謎の大人のニューミュージック
門あさ美。メディアにも一切登場せず、ライブも行わない。それでいて、なかなか内容のあるアルバムをコンスタントの発表し、それなりの売り上げをあげる。そんな覆面アーティストにも似た活動内容。
時たま、音楽雑誌でみる彼女の写真から(3枚目のアルバム「セミヌード」のジャケットで、そのお姿を拝むことが出来る)、その都会的センスとその裏に潜むコケティッシュさを感じて、なんとなく心ときめいたなあ。バックミュージシャンも豪華で、当時第一線で活躍していた面々がサポートする曲や詞から、「女心を切々と歌い上げ共感を呼ぶ」と言う、その独特な雰囲気をふんだんに感じさせてくれるアーティストであった。
さて、当時、コンサートもやらない、テレビにも出ない、レコードだけで勝負していた、謎の女性シンガーソング・ライターであった門あさ美本人がほぼ全曲の作詞作曲を手がけているファースト盤『Fascination』(写真左)。
全編に渡って、それぞれの曲はすべて英語の表題で統一されていてミステリアス。哀愁に満ちて、情感たっぷりで、それでいてベタベタしていなくて、サッパリしていてオシャレ。いやらしくなく、ちょっとエロティック。とにかく、オシャレで聴きやすく内容のある、理想的なJポップの一枚である。
そして、このアルバムを聴き終えると、つまるところ、「すべからく、女は悪女でわがままで淋しがり屋で温かい」存在であると言うことを理解することになる。ファッション・ミュージックの元祖の一人として、そのタレントが見事に表現されたファーストアルバムです。
門あさ美の作曲家としてのこの1曲と言えば、6曲目の「Fascination」でしょう。女性の内面を上手に表現した、上質のポップスです。門あさ美のエコーの効いたボーカルも、健康なエロティシズム全開。
彼女は作詞家としても優れていて、女心の本音と建て前が満載。僕なんか、1曲目の「Morning Kiss」のサビの部分の歌詞で、もうノックアウトですわ(笑)。3曲目の「Stop Passing Night」なんかも意味深やなあ。
当時、女心の描写がユーミン以上と豪語して、失笑を買っていた大学時代。今、年齢を経て、このアルバムに耳を傾けて、当時の僕たちの印象が間違いでないことを確認した次第です。
一言で言うと、「大人のニューミュージック」ですね。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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