東欧風のエキゾチックなギター
Gabor Szabo。「ガボール・ザボ」と読む。不思議な響きの名前である。ハンガリー出身のギタリスト。国籍不明、ジャンル不明な、ちょっと「ヘタウマ」なギターが個性。
そして、彼のギターは「不思議な響きのギター」である。従来からのジャズ・ギターの音色がしない。展開やフレーズもジャズ・ギターのそれでは無い。独特の展開、独特なフレーズ。しかも、マイナーな響きではあるがジャジーでは無い。どちらかと言えば、欧州の民俗音学的な響きがする。
この不思議な響きのするマイナーな哀愁たっぷりなギターを捉えて、ガボール・ザボのギターを「ジプシー・ギター」と形容する人もいる。ふむふむ。欧州の民俗音楽的な響きを捉えて「ジプシー・ギター」とは言い得て妙ではないか。ガボール・ザボのギターの特徴を良く捉えた表現ではある。
そんな異端で不思議なジャズ・ギター全開のリーダー作がある。Gabor Szabo『Dreams』(写真左)。1968年の作品。ゲイリー・マクファーランドがアレンジを担当したSkyeでのアルバム。サイケデリックなジャケット・デザインが良い。でも、このジャケットって、どう見たって、ジャズのアルバムじゃないよな。
さて、冒頭の「Galatea's Guitar」のギターを聴けば、いかにガボール・ザボのギターが、異端で不思議なジャズ・ギターなのかが良く判ると思う。とにかくジャジーじゃない。どちらかと言えば、東欧風、若しくは中近東風のエキゾチックな響きが特徴。聴いていると何故か「ビザンチン帝国」というワードが頭に浮かぶ(笑)。
演奏全体の雰囲気として、ガボール・ザボのギターが浮遊する感じのスペーシーな演奏が個性的。ジャズ独特のリズム&ビートがガッツリと効いた感じは殆ど無い。パキパキとフレーズを弾きまくることも無い。漂う様に流れる様に弾き進めるガボール・ザボのギターは唯一無二。
しかし、このガボール・ザボのギターは癖になる。このアルバムだって、一度聴いた時には「なんやこれ」。それでも、何故か後ろ髪引かれる感じがして、二度目の聴き込み。そして、エキゾチックな響きが耳に思いっきり残る。もう一度聴きたくなるような不思議な響き。そして、三度目の聴き込み。ザボの浮遊する感じのスペーシーなギターの響きが耳から離れなくなる。
なんだか、この響き、おとぎ話の中に出てくるような幽玄で暖かな響き。録音も独特で、ナローではあるが、深みのある録音は室内楽的。これは最早、ジャズという括りだけでは解釈しきれない。欧州の民族音楽も含めながら、聴き込む必要がある、そんな不思議なアルバム。
これもジャズ。これはクロスオーバー・ジャズな作品。東欧風のエキゾチックな演奏がすばらしい佳作です。クロスオーバー者の方々には要チェックなアルバムです。
大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« あさ美ワールド全開のセカンド盤 | トップページ | クールで硬質な音が素敵です。 »
コメント