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2013年6月22日 (土曜日)

3作目にて絶対的個性を確立した

2枚目のリーダー盤を聴いた時、「山中千尋は実に個性的になったなあ」と思ったのだが、今回、発売された3枚目のリーダー・アルバム『Madrigal』では、その個性的な面が、更に確信的に更に揺らぎ無くなって、しっかりとした「山中千尋の個性」に定着しつつあるのを感じて驚いた。

改めて、山中千尋のサード盤『Madrigal』(写真左)。ちなみにパーソネルは、山中千尋 (p), Larry Grenadier (b), Rodney Green (ds), Jeff Ballard (ds)。2004年2月の録音。

1曲目の自作曲「Antonio's Joke」の冒頭のピアノを聴いて、もう直ぐと「山中千尋」と判る音になっていて、ニヤリとさせられる。しっかりと鍵盤を押し込んだ左手の低音がグワングワンと演奏の土台の上で、 テクニカルな右手が、地に足が付いた様な、しっかりしたタッチで「踊る」。

○○派や××派などという「お決まりのスタイルの表現」では単純に括れない、今までの歴代ジャズピアニスとの名手の「良いとこ取り」というか、そのテクニックをしっかり自分のモノにしつつ、今まで聴いたことのない「地に足ついた音の調子」と「重心の低いドッシリ感」という個性を築き上げている。

この個性が、2曲目のジョージ・ラッセル作「Living Time Event V」で、より露わになる(選曲も渋いわなあ)。「キュートで華奢な女の子」という感じのジャケット写真からは想像出来ない、重心低くしっかりと押し込んだ、どっしりとした演奏。

テクニックも申し分なく、この演奏を先入観無く、音だけ聴いたら、女性ジャズ・ピアニストの演奏とは思わないのでは、と思わせるほどにワイルドな演奏だ。
 

Chihiro_madrigal_2

 
3曲目の「Madrigal」やボサノバ調の6曲目の「Salve Salgrigio」は、ファースト・アルバムで耳に馴染んだ「山中千尋」のキュートな面を全面に押し出した女性らしい佳曲。癒しの名演である。

5曲目の「School Days」は実にユニークな演奏になっている。「School Days」と書かれると判らないが、これを日本名になおすと「学生時代」。そう、昔、ペギー葉山が歌った名曲である(今の若い人は知らないかなあ)。

ベースとドラムのスピード感のあるリズムから入って、最初は何の曲だか判らない。ピアノが入ってきて、ベースのラインと共に、普通のジャズ・スタンダードのコード進行とは違うことに気付くのだが、聴いたこともないのに不思議と親近感のあるコード進行に戸惑う。

そして、半音を微妙に上げ下げした、実に「ねじれた」かの名曲「学生時代」 の旋律がでてくると(これって結構な発想とテクニックだと思う)「ああっ、あの曲か」と判る寸法。 この曲、聴きこんで耳慣れてくると「また聴きたい」という気持ちになって、病みつきになる(笑)。

「ねじれている」という面では、7曲目の「Caravan」も負けてはいない。かのデューク・エリントンの定番中の定番なのだが、最初聴いていると、何の曲だかちょっと判らない。が、良く聴いていると、かのジャズ・スタンダードの定番中の定番である「Caravan」と判る。とにかく、ユニークな「Caravan」。こんな「Caravan」って聴いたことが無い。創造力の勝利である。

このアルバムで、山中千尋は「個性的」なジャズ・ピアニストから、「独自の個性」を備えたジャズ・ピアニストになった。しかし、この華奢な体で、どうやったら、こんな力強い演奏が出来るんだろう。

 
 

大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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