フェンダー・ローズを愛でる・5
柔らかな美しい音色を聴かせてくれる名機フェンダー・ローズ。このフェンダー・ローズを雰囲気良く操り、ビート・プログラミングによる、特徴のある跳ねたリズムに乗せて、モダンで今風で小粋なフュージョン・ミュージックに仕立て上げている。
ジャズ・キーボーディスト猪野秀史の、2006年リリースの初リーダー作、INO hidefumi『Satisfaction』(写真左)。1970年生まれ、今年、43歳になる、日本の中堅キーボーディストの「味のある」アルバムである。
出だしの「スパルタカス」なんか、雰囲気やねえ〜。フェンダー・ローズの柔らかで拡がりのある音色に、少しファズをかけたような、ちょっと歪んだ感じが、かなり「お洒落」。フェンダー・ローズの音色をこういう風に加工した例を僕は知らない。猪野の個性である。
こういう、フェンダーローズの聴かせ方もあるんやね。 ベースは重低音でかなりブーミー。ヘッドホンで聴くにはちょっとつらいかも。でも、iPodで通勤音楽として聴くには、結構、快適なブーミーさ。
収録曲全体の雰囲気はボサノバ風な、少し軽くて爽やかで流れるような雰囲気で、夏の晴れた陽射しの強い日、昼下がりの風の通る部屋の中でソファに座りながら、転寝気味で聴くのにピッタリですね。 いやいや、はたまた、夏の夜、バーボン片手にお気に入りの本でも読みながら聴くのにピッタリの雰囲気です。
収録された曲がどれも「粋」。上質の「選曲のセンス」を感じさせるものばかり。面白いところをチョイスすると、
Billie Jean(マイケル・ジャクソン)
Midnight At The Oasis(マリア・マルダー)
Just The Two of Us(グローヴァー・ワシントン Jr.)
蘇州夜曲(細野晴臣)
う〜ん、思わずニンマリしてしまうなあ。アレンジが良いんですね。テーマ部は原曲の旋律をしっかりと残しつつも、展開部に入ると、ちょっと歪んだ感じのフェンダー・ローズの音色に合ったアドリブ・フレーズが心憎い。太いリズム&ビート。伸びの良いベースライン。そしてちょっと切なく感じるノスタルジックなエコー。とにかく、カバー曲が格好良い。
惜しむらくは、バックのリズムが打ち込みでは無く、人間が演奏していたら、もっと、アナログチックなグルーブ感が出て、もっと良かったのになあ。惜しい惜しい。ライブではそれでやってみて欲しいなあ。でもって、この『Satisfaction』の同一曲編成でライブ盤を出していただきたい。
やっぱり、マイケル・ジャクソンの「Billie Jean」や、グローヴァー・ワシントンJr.の「Just The Two Of Us」、 昭和歌謡史に残る名作「蘇州夜曲」などのカバー曲は、何度も何度も聴き直してしまいますね〜。フュージョン系、クラブ・ジャズ系のお勧め盤です。もちろん、フェンダー・ローズ好きには堪えられない内容です。
大震災から2年2ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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