クールで硬質な音が素敵です。
変わったアルバム・タイトルなので、このアルバムの存在は直ぐに覚えた。しかし、ギタリストのリーダー作であった。ジャズのフロントを務める楽器で、ギターは一番後回しにしたので、このアルバムを手にするには、かなりの時間を要した。
ジャズを聴き初めて15年経った頃。やっとジャズ・ギターのアルバムをコレクションしようと思い立った。でも、このアルバムとはなかなか縁が薄かったみたいで、リイシューされる度に買おう、と思うんだが、他に欲しいアルバムがあったりして、気が付いた時には無くなっている、そんな繰り返しだった。
そのアルバムとは、Jimmy Raney『A』(写真左)。アルバム・タイトルが「A(エー)」。どうしてこんなにシンプルなタイトルになったのかは不明だが、タイトルは「A(エー)」。白人ギタリストの代表格、ジミー・レイニーの代表作である。
ジミー・レイニーのギターは、ファンクネスや音の粘りや翳りが希薄で、テクニックを全面に押し出した、素直でシンプルで硬質なギター。1950年代にどっと現れた白人ギタリストの音である。明らかに、チャーリー・クリスチャンから派生したタル・ファーロウ〜バーニー・ケッセルの流れの中にある音です。
しかし、タル・ファーロウやバーニー・ケッセルと比べると、クールで硬質な音が特徴で、優れたテクニックと相まって、パキパキ感溢れるクールな高速フレーズが楽しい。派手さは無いんですが、イマジネーション溢れ、とても良く「唄うギター」です。
このアルバム『A』は2種類のセッションからなるアルバムで、54年にホール・オーヴァートン(p)、テディ・コティック(b)、アート・マーディガン(ds)と録音したカルテット演奏4曲とトランペットのジョン・ウィルソンを加えた55年のクインテット演奏8曲が収録されています。
どちらが良いかと言えば、アルバム前半のカルテットの方が良いですね〜。クインテット編成の方は、トランペットのジョン・ウィルソンが出過ぎてて、ジミー・レイニーのギターが霞んでしまっています。とにかく、ジョン・ウィルソンのトランペットが、ヘタウマなトランペットで良く鳴る。まあ有り体に言えば「ちょっと五月蠅い」(笑)。
主役のジミー・レイニーのギターは申し分ありません。大向こうを張った派手さは全くありませんが、少し内省的でクールで硬質な音が素敵です。テクニック優秀、パキパキ感溢れるクールな高速フレーズ。どの曲も、ジミー・レイニーの指が回る回る。
でも、ジミー・レイニーって、日本では人気が無いですね。「地味」レイニーなんて、あまり有り難くないニックネームを頂戴している位で、かなり過小評価されている様ですが、このアルバム『A』を聴くと、そんなことは全く無い、1950年代に出現した白人ギタリストの中で傑出した存在だと思います。
確かに、アルバム全体の雰囲気はちょっと「地味」なんですが、ジミー・レイニーのクールで硬質な音、優れたテクニックと相まって、パキパキ感溢れるクールな高速フレーズが耳に残って、癖になって、意外とヘビロテな盤になります。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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