小曽根渾身の純ジャズ・トリオ盤
日本人のジャズは本当に向上した。といって、「日本人のジャズ」という言葉自体、あんまり好きじゃないんだが、それでも、日本人が演奏するジャズが「イケてる」と、何だか嬉しくてワクワクするんだから、現金なものである。
例えば、穐吉敏子。ルー・タバキンとのビッグバンドは聴く度にワクワクした。例えば、渡辺貞夫。フュージョン・ジャズにチャレンジした数々のアルバムには、聴く度に感じ入り、渡辺貞夫のライブ録音をFMで聴く度に感動した。渡辺香津美のギター・プレイに接する度に胸が躍った。山下洋輔のフリーキーなピアノを聴いては「仰け反った」(笑)。
やっぱり、日本人ジャズ・ミュージシャンの活躍って嬉しいものだ。何となく晴れがましい気分になる。しかし、21世紀に入って、「日本人のジャズ」なんていう表現が過去の物になったなあ、と実感する様になった。様々な日本人ジャズ・ミュージシャンが、日本で米国で欧州で活躍している。それも高いレベルで、である。
例えば、このアルバムを聴いて、改めて、その気持ちを思いだした。小曽根 真の『My Witch's Blue』(写真左)。2012年5月19〜24日、NYの録音。Makoto Ozone (p), Christian McBride (b), Jeff "Tain" Watts (ds)。
凄いな〜。今をときめくファースト・コール・ベーシストであるクリスチャン・マクブライドと、切れ味の良い疾走感溢れるフュージョンなドラマーであるジェフ・ティン/ワッツ。そんな二人とガッチリと組んだ、我らが小曽根真。
冒頭の「Bouncing in My New Shoes」を聴くだけで「感動」する。すっごく正統派な純ジャズ。それも最新の現代ジャズの響きが芳しく、聴いているだけで、もうワクワクする。いや〜、これぞジャズって感じ。ラストの「Satin Doll」以外、小曽根のオリジナル曲で固めた、小曽根渾身のメインストリームなピアノ・トリオ。
小曽根のピアノは「ピーターソン風」。オスカー・ピーターソンのスタイルをベースにしているのが良く判る。良く回りドライブ感溢れる歌心満載の右手。しっかりとリズム&ビートを押さえて、良く回るフレーズを支える左手。しかし、それだけでは無い。小曽根独特のボイシングもあって、十分に個性的なジャズ・ピアノに心から感動する。
ベースのマクブライドもドラムのワッツも本気で参戦。これが嬉しい。小曽根のピアノがこれだけのパフォーマンスを披露しているのだ。マクブライドもワッツも負けてはいられないし、出し惜しみしている場合では無い。太くてハイテクニックな重戦車の様なマクブライドのベースと多彩な音色で様々な表現を見せつけるワッツのドラム。
そんなリズム・セクションの二人を従えて、余裕なパフォーマンスを見せつける小曽根は素晴らしい。日本人ジャズ・ピアニストとしても別格。というか、現代ジャズ界の代表的ピアニストの一人だろう。
ちなみに、アルバム・ジャケットは、鬼才・篠山紀信がレコーディング地であるニューヨークに同行し、激写したものだそうです。確かにジャケットもなかなか感じの良いもの。内容良し、ジャケット良し。このアルバムはお勧めの一枚です。
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