレンジが冴え渡っている分、それを「作られた様に」感じるジャズ者の方もおられるのだと思う。クラシックの曲にこの傾向が多い。あまりに出来の良い曲に対して「あまりに作られた感じがする」と言われることが多いのと同じ理由だろう。

このファースト・アルバムでは、マシューズの秀逸なアレンジが「個性派のジャズメン達」を上手く活かしつつ、更なる輝きを与えている。エモーショナルなソロフのトランペット、コルトレーン的ではあるが、 コルトレーンより聴きやすく親しみやすいヤングのテナー、モフェットの初々しいベースも好感度良好。

とにかく、このアルバムでのMJQは初々しい。フュージョンが行き詰まってしまった後、ジャズ界全体を取り巻く閉塞感の中で、喜々として高らかにメインストリーム・ジャズの復権を宣言しているような躍動感溢れるアルバムだ。アルバム・ジャケットのデザインも良い。今でも良く聴きます。

 
 

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2013年6月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・43

Junior Mance & Joe Temperley『Monk』(写真左)。2003年7月のリリース。タイトル通りモンク曲集。ライブ音源である。どんなシチュエーションでのライブかな、と調べてみたら、なんと、2000年10月から11月にかけて、船上での「The Floating Jazz Festival」で行なったライヴの様子を捉えたライブ盤とのこと。それは珍しいなあ。

なかなか素晴らしい演奏が展開されるライブ盤で、ハード・バップなジャズの良いところを十分に感じることが出来るライブ盤である。ネットで検索して見ても、ほとんどヒットしないから、知る人ぞ知る「優れライブ盤」ということになる。ちなみにパーソネルは、Peter Washington (b), Junior Mance (p), Mickey Roker (ds), Joe Temperley (bs, b-cl) のカルテット構成。

ジョー・テンパリーって知らない名前で、ネットで調べてみたら、1929年生まれのスコットランド出身のバリトン・サックス&バス・クラリネット奏者とのこと。今年で84歳になる大ベテランである。1965年にニューヨークに活動拠点を移して、デューク・エリントン楽団にも所属していた由緒正しいジャズメンである。また、彼は Jazz at Lincoln Center Orchestraのオリジナル・メンバーでもある。ふ〜ん知らなかったなあ。

このジョー・テンパリーのバリサク&バスクラが実に素敵な響きである。バリサクのブラス輝く重低音とバスクラのちょっととぼけた感じの重低音が、セロニアス・モンク独特のフレーズに良く似合う。確かに、バリサク&バスクラでのモンクのフレーズを聴いたことは無かった。それだけでも、このライブ盤は貴重な体験だ。
 

Junior_mance_monk

 
加えて、ピーター・ワシントンも僕にとって馴染みの無いベーシストで、ネットで調べてみたら、1964年生まれのロス出身のベーシスト。米国西海岸中心に活動していたが、1986年、ニューヨークに移って、ジャズ・メッセンジャーズに参加。以降、ニューヨークを活動拠点として現在に至る。そうそう、彼の名前を思い出した。2008年の「The Blue Note 7」のベーシストでしたね。

このピーター・ワシントンの重低音ベースが、これまた魅力的。ブンブン、しなるように弾けるように響き渡る重低音は、ジャズの至福の音である。ミッキー・ローカーの味のあるドラムと相まって、素晴らしいリズム&ビートを提供してくれる。これぞハードバップという雰囲気のリズム&ビートは聴き応え十分。

ピアノのジュニア・マンスは、もうご紹介するまでも無いでしょう。ハードバップ時代から約60年。常にジャズ・ピアノ・シーンの中心で活躍してきたピアニストです。堅実でシンプルで破綻の無い、歌心とテクニックを併せ持った端正なピアノは、実に「粋」なピアノである。

マンスの端正なピアノで、癖のあるモンクの曲のフレーズを弾くと「どうなるんやろう」なんて思ったが、何てことは無い。テーマ部はモンク独特のフレーズを紡ぎ出し、インプロビゼーション部に入ると、モンク独特のコード進行に則って、マンスの流儀でアドリブ・フレーズが展開される。
 
堅実でシンプルで破綻の無い、歌心とテクニックを併せ持った端正なピアノでのセロニアス・モンク集。なかなか興味深い対比が楽しいですね。
 
日本のジャズ者の皆さんにはあまり馴染みのあるライブ盤では無いようですが、このライブ盤、実に良い内容です。知る人ぞ知る「優れライブ盤」。これぞ、ジャズ喫茶で流したい、ですね。 

 

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2013年6月16日 (日曜日)

TOTOの優れたファースト盤

このところ、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の懐かしの70年代館のマイブームが「AOR」。和製英語で「アダルト・オリエンテッド・ロック」。1970年代後半から1980年代前半に流行った「大人向けのロック」という意の音楽ジャンルである。

まあ、1970年代後半から1980年代前半というと、私、松和のマスターは「高校〜大学から社会人なりたて」時代で、AORはリアルタイムに体験している。特に大学時代、聴き始めたジャズに苦戦しながら、閉口して耳休めに、このAORのジャンルのアルバムをよく聴いていた。

今日、久し振りに聴いたのが『TOTO』(写真左)。1977年にロサンゼルスでスタジオミュージシャンをしていたデヴィッド・ペイチとジェフ・ポーカロを中心に結成されたグループ「TOTO(トト)」のデビュー盤である。1978年のリリース。邦題は「宇宙の騎士」。とにかくこの頃のCBSソニーの邦題は趣味が悪い。

もともとはボズ・スキャッグスのバックなども務めたスタジオ・ミュージシャンの集団なので、TOTOの音楽性は、ずばり「AOR」とされるが、これはちょっと短絡的な解釈だろう。

このデビュー盤を聴くと、1970年代のロック、例えば、ハードロックやプログレッシブ・ロックの音楽的な要素をしっかりと内包しており、優れたアレンジの下、演奏テクニックを前面に押し出したインストの展開というフュージョン・ジャズの要素も漂う。
 

Toto_first

 
いわゆるポップ・ロック出身のAORとは異なる、インストを中心とした演奏の展開をベースに聴かせる、ややフュージョン・ジャズ寄りのアプローチが個性的である。ポップスのバリエーションとしてのAORとはちょっと違う、ややマニアックな音楽性が実に魅力である。

このデビュー盤に収録された全10曲のうち、なんと4曲がA面にシングル・カットされている。ほとんど切り売り状態である。ちなみに、9曲目の「Hold the Line」は、米国ビルボード誌のシングルチャートで5位を獲得している。

音的にもアレンジが優れているだけ、ソリッドな音作りも相まって、今の耳にもほとんど古さを感じない。3作目以降、商業ロック化として、今でも軽んじられる傾向にあるTOTOではあるが、このデビュー盤と次作の『Hydra』は別格。内容的にも優れたAOR盤として十分に評価されるべきアルバムである。

ちなみに、バンド名の由来について,バンド結成以前、メンバーが来日した時に、トイレで「TOTO(東洋陶器)」のロゴを見たことがきっかけという噂があるが(本人達も似たようなコメントはしているが)、これは悪い冗談だろう(笑)。

 
 

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2013年6月15日 (土曜日)

ホームページをリニューアル

やっとのことで、ホームページを全面的にリニューアルしました。東日本大震災の2ヶ月後から更新を停止して約2年。やっとのことで、リニューアルです。アドレスは「ここをクリック」です。

もともとは、2011年4月の終わりにMacBookがぶっ壊れたことに端を発しています。新しいMacBookにして、OSが最新になったところ、当時使用していたホームページ作成ソフトが動作しないことが判明。まさか、OSをダウングレードすることも出来ず、このホームページ作成ソフトが動作不可、というのが、ホームページ更新停止の原因になりました。

それから新しいホームページ作成ソフトを導入したのですが、スタイルシートの扱いなど、プロフェッショナルなテクニックや知識が必要となり、その勉強にかなり苦心しました。

とにかく、ある程度、見栄えの良いホームページを作成しようと思うと、プロが使用するホームページ作成ソフトを使用せざるを得なくなる。これは素人には非常に負担です。

しかも、2011年11月には、最初の大量下血にて入院。1ヶ月間、仕事を休みました。それから極度の貧血から体調が優れず、ホームページのリニューアル作業は半年間中断。2012年6月から再開したのですが、完成直前の2012年11月末、2度目の大量下血にて再入院。遂には開腹手術の憂き目に遭い、再度、リニューアル作業は中断。

手術後のリハビリを兼ねて、2013年の3月より、リニューアル作業を再開。そして、今年の5月12日、部分的には工事中なんですが、やっとのことで、メイン部をリニューアル・オープンすることが出来ました。
 

Matsuwa

 
さて、以前のホームページとの変更点ですが、まず、以前、分かれて構えていた「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入口を、バーチャル音楽喫茶『松和』はひとつですから、入り口が2つあるのはおかしいかなと思い、一本化しました。

そして、内容的には、このホームページは、「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」の記事のアーカイブの位置づけとしました。せっかくブログにアップした記事が、時間と共に過去のブログの記録の中に埋もれていくのは勿体無いな、と常々思っていたので、ブログの記事をテーマ毎に分類し、それぞれ索引を設けて、過去の記事を探しやすく、テーマ毎に読み返し易くしたつもりです。

構造的には、この新しいホームページから、テーマ毎に分類され索引を付けた記事のアーカイブ用のブログにリンクされています。リンク先のブログには、このホームページに戻ることの出来る「リンク」を右上に常備しているので、この「リンク」にて、アーカイブのブログからホームページに戻ることができます。

まずは「ジャズ・フュージョン館」のジャズの部分を暫定的にリリースしました。フュージョン、70年代ロック・Jポップは少々お待ち下さい。鋭意、後追いでアップしていくつもりです。今年の年末までには完成形にこぎ着ければと思っていますので、よろしくお願いします。乞うご期待です(笑)。

最後に、今一度、アドレスは「ここをクリック」です。皆さん、是非一度、遊びに来て下さい。お待ちしております m(_ _)m。

しかし、テスト運用を始めたのが、1998年6月ですから、かれこれ、もう15年、ホームページを運営していることになります。自分のことながら、よくまあ続いているなあ、と感心してます(笑)。

 
 

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2013年6月14日 (金曜日)

米国西海岸なAORサウンド

AORとは「アダルト・オリエンテッド・ロック」の略。和製英語である。落ち着きのあるお洒落な大人のロックって感じの音楽ジャンル言葉。
 
このAORの世界で「スティーリー・ダン・フォロワー」という分類がある。1970年代後半、AORの時代。AOR時代到来の前からAORな音世界を現出していた、スティーリー・ダン。その音世界を踏襲したミュージシャンやグループが「スティーリー・ダン・フォロワー」。

その「スティーリー・ダン・フォロワー」の代表格が「Far Cry(ファー・クライ)」。フィル・ゴールドストンとピーター・トムの2人によるこのデュオ、スティーリー・ダンをポップにした音世界が特徴。

とにかく聴き易い。聴いていて心地良い。AORの良いところを凝縮した、AORの完成形の様な音世界。そのFar Cryがリリースした唯一のアルバム。

そのアルバムとは、Far Cry『The More Things Change』(写真左)。1980年のリリース。プロデューサーとして、ビリー・ジョエルなどを手がけたプロデューサーのフィル・ラモーンやスティーリー・ダンのアルバムに名を連ねるエンジニアのエリオット・シャイナーを迎えている。それだけでも、このアルバムは「スティーリー・ダン・フォロワー」として、成功を約束された様なもの。

アルバムの冒頭「The Hits Just Keep On Comin'」を聴けば、AORのサウンドの本質が良く判る。AORの見本のような素晴らしい曲ですね。この曲のみならず、Far Cryの音世界には「潮風」を感じます。ベイエリア・サウンドといった感触でしょうか。
 

Far_cry

 
本家のスティーリー・ダンはアーバンなサウンドが旨ですが、そこが、Far Cryの独特の個性です。このベイエリアの雰囲気が良いんですよね。なぜか、サンフランシスコを思い出します(笑)。米国西海岸なサウンドですね。

バックを固めるミュージシャンも、ロブ・マウンジー、スティーブ・カーン、ラルフ・マクドナルド、クリス・パーカーなど玄人好みのフュージョン・ジャズ系ミュージシャンを揃えて、テクニック溢れる、ちょいと捻りを効かせた、それはそれは素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

そして、なんと、このアルバムには、ご本家スティーリー・ダンから、ドナルド・フェイゲンがバック・ボーカルでゲスト参加しているんですね。確かによく聴いていると、あれれ、と思いますよ、「スティーリー・ダン・フォロワー」の耳の持ち主ならば(笑)。

アルバムのジャケット・デザインも素敵です。赤いシグナルが印象的。このジャケット、ずっと見ていても決して飽きない。なんか、とっても良い感じなんですよね。このアルバムに詰まっている、ベイエリア・サウンド的な、少し翳りがあるけど、夕暮れ時な、暮れなずむような音の雰囲気を良く表している。

大学時代、よく聴いたなあ、このアルバム。行きつけの喫茶店で、下宿で、研究室で、古墳に向かう車の中で、このアルバムをよくかけたなあ。ベイエリアなサウンド。米国西海岸なサウンド。このアルバム越しに、僕達は米国を感じていた。

ふふっ、僕自体が「スティーリー・ダン・フォロワー」である。このアルバムは今でも大好きだ。

 
 

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2013年6月13日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・42

こんなに「小粋でハードボイルド」なピアノ・トリオは、是非ともジャズ喫茶で流したい。

このアルバムは、1975年2月、エラ・フィッツジェラルドの伴奏メンバーとして来日したトミー・ フラナガンを起用して吹き込まれたもの。Tommy Flanagan『Tokyo Recital』(写真左)。

フラナガンとして、初の日本でのレコーディングという点で、また、彼のリーダー作としては、1960年に吹き込まれたムーズヴィル盤以来(なんと15年ぶり)、という意味でも貴重なアルバムである。ちなみにパーソネルは、Keter Betts (b), Bobby Durham (ds), Tommy Flanagan (p)。

フラナガンと言えば落ち着きのある、いぶし銀のような「洒落た面」と、良くスイングした趣味の良い「ハードでダイナミックな面」を併せ持つピアニストである。とにかく、絵に描いたような「隠れ名手」的で「小粋なハードボイルド」的な、実に趣味の良いピアニストなのだ。

良くジャズの入門書では「サイドマンとして彼のピアノは輝く」なんて書いてあることが多いが、とんでもない。このアルバムを聴いてみれば良く判る。やはり、彼もまた、リーダーアルバムで最高に輝くのだ。
 

Flanagan_tokyo_recital_2

 
このアルバムの1曲目と2曲目で彼の特質が良く判る。1曲目の「All Day Long」では、彼のほど良くスイングした、趣味の良い「ハードでダイナミックな面」が良く出ており、のっけから実に楽しい、ノリの良いピアノ・トリオを聴かせてくれる。

2曲目の「UMMG」は打って変わって、味わいのある落ち着きのある、いぶし銀のような「洒落た面」が堪能できる。このアルバムは、この彼の持つ相反した2つの面が、バランス良く配置された名盤であると僕は思う。

サイドマンの貢献度も高く、ドラムスのボビー・ダーハムは、フラナガンの2つの面「ノリの良い面」と「落ち着きのある面」それぞれに合わせて、柔軟なドラミングでバッキングを確かなものにし、ベースのキーター・ベッツは、堅くて野太い、リズム感満載のベースでスイング感を盛り上げる。

録音も良く、選曲もありきたりのジャズ・スタンダードのオンパレードではなく、「デューク・エリントン=ビリー・ストレイホーン作品集」というコンセプトに則り、ちょっと小粋な曲や隠れた名曲を随所に散りばめ、とても楽しく、かつ、小粋なアルバムに仕上がっていて立派だ。

このようなアルバムが、日本での録音で生まれたことは誇らしいことだ。なにはともあれ、理屈抜きに楽めるアルバムです。

 
 

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2013年6月12日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・36

改めて見渡して見ると、ハービー・ハンコックの日本での録音盤は、ライブ盤も含めて結構ある。

もともと、ハービーが親日家であること、そして、日本がジャズ先進国という環境で、 ジャズ・ミュージシャンに対しての対応が良いことが原因として挙げられる。また、ハービーが日本録音を残し始めた1970年代は、国際航空路線が飛躍的に整備された時代で、日本〜米国間の移動が手軽になったことも大きな要因として挙げられる。

そんなハービーの日本録音盤の中で、このアルバムはジャズ資産として、非常に価値の高いものの一枚になる。Herbie Hancock『Herbie Hancock Trio '81』(写真左)。1981年6月の録音。リリースは1982年。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。黄金のトリオである。

ハービーのリーダー・アルバムの経歴を振り返ると、優秀なジャズ・ピアニストにもかかわらず、 自己のグループでのピアノ・トリオ盤が非常に少ない。

ソロ・デビューを飾り、ジャズ・ピアニストとしての地位を確立したブルーノート・レーベルの時代についても、ハービーについては、ピアノ・トリオ盤が無い。その後、CBSに転籍してからは、純ジャズよりもフュージョンに力を入れ始めたため、純ジャズそのもののアルバムが無くなってしまった。
 

Herbie_trio81_2

 

ジャズ・ピアニストの本質を感じるには、最少フォーマットの「ソロ」より、リズムという観点で会話相手のある「トリオ」のほうが、その全貌を感じるのに適している。と、僕は感じているのだが、ジャズを聴き始めた1970年代、ハービーの優れたピアノ・トリオ盤が無いに等しく、実に残念な気持ちがしたものだ。

しかし、1981年、やっと溜飲が下る時が来た。1977年以来、4年ぶりに『Herbie Hancock Trio '81』が発売されたのである。

このアルバム、それまでの「ファンク・フュージョン路線」のハービーからは想像し難い、ほど良くスイングし、タイトで抑制が効いた、リリシズム溢れる名演がズラリと並ぶ。しかも、バリバリに溌剌と、アコースティック・ピアノを弾いているのだ。

もちろん、バックは、マイルス・クインテット時代の同僚で、心底、気心知れている、ベースのロン・カーター、ドラムスのトニー・ウィリアムスである。悪かろうはずがない。しかも、このアルバムでは、ロンもバリバリに溌剌とベースを弾き、トニーのドラムスも、バリバリに溌剌と変幻自在、硬軟自在。こんな「引き締まった」ピアノ・トリオ盤はあまり記憶に無い。

とにかく、今や、ジャズ・ピアノの大御所ハービーの僅少の「トリオ作」の中の秀作を日本録音で世に出したことを、日本のジャズ・ファンの一人として誇りに思っている。細かいこと言うことなかれ。聴くべし。 

 
 

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2013年6月11日 (火曜日)

keiko Leeのデビュー盤

バーチャル音楽喫茶「松和」では「ジャズ・フュージョン館」の傍らで「懐かしの70年代館」を運営して いますが、最近、ハタと思い当たったことがひとつあります。「ジャズのアルバムの中で、70年代ロックの名曲を題材にした楽曲はあるのか?」。

これがですねえ、なかなか無いんですよ。今や21世紀、思えば、1970年代から40年以上にもなっているのに「なんだかなあ、ジャズ界って保守的なんだなあ」って思いながら探していたら、ありました。実は「70年代ロックの名曲を題材にしたジャズ」、不思議と日本のミュージシャンのアルバムに多いんですよねえ。

Keiko Lee『Imagine』(写真左)。今や、日本女性ジャズ・ボーカル界の大御所的存在となったケイコ・リーのアルバム。このアルバムは、ケイコ・リーがニューヨークで現地のミュージシャンと一緒にレコーディングした初めてのアルバム。所謂、デビューアルバムですな。1995年のリリース。

このアルバムでのリーのボーカルは、その独特の「ボイス」と「フレージング」ゆえ、早くも「一流としての個性」を予感させます。そして、バックバンドは、ケニー・ バロン(p)、グラディ・テイト(ds,vo) 等の精鋭ミュージシャンが固め、充実のサポート。

さて、「70年代ロックの名曲を題材にしたジャズ」はと収録曲を眺めると、まず、特別に目に付くのは、ロックというジャンルとはちょっと外れるのかもしれないが、当時「ソウル・ミュージック」というジャンルで活躍していた、ロバータ・フラックの名唱で知られる「Feel Like Making Love」。

2曲目に収録されているこの曲、バリバリR&B系の粘っこく、黒くファンキーなナンバーなので、フュージョンのジャンルでは、時々、カバーされる名曲なんだが、今回の様な純ジャズ系でカバーされるのは珍しい。リーは、このファンキーな名曲を、抑制の効いた純ジャズをバックにして、実にシットリとジックリと、時にコケティッシュに歌い上げてみせる。
 
 
Keiko_lee_imagine
 
 
R&B系、フュージョン系の演奏には無い、落ち着いた重心の低い、しっかりとした「Feel Like Making Love」が聴ける。ファンキーに跳んだり跳ねたりしていない分、この楽曲の本質の部分が見えるようで、実に好ましい出来に仕上がっている。

7曲目の「Summertime」って、ガーシュイン作曲のミュージカル「ポギーとベス」の挿入歌なのだが、リーはどちらかといえば、ちょっとロックっぽい雰囲気で、ジックリと唄い上げていくところが面白い。

70年代ロックの中では、伝説の女性ボーカリストであるジャニス・ジョップリンの名唱で有名な曲だが、この曲は、既にジャズの方ではスタンダードになっている。ジャズのスタンダードを、ロックのイディオムで歌い上げたのがジャニスってわけ。

そして、絶品はラストの「Imagine」。いまや説明不要のジョン・レノンの名曲。この曲、オリジナルがオリジナルだけに、ジャズ・ボーカルとしてカバーするのはちょっと難しいのではと思っていたが、この手があったのか、って感心しました。

出だしは、やはりオリジナルをデフォルメするのは難しいらしく、オリジナルに忠実な歌唱に終始。これでは、単なるジャズ・ピアノをバックにしたカラオケではないか、と思っていたら、途中から、グラディ・テイトの渋いボーカルが入ってきて、雰囲気は一変。雰囲気はガラッと変わって、バリバリのゴスペル風になる。これが実にニクい。

ファンキーで黒いゴスペル調にノリながら、リーとグラディは、渋いデュエットを繰り広げる。う~ん「イマジン」ってゴスペルに完璧にのるリズムを持った楽曲だったのね。とにかく、最後2曲はグラディ・テイトとのデュエットがハイライトの秀作です。

加えて、20bitデジタル・レコーディング、加えてSBMマスタリングなど、高品位な音源を実現しており、オーディオ・ファイルとしても魅力的なアルバムですね。良いジャズ・ボーカル盤です。
 
 
 
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2013年6月10日 (月曜日)

特に夏に聴く楽器って何?

特に夏に聴く楽器って何?、と訊かれると、昔から決まって「フルート」と答える。あの、切れ味良く、吹き抜けていく風の様な、爽やかな音色は、蒸し暑い夏に聴くと涼しさを感じる格好の楽器だと思っている。

では、ジャズでテナーやアルトなど、サックスを吹くミュージシャンの中では、第2の楽器としてフルートを吹く人が多いが、フルートを専門とするミュージシャンはというと、ハービー・マン、ヒューバート・ ロウズ、ジェレミー・スタイグ等、数えるほどしかいない。

ここでは、そのフルートを専門とする数少ないミュージシャンの中から、ヒューバート・ロウズの変わり種のフュージョン系アルバムをご紹介したい。

Hubert Laws『The Rite of Spring』(写真左)。1971年6月の録音。時代はクロスオーバー・ジャズが出現して、人気が出始めた頃。このアルバムはクロスオーバー・ジャズの専門レーベル、CTIからのリリース。

邦題は「春の祭典」。かのクラシックの名曲ストラビンスキーの「春の祭典」である。フュージョン全盛の時代、CTIIレーベルを代表する大ヒット・アルバムのひとつだ。
 

The_rite_of_spring

 
ヒューバートは、ジャズとクラシックの両分野で活躍する正統派ミュージシャンなので、恐らく、本アルバムの企画が持ち上がったのだろうと想像できる。

こういったクラシックの名曲をジャズやフュージョンのフォーマットで演奏する場合、そのアレンジが重要な鍵を握るのだが、このアルバムでは、ドン・セベスキーのアレンジも抜群に冴えている。

まあ、この表題曲の「春の祭典」の演奏もなかなかに良いのだが、春の雰囲気にあった楽曲といえば、冒頭の1曲目「パバーヌ」、3曲目「パンの笛」なんか、フルートの多重録音が効果的で、なんだか春の微風の中にとけ込んでいってしまいそうな、そんな心地良く、儚い感じが気持ち良い。

4曲目からラストは、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番からのアレンジものだが、これはバッハのジャズ化の中でも、成功例に挙げられる名演だろう。フルートの音が効果的に旋律を奏で、その秀逸なアレンジと共に、なかなかに優れた演奏となっているのが立派だ。

夏の昼下がり、このアルバムを聴きながら、本を片手に昼寝するって、ちょっと良い感じじゃありません?

 
 

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2013年6月 9日 (日曜日)

大村憲司の初リーダー作です。

大村憲司。ロック〜フュージョン系のギタリスト。大村憲司のデビューは、1971年の赤い鳥での初録音。 その後、YMOのサポート・ギタリストで活躍するなど、日本のポピュラー音楽を陰で支えた名ギタリストである。1998年11月18日、49歳で惜しくも他界。

彼のリーダー作はたった4枚。そのうちこれは1978年に発表したファースト作。大村憲司『First Step』(写真左)。

このファーストアルバムがリリースされた、1970年代後半といえば、リー・リトナー、エリック・ゲイル、ラリー・カールトン、アール・クルー、 といったジャズ系フュージョン・ギタリストの全盛期で、そうした時代の匂いが本作からも漂ってくる。
 
しかし、懐かしい雰囲気よりも、大村憲司の個性と演奏が生き生きとしていて、なかなかのアルバムである。

ギターは1曲だけテレキャスターを使用しているが、ほかはES-335を使用。これが渋い。まるで、ラリー・カールトンではないか(笑)。1978年当時、日本のフュージョン・シーンの中で、セミアコを駆使しているところがニクい。
 

Kenji_ohmura_first_step

 
そして、 アレンジは深町純が担当。これがまた良い。そして、参加メンバーを見渡せば、村上秀一、林立夫、マーティン・ウィルウェバー、高水健司、小原礼、富倉安生、坂本龍一、深町 純、浜口茂外也、斉藤ノブ 等と、そうそうたるメンバーがズラリと並ぶ。

壮観である。 このメンバーを見ると、このアルバムについては、バリバリのテクニック、スリリングな掛け合いなど、馬鹿テク中心の大演奏合戦をイメージするが、このアルバムはひと味違う。

テクニックを前面に押し出すというより、ゆったりとした味のある雰囲気がアルバム全体を覆って、そのゆったりとした雰囲気の中で、しっかりとテクニックに裏打ちされた、実に「粋」な職人芸的演奏が繰り広げられる。これが実に心地良い。

僕のお薦めは、1曲目(6曲目は別バージョン)の「Boston Flliight」。ミドル・テンポで、飛翔感のある気持ちの良い演奏だ。3曲目「Better Make It Through Today」は、エリック・クラプトンの曲。この曲では、大村はヴォーカルも披露するが、これも渋い。7曲目の「Left-Handed Woman」だけは、馬鹿テク集団の面目躍如的な、弾きまくり叩きまくりな素晴らしい演奏。

大村憲司の個性と演奏の雰囲気が素晴らしい、隠れたフュージョン・ジャズの名盤。夏の爽やかな朝、遅くおきた朝、遅い朝食を取りながら耳を傾けてみたい、そんな清々しいアルバムです。

 
 

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2013年6月 8日 (土曜日)

ノスタルジックなジャケット

ジャケット・デザインが、なかなか渋い。いかにも、サボイ・レーベルって感じのジャケット。確かに「ダサい」と言えば「ダサい」ジャケット・デザインなのだが、古き良きモダン・ジャズを感じさせるような、ちょっと「ダサい」が、グッと惹き込まれるようなノスタルジックなジャケットは、確実にその内容を保証してくれる。

Milt Jackson(ミルト・ジャクソン)の『The Jazz Skyline』(写真左)。1956年1月、サボイ・レーベルに録音されたセッション。ちなみにパーソネルは、Lucky Thompson (ts), Milt Jackson (vib), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。ビ・バップ時代から活躍してきた猛者達がズラリと並ぶ。このメンバーで内容が悪いはずが無い。

MJQでの活躍で知られるミルト・ジャクソンだが、このサボイ・レーベルでの『The Jazz Skyline』では、彼の「ファンクネス溢れるブルースの雰囲気満載のプレイ」を堪能できる作品である。いやいや本当に良い感じ。彼のブルース・フィーリング溢れるマレット捌きには惚れ惚れする。
 

Jazz_skyline

 
いや〜、これぞモダン・ジャズって雰囲気ですね。ハンク・ジョーンズのピアノも堅実で渋い。何気ない雰囲気で、結構渋いフレーズを聴かせてくれています。ウェンデル・マーシャルのベースとケニー・クラークのドラム、このリズム・セクションは鉄壁なビ・バップ・リズムセクション。堅実・着実なリズム・セクション。

主役のミルト・ジャクソンのマレット捌きも一段とスウィンギーで、さすがミルトと呼べる素晴らしい内容です。フロントを張るラッキー・トンプソンも、テクニック溢れる渋いテナー・サックスを聴かせてくれています。「サヴォイの顔」というべきリズム・セクションも好演していて、実に楽しくリラックスできる演奏ですね。

このアルバムって、意外とミルトの代表作として名前が挙がることはあまりないのですが、僕はこの作品の「堅苦しく無く、寛いだ雰囲気で心地良いテンションを張りながら、スインギーな演奏を繰り広げる」そんな感じが大好きです。これからのシーズン、夕暮れ時から宵の口にかけて聴くのに「ぴったり」です。

 
 

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2013年6月 7日 (金曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・35

サー・ローランド・ハナ(Sir Roland Hanna)は、クラシック界の一流ピアニストにも匹敵する演奏技術の持ち主である。いわゆる、昔のジャズ・ピアニストによくある、テクニック的にはやや難があるが、その癖のある響きや手癖が良い、っていう感じでは無い。

とにかく、クラシック並に端正でダイナミックで美しい響きのピアノが堪能できる。ローランド・ハナのピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が全く無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。

端正で堅実なピアニストであるが故、代表的なリーダー作を選ぶには、相性の良いサイドメンとの競演盤か、自分にとっての選曲の良さで選ぶ傾向にある。そこで今回は、ローランド・ハナのリーダー作の中で、僕が愛聴しているアルバムをご紹介したい。そのアルバムとは、Sir Roland Hanna『Milano Paris Newyork』(写真左)。

ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), George Mraz (b), Lewis Nash (ds)。2002年4月の録音。 ハナは、2002年11月に鬼籍には入ってしまったので、このアルバムは、逝去する前、僅か7ヶ月前の録音である。遺作に近い。

さて、このアルバムは、ローランド・ハナが、モダン・ジャズ・カルテットのリーダー兼ピアニストのジョン・ルイスに捧げた、美しいピアノ・トリオ・アルバムで、ジョン・ルイスが、生前、最後に共演したベースのジョージ・ムラツとドラムスのルイス・ナッシュを迎えて、心地よいスイングで愛情を込めて演奏している。

サブタイトルが「ジョン・ルイスに捧ぐ」となっているが、収録曲を眺めてみると、全てがジョン・ルイスの曲で無いのが、残念と言うか不思議というか、9曲中6曲がジョン・ルイスの曲、残りの3曲がローランド・ハナの自作曲と言った「ジョン・ルイス・トリビュート」としては不思議な構成。
 

Roland_hanna_milano

 
それでも、ローランド・ハナのピアノは、限りなく典雅で端正。クラシック・ピアニストに比肩するテクニック。ジョージ・ムラツのベースは、鋼の様にしなやかで強靱でメロディアス。ルイス・ナッシュのドラムは多彩かつ硬軟自在。収録されたどの曲も、三人三様、テクニックのあらん限りを尽くして、弾きまくり、叩きまくる。

ファンクネスとはほとんど無縁な、クラシック・ピアノの様な、典雅で堅実なインプロビゼーションがこのピアノ・トリオの特徴。リズム&ビートは、徹頭徹尾、ストレート・アヘッドなジャズ。

こんなこと言っちゃなんだが、ジャズのジャケットは、必ずしもアルバムの演奏の内容を正しく反映しているものでは無い。このローランド・ハナのピアノ・トリオのアルバムなんて、このアルバムのジャケット・デザインが、どうして、タイトスカートを捲り上げて露わになった女性の美足なのかが判らない(笑)。

しかしながら、その演奏内容は「実に素晴らしい」の一言だ。 端正なハナのピアノ、太くてブンブンなムラツのベース、ガッチリとサポートするナッシュのドラム。どの曲も素晴らしい演奏です。と振り返ると、やっぱり、なぜ、このアルバムのジャケットが、タイトスカートを捲り上げて露わになった女性の美足なのかが、とんと判らないのだ(笑)。

さて、最後にジャズの面白い話を。このローランド・ハナ、なぜ「Sir」が付いているのか。ねっ、不思議でしょ。だって「Sir」とは、ナイト(騎士)称号を授与された人物への敬称ですよね。

1960年代の末、ハナは欧州やアフリカで、 アフリカの青少年たちの為の教育資金集めの為にコンサート活動を行った。その功績が認められて、リベリアの大統領ウィリアム・タゴマンから「サー」の称号を授与されたのだった。彼が「サー」の称号付きで呼ばれているのは、これまでに実行してきた数々の人道的活動の貢献によるものなのだ。

 
 

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2013年6月 6日 (木曜日)

あの人達は今どこにいる・1

あの人は今、どうしているんだろう。そういう想いを走らせたくなるジャズメンが何人かいます。

一時、日本のレコード会社から、ちやほやされ、米国ではどう考えてもメジャーで無いのに、日本でメジャーデビューしてしまったジャズメンが幾人かいます。あの人達は今、どうしているんだろう。

そんな「あの人達は今どこにいる」シリーズ第一弾は、ライアン・カイザー(Ryan Kisor)。2000年の頃だったか、その頃、僕の「マイ・ブーム」だったトランペッター。最近、とんと、この人の名前を聞かなくなった。

それもそのはずで、2006年にリリースした『One Finger Snap』以降、リーダー作のリリースが無い。故に、ジャズ雑誌の新盤レビューなどで、カイザーの名を目にすることは無い訳。

でも「Jazz at Lincoln Center Orchestra」のメンバーではあるらしく、ジャズメンとして、第一線の活躍はしているということ。ネットでもっと調べたら、ちょくちょく来日して、ライブハウスとかで演奏しているようだ。

ライアン・カイザーは、90年のモンク・コンペティション優勝という華々しい実績を引っ提げてデビューしてきたことからも判るように、彼のテクニックは、なかなかのもの。

しかし、そのテクニックをひけらかすことなく、変にひねりを入れることなく、常に「直球勝負」的な、ストレート・アヘッドなトランペットは好感度抜群。
 

Ryan_kisor

 
そのミュージシャンの本質を見るには、デビューアルバムやその近辺の、つまり、そのミュージシャンの初期の作品、それも出来たらワン・ホーン作を聴くこと、というのが僕の持論。

そういう意味でいくと、 ライアン・カイザーの本質を感じるには、2000年にリリースされたワン・ホーン作『Kiisor』(写真左)かな。このアルバムは珍しく、トランペットのワン・ホーン作なので、彼のトランペットをとことん堪能できるのが嬉しい。

彼のトランペットの特徴は、「ストレート・アヘッドに、切れ味良く、しっかり吹ききる潔さ。そして、エッジが立った切れる感じの音では無い、良い具合に角が取れた、ほんのりとした温かみがある音」って感じ。

変なクセも無く、聴きやすく(本音を言えば、もう少し、個性があっても良いかなとも思うけど)、とにかく清々しいトランペットです。僕の中で、これからの更なる活躍が期待されるトランペッターのひとりです。しかし、改めて思うんだけど、トランペットやサックスを堪能するには、ワン・ホーン作が一番やね〜(トランペットの場合、唇が大変やと思いますけど)。

しかし、VIDEOARTSって、どうなんやろう。2000年にこの『Kiisor』をリリースして以降、ライアン・カイザーのリーダー作を8枚リリースして以降、2007年から6年間、ライアン・カイザーに関して、全く音沙汰無し。そんなもんなんかなあ。

ジャズメンって、ポップスの人気歌手とは質が違うんやがなあ。ブームが去って売れなくなったら「はい、おしまい」って感じで、なんだか日本のレコード会社って薄情やなあって思ってしまう。

 
 

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2013年6月 5日 (水曜日)

フェンダー・ローズを愛でる・5

柔らかな美しい音色を聴かせてくれる名機フェンダー・ローズ。このフェンダー・ローズを雰囲気良く操り、ビート・プログラミングによる、特徴のある跳ねたリズムに乗せて、モダンで今風で小粋なフュージョン・ミュージックに仕立て上げている。

ジャズ・キーボーディスト猪野秀史の、2006年リリースの初リーダー作、INO hidefumi『Satisfaction』(写真左)。1970年生まれ、今年、43歳になる、日本の中堅キーボーディストの「味のある」アルバムである。

出だしの「スパルタカス」なんか、雰囲気やねえ〜。フェンダー・ローズの柔らかで拡がりのある音色に、少しファズをかけたような、ちょっと歪んだ感じが、かなり「お洒落」。フェンダー・ローズの音色をこういう風に加工した例を僕は知らない。猪野の個性である。

こういう、フェンダーローズの聴かせ方もあるんやね。 ベースは重低音でかなりブーミー。ヘッドホンで聴くにはちょっとつらいかも。でも、iPodで通勤音楽として聴くには、結構、快適なブーミーさ。

収録曲全体の雰囲気はボサノバ風な、少し軽くて爽やかで流れるような雰囲気で、夏の晴れた陽射しの強い日、昼下がりの風の通る部屋の中でソファに座りながら、転寝気味で聴くのにピッタリですね。 いやいや、はたまた、夏の夜、バーボン片手にお気に入りの本でも読みながら聴くのにピッタリの雰囲気です。
 

Ino_satisfaction_2  

 
収録された曲がどれも「粋」。上質の「選曲のセンス」を感じさせるものばかり。面白いところをチョイスすると、

Billie Jean(マイケル・ジャクソン)
Midnight At The Oasis(マリア・マルダー)
Just The Two of Us(グローヴァー・ワシントン Jr.)
蘇州夜曲(細野晴臣)

う〜ん、思わずニンマリしてしまうなあ。アレンジが良いんですね。テーマ部は原曲の旋律をしっかりと残しつつも、展開部に入ると、ちょっと歪んだ感じのフェンダー・ローズの音色に合ったアドリブ・フレーズが心憎い。太いリズム&ビート。伸びの良いベースライン。そしてちょっと切なく感じるノスタルジックなエコー。とにかく、カバー曲が格好良い。

惜しむらくは、バックのリズムが打ち込みでは無く、人間が演奏していたら、もっと、アナログチックなグルーブ感が出て、もっと良かったのになあ。惜しい惜しい。ライブではそれでやってみて欲しいなあ。でもって、この『Satisfaction』の同一曲編成でライブ盤を出していただきたい。

やっぱり、マイケル・ジャクソンの「Billie Jean」や、グローヴァー・ワシントンJr.の「Just The Two Of Us」、 昭和歌謡史に残る名作「蘇州夜曲」などのカバー曲は、何度も何度も聴き直してしまいますね〜。フュージョン系、クラブ・ジャズ系のお勧め盤です。もちろん、フェンダー・ローズ好きには堪えられない内容です。

 
 

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2013年6月 4日 (火曜日)

ヘビー・メタルなビ・バップ

1978年リリース、The Brecker Brothers(ブレッカー・ブラザーズ)の4作目。ライブ盤と言いたいところだが、1曲目「East River」のみスタジオ録音という、不思議な構成の変則盤です。そのアルバムの名は『Heavy Metal Be-Bop』(写真左)。

名は体を表す、というが言い得て妙。ファンキー・フュージョンを旨とするブレッカー・ブラザースの音に、キッスやエアロスミスなんかの米国ハード・ロックの音をブレンドしたら、どうなるか。その答が、このアルバム『Heavy Metal Be-Bop』にあります。

「Heavy Metal」とは、ハードロック同様、エレクトリック・ギターの歪んだ音を強調した、過激なロックが基本。ブレッカー・ブラザースは、マイケルのサックス、ランディのトランペット、それぞれの音にワウワウやエフェクターをかけて、歪んだ音に加工している。なんだかマイルスみたい(笑)。

なるほど、ヘビー・メタルなビ・バップかあ。ビ・バップとは、ジャズ者の皆様ならご存じかと思いますが、ジャズの演奏スタイルのひとつ。複雑なコードに乗って、テクニックの限りを尽くして、アドリブ・フレーズを吹きまくる、弾きまくるスタイル。音楽というよりは「芸」に近い。そんな「ビ・バップ」なアドリブ・フレーズを全編に渡って繰り広げている。

ヘビメタな音でビ・バップをやる。当然、音の基本はエレクトリック。リズム&ビートの基本はファンキー。ブレッカー・ブラザース独特の乾いたファンクネスに乗って、ヘビメタな音を引っさげ、ビ・バップな演奏を繰り広げる。ずっしりとしたビートのファンクネス。こんなフュージョン・ジャズは聴いたことが無い。

フュージョン・ジャズと言えば、スムースなソフト&メロウなものが主流で、ハードな音が中心なフュージョン・ジャズは無かった。
 

Heavy_metal_bebop_4

 
唯一、この『Heavy Metal Be-Bop』だけが、ハードなリズム&ビートをベースに、電気的に歪んだサックスとトランペットの音が、縦横無尽、変幻自在に吹き上げられていきます。

しかし、ですね。このハードなリズム&ビートをベースに、電気的に歪んだサックスとトランペットの音が、ちょっとうるさいんですよね。
 
バックのベース&ドラムのビートだけでも、ずっしりと重低音を響かせて、ちょっと耳につくのに、そこに電気的に歪んだサックスとトランペットが、テクニックの限りを尽くして吹きまくり、時にアブストラクトにフリーキーに吹きまくるのだ。やはり、全編に渡って、ちょっと「うるさい」。

確かに、面白い内容のアルバムです。ヘビー・メタルなビ・バップをやっているんですから、確かにこの内容は面白い。でも、何度聴いても、いつも思ってしまうんですよね〜、「うるさい」って(笑)。確かに刺激的な音で、一度聴くには良いのですが、繰り返し聴く我慢強さは僕にはありません。

ブレッカー・ブラザースも恐らく、これは自分達の音では無い、と感じたのだと思います。次作の『Detente』から、ソウルフルでビートの効いた、元々のファンキー・フュージョンに戻っています。なので、この『Heavy Metal Be-Bop』を、ブレッカー・ブラザースの代表作とするのは、どうかなあ、と僕は思います。

このアルバムに詰まった音は、フュージョン・ジャズ史上、最も個性的で優れた音として評価されるべきもので、僕もたまに聴き返しては、その内容の素晴らしさに感嘆します。でも、じっくりと聴く、という意味では、やっぱり「うるさい」音ではありますね。

ヘビー・メタルとビ・バップの一期一会の邂逅。ありそうで、なかなかお耳にかかれない、個性的な音。フュージョン者の方々にとっては、一度聴いてみる価値はあります。凄い音ですぜ。

 
 

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2013年6月 3日 (月曜日)

27年振りの「素敵なコラボ」

ネットを彷徨っていて、ふと目に飛び込んで来たメッセージ。グラミー賞を獲得し大ヒットしたアルバム『Double Vision』以来27年振り。Bob James & David Sanborn のコラボ復活。うへ〜、こりゃ〜買いだ。(ちなみに『Double Vison』については、2008年9月1日のブログ(左をクリック)を参照して下さいね)

改めてご紹介する。Bob James & David Sanborn『Quartette Humaine』(写真左)。アルトのデイヴィッド・サンボーンとキーボードのボブ・ジェームス、フュージョン・ジャズ〜スムース・ジャズの巨匠の二人。いや〜素晴らしいですね。

ちなみにパーソネルは、Bob James (p), David Sanborn (as), James Genus (b), Steve Gadd (ds)。フュージョン・ジャズ出身の伝説的ドラマー、スティーヴ・ガッドと、気鋭のベーシスト、ジェームス・ジナスが参加したカルテット編成。

スティーブ・ガッドは超有名な伝説的ドラマーなので、ジャズ者であれば殆どの方が知っていると思うので、ガッドに関する説明は割愛。ジェームス・ジナスは、1966年生まれ、今年で47歳の中堅ベーシスト。僕は、彼の名前って、そう、新生ブレッカー・ブラザーズで知った。様々なジャズメンの下で、堅実かつ豪快なベースを聴かせてくれています。

まず、このBob James & David Sanbornの27年ぶりのコラボ盤、ベースとドラムが素晴らしい。素晴らしくガッツのある硬派なメインストリーム系のリズム・セクション。手数を絞って、間を活かした、とても玄人好みなドラミング。最近のスティーブ・ガッドのベスト・プレイのひとつとしても良いのではないか。
 

Quartette_humaine

 
太くて硬質で堅実かつ豪快なベース、柔軟で弾力のあるウォーキング・ベースは、今までに聴いたことがあるような気がするが、よく聴くと今までに聴いたことのない個性。このベースの音が、とても素敵なのだ。ガッドのドラムとジナスのベース。これが素晴らしい。

そんな素晴らしいリズム・セクションをバックに、これまた素晴らしい巨匠のコラボが、キラキラと輝く様に、素晴らしい響きを奏でる。フュージョン・ジャズ〜スムース・ジャズの巨匠の二人である。さぞかし、素晴らしいフュージョン・ジャズやスムース・ジャズを聴かせてくれるのだろう、とお思いのジャズ者の方々。それは違います(笑)。

このアルバムでのボブ・ジェームスとデイヴィッド・サンボーンの二人は、意外にも、実に硬派なメインストリーム・ジャズを聴かせてくれています。これは嬉しい。特に、メインストリーム・ジャズなアルトを聴かせてくれるデイヴィッド・サンボーンは久し振り。

しかも、ボブ・ジェームスの巧みなアレンジに乗っての純ジャズ路線。コンテンポラリーな響きを宿しつつ、時代の先端を行くジャズの音作りに心から感心しました。とにかく、良い音しています。ボブ・ジェームスのアコピも気品ある、音を絞った、音の間と響きを活かした、コンテンポラリーなビル・エバンスの様な響きは実に暖かい。このボブ・ジェームスのアコピも聴きものです。

実に内容のある、質の高い演奏です。スタンダードの「My Old Flame」が素敵ですね。ボブ・ジェームスとサンボーンが持ち寄った自作曲もいずれも優れた曲ばかりで「捨て曲」無し。

冒頭の「You Better Not Go to College」や3曲目の「Sofia」では、サンボーンのアルトはリリカルの絶頂を聴かせてくれ、ブラッシュワークのガッドが凄い。情緒溢れる歌伴の如きボブ・ジェームスの小粋なピアノ、そして、バンド・サウンドの底をガッチリと支えるジナスのベース。 

良いアルバムです。言葉では文字では、このアルバムの素晴らしさは伝えきれない。久し振りの「聴けば判る」盤です。しばらく、我がバーチャル音楽喫茶『松和』のヘビロテ盤になりますね〜、これは。

 
 

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2013年6月 2日 (日曜日)

ジョージの考えるAOR・第1弾

『Extra Texture(Read All About It)』、邦題は、なんと『ジョージ・ハリソン帝国』(写真左)。凄い途方も無い邦題である。この途方も無い邦題のお陰で、当時、高校2年生だった僕は、このアルバムを「駄作」と決めつけ、このアルバムを聴いたのは、それから4年後、大学2回生になってからである。なんと罪作りな邦題であることか(笑)。

さて、この『ジョージ・ハリソン帝国』、米国では1975年9月22日にリリース。日本では10月20日に東芝EMIからリリースされた。当時は米国で発売されてから、1〜2ヶ月遅れて、日本でリリースされていた。日米同時リリースとなるのは、もっと後のこと。

このアルバムは、先の理由により、リリース当時、リアルタイムでは聴いていない。まあ、この邦題と、このよく見れば凝ってはいるが、ぱっと見、地味なデザインのジャケットからすると、触手が伸びないのは仕方の無いこと。僕が初めてこのアルバムを聴いたのは、1979年の秋である。

当時、米国ポップス界は「AORブーム」。日本では「アダルト・オリエンテッド・ロック」と解釈され、いわゆる「大人の粋でお洒落なロック」として、やはり大ブームとなっていた。そんな「AORブーム」の最中に、この『ジョージ・ハリソン帝国』である。これがまあ、違和感が無いというか、しっくり来るというか、初めて聴いた時の感想が、「このジョージのアルバムって、AORやん」。

しかし、この『ジョージ・ハリソン帝国』のリリースは1975年。AORの先取りしていたことになる。これは、前作『Dark Horse』に比べて、アレンジが格段に重厚になったことによる。特にシンセの導入が良い効果を醸し出しており、このシンセやキーボードを駆使していたのが、後に、AORの敏腕プロデューサーとなる、デヴィッド・フォスター。彼の参加が、このアルバムにとってはラッキーだった。
 

Extra_texture_2

 
しかし、AORフレイバーが好影響を与えているとは言え、冒頭の「You」以降、アルバム全体を覆う雰囲気は、かなり内省的。というか、ちょっと重苦しく暗い。バラード調の曲やミッドテンポでじっくりと歌い込む曲が殆どなので、このアルバム全体を覆う雰囲気は、実に惜しい。

とにかく、このアルバムに収録されたジョージの曲は全て出来が良い。しかも、AORな雰囲気にしっくりくる。セルフ・プロデュースでは無く、他の敏腕プロデューサーに託したら、もっと聴き応えのあるアルバムに仕上がっていたと確信できるだけに実に惜しい。名盤になり損ねた、実に惜しいアルバムである。

でも、アルバム全体の出来は、前作『Dark Horse』を遙かに凌ぐ出来で、聴き応えは十分にある。ジョージの考えるAOR盤として、僕は重宝している。

ちなみに、アルバムの原題「Extra Texture(Read All About It)」は、新聞の号外(extra)を配る際の決まり文句(Extra! Extra! Read All About It)のもじりとのこと。

加えて、ジョージが、EMI・アップルに残した最後の作品で、オリジナル盤のレーベルには、芯だけになったリンゴの絵が描かれていた(写真右)とのこと。う〜ん、ジョージってシニカルやなあ。

しかも、このアルバムの邦題『ジョージ・ハリソン帝国』は、相当に趣味が悪く、酷い邦題だと思うんですが、収録されたそれぞれの曲にも、相当に趣味が悪く、酷い邦題が付けられていて閉口します。まあ、一度、ネットで確認してみて下さい。

 
 

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2013年6月 1日 (土曜日)

1974年のジョージの佳作です。

懐かしい響きを宿したアルバムである。Geroge Harrson『Dark Horse』(写真)。1974年11月20日に発表されたジョージ・ハリスンのオリジナル・アルバム。日本では翌年2月5日にリリースされた。

1975年2月5日かあ。懐かしいなあ。このアルバムは、ビートルズのジョージ以外で、ジョージ・ハリソンの音世界に初めて触れた、記念すべきアルバムである。なんせ、ジョージの代表盤である『All Things Must Pass』はLP3枚組で、当時、高校1年生の財力で買えるはずも無く、『Living in the Material World』なんて、情報不足の時代、その存在すら知らなかった。

この『Dark Horse』だって、友人から借り受けて、カセット・テープにダビングさせて貰って聴き込んだ。当時、高校1年生の財力で、そうそうLPなんて買えない(笑)。それでも、このアルバムは、僕に録って、ジョージ・ハリソンのソロ・アルバムの初体験である。懐かしいなあ。でも、高校生当時は、曲作りやアレンジがマニアックで個性的で、どうにもこうにも良く判らんかったなあ(笑)。

さて、今の耳で聴いてみるとどうか、ということであるが、このアルバム、ジョージのアルバム紹介で、ほとんどの評論家の方々が口を揃えて「イマイチ」「良く無い」と書き立てているが、そんなに内容の良くないアルバムなんだろうか。

確かに、ジョージのボーカルは状態が良くないことは確か。でも、ジョージの声は、もともと「しわがれ系」なので、そんなに声高に指摘するものでも無いでしょう。まあ、ちょっと「しわがれ」が過ぎるところはありますがね〜。LP時代、B面の初っぱなに出てくる「Ding Dong, Ding Dong」でのボーカルは、あまりに「しわがれ」ていて、そのポップな曲調と比して、ちょっと怖い感じですが(笑)。
 

Darkhoese

 
収録されている曲は、どれもがジョージらしい個性が出た良い曲が多い。このアルバムに来て、ジョージの代表盤である『All Things Must Pass』の「スワンプ熱」から冷めて、ジョージならではのロック・ポップな曲調は意外と心に沁みる。そう、このアルバムは、スワンプ熱から冷めた、ジョージならではのポップ・ロックな音が詰まったアルバムなんだ。

ジャケットを見ると、ジョージは宗教に走っている、インド音楽に染まっている、という先入観を持って、どうしてもこのアルバムを聴くことに抵抗を感じる向きもありますが、心配いりませんよ。歌詞をじっくりと眺めることが無ければ、このアルバムは、宗教臭さ、インド音楽臭さはほとんどありません。大丈夫です。まあ、ラストの「t Is "He" (Jai Sri Krishna) 」だけは、タイトルからして「ど真ん中」なんですが(笑)。

確かに、曲順含めて、アルバム全体の作りは荒いですね。これは、1974年の米国ツアーの開始時期に合わせてリリースするところが、なかなかまとまらず、米国ツアーの終わりにやっとリリースされた、という背景を考えると、アルバム全体をしっかりと取り纏める前に、時間切れでリリースしてしもうた、という感じで、仕方の無いことでしょう。

収録された曲はそれぞれ良い曲ばかりなので、このアルバムの全ての曲をアレンジし直して、調子の良いジョージのボーカルで、セルフ・カバーして欲しかったなあ。もうジョージは鬼籍には入ってしまったので、叶わない夢なのですが・・・。

とにかく、ジョージのアルバム紹介本や記事の評論家の方々の辛口の批評を気にせず、ジョージ者の方々であれば、是非とも聴いて欲しい佳作です。逆に、ジョージ者でなければ「よ〜判らん」で終わってしまうアルバムかも知れませんね。それだけ、ジョージの個性が強いアルバムだと言えると思います。

 
 

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