シンセ大活躍なフュージョン
春になると、フュージョン・ジャズを聴く回数が多くなる。暖かい気候が気分を開放的にさせて、フュージョン・ジャズの8ビートが心地良く心に響くからだろう。今年は3月の下旬から少し寒くなったので、フュージョン・ジャズを聴く回数が増え出したのは、ついこの2日前からである。
春には、フュージョン・ジャズが良い。クロスオーバー・ジャズも良いが、素晴らしいテクニックをベースに、ソフィストケイトされ、ソフト&メロウな、聴いていて心地の良いフュージョン・ジャズ。春には、そんなフュージョン・ジャズが良く似合う。
ということで選んだアルバムが、The Yellowjackets『Mirage A Trois』(写真左)。1983年の作品。これが実に良い。ロベン・フォードのギターとラッセル・フェランテのキーボードが中心のアルバムですが、全編聴き通すと、暖かくて、ちょっと官能的なシンセサイザーがフロントを張った、シンセサイザー大活躍なフュージョン・ジャズであることが判ります。
これってありそうでなかなか無くて、とにかくシンセサイザーがフロントを張って、テーマやインプロを弾きまくる訳ですから、1970年代ロックの時代、プログレッシブ・ロックを聴き込んだプログレ小僧からすると、シンセサイザー中心のこの展開にはグッときます。なんせ、プログレと言えば「シンセサイザー」でしたからね(笑)。
一部リズムは打ち込みの様で時代を感じます。でも、その打ち込みリズムの無機質感、バリエーションの狭さを全く感じさせないほど、シンセサイザーの活躍は
目覚ましく、そこにエレギ、エレベが絡んでくる訳ですから、どの曲もなかなか聴き応えがあります。でも、やっぱりリズムは人間が叩くドラムが良いね。
1980年代のフュージョンは、デジタル録音の弊害を受けて、ペラペラな薄い音、硬質でレンジの狭い音が横行し、しかもなんだか「デジタル臭さ」が感じられる、デジタル録音黎明期ならではの失敗作に良く出くわすのですが、この盤はなんとか、その弊害を回避している様です。
シンセの音もしっかり太くて良好です。しかも、音の広がりは十分あるし、楽器のアンサンブルにも厚みがあります。そして、この盤に収録された曲の良さは、スバリ「曲の持つメロディーの良さ」。
明るくて開放感のあるポジティブなメロディーが心地良く響きます。このメロディーの良さは抜群ですね。さすが、フュージョン・ジャズの名盤仕掛け人、トミー・リピューマがプロデュースしているだけのことはあります。
暖かくて、ちょっと官能的なシンセサイザーがフロントを張った、シンセサイザー大活躍なフュージョン・アレンジで、大スタンダードの「I Got Rhythm」には、初めて聴いた時はビックリ。明るくて暖かくて重厚で爽快感のある「I Got Rhythm」。聴き応え十分。良いアレンジです。
このイエロージャケッツの『Mirage A Trois』って、フュージョン・ジャズの佳作です。「バーチャル音楽喫茶『松和』が選ぶフュージョン・ジャズの100枚」なんてものがあるんなら、この『Mirage A Trois』は必ずノミネートです。これだけ、明朗で重厚で耳当たりの良いシンセの音って、なかなかありませんぜ(笑)。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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