フライド・プライドの会心作です
フライド・プライド(Fried Pride・略して「フラプラ」)。ボーカルのShiho、ギターの横田明紀男のデュオ・ユニット。2001年のデビューだから、もう12年になるんですね。
フラプラの特徴は、疾走感溢れ、切れ味の良いShihoの歌唱力抜群なボーカルと横ちゃんの超絶技巧なギター。攻撃的という形容がピッタリの「攻めのジャズ」。決して、流行やトレンドに迎合しない、自分達の個性をベースに、その時その時でやりたいジャズをガッツリとやっている姿が頼もしい。
そんな「すんごい」デュオの、現時点での最新作が『LIFE - source of energy』。2012年7月のリリース。全編に渡って、フラプラの攻撃的な面が前面に出た、迫力満点、力感抜群な、切れ味抜群なボーカル&ギターが展開されている。他のアルバムに比べて、ポジティブな側面が突出している。
冒頭の「Summertime」から、フラプラは飛ばしまくる。襲いかかるかの様に攻撃的なShihoのボーカル。寄らば切る、という異様なテンションの高さが爽快な横ちゃんの超絶ギター。聴いていて、グッと心が引き締まる。ググッと気合いが入る。
3曲目の「Cry Me A River」は、トータル6分を越える熱唱。朗々と情感を込めて、芯の入ったボーカルを披露するShiho。頼もしい限りである。日本人女性がこれだけのボーカルを披露する時代が来るなんて、1978年、ジャズ者初心者だった僕には思いもしなかった。Shihoのボーカルを聴いていると、日本人ジャズの劣等感から、どんどん解放されていく感じがする。
フラプラはそれぞれのアルバムで、こんな曲をカバーするんや〜、と感心させてくれる曲が必ずあるんだが、このアルバムでは、11曲目の「9 to 5(Morning Train)」。シーナ・イーストンの大ヒット曲なんだが、これがまあ、素晴らしいアレンジ、素晴らしいボーカル、素晴らしいギターでカバーされている。う〜ん、フラプラ、良いぞ、格好良いぞ。
逆にスロー・バラードっぽくアレンジすることで、大スタンダード曲の新しい魅力を引き出した「Fly Me To The Moon」。この曲、スローで歌うと歌唱力が露わになる、ちょっと難しい節回しの展開になっているんだが、じっくり誠実に着実にShihoは歌い上げていく。この曲でのShihoのボーカルは、他の曲にも増して抜群に上手い。
そして、ラストの「大漁唄い込み」は感動の逸品である。大震災で大きな被害を被った宮城県の有名な民謡である。ゆったりと情感を込めた歌い出しで、これは感傷的になるか、と思いきや、さにあらず。
朗々と歌い上げていきつつ、オリジナルの英語の歌詞を加え、曲が進むにつれ、横ちゃんのギターを含め、雰囲気はどんどんポジティブになり、明確に明瞭に「明日」を感じさせるボーカル&ギターは実に印象的。日本の民謡をジャズ・スタンダード化する。これって意外といけるかも、と思った。
良いアルバムです。実は、昨年の12月に大病を患い、大手術を経て生還した身体には、このフラプラの、攻撃的という形容がピッタリの「攻めのジャズ」が辛くて、暫くフラプラは「お休み」していた。しかし、術後5ヶ月が経過して、やっとフラプラのアルバムを気分良く聴く事ができるようになった。嬉しい限りである。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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