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2013年5月 1日 (水曜日)

エレ・マイルス発祥のアルバム

MIles Davis『Miles in The Sky』(写真)。マイルスが初めて電気楽器を導入したアルバム。つまりは、エレ・マイルス発祥のアルバムである。

パーソネルは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), George Benson (g), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。後に、あのソフト&メロウな歌うジャズ・ギタリストとして一世を風靡したジョージ・ベンソンが、マイルス・バンド初のエレクトリック・ギタリストとして採用されている。

冒頭の「Stuff」だけが、1968年5月17日の録音。そして、この「Stuff」が、マイルス初の8ビート・ナンバー。とてもシンプルな8ビートで、今の耳には凄く判り易い。この8ビート・ナンバーは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) という、マイルスの60年代黄金のクインテットでのエレ・マイルスな演奏。

ロン・カーターがエレクトリック・ベースを、ハービー・ハンコックがフェンダー・ローズを使用させられてのエレ・マイルス対応である。トニー・ウィリアムスが、淡々としたクールなシンバル・ワークが絶品の8ビートを叩き出していく。そこに、マイルスとショーターが自由にフレーズを紡いでいく。反復によるグルーヴ、8ビートが単純でクールな分、エレクトリック・ジャズのグルーブが判り易い。 
 

Miles_in_the_sky

 
面白いのは、エレクトリック・ギターの入ったセッションである「Paraphernalia」。ほとんど、それまでのモーダルで限りなく自由度の高いメインストリーム・ジャズが展開されている。エレクトリック・ギターの参入の効果、いわゆる「エレクトリック・ジャズ」の雰囲気はほとんど感じられない。

他の曲「Black Comedy」や「Country Son」は、『Miles Smiles』や『Nefertiti』の延長線上の演奏ばかり。それでも、その演奏内容は秀逸で、マイルスの60年代黄金のクインテットの面目躍如。マイルスのブロウは自由度が高く、凄まじいばかりの切れ味。トニーのドラミングは自由奔放、ショーターはほとんどフリーだし、ハービーは実にクールな響きのバッキングが個性的だし、ロンのベースはいつになく攻撃的。

エレ・マイルス発祥のアルバムである『Miles in The Sky』。エレ・マイルス者にとっては、冒頭の「Stuff」は絶対に外せない。そして、ジョージ・ベンソンの参入は不発には終わったが、「Paraphernalia」のエレ・マイルス風の楽曲の存在も、エレ・マイルス者にとっては、やはり外せない。

ジャケット・デザインも実に秀逸。「名は体を表す」というが「ジャケットは内容を表す」である。アコ・マイルスからエレ・マイルスへの過渡期ならでは「中途半端さ」が、エレ・マイルスの骨格を浮かび上がらせている。なかなか聴いていて興味深い、エレ・マイルスを理解する上では必須のアルバムである。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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