« こんなアルバムあったんや・18 | トップページ | ラーセン=フェイトン=バンド »

2013年5月13日 (月曜日)

クロスオーバーの幻の名盤です

フュージョン全盛時代に「ラーセン=フェイトン=バンド」なるものが存在した。ちょっとAORっぽいのだが、その底にしっかりとジャズとロックとR&Bの雰囲気が同居しているユニークなバンドで、僕の密かなお気に入りだった。

ロックでもなく、AORでもなく、R&Bでもないのだが、音作りは流行のフュージョンと似通っており、仕方がないので「フュージョン」のジャンルにしました、って感じのユニークな音作りで、しかも巧い。

特に、バジー・フェイトンのギターは、その音とフレーズにかなりな特長があって、一度、聴き込むと、後を引く、クセになるような音で、当時、病み付きになりましたねえ。

さて、そのラーセン=フェイトン=バンド、その前身は1970年代始めの「フルムーン」というバンドが起源、という記事を学生時代に読んで、『Full Moon』(写真左)なるアルバムを探しまくったが無い。とある雑誌の記事で、この『Full Moon』というアルバムはクロスオーバーの幻の名盤として名高く、レア中のレア盤なことを知った。

それもそのはず。ニール・ラーセン (key) と バジー・フェイトン (g・写真右)、この2人を核に1972年にフル・ムーン名義でアルバムを1枚発表しますが、ほどなく解散してしまっているんですね。僕なんて、そもそも「フルムーン」というバンドの存在すら知らなかった。
 

Full_monn

 
それから時は流れ、「フルムーン」のことなんて全く忘れていたのだが、銀座の山野楽器にふらっと立ち寄った時に「フュージョン幻の名盤コーナー」(だったと思う)という特集が組まれていて、このコーナーに、なんと、あの『Full Moon』が鎮座ましましているではないか。これはもう即ゲット。2003年の出来事である。

ちなみに、この『Full Moon』のパーソネルを挙げておくと、Buzz Feiten (g,vo), Neil Larsen (key), Freddie Beckmeir (b), Phillip Wilson (ds,vo), Brother Gene Dinwiddie (sax,fl,vo)。

初めてこの幻の名盤の音に触れてみて、改めてその音世界にしびれた。インストルメンタルの曲は バジー・フェイトンのギターとニール・ラーセンのキーボードが実に印象的で、しっかりと「ジャズ+ロック」な雰囲気がプンプンし、ボーカル付きの曲は、これはもう、しっかりとR&Bしてファンキー。

このアルバムに詰まっている音世界は、ロックでもなく、AORでもなく、R&Bでもないのだが、実はフュージョンでもない。強いて 言えば、70年代半ばで「フュージョン」と言う言葉に取って代わられ、死語となった「クロスオーバー」、そう「クロスオーバー」的な音なのだ。

このアルバムが録音された1971年、その時代をしっかりと押し込めたこのアルバムは、「フュージョン創生期」の貴重な音の記録だと僕は思う。しかし、こういうアルバムがリイシューされるとは素晴らしいですね。とにかく、フュージョン・ジャズ好きの方々は、一度、聴いてみて下さい。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« こんなアルバムあったんや・18 | トップページ | ラーセン=フェイトン=バンド »

コメント

フルムーンではありませんが、ラーセン・フェイトン・バンドは、自分のバンドで何曲か演奏してました。あのラーセンとフェイトン一糸乱れぬユニゾンは到底まねをすることはできませんでした。
今でも時々彼らのアルバム聴いています!

Nさん、こんばんは。松和のマスターです。
 
なんと今日(5月14日)は『Larsen-Feiten Band』について語っています。
ラーセン・フェイトン・バンドの演奏をカバーするって、かなりのテクニック
を持ったバンドだったようですね。そのチャレンジ精神や良し、ですね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: クロスオーバーの幻の名盤です:

« こんなアルバムあったんや・18 | トップページ | ラーセン=フェイトン=バンド »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー