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2013年5月11日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・17

さて、今日は「こんなアルバムあったんや」シリーズの第17回目。

ジャズには「スタンダード」というものがある。この「スタンダード」とは、映画の主題歌やオールディズと言われる、戦前か、若しくは、1950年代のポップスの名曲の印象的な旋律とユニークなコード進行を借りながら、 ジャズの即興演奏を繰り広げるモノで、数々のジャズ・ミュージシャンが、その演奏の内容と腕を競い合っている。

ジャズといえば「スタンダード」、と言い切る人もいるくらいで、確かに「スタンダード」の存在無くして、ジャズはあり得ない。また、この「スタンダード」を上手く演奏出来ないと、いかに、自作曲が優れたミュージシャンでも、ややワンランク低く見られてしまうほどなのだ。まあ、「スタンダード」が演奏出来てこそ、一流ミュージシャンの仲間入りということになる(もしかしたら、この感覚は日本のジャズ愛好家だけのものかもしれないのだが)。

しかし、映画の主題歌やオールディズの美しい旋律とコード進行を借りるというのなら、クラシックの佳曲もその「スタンダード」の題材になると思いきや、なかなか、そのパターンが無いんだな、これが。クラシックのマナー(バロック形式とかフーガ形式とか)をジャズに応用したジャズ演奏はいくつかあるが(これに代表されるのは、モダン・ジャズ・カルテットの演奏)、そのクラシックの形式の応用も数少ない。

なぜクラシックの佳曲の旋律が「スタンダード」の一環として、大々的にジャズにパクられなかったのかが不思議だが、幾つかの企画モノとしての、クラシックを題材にしたジャズ・アルバムというのはある。遠くは、1950年代、ジャック・ルーシェが、バッハの曲を題材にバロックのジャズ化を試みたころがはしりで、 1960年代になると、ちょくちょく出てくるようになる。

その1960年代の、クラシックを題材にしたジャズ・アルバムの佳作が、ルーマニア出身、異色のピアニスト、Eugen Cicero(オイゲン・キケロ)の『Rokoko Jazz』(写真左)。1965年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Peter Witte (b), Charly Antolini (ds), Eugen Cicero (p)。
 

Rokoko_jazz

 
聴いてみると、なかなかのテクニックで、ベースとドラムのリズム&ビートにしっかりと乗りながら、速い展開での「ジャズの手法をベースとしたクラシック曲の演奏」が奏でられている。いわゆる、クラシックの曲想をベースとしたジャズではない。

この辺の感覚がこのアルバムの演奏の特徴で、アルバム一枚を聴き通してみると、ピアノは原曲をなるべく崩さず、原曲に忠実に弾き回しながら、リズム・セクションのジャジーなリズム&ビートを活かして、トリオ全体の演奏で 「ジャズ化」を実現している訳なのだが、その展開がジャズっぽくない。

ジャズ演奏の展開の定型の一つである「イントロ → テーマの提示 → インプロビゼーション → テーマの再提示 → エンディング」という基本的な展開での「インプロビゼーション」の部分の判別がしにくく、どこまでが原曲でどこまでが即興なのか判りにくい。ピアノが原曲をなるべく崩さず、原曲に忠実に弾き回しているが故、インプロビゼーションの展開がオミットされているケースが散見される。

ジャズ演奏の場合、この「インプロビゼーション」の部分がすっ飛んだり判りにくかったりするのは、ちょっと困るなあ(笑)。
 
ジャズ鑑賞の楽しみの大きな要素にこの「インプロビゼーション」がある。この「インプロビゼーション」の内容こそが、ジャズ・ミュージシャンの個性と才能を左右する要素なので、なんだかこの「インプロビゼーション」の部分が明快に判別できないジャズ演奏は、聴き終えた後、なんだか忘れ物をしたような気分になってしまう(笑)。

といって、このオイゲン・キケロの『ロココ・ジャズ』は、なかなか良くできている。オイゲン・キケロのテクニックとタッチの煌めきを愛でるには最高の一枚である。特に、1曲だけ収録されている自作曲「Bach's Softly Sunrise」は、なかなかの内容の演奏。この曲だけは「クラシックの曲想をベースとしたジャズ」である。

 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

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