クロスオーバーの幻の名盤です
フュージョン全盛時代に「ラーセン=フェイトン=バンド」なるものが存在した。ちょっとAORっぽいのだが、その底にしっかりとジャズとロックとR&Bの雰囲気が同居しているユニークなバンドで、僕の密かなお気に入りだった。
ロックでもなく、AORでもなく、R&Bでもないのだが、音作りは流行のフュージョンと似通っており、仕方がないので「フュージョン」のジャンルにしました、って感じのユニークな音作りで、しかも巧い。
特に、バジー・フェイトンのギターは、その音とフレーズにかなりな特長があって、一度、聴き込むと、後を引く、クセになるような音で、当時、病み付きになりましたねえ。
さて、そのラーセン=フェイトン=バンド、その前身は1970年代始めの「フルムーン」というバンドが起源、という記事を学生時代に読んで、『Full Moon』(写真左)なるアルバムを探しまくったが無い。とある雑誌の記事で、この『Full Moon』というアルバムはクロスオーバーの幻の名盤として名高く、レア中のレア盤なことを知った。
それもそのはず。ニール・ラーセン (key) と バジー・フェイトン (g・写真右)、この2人を核に1972年にフル・ムーン名義でアルバムを1枚発表しますが、ほどなく解散してしまっているんですね。僕なんて、そもそも「フルムーン」というバンドの存在すら知らなかった。
それから時は流れ、「フルムーン」のことなんて全く忘れていたのだが、銀座の山野楽器にふらっと立ち寄った時に「フュージョン幻の名盤コーナー」(だったと思う)という特集が組まれていて、このコーナーに、なんと、あの『Full Moon』が鎮座ましましているではないか。これはもう即ゲット。2003年の出来事である。
ちなみに、この『Full Moon』のパーソネルを挙げておくと、Buzz Feiten (g,vo), Neil Larsen (key), Freddie Beckmeir (b), Phillip Wilson (ds,vo), Brother Gene Dinwiddie (sax,fl,vo)。
初めてこの幻の名盤の音に触れてみて、改めてその音世界にしびれた。インストルメンタルの曲は バジー・フェイトンのギターとニール・ラーセンのキーボードが実に印象的で、しっかりと「ジャズ+ロック」な雰囲気がプンプンし、ボーカル付きの曲は、これはもう、しっかりとR&Bしてファンキー。
このアルバムに詰まっている音世界は、ロックでもなく、AORでもなく、R&Bでもないのだが、実はフュージョンでもない。強いて 言えば、70年代半ばで「フュージョン」と言う言葉に取って代わられ、死語となった「クロスオーバー」、そう「クロスオーバー」的な音なのだ。
このアルバムが録音された1971年、その時代をしっかりと押し込めたこのアルバムは、「フュージョン創生期」の貴重な音の記録だと僕は思う。しかし、こういうアルバムがリイシューされるとは素晴らしいですね。とにかく、フュージョン・ジャズ好きの方々は、一度、聴いてみて下さい。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
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フルムーンではありませんが、ラーセン・フェイトン・バンドは、自分のバンドで何曲か演奏してました。あのラーセンとフェイトン一糸乱れぬユニゾンは到底まねをすることはできませんでした。
今でも時々彼らのアルバム聴いています!
投稿: N | 2013年5月13日 (月曜日) 22時01分
Nさん、こんばんは。松和のマスターです。
なんと今日(5月14日)は『Larsen-Feiten Band』について語っています。
ラーセン・フェイトン・バンドの演奏をカバーするって、かなりのテクニック
を持ったバンドだったようですね。そのチャレンジ精神や良し、ですね。
投稿: 松和のマスター | 2013年5月14日 (火曜日) 21時16分