ギターとトロンボーンの相性抜群
ジミー・レイニーのギターは、ファンクネスや音の粘りや翳りが希薄で、テクニックを全面に押し出した、素直でシンプルで硬質なギター。1950年代にどっと現れた白人ギタリストの音である。明らかに、チャーリー・クリスチャンから派生したタル・ファーロウ〜バーニー・ケッセルの流れの中にある音。
そんなクールで硬質な音が特徴で、優れたテクニックと相まって、パキパキ感溢れるギター、これがまあ、トロンボーンと合うんですよね。
トロンボーンの音と言えば、ボヨヨンとしていて、音の芯はしっかりしているが、音の輪郭は丸い。音の伸びは抜群。低音はブリブリ響き、高音はプワーッと伸びる。スライドを出し入れして音程を取るので、速いフレーズはちょっと苦手。しかし、ミドルテンポからスローテンポの音の伸びと柔らかさと緩さは、この楽器の独特の個性。
このトロンボーンの音がまあ、ジミー・レイニーのクールで硬質な音が特徴で、優れたテクニックと相まって、パキパキ感溢れるギターの音色とバッチリ合うんですね。
ジミー・レイニーのギターとトロンボーンの相性の良さ。その相性の良さを十二分に感じることの出来るアルバムが、Jimmy Raneyの『Jimmy Raney Featuring Bob Brookmeyer』(写真)。1956年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones, Dick Katz (p), Osie Johnson (ds), Bob Brookmeyer (valve tb), Jimmy Raney (g), Teddy Kotick (b)。
ジミー・レイニーのテクニックを全面に押し出した速弾きギターに、ぴったりと付いてくるトロンボーンって、どれだけのスライド・テクニックを持っているんや、とビックリしていたら、このボブ・ブルックマイヤーのトロンボーンは、バルブ・トロンボーンやったんですね。納得。
このアルバム、クインテット構成なんですが、フロントにギターとトロンボーンを据えて、そのフロントのユニゾン&ハーモニーは絶妙の相性です。収録されたどの曲でもギターとトロンボーンのユニゾン&ハーモニー、そして個別のフレーズでの絡み。いずれも実に心地良い響きです。寛ぎのムード満点。
アレンジが良いんですね。このアレンジ、恐らくボブ・ブルックマイヤーが主導したのでは無いでしょうか。プロデューサーは、当時ヴァーヴ・レーベル所属のクリード・テイラーですから、良いアレンジの採用とポップな響きの獲得は彼の功績でしょう。1956年、ハードバップ前期、ジャズ界がハードバップ一色に染まっていた中で、このアルバムはかなり洒脱でポップに響きます。
ピアノは白人のディック・カッツ。洒落たクールなピアノをコロコロと弾き紡ぎ、こういった洒落たセッションで味のあるバッキングを供給するハンク・ジョーンズが曲によって参加。この二人のピアノがなかなかに秀逸。そして、ベースのテディ・コティックは堅実で野太いクールなベースを聴かせて、ドラムが渋いオシー・ジョンソンという選択。バックも優秀。
素直でシンプルで硬質なギターとトロンボーンの相性抜群。寛ぎのムード満点の佳作だと思います。このギターとトロンボーンの組合せ。もっともっと聴きたいですね。他に無いのかなあ。探してみよう。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
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